ボストンマラソン

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ボストンマラソン
開催地 アメリカ合衆国の旗 ボストン
開催時期 4月第三月曜日
種類 公道コース
距離 マラソン
最高記録 男子: 2:03:02 (2011年)
ジョフリー・ムタイ
女子: 2:18:57 (2014年)
リタ・ジェプトゥー
創立 1897年
公式サイト www.bostonmarathon.org

ボストンマラソンBoston Marathon)は、毎年4月の第三月曜日、Patriot's Dayにアメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンで開催される、国際陸上競技連盟(IAAF)ゴールドラベルのマラソン大会であり[1]ワールドマラソンメジャーズの一つである[2]。1897年に創始された[3]近代オリンピックに次いで歴史の古いスポーツ大会の一つで、参加には資格タイムを満たしている必要があるため、「選ばれしもののマラソン」と称され、完走者の平均タイムがワールドマラソンメジャーズの中でも抜きん出て速く、大半が4時間未満でゴールする。

由来

アメリカ独立戦争が開戦した4月19日を「愛国者の日」とし、それを記念して第一回が開催された[4]歴史を受け継ぎ、現在も例年4月の第三月曜日の愛国者の日に開催されている。

コース

周回や往復ではなく、マサチューセッツ州の8つの市や町を通り抜けるかたちでスタート地点とゴール地点を結ぶコースである[5]。下り基調でスタートしながら、いくつかの上りがあり、特に30km過ぎの「心臓破りの坂」と呼ばれる上り坂(4つあるニュートンヒルズの最後の坂)は、単独の高度上昇量は他のワールドマラソンメジャーズと比較して特に大きくはないものの、走行距離的に身体への負担が実感される地点と重なっていることもあり、難所とされる。

距離

Boston Athletic Association のウェブサイト[6]に基づく。

  • 1897年から1923年は39.429km、1924年から1926年は42.034km、1927年から1950年は42.195km、1951年から1956年は41.360km、1957年からは42.195km

記録の扱い

1927年に距離が42.195kmとされてからは、(のちに距離不足が判明した年度を除いて)レース時点での世界最高記録を上回った優勝者のタイムは世界最高記録として扱われてきた。しかし、2004年1月にIAAF国際陸上競技連盟)が、マラソン記録の公認のために設定したコース条件(ゴール地点の標高がスタート地点の標高より42.195m以上低くなってはならない、スタートからゴールまでの直線距離は21.0975km以下など)を満たしていないため、同年以降は世界記録を超えても国際陸連公認の「世界記録」とは認められなくなった。2011年の大会でジョフリー・ムタイが出した2時間3分2秒のタイム(当時の世界記録を上回る)も、ボストンマラソンの記録ではあるが、世界記録としては扱われていない。

参加

ボストンマラソン
申込資格タイム[7]

(2013年大会より適用)

年齢 男子 女子
18–34 3時間 5分 3時間 35分
35–39 3時間 10分 3時間 40分
40–44 3時間 15分 3時間 45分
45–49 3時間 25分 3時間 55分
50–54 3時間 30分 4時間 0分
55–59 3時間 40分 4時間 10分
60–64 3時間 55分 4時間 25分
65–69 4時間 10分 4時間 40分
70–74 4時間 25分 4時間 55分
75–79 4時間 40分 5時間 10分
80+ 4時間 55分 5時間 25分

近年のボストンマラソンの応募資格は、18歳以上で、大会主催者の定める期間中に、国際陸上競技連盟(IAAF)またはその協力団体国際マラソン・ロードレース協会(AIMS)または各国の公式陸上競技連盟による公認マラソン大会において、規定水準以上のタイムを記録することである。応募者は、どの大会でどれだけのネットタイムを達成したかを申込時に申請し、主催者側がタイムを確かめて後日正式に申し込みを受諾するシステムとなっている[8]。このため、BQ(ボストン・クオリファイ=ボストンマラソンの資格要件を満たすこと)は、それ自体が世界の市民ランナーの目標にもなっている。

2010年の申し込みでは、20,000人の資格ランナー枠が数時間で埋まってしまったため、2013年大会に向けて申し込み方式の改革が実施された。現在は、申込資格タイムよりも20分以上速い記録を持つランナーが最初の期間に申し込みをすることができ、次の期間に10分以上速い記録を持つランナーが、また次の期間に5分以上速い記録を持つランナーが申し込みをすることができる、というように、速いランナーから順に出走資格が与えられるローリング方式が採用されている。申込資格タイムを満たすが、それより5分以上速くはないランナーは、さらにその後の期間に申し込みができ、その中でも速い順に、定員付近まで受付が行われる[9]
例えば、2015年大会の受け入れは、ほぼすべての年齢カテゴリーで定員を超えたため、3時間5分00秒が資格タイムである男子34歳以下のカテゴリーでは3時間3分58秒で足切り、というふうに、80歳以上を除く全カテゴリーで資格タイムマイナス1分2秒における足切りを行い[10]、世代間の公平をはかっている。

