コンテンツにスキップ

ゴールウェイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゴールウェイ
Gaillimh
Galway
ゴールウェイの市章
市章
位置
ゴールウェイの位置(アイルランド内)
ゴールウェイ
ゴールウェイ (アイルランド)
ゴールウェイ市地図の位置図
ゴールウェイ市地図
地図
座標 : 北緯53度16分22.44秒 西経9度2分30.48秒 / 北緯53.2729000度 西経9.0418000度 / 53.2729000; -9.0418000
歴史
建設 1124年
創設者 コノート王
行政
アイルランドの旗 アイルランド
 地方 コノート
  ゴールウェイ県
 市 ゴールウェイ
地理
面積  
  市域 50.57 km2
人口
人口 (2006年現在)
  市域 72,414人
    人口密度   315人/km2
  市街地 72,729人
その他
等時帯 西ヨーロッパ時間 (UTC+0)
夏時間 西ヨーロッパ夏時間 (UTC+1)
郵便番号 G
市外局番 (+353)91
公式ウェブサイト : http://www.galwaycity.ie/

ゴールウェイ: Gaillimh, アイルランド語発音: [ˈɡal̠ʲɪvʲ], ガリヴ; : Galway, /ˈɡɔːlweɪ/, ゴールウェイ)は、アイルランド西部の都市で、ゴールウェイ県の県都である。ゴールウェイ湾の北東の一角に位置し、市内をコリヴ川が流れる。

概要

[編集]

地名の由来

[編集]

市の名前の最も確かな由来[※ 1]は、アイルランドのガリヴ (Gallibh)、「外国人の町」(外国人、Gallから)である。ゴールウェイはアングロ・ノルマン期に支配した14の[※ 2]部族の都市として知られている。

歴史

[編集]
主要記事:History of Galway

ガリヴの河口の砦は1124年コノート王によって建設された。砦の周囲には小さな町が形成された。 1230年代アングロ・ノルマンの侵略の際に侵略軍を率いるRichard Mor de Burghに接収された。de Burghは土着化したため、商人がこの町を牛耳るようになっていった。 1484年12月には英国王室から市長を置く事が認められ、完全な自治を取得した。ゴールウェイはゲール復興運動までの間、イギリスの支配下のままであった。その間、アイルランド語を話す隣人との難しい関係に耐え忍んだ。

1562年に造られた都市の西門の上へ当時の市長は"From the Ferocious O'Flahertys may God protect us"(獰猛なオフラハティen)一家から神は我々を護るだろう)という通知を出した。その規約はアイルランド人に "neither 'O' nor 'Mac' shall strutte ne swagger thro' the streets of Gallway."(ゴールウェイの通りを抜けるOもMac(どちらも「~の子孫」を意味するアイルランド人名の接頭詞)も、自慢したり威張るべからず)と命じ、アングロ・アイリッシュとむやみに接触することを禁じた。中世にゴールウェイは14のアングロ・ノルマンの一家、ゴールウェイの'部族'の寡頭政治によって統治され、フランススペインとの国際貿易で栄えた。

近世

[編集]
1651年のゴールウェイ

1642年には三王国戦争キルケニーアイルランド・カトリック同盟へ加勢した。クロムウェルによるアイルランド侵略の際は9ヶ月もの間包囲された後に占領された。

17世紀末、ウィリアマイト戦争ではジャコバイトの側へつき(議会に対して国王チャールズ2世を支持した)、1691年オーリムの戦いの後まもなくウィリアマイトに占領された。 ゴールウェイの名門は没落し、この都市は衰退した。

そして20世紀後半の大好況まで完全回復しなかった。

政治

[編集]

行政

[編集]

市長

[編集]
主要記事:Mayor of Galway

現在市長は儀式的なものとなっており、1年毎に市議会議員の互選で決まる。現在の市長は2005年6月に任命されたブライアン・ウォルシュである。

代議士

[編集]

ゴールウェイ市はドイル・エアラン(アイルランド下院)のゴールウェイ西選挙区の一部となっている。代議士

  • ノエル・グリリッシュ (Noel Grealish)(進歩民主)
  • マイケル・D・ヒギンズ (Michael D. Higgins)(労働) - 労働党党首。
  • エーモン・オクイーヴ (Éamon Ó Cuív)(フィアナ・フォイル)
  • フランク・ファヒー (Frank Fahy)(フィアナ・フォイル)
  • ポードリック・マコーマック (Pádraic McCormack)(フィナ・ゲール)

エモン・オクイーヴを除き、全員が市民から強く支持を受けている。マーガレット・コックス上院議員(フィアナ・フォイル)もまた政治基盤をゴールウェイに置いている。2002年の総選挙ではフィアナ・フォイルのマーガレット・コックスと進歩民主党のノエル・グリリッシュの選挙戦で大揺れの選挙区となった。グリリッシュの数百票差での勝利は1977年以来単独政権を続けてきたフィアナ・フォイルが進歩民主党との連立政権を組む事につながった。

