ブルック級ミサイルフリゲート

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ブルック級ミサイルフリゲート
USS Ramsey (FFG-2)
艦級概観
艦種 ミサイル護衛艦 (DEG)
→ ミサイル・フリゲート (FFG)
艦名 海軍功労者
一番艦はジョン・マーサー・ブルックに因む。
建造期間 1962年 - 1968年
就役期間 1966年 - 1988年
準同型艦 ガーシア級 (DE→FF)
次級 ノックス級 (DE→FF)
オリバー・ハザード・ペリー級 (FFG)
性能諸元
排水量 基準: 2,640トン
満載: 3,600トン
全長 126.33 m
全幅 13.47 m
吃水 7.9 m
機関 FW堅型過給水管ボイラー
(84.4kgf/cm2, 510℃)
2缶
WEC蒸気タービン
(35,000 hp/26 MW)
1基
スクリュープロペラ 1軸
速力 設計値: 27.2ノット
航続距離 4,000海里 (20kt巡航時)
乗員 士官16名+下士官兵250名
兵装 38口径127mm単装砲 1基
Mk.22 単装ミサイル発射機
ターター SAM
SM-1MR SAM
を発射可能
1基
アスロック8連装発射機 1基
533mm連装魚雷発射管
(後日撤去)
1基
324mm3連装短魚雷発射管 2基
艦載機 QH-50 DASH 2機
(改装後)
SH-2F LAMPSヘリコプター
1機
FCS Mk.56 艦砲用 1基
Mk.74 SAM誘導用 1基
Mk.114 水中用 1基
レーダー AN/SPS-39 3次元
※後にAN/SPS-52Bに換装
1基
AN/SPS-10F 対水上捜索用 1基
LN-66 航海用 1基
AN/SPG-51 SAM誘導用 1基
AN/SPG-35 砲射撃指揮用 1基
ソナー AN/SQS-26 艦首装備式 1基
電子戦 AN/SLQ-32(V)2電波探知装置
Mk.137 6連装デコイ発射機 2基

ブルック級ミサイルフリゲート(ブルックきゅうミサイルフリゲート、英語: Brooke-class guided missile frigates) は、アメリカ海軍ミサイルフリゲートの艦級。ガーシア級を元にして、52番砲のかわりにターター・システムを搭載して改設計したものであり、19623年度で6隻が建造された。基本計画番号はSCB-199B[1]

当初はミサイル航洋護衛艦(DEG)として類別されていたが、1975年の類別変更に伴ってミサイル・フリゲート(FFG)に再類別された[2]

来歴[編集]

アメリカ海軍では、1956年12月に大西洋艦隊駆逐艦部隊(DesLant)司令官ジョン・ダニエル少将が提唱したように、かなり早期から航洋護衛艦(DE)ミサイル艦とすることについて議論されてきた。基本計画審議委員会(SCB)でも、1959年8月頃より、最大限の対潜戦能力と一定程度の対空・対水上戦能力を備えた駆逐艦についての検討が着手されていた。一方、通常の航洋護衛艦(DE)としては、まず戦後第2世代DEの嚆矢として1960年度でブロンシュタイン級(SCB-199型)が建造されており、1961年度では、高速化を図るなどした発展型が建造される予定となっていた[3]

1960年3月、艦船局(BuShips)局長ジェイムズ少将は、1962年度で、この発展型を元にしたミサイル護衛艦(DEG)を建造するよう提言した。そして同年10月の基本計画審議委員会(SCB)において、砲装型DEとミサイル型DEGの建造が発表された。このDEGとして建造されたのが本級である。一方、砲装型DEとして建造されたのがガーシア級(SCB-199A型)であり、まず1961年度からガーシア級が、続いて1962年度より本級の建造が開始された[4]

設計[編集]

上記の経緯より、本級の基本設計はガーシア級と同一であり、マック構造を備えた遮浪甲板型とされた[5]。また同級より導入された過給水管ボイラーも踏襲されており、蒸気性状は主力戦闘艦並みの圧力1,200 psi (84 kgf/cm²)・温度510 °C (950 °F)であった[6]電源も同構成で、タービン主発電機(出力500キロワット)2基とディーゼル非常発電機(出力500キロワット)2基が搭載された[7]

装備[編集]

本級は、基本的にガーシア級をもとにして、一部の装備をバーターとしてターター・システムを搭載した構成となっている。

センサー[編集]

SPS-10対水上、SPS-52 3次元レーダー、SPG-51射撃指揮用

ガーシア級ではマック上に2次元式のAN/SPS-40対空捜索レーダーを搭載していたのに対し、本級では3次元式のAN/SPS-39に変更された[4]。また竣工後まもなく、発展型のAN/SPS-52に更新された[1]