さらに、2013年大会からは、申込資格タイムが各年齢グループにおいて5分ずつ短縮され、また、それまで許されていた59秒の「おまけ」も廃止されたので、実質的に5分59秒資格が厳しくなった[11]

資格要件の例外は、協賛団体、チャリティー団体[12]、スポンサー、海外からの旅行ツアーなどの商業枠、地元ランニングクラブなどで、全参加者の約5分の1はこの枠での参加とされる。

参考⇒ほかの世界の大規模マラソン:ニューヨークシティマラソンシカゴマラソンロンドンマラソンベルリンマラソンパリマラソン東京マラソン

日本人参加選手

日本人では、瀬古利彦が2回優勝している(1981年1987年)。このほかの日本人優勝者としては、

がいる。このうち、田中・山田・浜村の走ったコースは後に距離不足が判明し、いずれも記録抹消の憂き目を見ている。山田の記録は当時世界最高記録とアナウンスされていた。

女子日本選手の優勝はまだない(過去最高順位は1992年に出場した山本佳子の2位)。ただし、日本出身で米国籍を取得したゴーマン美智子が1974年と1977年に優勝している。

また、ボストンマラソン優勝者は優勝年から50年後の大会に招待される。田中茂樹は2001年にボストンマラソン前日の交流レースに出場。山田敬蔵は2003年にフルマラソンに出場、山田は4時間10分11秒で70歳以上の部で5位であった。山田は1995年から毎年出場しており、2007年までに17回出場、1998年から2001年まで70歳以上の部を4連覇している。チーム・ホイトも参加した。

2013年の爆弾テロ事件

2013年のボストンマラソンでは、スタートから4時間を過ぎた頃にゴール付近で爆弾テロ事件が発生し、大会が途中で打ち切られた。なお、トップアスリートの部はすでに終了しており、公式記録に残る。

