インディペンデンス級沿海域戦闘艦

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インディペンデンス級沿海域戦闘艦
USS Independence LCS-2 at pierce (cropped).jpg
基本情報
艦種 沿海域戦闘艦 (LCS)
運用者  アメリカ海軍
就役期間 2010年 - 現在
前級 フリーダム級
次級 最新
要目
軽荷排水量 2,307トン[1]
満載排水量 3,104トン[1]
全長 127.4 m[1]
最大幅 31.7 m[1]
吃水 4.3 m[1]
機関方式 CODAG方式
主機 MTU 20V8000 M90ディーゼルエンジン
 ×2基
LM2500ガスタービンエンジン×2基
推進器 ウォータージェット推進器×4軸
アジマススラスター×1基
出力 83,406馬力
速力 40ノット[2]
航続距離 3,500海里 (18kt巡航時)[1]
乗員 中核乗員40名
兵装 Mk.110 57mm単装速射砲×1基
SeaRAM近SAM 11連装発射機×1基
搭載機 MH-60R/Sヘリコプター×2機
C4ISTAR ICMS戦術情報処理装置
FCS サファイア 電子光学式
レーダー シージラフAMB 3次元式
・航法用×1基
ソナー 2087型曳航ソナー搭載可能
電子戦
対抗手段
・ES-3601電波探知装置
Mk.137 6連装デコイ発射機×4基
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インディペンデンス級沿海域戦闘艦(インディペンデンスきゅうえんかいいきせんとうかん、英語: Independence-class littoral combat ship)は、アメリカ海軍沿海域戦闘艦(LCS)の艦級。アメリカ海軍の関連団体であるアメリカ海軍協会USNI)では哨戒艦[1]ジェーン海軍年鑑ではフリゲートとして種別している[2]

来歴[編集]

自爆攻撃によって損傷した「コール」。

沿海域戦闘艦のコンセプトは、1998年、当時海軍戦争大学NAVWARCOL)の校長であったアーサー・セブロウスキー提督が提唱したストリート・ファイター・コンセプトに由来する。これは、同提督が提唱し、アメリカ海軍の新たな指導原理として採用されたネットワーク中心戦 (NCW)の概念に基づき、アメリカ海軍が採るべき方針について洞察するなかで見出されたもので、従来のハイ-ロー-ミックスの概念に起源を有しつつも、これを根本から覆している、きわめて大胆なコンセプトであった。スプルーアンス級駆逐艦オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートに見られるような従来のハイ-ロー-ミックス・コンセプトにおいては、高戦闘力・高コストのユニットが前線に配置され、低戦闘力・低コストのユニットは後方など脅威レベルの低い区域に配置される。これに対し、ストリート・ファイター・コンセプトで建造される艦は、低コストではあるが、NCWを活用して強力な戦闘力の発揮を導き、かつ、その名のとおりに沿海域の前線で攻撃的に活用されるのである[3]

当時、アメリカ海軍は既に、新世代の水上戦闘艦のあるべき姿としてSC-21コンセプトを採択し、これに基づいて巡洋艦級のCG-21、駆逐艦級の DD-21の整備計画を策定中であったが、SC-21計画は2001年に突如中止され、ストリート・ファイター・コンセプトを導入しての再計画が行なわれた。これは、下記の2点について、従来のSC-21計画には重大な問題が内包されていることが判明したことによるものである[3]

  1. 多様化する任務に単一の設計で対処するには限界がある。(当該任務に不要な兵器群を全て船に携行すると費用も整備要員も膨張する)CG-21とDD-21は同一の設計に基づくこととなっていたが、計画開始後に次々と追加される任務に対応するため、先行して計画されたDD-21は、既に巡洋艦級と評されるまでに肥大化しており、なおも装備不足が指摘されていて、その一方、肥大化によって沿海域での戦闘には不適となりつつあった。
  2. 2000年に発生した米艦コール襲撃事件で確認されたとおり、沿海域戦闘においては、安価な武器でも、高価格・高性能な艦に近寄り、大きな損害を与えうる (Cheap Killの危険性)。従って、少数の高価格・高性能な艦に頼り、これを不用意に前線に展開することは極めて危険である。自爆ボートなどの民間擬装船は、優れたレーダーを持つ大型艦にも接近攻撃が可能で、(魚雷艇の魚雷に対するジャミングもリアクションタイムが必要な事もあり)回避力に優れた高速小型艦を量産して前方展開することが望ましい。

