増毛駅

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増毛駅
駅舎(2004年6月)
ましけ
Mashike
箸別 (2.8km)
所在地 北海道増毛郡増毛町弁天町1丁目
北緯43度51分24秒 東経141度31分39.2秒 / 北緯43.85667度 東経141.527556度 / 43.85667; 141.527556座標: 北緯43度51分24秒 東経141度31分39.2秒 / 北緯43.85667度 東経141.527556度 / 43.85667; 141.527556
所属事業者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
所属路線 留萌本線
キロ程 66.8 km(深川起点)
電報略号 マケ
駅構造 地上駅
ホーム 1面1線
乗車人員
-統計年度-
0人/日(降車客含まず)
-2013年度-
開業年月日 1921年 (大正10年)11月5日[1]
廃止年月日 2016年 (平成28年)12月5日
備考 無人駅[2]
路線廃止に伴う廃駅
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増毛駅(ましけえき)は、北海道増毛郡増毛町弁天町1丁目にあった北海道旅客鉄道(JR北海道)留萌本線廃駅[2]である。電報略号マケ

後述するように、鉄道の発着がなくなった後、2018年4月より観光・交流施設として改修・利用されている[3]

歴史

1977年の増毛駅と周囲約500m範囲。下が留萌方面。駅舎より南側に単式ホームを有し、本線は北側の貨物ホームへ引き込み線を分岐して、その外側へ折り返し線となって伸びる。南側の山手側には車庫と放置された転車台の窪みが見える。駅裏は数本の留置線を挟んで北側に並ぶ倉庫裏へ荒荷積み降ろし場、南側に石炭の荷下ろし場が設けられている。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

留萌本線は、良港のある留萌への路線として建設されたもので、また合わせて留萌港の修築は1910年に着工していたが、留萌は波が荒く土木技術上の問題から整備に時間を要し、鉄道が開通してもが完成しない事態が予想されていた(開港は1929年)。 そこで港を早く使える増毛まで留萌本線を延長することになり、当駅が開業することとなった[4]

鉄道開通以前には留萠駅(後の留萌駅)から増毛まで乗合馬車が出ていた。1918年(大正7年)に運賃は80銭で、冬には馬になった[5]

年表

駅構造

駅構内の様子 広大な貨物用側線の跡地が広がる(2007年6月)

廃止時には1面1線のホームを持つ、行き止まりの地上駅であった。無人駅[2]留萌駅が管理していた。

以前は広い構内で、貨物用側線と留萌側200メートル程の位置に転車台(機関車本体からの空気圧による半自動操作方式)が敷設されており、駅員を初めとする職員が多数詰めていた旅客・貨物の要所であった。

留置線はなく、列車は行き先を変えて折り返していた。廃止時の折り返し時間は一部列車を除き、8分間から10分間程度であった。

駅名の由来

アイヌ語の「マシ・ケ(カモメ・処)」に由来する。

利用状況

2013年度の乗車人員は0人であるが、「JR北海道留萌線の現状」によると、2014年の平日の乗車人員は11人、乗降客数は23人である。

駅周辺

駅跡

廃駅後も旧駅舎・線路ともに解体されることなく存置されている。

増毛町は、今後旧駅舎を建物面積を開業当時の大きさである現在の2倍に増築するほか、外板の板張りへの変更や、蛍光灯を丸い電球タイプのものに置き換えるなど駅開業当時の姿に近づける駅舎の改修工事を行い、まちづくりの核となる観光施設としての活用を目指す計画が策定された[13][14]。写真や住民の記憶を基に旧駅舎に近い建物が復元され、2018年4月にオープンした[15]

その他

  • 20世紀中頃の増毛はニシン漁が盛んで、増毛駅は漁業関係者の足となっていた。
  • 「増毛 = ぞうもう」であることから、読みが「はげ」である半家駅、読みが「かみおおい」である上大井駅と共に、頭髪にまつわる語呂合わせ駅名の1つとされた。「増毛 = ぞうもう」にあやかった縁起切符として、駅近隣の売店や留萌駅にて当駅の入場券が観光客向けに販売されていた。
  • 1981年公開の映画『駅 STATION』では増毛駅とその周辺が舞台の中心となった[16]。他にも『魚影の群れ』『じゃこ萬と鉄』『網走番外地(さいはての流れ者)』『BOOTLEG FILM』『殺し(KOROSHI)』CM『アートネイチャー』のロケ地として使われた。
  • 2012年4月28日より構内にて、「孝子屋(ここや)ぐるめ食品」が開店。廃駅後も2021年9月時点営業中である。海産物を中心に土産物や、「たこ親爺の蛸ザンギ」などの軽食を販売している。なお、かつて旧駅務室で「暑寒そばの会」による「そば処 増毛駅」を営業していたが、2016年時点では閉店している。土・日・祝日の午前10時からそばがなくなるまで営業していた。
  • 増毛駅の事務管コードは、▲121513を使用していた[17]
  • 2016年6月、運賃表と駅名板が盗難にあった。駅名板に関しては「いたちごっこになる」として、新たに取り付けられることはなかった[18]
  • 廃駅前日の2016年12月4日、ニコニコ生放送にて特番「【髪の毛の聖地 廃駅へ】増毛駅・最後の1本をみんなで見送る生放送」が組まれ、多くの人々が訪れる様子が映し出された。
増毛駅入場券

