産業革新投資機構
| 種類 | 株式会社 |
|---|---|
| 略称 | INCJ |
| 本社所在地 |
100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目6番5号 丸の内北口ビル22階 |
| 設立 | 2009年7月27日 |
| 業種 | その他金融業 |
| 法人番号 | 7010001126472 |
| 事業内容 | 投資ファンド事業 |
| 代表者 | 能見公一（代表取締役社長） |
| 資本金 | 460億500万円（2010年3月31日時点） |
| 営業利益 | △9億8000万円（2010年3月期） |
| 純利益 | △12億9200万円（2010年3月期） |
| 純資産 | 907億1700万円（2010年3月31日時点） |
| 総資産 | 909億7600万円（2010年3月31日時点） |
| 決算期 | 3月末日 |
| 主要株主 |
日本国 株式会社日本政策投資銀行 株式会社商工組合中央金庫 ほか企業16社、個人2名 |
| 外部リンク | http://www.incj.co.jp/ |
株式会社産業革新機構（さんぎょうかくしんきこう）は、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法（産業再生法）に基づき設立された官民出資の投資ファンド[1][2][3]である。
概要
先端技術や特許の事業化を支援することなどを目的として、2009年7月27日に設置された。投資対象となるのは、大学や研究機関に分散する特許や先端技術による新事業、ベンチャー企業の有望な技術、国際競争力の強化につながる大企業の事業再編などである[2]。投資にあたっては機構内に設置する「産業革新委員会」が評価を行い、投資対象の決定をする。産業革新委員会の委員長は吉川弘之元東京大学総長。また経済産業大臣が業務を監督し、1年に1度、事業評価を行うこととなっている。なお、機構の設置期間は15年間である[1][2]。
機構には、官民が合わせて905億円を出資している。内訳は政府が820億円、民間企業16社が85億円であり民間企業の出資は今後も募る予定である[2]。また機構が金融機関から資金調達をする場合は8,000億円の政府保証をつけられるため、最大9,000億円規模の投資能力を持つこととなる[2][3]。
出資案件
- 2010年3月31日 アルプス・グリーンデバイス- アルプス電気と共同出資し省エネルギー化を促す電子部品の製造会社。スマートグリッド用機器、EV、家電や情報機器に使用される。出資第1号、30億円、最大100億円まで[4][5]。
- ジェニュージョン - 半導体メモリー開発メーカー。最大26億円を出資。[6]
- TRILITY - オーストラリアの水事業会社。三菱商事、日揮、比マニラ・ウォーターと共同で英ユナイテッド・ユーティリティーズから買収。旧称ユナイテッド・ユーティリティーズ・オーストラリア。[7][8]
- ゼファー (発電機メーカー) - 小型風力発電機メーカー。10億円を出資。[9]
- LSIP（エルシップ） - 日本初の知的財産投資ファンド。6億円を出資し、3年で最大10億円を出資する予定。[10]
- エナックス - リチウムイオン電池メーカー。約35億円を出資。[11]
- 国際原子力開発 - 原子力発電所新規導入国での原子力発電プロジェクトの提案･調査事業会社。2,000万円（同社株10％）を出資。[12]
- アグアス・ヌエヴァ - チリの水事業会社。丸紅と共同でサンタンデール・セントラル・イスパノ銀行から買収。約200億円（同社株約50％）を出資。[13]
- アネロファーマ・サイエンス - 抗がん剤を開発する大学発ベンチャー。約7億円を出資。段階的に出資し最大約50億円を出資する予定。[14]
- 日本インター - パワー半導体メーカー。約35億円（同社株の48.93％）を出資。[15]
- 中村超硬 - 高性能部品の製造メーカー。12億4,500万円を出資。[16]
- ジオル・レゾナンス - 日本電子の核磁気共鳴装置事業を分離して設立されたメーカー。約15億円（同社株の50.1％）を出資。[17]
- A&Fアビエーション（現:Peach Aviation） - 全日本空輸と香港の投資会社が設立した日本初の格安航空会社（LCC）。1,000万円（同社株の33.3％）を出資。[18]
- 衆智達汽車部件有限公司 - 中小の日系自動車部品メーカーが中国に設立した部品メーカー。約15億円（同社株50％）を出資。[19]
- Miselu（ミセル） - アメリカシリコンバレーのソーシャル楽器の開発ベンチャー。約600万ドル（約4億7,500万円）を出資。[20]
- ランディス・ギア - 東芝が買収したスイスのスマートメーターメーカー。約6億8,000万ドル（約550億円）、同社株の約40％を出資。[21][22]
- ジャパンディスプレイ - ソニー、東芝及び日立の中小型ディスプレイ事業（ソニーモバイルディスプレイ、東芝モバイルディスプレイ及び日立ディスプレイズ）を統合して設立した会社。2,000億円（同社株70％）を出資[23]。
- 日本インター（旧日本インター整流器） - 京三製作所より株取得により親会社となる。上場会社としては異例の措置。
- ユニキャリア - 2011年度初頭（同4月1日予定）に予定されている日立建機・日産自動車両社のフォークリフト子会社の中間持株会社設立で、同社が資本介入を表明。初代社長にユニデンの元社長・大森聡が就任。[24]
- ファルマエイト - 認知症治療薬の創薬ベンチャー。開発初期段階に必要な資金5億5,000万円を出資。
- All Nippon Entertainment Works - ハリウッドを拠点とする海外向けコンテンツ企画開発会社。60億円を出資。[25]