また冷戦終結後より、アメリカ軍戦争以外の軍事作戦(MOOTW)のニーズ増大に直面していた。麻薬戦争では、密輸阻止を目的とした海上治安活動が行われていたが、沿岸警備隊だけでは戦力が不足しており、アメリカ海軍も支援にあたっていた。海軍は、主としてオリバー・ハザード・ペリー級スプルーアンス級アーレイ・バーク級を充当していたが、スプルーアンス級およびアーレイ・バーク級では重厚長大に過ぎ、一方小型のオリバー・ハザード・ペリー級は、密輸業者が使用する高速船を追蹤するには速力が不足であった。またスプルーアンス級は2000年ごろ、オリバー・ハザード・ペリー級も2010年ごろの退役が見込まれていたことから、代替艦の建造が必要になっていた[4]

このことから、SC-21計画中止後の再編成において、ミサイル巡洋艦CG(X)』、ミサイル駆逐艦DD(X)』との組み合わせのもと、MOOTW任務に適合する新型水上艦として、ストリート・ファイター・コンセプトをより具体化して計画されたのが、沿海域戦闘艦LCSである[3][4]

設計[編集]

没水部船体の様相

本級は、LCS計画に対してジェネラル・ダイナミクス(GD)社が提出した設計にもとづいており、特徴的な三胴船(トリマラン)型を採用している。これは、GD社と米海軍研究所(ONR)の研究や、イギリスの国防評価研究庁(DERA)の実験船「トライトン」の運用実績を踏まえた決定であった。オースタル社がフレッド・オルソン社向けに建造した高速フェリーを参考に、防水区画数の増加や溶接技術の管理など軍艦構造として設計されている[5]。船質としてはアルミニウム合金を採用したが[2]、このためもあり、就役後には深刻な電解腐食の問題が発生した[1]

主機関はCODAG方式を採用しており、巡航機としてV型20気筒MTU 20V8000 M90ディーゼルエンジン、加速機としてゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジンをそれぞれ2基ずつ搭載する。それぞれのエンジンにバルチラ社製のウォータージェット推進器を1基ずつ備えることから、4軸推進艦となっている。なお、三胴船型の採用によって、排水量のわりに船幅を広げることができたため、甲板面積の拡大に益した一方で、旋回性能の低下が懸念されたことから、これを補うために船首には隠顕式のアジマススラスター1基を搭載している[1][2][5]

2016年8月には、ハワイ出港後の「コロナド」で軸系に問題が生じ、帰港するというトラブルが報告された[6]。なお、対抗馬にあたるフリーダム級でも、アメリカ海軍で採用実績がないロールス・ロイス社製のガスタービンエンジンを採用したこともあって機関部のトラブルが散発しており、信頼性に疑義が呈されたことがあった[7]

装備[編集]

LCSのコンセプトに基づき、本級では自衛用の最低限の装備を基本として、これに加えて、任務に対応するための各種装備を柔軟に搭載することを計画している。これらの装備は、艦のC4ISRシステムを中核として連接され、システム艦として構築される。

固定装備[編集]

アメリカ軍の新しい戦闘指導原理であるネットワーク中心戦 (NCW)コンセプトに準拠して開発された本艦にとって、最重要の装備といえるのがC4ISRシステムである。戦術情報処理装置としては新開発のICMS(Integrated Combat Management System)が搭載された[2]。これはオランダタレス・ネーデルラント社のTACTICOSを元にした派生型である[8]

主センサーとしては、比較的簡素なシージラフAMB 3次元レーダーが搭載されている[1][2]

艦砲としては、船首甲板にユナイテッド・ディフェンス社のMk.110 57ミリ単装速射砲を装備する。砲射撃指揮装置(GFCS)としては、電子光学式のシースター社製サファイアIIIを用いている。また近接防空ミサイル・システムとして、後部上部構造物上にRIM-116 RAMの11連装発射機であるSeaRAMを搭載する[1][2][5]