隣の駅

北海道旅客鉄道(JR北海道)
留萌本線
箸別駅 - 増毛駅

脚注

  1. ^ a b c 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』JTB、1998年、870頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  2. ^ a b c 袴田貴行、小川祐希、山下智恵、久野華代、遠藤修平(2014年4月25日). “道政を問う:知事選まで1年/上 総花的な交通政策 経済再生、新幹線頼み 鉄道残すか、自動車道整備か”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
  3. ^ 旧増毛駅、交流拠点で再出発/100人がテープカット 門出祝う『北海道新聞』朝刊2018年4月23日(2018年4月26日閲覧)。
  4. ^ 明治39年3月24日 第22回帝国議会貴族院議事速記録本会議第18号,明治40年3月26日 第23回帝国議会衆議院議事速記録本会議第22号,明治40年3月27日 第23回帝国議会衆議院議事速記録本会議第23号,明治41年3月25日 第24回帝国議会衆議院議事速記録本会議第19号,明治41年3月26日 第24回帝国議会貴族院議事速記録本会議第19号,明治43年2月15日 第26回帝国議会衆議院議事速記録本会議第10号,明治43年3月14日 第26回帝国議会貴族院議事速記録本会議第12号
  5. ^ 北海道鉄道管理局『北海道鉄道沿線案内』、1918年、217頁。荒山正彦監修・解説『シリーズ明治・大正の旅行 第I期 旅行案内書集成』第13巻(北海道旅行案内/樺太の鉄道旅行案内)、ゆまに書房、2014年、273頁。
  6. ^ a b c 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 20号・宗谷本線/留萌本線、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2009年11月2日、20-23頁。 
  7. ^ 『官報』 1921年10月29日 鉄道省告示第146号(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ “留萌本線では11駅を停留所化 旭鉄”. 交通新聞 (交通協力会): p. 1. (1983年10月1日) 
  9. ^ 「通報 ●山口線大歳駅ほか76駅の駅員無配置について(旅客局)」『鉄道公報号外』日本国有鉄道総裁室文書課、1984年1月30日、32面。
  10. ^ "留萌線(留萌・増毛間)の廃止日繰上げの届出について" (PDF) (Press release). 北海道旅客鉄道. 28 June 2016. 2019年1月6日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2019年1月6日閲覧
  11. ^ “95年間の歴史に幕 留萌-増毛間”. 毎日新聞. (2016年12月4日). http://mainichi.jp/articles/20161205/k00/00m/040/056000c 2016年12月6日閲覧。 
  12. ^ “増毛の「健さん駅舎」、映画撮影時の姿に復元へ”. 讀賣新聞. (2017年1月6日). オリジナルの2017年1月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170107005754/http://sp.yomiuri.co.jp/national/20170106-OYT1T50090.html?from=ytop_ylist 2017年1月6日閲覧。 
  13. ^ “「新増毛駅」来春オープン 駅舎2倍、枕木で通路も”. 北海道新聞. (2017年10月4日). オリジナルの2017年10月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20171004040031/https://www.hokkaido-np.co.jp/article/136295 2017年10月10日閲覧。 
  14. ^ “廃線の駅をなぜ改修? 聖地・旧増毛駅の再整備決定、駅舎は2倍の大きさに!?”. 乗りものニュース. (2017年10月10日). https://trafficnews.jp/post/78728 2017年10月10日閲覧。 
  15. ^ 増毛駅 100年前の姿『朝日新聞』朝刊2018年4月23日(2018年4月26日閲覧)。
  16. ^ JR増毛駅増毛町役場(2018年4月26日閲覧)。
  17. ^ 日本国有鉄道旅客局(1984)『鉄道・航路旅客運賃・料金算出表 昭和59年4月20日現行』。
  18. ^ 駅名板・運賃表…廃線決まった留萌線、次々盗まれる理由朝日新聞デジタル(2016年6月9日)2016年12月3日閲覧

関連項目

外部リンク