呪怨

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呪怨』(じゅおん)は、1999年に発売された清水崇監督・脚本によるホラーのビデオ作品。また、それを原作とする2003年1月25日に単館系で公開されたホラー映画。劇場版は、2003年8月23日に続編が公開された。

登場するキャラクター佐伯伽椰子の声やその子供である佐伯俊雄の姿は見るものに強烈なインパクトを残し、映画『リング』の山村貞子と並んでコントパロディキャラに使用されることが多い。

タイトルは“強い恨みを抱いて死んだモノの呪い。 それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、「業」となる。 その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。”という意味である。

製作

作品そのものは東映ビデオよりビデオ作品『呪怨』として発売されたものが発端で、その後ビデオ版『呪怨2』発売、後に映画化が決定し劇場公開された[1]

映画はヒットしその後、続編映画『呪怨2』公開。

映画は諸外国でもヒットし、2004年と2006年にはサム・ライミプロデュース、清水崇監督によるハリウッド版リメイク『The Grudge』、『The Grudge2』(日本版タイトル『THE JUON/呪怨』、『呪怨 パンデミック』)が製作された。

2009年には10周年を記念し、同年5月12日からアメリカでハリウッド版リメイク第3作である『The Grudge3』がソフト販売開始され(劇場未公開)、同年6月27日から日本で劇場版最新作『呪怨 白い老女』、『呪怨 黒い少女』の2作が同時公開、さらに同年夏にはWii用ゲームソフト『恐怖体感 呪怨』が発売された。これらの作品において清水崇は原案と監修を担当しており、これまでの作品のように監督や脚本として直接的に携わっていない。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


話の概略

この世に強い怨念を残して死んだ女性、佐伯伽椰子が、その呪いを人々に伝播させるオムニバス形式のドラマである。

伽椰子は大学時代の同級生・小林俊介に片思いし、後年になって自分の息子・佐伯俊雄が通う小学校教師になっていたことを知る。伽椰子は元来思い込みが強いストーカーだったせいもあり、学生時代から俊介への想いを大学ノートに綴り続けていたのだが、教師になった俊介に再会したことで思い入れが再燃焼。より狂信的にノートへの書き込みを始める。

2人目の子供(女の子)を熱望していた伽椰子の夫である佐伯剛雄だが、なかなか伽椰子が妊娠しないことを不審に思って産婦人科を訪れた際、自らが「乏精子症」である事実を知る。担当医の「妊娠する確率は数%です」との発言に、俊雄の父親が自分ではないという妄想に取りつかれる(実際には伽椰子の男性経験は剛雄のみで、俊雄の父親は紛れもなく剛雄であった)。

剛雄は、伽椰子のノートを偶然見てしまったことから、嫉妬に狂って暴力を振るうようになる。俊雄という名前が小林俊介の「俊」と自分の「雄」を取って付けられたものであると判断し妄想は肥大化させた剛雄は、俊雄の父親が小林であるという結論に達する[2]。剛雄は、これまで可愛がっていた息子にも憎悪の感情を剥き出しにするようになり、息子にも暴力を振るうようになる。

ある日、遂に剛雄は猛烈な虐待の果てに伽椰子を惨殺。カッターで彼女の喉や全身を切り裂き、2階に一時放置した。この時点では伽椰子は絶命に至っておらず、半死半生のまま這って階段下まで降りて逃げたのだが、追ってきた剛雄にとどめを刺された。父の連日の虐待で傷付いていた俊雄は、この現場を2階の手すりの間から目撃したため押入れに隠れる。押入れに隠れている最中に俊雄は、母親によって向こう側の世界に連れて行かれた(清水崇監督の談話より)。剛雄は数日後に伽椰子に呪い殺され、変死体で発見された。

以後、佐伯家は無人の家となり、次々と入居者が引っ越してくるが、その家人や親族、事件の捜査をした刑事たち全てが伽椰子の呪いで死んでゆくことになる。ビデオ版2作と、劇場版2作の合計4タイトルはすべてストーリーが繋がっている。

  • ビデオ版は、伽椰子と小林俊介、佐伯剛雄の3人を巡る怨念の解明、佐伯家に引っ越してきた一家と仲介した不動産屋の悲惨な顛末を描写したもの。
  • ビデオ版の2作目エピローグで、無人の佐伯家2階に上がりこんで遊んでいた女子高生たちの話は、映画の方へ受け継がれている。
  • 劇場版1作目は新たに佐伯家に越してきた一家と、介護施設から派遣されてきた女性スタッフの話がメイン。
  • 劇場版2作目は怪奇物のTV特番のために、いわく付きの佐伯家を取材に訪れたTVクルーと女優一行に伽椰子の呪いが降りかかる。