ミッション・パッケージ[編集]

艦尾側からの艦影。オフボード・ランチ・アンド・リカバリー・システムのブームが展開されている。

沿海域戦闘艦のコンセプトにもとづき、本級は装備のモジュール化を進めている。ミッション・パッケージはフリーダム級と共用化されており、代表的なものとしては下記のようなものがある[9]

対機雷戦(MCM)
30フィートまでの浅深度の機雷に対してはMH-60S搭載のALMDS機雷探知機およびAMNS機雷処分具、30フィート以深の機雷に対してはROVを用いた遠隔機雷捜索システム(RMS)を用いる構成とされている[9]
対水上戦(SuW)
艦固有の57ミリ単装速射砲に加えて、Mk.46 30ミリ単装機銃2基と艦対艦ミサイル(SSM)、MH-60Rから構成される。
艦対艦ミサイルとしては、当初は将来戦闘システム(FCS)の一環として陸軍が開発していたNLOS-LS対舟艇・対戦車ミサイルを採用する予定であったが、FCS計画自体の中止に伴って、2010年にNLOS-LSの開発も中止されてしまったことから、海軍は、暫定策としてグリフィン対地・対舟艇ミサイルを搭載して、2019年までにより長射程のミサイルによって更新する計画としている[9]
2014年7月後半には、2番艦「コロナド」の飛行甲板の片隅にNSMの発射筒を仮設して、搭載試験が行われた[10]。また2016年の環太平洋合同演習では、同艦の艦首甲板にハープーン4連装発射筒2基を仮設して、実射試験が行われた[11]
対潜戦(ASW)
当初は、遠隔機雷捜索システム(RMS)のROV(RMMS)が対潜捜索用ソナーを兼用する計画であったが、この場合、対潜戦の際に母艦の速力・運動性が大幅に制限されることから断念され、タレス社の2087型曳航ソナーをセンサーとして、発見した敵に対してMH-60Rを指向する方式とされている[9]

これらのミッション・システムを収容するスペースとして、第2甲板の後半部がミッション・ベイとされており、面積は実に15,200 ft² (1,410 )に及ぶ。この広大なスペースは車両甲板としても活用でき、右舷側のサイドランプを用いてRO-RO機能を発揮することもできる。また艦尾側にも門扉があり、複合型高速艇を迅速に発進・回収可能な、オフボード・ランチ・アンド・リカバリー・システムが設置されているが、これは、対機雷戦用の無人艇にも対応している[1][2][5]

その上部の船尾甲板には7,300 ft² (680 )のヘリコプター甲板が設定されており、上部構造物後端部は床面積3,500 ft² (330 m²)のハンガーとされている。搭載機はミッション・パッケージにおうじて決定されるが、MH-60R/Sヘリコプターのみであれば2機、混載であればMH-60R/Sヘリコプター 1機とMQ-8無人航空機3機を搭載できる[1]

同型艦[編集]

全艦、ジェネラル・ダイナミクス社製。

# 艦名 起工 進水 就役 母港
LCS-2 インディペンデンス
USS Independence
2006年
1月19日
2008年
4月26日
2010年
1月16日
カルフォルニア州
サンディエゴ海軍基地
LCS-4 コロナド
USS Coronado
2009年
12月17日
2012年
1月14日

2014年
4月5日
LCS-6 ジャクソン
USS Jackson
2011年
8月1日
2013年
12月14日
2015年
12月5日
LCS-8 モントゴメリー
USS Montgomery
2013年
6月25日
2014年
8月6日
2016年
9月10日
LCS-10 ガブリエル・ギフォーズ
USS Gabrielle Giffords
2014年
4月16日
2015年
2月25日
2017年
6月10日
LCS-12 オマハ
USS Omaha
2015年
2月18日
2015年
11月20日
LCS-14 マンチェスター
USS Manchester
2015年
6月29日
2016年
5月12日
LCS-16 タルサ
USS Tulsa
2016年
1月11日
2017年
3月16日
LCS-18 チャールストン
USS Charleston
2016年
6月28日
LCS-20 シンシナティ
USS Cincinnati
2017年
4月10日
LCS-22 カンザスシティ
USS Kansas City
LCS-24 オークランド
USS Oakland
LCS-26 モービル
USS Mobile