議会

[編集]

市議会

[編集]
主要記事:Galway City Council

ゴールウェイ市議会は1484年12月リチャード3世から認められ、1485年にゴールウェイの氏族達により創設された。初代市長はパース・リンチ1841年に解体され、ゴールウェイ都市地区議会 (Galway Urban District Council) にとって変わられたが1937年に区 (borough) として1986年には特別市 (county borough) として復活した。

公式名は"The Mayor, Aldermen and Burgesses of the County Borough of Galway"。

ゴミ収集、リサイクル、交通管制、公園、住宅は15人の市議会議員により管理される。議員は5年毎の選挙により選ばれる。次の選挙は2009年6月に行なわれる予定。現在の市議会は労働党4人、フィナ・ゲール党3人、進歩民主党3人、フィアナ・フォイル党2人、緑の党1人、シン・フェイン党1人、無所属1人からなる。

2005年6月の選挙では左翼の労働党、緑の党、シン・フェインが2から6へと議席を増やして大きな変化をみせた。フィアナ・フォイルは3議席を失い、北・東区では無所属が選ばれた。これにより市民の声を反映する議会になったといわれる一方で、膠着状態の内輪もめになったとする意見も見られる。この選挙により15人のうち8人が初当選の議員となったため経験不足感は否めない。

対外関係

[編集]

姉妹都市・提携都市

[編集]

ゴールウェイはSister Cities International, Inc. (SCI) によって締結された、6つの姉妹都市を有している。

教育

[編集]

大学

[編集]

交通

[編集]
Ballyknow Quay

空路

[編集]

空港

[編集]

市内から東に6kmのカーンモア (en:Carnmore) にあるゴールウェイ空港 (en:Galway Airport) は、2011年11月1日に定期旅客便の運航を廃止した[1]。滑走路が短く現代的な旅客ジェット機を受け入れられないため、運用が限定されている[2]。市内から西に22kmのコネマラ空港 (en:Connemara Airport) は、アラン諸島 (Oilea'in A'rann) の各島への定期便を運行している。シャノン空港 (90 km) とノック空港 (en:Ireland West Airport Knock) (86 km) も市内から容易にアクセスでき、両空港ともアイルランド周辺、イギリス大陸ヨーロッパ、北アメリカ(シャノン空港から)への便を運行している。

鉄道

[編集]

アイルランド鉄道ダブリンと一日7往復している。途中停車駅はアセンライバリナスローアスローンタラモアキルデアなど。乗客はアスローンでウェストポートバリナ、そしてキルデアではコークリムリックトラリーウォーターフォード行きへ乗り換えることができる。ダブリンへまでの所要時間はおよそ3時間。

バス

[編集]

バスはゴールウェイ市や県の公共交通機関の主要な形態である。市内ではBus Éireann英語版 とGalway City Directとにより15路線[3]が運行されている。

また、さまざまなバス会社がゴールウェイ県全域やアイルランド全体にバス路線を張り巡らせている[4]。バス乗り場はいくつかの場所[5]がある

  • バスと鉄道の中心駅はゴールウェイ駅英語版[6]である。
  • フェアグリーン[7]にあるゴールウェイ・コーチ・ステーションは、コーチ(長距離バス)ハブである。コーチ・ステーションとダブリンやダブリン空港との間で定期直行便が運行されており、またリムリック、コーク、クリフデンとの間にも定期便がある。これらは、ゴーバスとシティリンクにより運行されている[8][9]
  • 他の地域バス会社[10]は、シティ・センター周辺のさまざまなバス停留所を使用している。また、NUIGやGMITのキャンパスにもバスが運行されている。

道路

[編集]

3本の幹線道路が市へ通じている。北部からのN17(チュアムスライゴドニゴール)、東部からのN6(アスローンダブリン)、および南部からのN18(シャノンリムリックコーク)。ゴールウェイを他の大都市と繋ぐ高速道路が2010年から2020年の間にできる予定である。ダブリンへの所要時間はおよそ4時間。シャノン空港への移動時間はおよそ90分だが、リムリックへの移動を2時間を要する。ゴールウェイはコネマラへの入り口であると考えられ、コリブ湖西岸に沿ったN89とゴールウェイ湾北岸に沿ったR337はこのワイルドでロマンチックな地区を通る。

航路

[編集]

港湾

[編集]

ゴールウェイ湾の奥にあるゴールウェイ港はアイルランド西海岸の中心となる港である。最大1万トンの船舶が入港でき、ドックへは一度に9艘が格納できる。

ロサヴィールドゥーリンと共にアラン諸島への玄関口となっている。

観光

[編集]
聖ニコラス・アングリカン教会はアイルランドに現存する中世の最大の教会

建築物

[編集]