なお、『学校の怪談G』(スペシャルドラマ、のちにビデオ化)の中に収録の短編「片隅」には伽椰子が、「4444444444」には俊雄が登場してそれぞれが被害者を出しており、そのエピソードはビデオ版のストーリーにも繋がっている[3]

作品解説

当初はタイトルが「呪怨霊」であったが、清水崇の意向により「霊」が外され「呪怨」のタイトルとなった。

Jホラーでは、霊の直接的な露出を避ける傾向にあるが、『呪怨』シリーズでは直接的な霊の登場がかなり多く、どれも恐ろしいものばかりである。清水監督は「笑われるほどに幽霊を出しまくるのが呪怨のコンセプトである」と語っている。霊の登場シーンを見てそのあまりの過激さに爆笑してしまうような人も少なくない。

作品では佐伯伽椰子と佐伯俊雄以外の幽霊もサブキャラで登場している。

キャラクター設定

劇中で俊雄がミャーと猫の鳴き声をあげるのは、可愛がっていた黒猫の「マー」を、父親が殺したことが関係しており、虐げられた弱い者同士の霊が惹かれあって、俊雄とマーが一体化したためである(以上は、小説版の記述より。映像では詳しく触れられていない)。

舞台

“呪怨の家”の住所は「東京都練馬区寿町4-8-5」という設定になっているが、実際にはそのような地名は存在しない。なお、東京都府中市内に、寿町という地名が存在する。撮影場所は埼玉県所沢市を使用。(酒井法子が転落する歩道橋は所沢駅周辺の歩道橋と酷似する)また、撮影場所付近に所沢市寿町が存在する。

呪怨(ビデオ版)

1999年ビデオオリジナル作品、劇場未公開。

キャスト

スタッフ

呪怨2(ビデオ版)

2000年。ビデオオリジナル作品、劇場未公開。

キャスト

  • 鈴木響子:大家由祐子
  • 鈴木達也:芦川誠
  • 北田良美:藤井かほり 
  • 小林俊介:柳ユーレイ 
  • 佐伯俊雄:小山僚太
  • 佐伯伽椰子:藤貴子
  • 佐伯剛雄:松山タカシ 
  • 北田洋:翁華栄
  • 鈴木信之:郭智博
  • 鈴木泰二:水村泰三
  • 鈴木ふみ:松風はる美
  • 小林真奈美:優恵
  • 吉川:でんでん
  • 神尾:諏訪太朗
  • 飯塚:芹沢礼多
  • 佐藤:石川健太
  • 橋本:冬雁子
  • 直輝:市原隼人
  • トシ:豊留章裕
  • 薫:米澤史織
  • 絵美:宮崎真汐
  • 吉川の妻:しみず霧子
  • 配達員:ダンカン
  • 事務員:斉藤繭子

スタッフ

  • 監督・脚本:清水崇
  • 監修:高橋洋
  • プロデューサー:一瀬隆重、高島正明、加藤和夫
  • 撮影:木次信仁
  • 音楽:ゲイリー芦屋
  • 照明:岡秀雄
  • CGディレクター:是枝勉、
  • ノンリニアワーク編集:スタジオ・プラスエー

呪怨(劇場版)

2003年1月25日公開。

キャスト

スタッフ

主題歌:推定少女「鍵が開かない」

キャッチコピー

  • 総毛立つ快感。

呪怨2(劇場版)

2003年8月23日公開。

キャスト

スタッフ

主題歌:推定少女「間違い」

キャッチコピー

  • 身の毛もよだつ絶頂。

呪怨 白い老女

2009年6月27日公開。R-15指定作品。同時上映は「呪怨 黒い少女」。DVDは2009年8月7日発売。

『呪怨(ビデオ版)』が『学校の怪談G』の短編作品とのあいだに関連性を持つ作品であるように、本作も『怪談新耳袋劇場版』の一篇「姿見」(三宅隆太監督、2004年8月公開)とのあいだに関連性をもつ。同時上映の「呪怨 黒い少女」と共に番外編のため、伽椰子、剛雄は登場しないが、俊雄のみカメオ出演している。(以前の作品の俊雄との関連は不明だが、エンドロールでは同姓同名の佐伯俊雄と表記)