- シージャックス・インターナショナル - イギリスの洋上風力発電所建設大手。丸紅と共同で米リバーストーン・ホールディングスから買収。約350億円（同社株の50％）を出資。[26]
- 音声検索技術の事業化 - 独立行政法人産業技術総合研究所が開発した動画サイトで活用できる音声検索技術の事業化を行う。6,000万円を出資して特定目的会社を設立。[27]
- 出版デジタル機構 - 出版社などが設立した書籍の電子化や電子書籍の配信などの支援を行う企業。最大150億円を出資する予定。[28]
- スフェラーパワー - 日立ハイテクノロジーズと京都市のベンチャーである京セミがシースルー球状太陽電池を量産するために設立。革新機構が5億円、日立ハイテクが1億円を出資 。[29][30]
脚注
- ^ a b 「官民ファンド「産業革新機構」が発足 数十件投資めざす」 NIKKEI NET、2009年7月27日。
- ^ a b c d e 「官民出資のファンド「産業革新機構」発足 成長分野を支援へ」 産経新聞、2009年7月28日付朝刊、第14版、第10面。
- ^ a b 柳原美砂子、赤間清広 「産業革新機構：発足 問われる出資効果 企業公的支援、異例の規模」 毎日新聞、2009年7月28日付朝刊。
- ^ “低炭素社会の実現に不可欠なデバイス開発事業に投資” (PDF). 産業革新機構 (2010年3月31日). 2010年4月10日閲覧。
- ^ 読売新聞2010年4月1日13S版10面
- ^ 尼崎のメモリー会社へ、産業革新機構26億円出資 - 47NEWS（神戸新聞）、2010年5月11日（2011年8月15日閲覧）
- ^ 本邦初の官民連携による豪州水道事業会社の買収(pdf) - 産業革新機構、2010年5月11日
- ^ TRILITY
- ^ 日経エレクトロニクス（2010年5月10日版） - 日経BP
- ^ 医薬の知財ファンドに出資。産業革新機構、特許を活用 - 47NEWS（共同通信）、2010年8月6日（2011年8月15日閲覧）
- ^ ラミネート式リチウムイオン電池のフロンティア企業に投資～エナックス株式会社の産業用事業拡大に向けた増資引受を通じて、日本のリチウムイオン電池産業の競争力強化を支援～(pdf) - 産業革新機構、2010年8月25日
- ^ 「国際原子力開発」の設立について～原子力発電プロジェクトに関する提案活動を行う新会社の設立～(pdf) - 産業革新機構、2010年10月15日
- ^ 丸紅がチリ第3位の水大手を買収、南米の水事業展開を加速 - ロイター通信社、2010年11月1日（2011年8月15日閲覧）
- ^ 新薬開発のベンチャーに出資へ、産業革新機構 - 47NEWS（共同通信社）、2010年11月1日（2011年8月15日閲覧）
- ^ 日経エレクトロニクス - 日経BP（2010年11月9日版）
- ^ 産業革新機構、中小企業のグローバル企業化を支援～太陽光発電・LED 等の成長市場を支える材料加工技術の事業強化を図る株式会社中村超硬への投資～(pdf) - 産業革新機構、2010年12月27日
- ^ 官民一体で核磁気共鳴装置、産業革新機構が15億円出資 - 47NEWS（共同通信社）、2011年1月31日（2011年8月15日閲覧）
- ^ 産業革新機構、日本初の「格安航空会社」に3割出資 - 産経新聞、2011年3月31日（2011年8月15日閲覧）
- ^ 日系の中国現地法人、革新機構が筆頭株主 - 読売新聞、2011年6月14日（2011年8月15日閲覧）
- ^ 革新機構、米新興ITに初出資=楽器メーカーに4億7000万円 - 時事通信社、2011年7月20日（2011年8月15日閲覧）
- ^ 東芝、スイスのランディス・ギア社株式を取得 - 毎日新聞、2011年8月1日（2011年8月15日閲覧）
- ^ 東芝買収のスイス社、4割取得へ産業革新機構 - 朝日新聞、2011年7月26日（2011年8月15日閲覧）
- ^ 中小型ディスプレイ事業統合に関する基本合意書の締結について 2011年8月31日、株式会社産業革新機構、ソニー株式会社、株式会社東芝、株式会社日立製作所
- ^ フォークリフト事業統合に関する統合基本覚書の締結について 2011年11月29日、株式会社産業革新機構、日立建機株式会社、日産自動車株式会社、TCM株式会社、日産フォークリフト株式会社
- ^ 政府、ハリウッドにアニメ･玩具セールス。国策会社設立 - 朝日新聞、2011年11月3日（2012年4月1日閲覧）
- ^ 丸紅、英の風力発電建設会社を買収。産業革新機構と共同で - 産経新聞、2012年3月19日（2012年3月31日閲覧）
- ^ 動画の会話、識別して広告 - 読売新聞、2012年1月23日（2012年4月1日閲覧）
- ^ 電子書籍:「出版デジタル機構」に産業革新機構が出資 - 毎日新聞、2012年3月29日（2012年3月31日閲覧）
- ^ “球状太陽電池量産へ新会社 産業革新機構・日立ハイテク 来月、京都ベンチャーの技術活用”. 日本経済新聞. (2011年4月1日)
- ^ “シースルー新型太陽電池の事業化を目指すベンチャーへの投資を決定”. 産業革新機構 (2012年4月23日). 2012年4月23日閲覧。
関連項目
- 企業再生支援機構
- 特殊会社
- 協働
- 機関投資家
- 政府系投資ファンド
- 政府系金融機関
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
- 国際原子力開発株式会社 - 電力会社9社・メーカー3社・産業革新機構の出資により、2010年10月22日に設立された。
外部リンク
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