ا

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ا
語末形 語中形 語頭形
ـا -
アラビア文字
خ ح ج ث ت ب ا
ص ش س ز ر ذ د
ق ف غ ع ظ ط ض
ي و ه ن م ل ك
ة ء

ا (アリフ, ألِف)は、アラビア文字の第1番目に位置する文字

概要[編集]

ヘブライ文字のアレフ、ギリシア文字α、およびラテン文字Aと共に、フェニキア文字から受け継がれた文字の一つ。元は「雄牛」の形であった。ギリシャ・ラテン文字などでは母音字になっているが、もともとは声門閉鎖音 /ʔ/ を表す文字である。

アラビア文字においても元々アリフは声門閉鎖音 /ʔ/ を表す文字として使われていたが、クルアーンの中ではアリフが存在するにもかかわらず声門閉鎖音が存在しない場合や、逆にアリフが書かれていないにもかかわらず声門閉鎖音が存在する場合が存在した。クルアーン本文は変更するわけにいかなかったため、注釈者は声門閉鎖音を表すための新たな記号ハムザ(ء‎) を加えた。アリフが声門閉鎖音を表す場合はハムザをアリフの上(続く母音が i の場合は下)にシャクルの形で加える。ハムザの扱いや発音についてはシャクルおよびハムザの項を参照。

ハムザがつかない場合、アリフは以下のような音を表す。

  • 長母音 /aː/ を表す。このときはシャクルは何も書かれない。
  • 声門閉鎖音とそれに続く長母音 /ʔaː/ を表す。このときはマッダを加えて آ‎ と書かれる。
  • タンウィーンを加えた اً‎ の形で、/an/ を表す。
  • 無音。クルアーンなどではワスラを加えて ٱ‎ と書かれる。

字形変化[編集]

語末形のみ存在する。語中形と語末形、単独形と語頭形が同じ形である。

アリフがラーム (ل‎) の後に続く場合、合字 لا‎ を作る。独立形では ‎、語中では ‎ と書かれる。

アリフ・マクスーラ[編集]

ا と同音の文字としてى(アリフ・マクスーラ, الف المقصورة)がある。アリフ・マクスーラとはアラビア語で「壊れたアリフ」を意味する。音は異なるがまったく同じ字形のものとして、点無しの ي があり、両者は解釈によって同字とされたり別字として扱われたりしている。

起源的にはアリフ・マクスーラは ي と同字であり、ナバテア文字等での古い綴り(アラビア語では消滅した語尾の /j/ 音の表記)を引き継いだものである。後に、クルアーンでは語尾にあってアリフのように読まれるものには点無しのまま母音記号の短剣アリフがつけられ(アリフ・マクスーラ)、それ以外のものは状況や地域によって点がつけられたりつけられなかったりした(点有り、点無しのヤー)。

アリフ・マクスーラは必ず語尾のみに置かれ、語頭形および語中形は存在しない。特定の語のa音もしくはその長母音ā音を音価とし、正則アラビア語フスハーにおいては決められた語にのみ用いられる。ただしアーンミーヤなどでは副詞など、フスハーでは本来アリフ・マクスーラで書くことのないファトハタンの付いた ا をアリフ・マクスーラで表記することがしばしば見られる。

また、アリフ・マクスーラには上下問わずハムザが付くことはない。同じ字形のものにハムザの付いた ئ という文字があるが、これはハムザの付いたヤー(ي)である。さらに、すでに述べたようにアリフ・マクスーラは語尾のみに現れる文字であり、独立形のハムザも付かない。音価は常にaもしくはこれに準ずるものであり、付されるシャクルも原則としてファトハ、もしくはそのタンウィーンのみとなる。

主たるアラビア文字群であるアブジャド文字群( حروف أبجدية )には含まれず、点無しヤーとともにイダーファ文字群( حروف إضافية )に属する。通常の ا と ي はアブジャド文字群である。

Unicodeでは以下のように定義されている。

  1. アリフ・マクスーラ (U+0649) は、語頭・語中・語末いずれでも点がつかない
  2. ヤー (U+064A) は、語頭・語中・語末いずれでも点がつく。ただしシャクルとしてハムザがついたときは点がつかない
  3. ハムザつきのヤー (U+0626) には点がついていないが、ヤー (U+064A) にハムザがついたものである
  4. 点無しヤー (U+06CC) はペルシア語用アラビア文字として定義され、語末・独立形では点がつかず、語頭・語中では点がつく

符号位置[編集]

文字 Unicode JIS X 0213 文字参照
ا U+0627 ا
ا
アリフ
آ U+0622 آ
آ
マッダつきアリフ
أ U+0623 أ
أ
上ハムザつきアリフ
إ U+0625 إ
إ
下ハムザつきアリフ
ٱ U+0671 ٱ
ٱ
ワスラつきアリフ
ٲ U+0672 ٲ
ٲ
上波形ハムザつきアリフ (カシミール語バルーチー語)
ٳ U+0673 ٳ
ٳ
下波形ハムザつきアリフ (カシミール語、不推奨)
ٵ U+0675 ٵ
ٵ
高いハムザつきアリフ (カザフ語)
ى U+0649 ى
ى
アリフ・マクスーラ