キャスト

スタッフ

  • 原案・監修:清水崇
  • プロデューサー:一瀬隆重
  • 監督・脚本:三宅隆太
  • 撮影:金谷宏二(J.S.C)
  • 照明:藤川達也
  • 美術:井上心平
  • 編集:深沢佳文
  • 録音:竹中泰
  • CG:本田貴雄
  • 音響効果:志田博英
  • 音楽:ゲイリー芦屋
  • 製作:東映ビデオ CELL
  • 製作プロダクション:オズ

キャッチコピー

  • 呪いつづけて、10周年。

呪怨 黒い少女

2009年6月27日公開。同時上映は「呪怨 白い老女」。DVDは2009年9月21日発売。「呪怨 白い老女」とリンクするストーリー構成になっている。

キャスト

スタッフ

  • 原案・監修:清水崇
  • プロデューサー:一瀬隆重
  • 監督・脚本:安里麻里
  • 撮影:早坂伸(J.S.C)
  • 照明:藤川達也
  • 美術:井上心平
  • 編集:深沢佳文
  • 録音:竹中泰
  • 特殊造形:百武朋
  • CG:本田貴雄
  • 音響効果:志田博英
  • 音楽:ゲイリー芦屋
  • 製作:東映ビデオ CELL
  • 製作プロダクション:オズ

キャッチコピー

  • 怨みつづけて、10周年。

書籍情報

小説(ノベライズ)

ビデオ版『呪怨』『呪怨2』と劇場版『呪怨』を小説化。オリジナル要素も多い。
また単なるノベライズというだけでなく怨霊となった伽椰子の心情が描かれたりなど、
ビデオ版・劇場版で明らかにされなかった部分が解明されていく「謎解き」のような内容となっている。
劇場版『呪怨2』を小説化。巻末は袋閉じ仕様。こちらも上記の小説版同様に「謎解き」に近い内容となっている。
劇場版『呪怨 白い老女』を小説化。
劇場版『呪怨 黒い少女』を小説化。

漫画

その他

『呪怨(2)』の謎を解読するファンブック(=「謎本」)。特製付録は「伽椰子さん&俊雄くんシール」。

恐怖体感 呪怨(ゲーム版)

恐怖体感 呪怨
ジャンル 恐怖体感ゲーム
対応機種 Wii
開発元 フィールプラス
発売元 AQインタラクティブ
人数 1-2人
メディア Wii用12cm光ディスク
発売日 2009年7月30日
対象年齢 CERO: C(15歳以上対象)
テンプレートを表示

プレイヤーは佐伯家に引っ越してきた一家となり、その呪いを体験していくFPSホラーゲーム。

全5ステージ。ゲーム進行は完全な一本道だが条件を満たさないと進めない場面もある。

時間制限はステージ毎に用意されている乾電池で表され、乾電池が全て無くなったらゲームオーバーになる。

1~4ステージには隠しアイテムが存在しており、全てのアイテムを集めないと5ステージを選択する事が出来ない。

原作の監督である清水崇が「恐怖アドバイザー」として製作に参加[4]してるが映画とのつながりは何も無い。

2Pモードでは2Pは脅かし役として参加でき、1Pプレイヤーを脅かす事が出来る

ステージクリア、もしくはゲームオーバーになるとそのプレイヤーのビビリ度とヘタレ度が表示される機能がある

恐怖体感出来るステージ
  • ステージ1 「迷い込んだ廃工場」 主人公:明穂
  • ステージ2 「誰もいない病院」 主人公:美津子
  • ステージ3 「廃団地の住人」 主人公:頼人
  • ステージ4 「警備員の災難」 主人公:恒夫
  • ステージ5 「呪われた我が家」 主人公:明穂


関連イベント

・映画「呪怨」「呪怨2」公開時にテアトル新宿で“呪怨の家”(佐伯家)を併設した。 ・映画「THE JUON/呪怨」公開時に、新宿上映館であるミラノ座前の広場に特設お化け屋敷“恐怖の家”を併設。同映画の入場チケット半券、前売り半券かモバイルサイトの提示で入場できた。映画公開初日に併せ清水崇監督がテープカットのセレモニーに参加。外観にスピーカーが取り付けられていて、入場者が中であげる悲鳴が聞こえてきた。

お化け屋敷

関連項目

脚注

  1. ^ ビデオ版、劇場版ともに2003年にDVD化されている。
  2. ^ ビデオ1作目のラストで小林に電話をかけた剛雄が「これまで先生の代わりに育ててきた」と発言していることからも、それがうかがえる。
  3. ^ これら両エピソードはハリウッドリメイク版第1作『THE JUON/呪怨』のDVDソフトに映像特典として収録された。
  4. ^ 『恐怖体感 呪怨』伽椰子の呪いがWiiに侵食する……