その他のセンサはガーシア級の構成を踏襲しており、対水上捜索レーダーとしてはAN/SPS-10を搭載した。探信儀はバウ・ドームに収容されており[4]、62年度計画艦ではAN/SQS-26AXRが、63年度計画艦ではAN/SQS-26BXが搭載された[1]

電子戦装置としては、当初はAN/WLR-1電波探知装置およびAN/WLR-3レーダー警報受信機AN/ULQ-6電波妨害装置が搭載されていたが、後にAN/SLQ-32(V)2電波探知装置に換装された[8]

武器システム[編集]

中央の上部構造物上には、ガーシア級の52番砲にかえて、Mk.22 単装ミサイル発射機が搭載された。これは59年度計画DDGから装備化されたMk.13 単装ミサイル発射機の軽量化版であり、弾庫容量を40発から16発に削減している。艦対空ミサイルとしては、当初はターターを搭載していたが、後にSM-1MRに更新した[1]

マック直後にはMk.74 mod.2 ミサイル射撃指揮装置(GMFCS)が設置された。同世代のDDGでは2基を搭載した上に砲射撃指揮装置(GFCS)にもミサイル誘導機能が付加されており、同時に3個の目標と交戦できたのに対し[9]、本級ではGMFCS 1基のみの搭載であり、同時に1個の目標としか交戦できない[4]。なおGMFCSはのちにmod.6に更新されたほか、これと連接される武器管制システムとしてはWDS Mk.4が搭載された[8]

艦砲は、ガーシア級から52番砲を省いた構成となっており、船首甲板に38口径127mm単装砲(Mk.30 5インチ砲)を搭載して、艦橋構造物上のMk.56 砲射撃指揮装置(GFCS)により管制した。また「タルボット」は、オリバー・ハザード・ペリー級の新しい艦砲システムの試験艦となり、1974年8月には艦砲を62口径76mm単装速射砲(Mk.75 3インチ砲)に、またGFCSをMk.92に換装した[10]。ただし試験終了後、これらの装備は従前に復された[2]

対潜兵器はガーシア級と同構成であり、艦橋直前にはアスロック対潜ミサイルのMk.112 8連装発射機が搭載された。また62年度艦では人力での再装填とされて、艦橋構造物前面に折りたたみ式のクレーンが設置されていたのに対し、63年度艦では機力による次発装填装置が搭載され、発射機が艦橋構造物に近づけられているのも同級と同様である[3][1]魚雷としては、両舷には短距離用の324mm3連装短魚雷発射管(Mk.32)が搭載されたほか、多くの艦では、船尾にも長距離用の533mm連装魚雷発射管(Mk.24/25)が設置された。ただしMk.48魚雷の水上艦発射版の計画中止に伴い、533mm魚雷発射管は後日撤去された[3]。これらを管制する水中攻撃指揮装置(UBFCS)としては、Mk.114が搭載された[8]

艦載機[編集]

設計段階ではQH-50 DASHの搭載が予定されており、船尾甲板をヘリコプター甲板として、その直前にはDASHの無人航空機2機またはHUL連絡ヘリコプター1機を収容できる格納庫が設置されていた[3]。しかしDASHは1960年代末に運用停止となったことから、実際の運用は行われなかった[10]

その後、1972年から1975年にかけて、LAMPS Mk.Iの運用に対応する改修を受けた[2]。これに伴い、SH-2Fヘリコプターを収容できるよう、伸縮式の格納庫が設置された[8]

同型艦[編集]

当初計画では、1964年度で10隻、その後の会計年度で更に3隻の建造が予定されていたが、通常のDEと比して建造費が高いわりにはDDGと比して性能に劣る点が問題視され、1963年1月、ロバート・マクナマラ国防長官は以後の追加建造中止を決定した[4]

 アメリカ海軍  パキスタン海軍
会計年度 # 艦名 起工 就役 退役 # 艦名 再就役 返還
1962年 DEG-1
→ FFG-1
ブルック
USS Brooke
1962年12月 1966年3月 1988年9月 D-162 カイバル
PNS Khaibar
1989年2月 1994年1月
DEG-2
→ FFG-2
ラムゼー
USS Ramsey
1963年2月 1967年6月 貸与されず
DEG-3
→ FFG-3
スコフィールド
USS Schofield
1963年4月 1968年5月
1963年 DEG-4
→ FFG-4
タルボット
USS Talbot
1964年5月 1967年4月 D-164 フナイン
PNS Hunain
1989年4月 1993年12月
DEG-5
→ FFG-5
リチャード・L・ペイジ
USS Richard L. Page
1965年1月 1967年8月 D-163 タブーク
PNS Tabuk
1989年3月 1994年1月
DEG-6
→ FFG-6
ジュリアス・A・フューアー
USS Julius A. Furer
1965年1月 1967年8月 D-161 バドル
PNS Badr
1989年1月 1995年12月

出典[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]