登場作品[編集]

映画[編集]

GODZILLA ゴジラ
アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦などと共に、洋上を移動するゴジラを追跡する。
カーズ2
ペッパー・ファミリーの一員として2隻登場する。名前は1隻は「トニー・トライフル」だが、もう1隻は不明。

アニメ[編集]

ハイスクール・フリート
教官艦「さるしま」という艦名で第1話に登場。演習航海に遅刻した「晴風」に砲撃を加えて交戦の末に魚雷で足止めされたが、これが「晴風」の反乱騒動への引き金となる。他にも複数が配備されており8話、9話には「べんてん」という黒色の艦も登場している。
11話に登場した「みくら」「こうづ」「はちじょう」「みやけ」には主砲の後部に位置する甲板VLSが、側舷に3連装魚雷発射管が装備されており、交戦した戦艦武蔵」に対してVLS、主砲、短魚雷による攻撃を行っている。
また、12話には「てんじん」も登場する。
魔法科高校の劣等生
第1話では作中の冒頭に流れる紹介PVに、第26話では作中後半に登場。
ヨルムンガンド
第2期最終話に登場。ヨナがココの部隊を離脱し、キャスパーの下に身を寄せた際に乗艦している。

ゲーム[編集]

 『BF4
キャンペーン「Suez」の終盤に何故か中国人民解放軍海軍のチャン将軍の艦として登場する。主人公が所属するトゥームストーン部隊の母艦であるUSSヴァルキリーに対して主砲による攻撃を敢行している。

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 857-859. ISBN 978-1591149545. 
  2. ^ a b c d e f g h Stephen Saunders, ed (2009). Jane's Fighting Ships 2009-2010. Janes Information Group. p. 932. ISBN 978-0710628886. 
  3. ^ a b c 大熊康之 「第7章 セブロウスキー提督のNCW大変革」『軍事システム エンジニアリング』 かや書房、2006年、219-277頁。ISBN 4-906124-63-1
  4. ^ a b 香田洋二「現代水上戦闘艦の新傾向を読む (特集 世界の水上戦闘艦 その最新動向)」、『世界の艦船』第832号、海人社、2016年3月、 70-77頁、 NAID 40020720323
  5. ^ a b c d 「ジェネラル・ダイナミクス社案 (特集・注目の米沿海域戦闘艦LCS) -- (米LCS2案の技術的特徴)」、『世界の艦船』第643号、海人社、2005年6月、 88-93頁、 NAID 40006738871
  6. ^ Sam LaGrone (2016年8月30日). “USS Coronado Suffers Engineering Casualty, Returning to Pearl Harbor” (英語). USNI news. https://news.usni.org/2016/08/30/lcs-uss-coronado-suffers-engineering-casualty-returning-pearl-harbor 2016年9月24日閲覧。 
  7. ^ 川村庸也「どうなる!? 米沿海域戦闘艦建造計画」、『世界の艦船』第737号、海人社、2011年2月、 108-111頁、 NAID 40017440295
  8. ^ Director, Operational Test and Evaluation (2011年). “Navy Programs - Littoral Combat Ship (LCS) (PDF)” (英語). 2016年6月19日閲覧。
  9. ^ a b c d 川村庸也「大量建造される沿海域戦闘艦の問題点と可能性 (特集 近未来の米水上艦隊)」、『世界の艦船』第788号、海人社、2013年12月、 90-93頁、 NAID 40019837787
  10. ^ Sam LaGrone (2014年9月24日). “-Norwegian Missile Test On Littoral Combat Ship Successful” (英語). 2016年5月13日閲覧。
  11. ^ Christopher P. Cavas (2016年7月21日). “LCS Missile Shoot Is ‘Successful’ — But a Miss” (英語). 2016年7月28日閲覧。

関連項目[編集]

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