マカオグランプリ

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マカオグランプリ(2008年)

マカオグランプリGrande Prémio de Macau、澳門格蘭披治大賽車、Macau Grand Prix)は、1954年よりマカオで開催されている世界的に有名な市街地レースであり、アジアで初めてのグランプリレースである。


概要

草レース

グランプリ博物館に飾られるセオドールのF3マシン
ギア・レースを走るホンダのアンドレ・クート(2008年)

ポルトガル植民地であった1954年に、地元のモータースポーツ愛好家の手によって始められた。当初は地元のマカオや香港フィリピンなどの東南アジア諸国に住む裕福なアマチュアの愛好家による「草レース」的なものであり、フォーミュラカーと箱型自動車が混走するなど、そのレース内容も低レベルなものであった。

本格化

その後、1970年代まではフォーミュラカーツーリングカーが混走していたが、中級フォーミュラであるフォーミュラ・パシフィック(FP)の本格導入や、日本トヨタ自動車日産自動車などの大手メーカーの参入、フォーミュラ1チーム、セオドールのオーナーで東南アジア有数の大富豪であるテディ・イップによるテコ入れなどによって、次第に世界的にも知られる市街地レースの一つになっていった。

F3規格の導入

その後、1983年より国際格式のF3マシンによって行われるようになって以来、各国のF3選手権の上位者が集結し、「F3世界一決定戦」として扱われるようになり、アイルトン・セナ(1983年優勝)やミハエル・シューマッハ1990年優勝)、デビッド・クルサード1991年優勝)、佐藤琢磨2001年優勝)など多くのレーシングドライバーがここで勝利を挙げた後にF1へとステップアップするなど、若手ドライバーにとっての登竜門的存在のレースとなっている。

マカオGP公式サイトでは2003年以降毎年、現役のF1ドライバーのうち何人がマカオGP経験者であるかを紹介している。

現在

現在はメインであるF3によるレース(予選レース・決勝レースの2レース制)と、ツーリングカーによって争われる通称「ギア・レース」、そしてフォーミュラ・ルノーなどのいくつかのサポートレースが行われることが恒例となっており、2005年からはギア・レースが世界ツーリングカー選手権(WTCC)の最終戦に組み込まれた。

サーキット

ギア・サーキット コース図

マカオの国際旅客ターミナル付近の直線道路をスタート地点に、旧市街地を中心に約6kmの一般道を走り抜ける「ギア・サーキット」と呼ばれるコースを使用する。世界でも有数の難関コースとして知られ、通常のサーキットに比べて路面の舗装状態が悪く、市街地コースのためにエスケープゾーンもほとんどない。全周をガードレールとコンクリートウォールに囲まれたコースは、俗に山側と呼ばれるテクニカルセクションの旧市街地コースで特に道幅が狭く、この区間での前車の追い抜きは非常に困難である。一方、海側と呼ばれる港周辺の区間は直線が続き道幅が広く、路面も山側に比べて比較的滑らかであり、スリップストリームを使って前車へ追い抜きを仕掛ける場面が随所で見られる。特に海側のストレートから旧市街地へと入る右直角コーナー「リスボア」はマカオ最大の追い越しポイントであるが、それゆえに事故も多発し、ここでの多重クラッシュが原因でレースが中断となることも珍しくない。サーキット全体で見れば追い抜きが非常に難しいコースであり、それゆえに予選レース・決勝レースを通じていかに前方のスターティンググリッドを確保出来るかが勝利への鍵となる。

F3規格導入以前での主な勝者

過去のF3での優勝者

斜字は後にF1に参戦したドライバー
太字はF1優勝経験者
★はF1ワールドチャンピオン獲得者

優勝者 所属選手権 シャーシー エンジン
1983 アイルトン・セナ イギリス イギリスF3 ラルト  トヨタ
1984 デンマーク ジョン・ニールセン ドイツ ドイツF3 ラルト フォルクスワーゲン
1985 マウリシオ・グージェルミン イギリス イギリスF3 ラルト フォルクスワーゲン
1986 イギリス アンディ・ウォレス イギリス イギリスF3 レイナード フォルクスワーゲン
1987 アイルランド マーティン・ドネリー イギリス イギリスF3 ラルト  トヨタ
1988 イタリア エンリコ・ベルタッジア イタリア イタリアF3 ラルト アルファロメオ
1989 オーストラリア デビッド・ブラバム イギリス イギリスF3 ラルト フォルクスワーゲン
1990 ドイツ ミハエル・シューマッハ ドイツ ドイツF3 レイナード フォルクスワーゲン
1991 スコットランド デビッド・クルサード イギリス イギリスF3 ラルト 無限
1992 スウェーデン リカルド・リデル 日本 全日本F3 トムス トヨタ
1993 ドイツ ヨルグ・ミューラー ドイツ ドイツF3 ダラーラ フィアット
1994 ドイツ サッシャ・マーセン ドイツ ドイツF3 ダラーラ オペル
1995 ドイツ ラルフ・シューマッハ ドイツ ドイツF3 ダラーラ オペル
1996 アイルランド ラルフ・ファーマン イギリス イギリスF3 ダラーラ 無限
1997 フランス ソヘイル・アヤリ フランス フランスF3 ダラーラ オペル
1998 スコットランド ピーター・ダンブレック 日本 全日本F3 ダラーラ トヨタ
1999 イギリス ダレン・マニング 日本 全日本F3 ダラーラ トヨタ
2000 マカオ アンドレ・クート (無所属) ダラーラ オペル
2001 日本 佐藤琢磨 イギリス イギリスF3 ダラーラ 無限
2002 フランス トリスタン・ゴメンディ フランス フランスF3 ダラーラ ルノー
2003 フランス ニコラ・ラピエール ヨーロッパ ユーロF3 ダラーラ ルノー
2004 フランス アレクサンダー・プレマ ヨーロッパ ユーロF3 ダラーラ メルセデス
2005 ブラジル ルーカス・ディ・グラッシ イギリス イギリスF3 ダラーラ メルセデス
2006 イギリス マイク・コンウェイ イギリス イギリスF3 ダラーラ メルセデス
2007 イギリス オリバー・ジャービス 日本 全日本F3 ダラーラ トヨタ
2008 日本 国本京佑 日本 全日本F3 ダラーラ トヨタ
2009 イタリア エドアルド・モルタラ ヨーロッパ ユーロF3 ダラーラ フォルクスワーゲン
2010 イタリア エドアルド・モルタラ ヨーロッパ ユーロF3 ダラーラ フォルクスワーゲン
2011 スペイン ダニエル・ジュンカデッラ ヨーロッパ ユーロF3 ダラーラ メルセデス

関連項目

外部リンク