おそらくアイルランドで最もすばらしい中世の町屋である、リンチ城がショップ通りにあるが、現在ではアライド・アイリッシュ銀行の支店になっている。旧市街の中心にあるアイルランド教会聖ニコラス教会はアイルランドに現存するうち一番大きな中世の教会で、1320年に設立され、続く2世紀の間に拡大された。

1965年建立のローマ・カトリックの"Our Lady Assumed into Heaven and St Nicholas"もある。石灰岩からなる大きな建築物で、ドームと柱とアーチはルネサンス期の模倣、そしてロマネスク調の正面のアーチはアイルランド教会に独特のものである。この建設はスペインサラマンカ市教会の提案によるものである。

大聖堂からそう遠くない場所にアイルランド国立大学の元の中庭がある。アイルランド国立大学ゴールウェイ校の独創的な四角形ビルは1849年飢饉中に)に建設され、コーク校とベルファスト校と共に、「アイルランド"クイーンズ"大学」を構成していた。そこはケルト語派の音声資料のユネスコ・アーカイブを保持している。

文化・名物

[編集]

祭事・催事

[編集]

毎年開かれるイベント

劇場

[編集]

アイルランドで最も名高い俳優を何人も輩出した、常設のアイルランド語劇場Taibhdhearc Na Gaillimheがある。ドルイドシアター社はその最先端の演出と指示で国際的な喝采を得た。

アイルランド語と文化

[編集]

ゴールウェイの言語、音楽、歌、踊りの伝統は「アイルランド的」な特徴で、「アイルランドの2言語の首都」と呼ばれる。ゲールタハトアイルランド語使用地域)の入り口に位置し、町中では2言語による道路標識や店の看板などにアイルランド語をみることができる。周辺の地域の人間はアイルランド語を話す。アイルランド語による劇場An Taibhdhearcやテレビ放送TG4は市民の生活の重要な一部となり、アイルランド語に関する活動や行事への関心を高めさせている。

スポーツ

[編集]

ゴールウェイはアイルランドのリーグにサッカークラブ、ゴールウェイ・ユナイテッドを所有し、2つのラグビーチーム、ゴルウェジアンズコリンシアンズ、そして県のゲーリック・フットボールハーリングのチームがある。

海と湖どちらのセーリングも有名で、大学の漕艇部が川でボート競技のイベントを主催する。

サルシルの近くにハンドボールラケットボールクラブがある。一方、街中にはいくつかの武術クラブがある。クラダからブラックロックまでの遊歩道での「パワーウォーキング」とローラーブレードは一年中人気がある。近郊の村モイカレンはアイルランド国立リーグ一軍のバスケットボールチームの本拠である。またゴールウェイはキックボクシングのヨーロッパ及び世界チャンピオンも輩出した。

発祥

[編集]

クラダリングはゴールウェイの旧城壁のすぐ外にある漁村クラダ (Claddagh) が発祥である。

ゴールウェイ出身の人物

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ Hardiman's History of Galwayによればコリヴ川の元の名前であるAbhainn na Gallimheは、Breasailの娘が落ちておぼれた川、Gallimheに由来する。彼は他に、スペインからの沿岸貿易が陸路での東との交易より普通であったのが知られているので、スペインガリシア地方に由来することも示唆した。
  2. ^ アサイー (Athy), ブレーク (Blake), ボドキン (Bodkin), ブラウン (Browne), ダーシー (Darcy), ディーン (Deane), フォント (Font), フレンチ (French), ジョイス (Joyce), カーヴィン (Kirwan), リンチ (Lynch), マーティン (Martyn), モリス (Morris), スケレット (Skerrett) の商人一家。

出典

[編集]
  1. ^ Galway Airport press release”. 9 February 2012閲覧。
  2. ^ 21 February 2007 Investment in Regional Airports to Aid Balanced Regional Development (Department of Community, Rural and Gaeltacht Affairs) "However, before any major development can take place at Galway Airport, the issue of runway length must be addressed. Galway Airport has the second shortest runway length of all of the regional airports in Ireland used for scheduled flights. The total length of the runway is 1350 m, which means that the number of aircraft types that can use it is limited." -- Ministerial statement.
  3. ^ Galway City bus service summary”. GalwayTransport.info. 21 September 2012閲覧。
  4. ^ National and Regional buses to/from Galway”. GalwayTransport.info. 12 August 2010閲覧。
  5. ^ [1]
  6. ^ [2]
  7. ^ Park at Galway ― car park Galway Coach Station”. Q-park.ie. 2013年3月26日閲覧。
  8. ^ Gobus Travel non-stop between Galway, Dublin City & Dublin Airport Over 28 daily services from only EUR10”. Gobus.ie. 2013年3月26日閲覧。
  9. ^ Citylink ― Home”. Citylink.ie (2012年2月11日). 2013年3月26日閲覧。
  10. ^ [3]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]

総合

[編集]

メディア

[編集]