スヴァーヴァ

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ヘルギ、スヴァーヴァ、ヘジン。 Fredrik Sanderの1893年スウェーデン版 Poetic Edda のイラスト

スヴァーヴァ(Sváfa または Sváva、スヴァとも)は北欧神話に登場する人物で、ワルキューレとされる。彼女についての記述は、ヒョルヴァルズルの息子ヘルギの歌(参考:古エッダ)にある[1]。物語中の、エイリミ(Eylimi)王の娘であるとの記載から、竜殺しの英雄シグルズの母方の叔母にあたることになる[2]が、この血縁関係については語られていない。

語源[編集]

このワルキューレの名前については、「人々を眠らせる者」[3]または「スエビ族[4]を意味するとの学説がある。同じ詩の中には、シズレクのサガ(Þiðrekssaga)にも登場するスヴァーヴニル(Sváfnir、眠る人)王とスヴァーヴァランド(Sváfaland)王国も登場するが、スヴァーヴァと彼らとの間に血縁関係等は存在しない。

ヒョルヴァルズルの息子ヘルギの歌からの要約[編集]

この節は左記記事の要約である。詳細については、ヒョルヴァルズルの息子ヘルギの歌(Helgakviða Hjörvarðssonar)を参照のこと。

ヘルギとスヴァーヴァの出会い[編集]

ヒョルヴァルズ(Hjörvarðr)王とシグルリン(Sigrlinn)の息子である物静かな男はまだ名を与えられていなかった。ある日、物静かな男は仲間と遠乗りするスヴァーヴァに目を奪われる。この出会いの結果として、スヴァーヴァは、物静かな男にヘルギ(Helgi)という名を与え、蛇と魔法のルーンが刻まれたグレートソードのありかを教えた。

ヘルギはスヴァーヴニルの仇を討ち、スヴァーヴァと結婚する[編集]

ヘルギは軍を率いて、かつてスヴァーヴァランド(Sváfaland)を焼いたフローズマル(Hróðmarr)王を討ち、祖父であるスヴァーヴニル(Sváfnir)王の仇討ちを果たした。戦いを経て名声を得たヘルギは、エイリミ王の元を訪れ、その娘であるスヴァーヴァとの仲を許される。愛し合った二人だったが、スヴァーヴァは父王の下に留まることになり、ヘルギは一人で戦に赴くようになった。

ヘルギの死[編集]

ヘルギは、フローズマル王の息子アールヴ(Álfr)との決闘の最中に、致命傷を受けてしまう。死の間際、ヘルギはスヴァーヴァに兄弟のヘジン(Heðinn)と結婚するように頼んだ。ヘジンは、ヘルギの仇を討つまで戻らない決意を伝えるとともに、スヴァーヴァに口付けを願った。

ヘルギとスヴァーヴァには転生の伝がある。

出典[編集]

  1. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』pp.110-117。「ヒョルヴァルズルの子ヘルギの歌」。
  2. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』p.126。スヴァーヴァが登場するのとは別の詩「シンフィエトリの死について」において、シグムンド王とエイリミ王の娘のヒョルディーズとの間の子がシグルズである旨の記載がある。
  3. ^ Orchard, Andy (1997). Dictionary of Norse Myth and Legend. Cassell. p. 157. ISBN 0-304-34520-2 
  4. ^ Peterson, Lena. (2002). Nordiskt runnamnslexikon, at Institutet för språk och folkminnen, Sweden.

参考文献[編集]

外部リンク[編集]