歴代優勝者

2011年 大会記録を出すジョフリー・ムタイの走り
開催日 男子選手 タイム 女子選手 タイム
1897/4/19  John J. McDermott (USA)(NY) 2:55:10    
1898/4/19  ロナルド・J・マクドナルド (CAN) 2:42:00    
1899/4/19  Lawrence Brignolia (USA)(MA) 2:54:38    
1900/4/19  ジャック・キャフェリー (CAN) 2:39:44    
1901/4/19  ジャック・キャフェリー (CAN) -2- 2:29:23    
1902/4/19  Sammy Mellor (USA)(NY) 2:43:12    
1903/4/20  John Lorden (USA)(MA) 2:41:29    
1904/4/19  Michael Spring (USA)(NY) 2:38:04    
1905/4/19  フレッド・ローツ (USA)(NY) 2:38:25    
1906/4/19  ティム・フォード (USA)(MA) 2:45:45    
1907/4/19  トム・ロングボート (CAN) 2:24:24    
1908/4/20  トーマス・モリジー (USA)(NY) 2:25:43    
1909/4/19  Henri Renaud (USA)(NH) 2:53:36    
1910/4/19  フレッド・キャメロン (CAN) 2:28:52    
1911/4/19  クラレンス・デマー (USA)(MA) 2:21:39    
1912/4/19  マイケル・ライアン (USA)(NY) 2:21:18    
1913/4/19  フリッツ・カールソン (USA)(MN) 2:25:14    
1914/4/20  ジェームズ・ダフィー (CAN) 2:25:14    
1915/4/19  Edouard Fabre (CAN) 2:31:41    
1916/4/19  Arthur Roth (USA)(MA) 2:27:16    
1917/4/19  ビル・ケネディ (USA)(NY) 2:28:37    
1918/4/19  ミリタリー・リレー (USA)(MA) 2:29:53    
1919/4/19  カール・リンダー (USA)(MA) 2:29:13    
1920/4/19  Peter Trivoulides (USA)(NY) 2:29:31    
1921/4/19  Frank Zuna (USA)(NY) 2:18:57    
1922/4/19  クラレンス・デマー (USA) -2- 2:18:10    
1923/4/19  クラレンス・デマー (USA) -3- 2:23:47    
1924/4/19  クラレンス・デマー (USA) -4- 2:29:40    
1925/4/20  チャールズ・メラー (USA)(IL) 2:33:00    
1926/4/19  ジョニー・マイルズ (CAN) 2:25:40    
1927/4/19  クラレンス・デマー (USA) -5- 2:40:22    
1928/4/19  クラレンス・デマー (USA) -6- 2:37:07    
1929/4/19  ジョニー・マイルズ (CAN) -2- 2:33:08    
1930/4/19  クラレンス・デマー (USA) -7- 2:34:48    
1931/4/20  ジェームズ・P・ヘニガン (USA)(MA) 2:46:45    
1932/4/19  Paul DeBruyn (GER) 2:33:36    
1933/4/19  レスリー・S・ポーソン (USA)(RI) 2:31:01    
1934/4/19  Dave Komonen (CAN) 2:32:53    
1935/4/19  John A. Kelley (USA)(MA) 2:32:07    
1936/4/20  Ellison M. Brown (USA)(RI) 2:33:40    
1937/4/19  ウォルター・ヤング (CAN) 2:33:20    
1938/4/19  レスリー・S・ポーソン (USA) -2- 2:35:34    
1939/4/19  Ellison M. Brown (USA) -2- 2:28:51    
1940/4/19  ジェラルド・コート (CAN) 2:28:28    
1941/4/19  レスリー・S・ポーソン (USA) -3- 2:30:38    
1942/4/19  ジョー・スミス (USA)(MA) 2:26:51    
1943/4/18  ジェラルド・コート (CAN) -2- 2:28:25    
1944/4/19  ジェラルド・コート (CAN) -3- 2:31:50    
1945/4/19  John A. Kelley (USA) -2- 2:30:40    
1946/4/20  Stylianos Kyriakides (GRC) 2:29:27    
1947/4/19  徐潤福 (KOR) 2:25:39WR    
1948/4/19  ジェラルド・コート (CAN) -4- 2:31:02    
1949/4/19  Karl Leandersson (SWE) 2:31:50    
1950/4/19  咸基鎔 (KOR) 2:32:39    
1951/4/19  田中茂樹 (JPN)(広島)[13] 2:27:45    
1952/4/19  ドロテオ・フローレス (GTM) 2:31:53    
1953/4/20  山田敬蔵 (JPN) 2:18:51    
1954/4/19  ヴェイッコ・カルヴォネン (FIN) 2:20:39    
1955/4/19  浜村秀雄 (JPN) 2:18:22    
1956/4/19  Antti Viskari (FIN) 2:14:14    
1957/4/20  John J. Kelley (USA)(CT) 2:20:05    
1958/4/19  Franjo Mihalic (YUG) 2:25:54    
1959/4/20  Eino Oksanen (FIN) 2:22:42    
1960/4/19  Paavo Kotila (FIN) 2:20:54    
1961/4/19  Eino Oksanen (FIN) -2- 2:23:39    
1962/4/19  Eino Oksanen (FIN) -3- 2:23:48    
1963/4/19  Aurele Vandendriessche (BEL) 2:18:58    
1964/4/20  Aurele Vandendriessche (BEL) -2- 2:19:59    
1965/4/19  重松森雄 (JPN) 2:16:33    
1966/4/19  君原健二 (JPN) 2:17:11  ロベルタ・ギブ (USA)(MA) 3:21:40
1967/4/19  デビッド・マッケンジー (NZL) 2:15:45  ロベルタ・ギブ (USA)(CA) 3:27:17
1968/4/19  アンブロース・バーフット (USA)(CT) 2:22:17  ロベルタ・ギブ (USA)(CA) 3:30:00
1969/4/21  采谷義秋 (JPN) 2:13:49  サラ・バーマン (USA)(MA) 3:22:46
1970/4/20  ロン・ヒル (GBR) 2:10:30  サラ・バーマン (USA)(MA) 3:05:07
1971/4/19  Alvaro Mejia (COL) 2:18:45  サラ・バーマン (USA)(MA) 3:08:30
1972/4/17  Olavi Suomalainen (FIN) 2:15:39  ニーナ・クシック (USA)(NY) 3:10:26
1973/4/16  ジョン・アンダーソン (USA)(OR) 2:16:03  ジャクリーヌ・ハンセン (USA)(CA) 3:05:59
1974/4/15  Neil Cusack (IRL) 2:13:39  ゴーマン美智子 (USA)(CA) 2:47:11
1975/4/21  ビル・ロジャース (USA)(MA) 2:09:55  リアネ・ヴィンター (FRG) 2:42:24
1976/4/19  Jack Fultz (USA)(VA) 2:20:19  キム・メリット (USA)(WI) 2:47:10
1977/4/18  ジェローム・ドレイトン (CAN) 2:14:46  ゴーマン美智子 (USA) -2- 2:48:33
1978/4/17  ビル・ロジャース (USA) -2- 2:10:13  ゲイル・バロン (USA)(GA) 2:44:52
1979/4/16  ビル・ロジャース (USA) -3- 2:09:27  ジョーン・ベノイト (USA)(ME) 2:35:15
1980/4/21  ビル・ロジャース (USA) -4- 2:12:11  ジャクリーヌ・ガロー (CAN) 2:34:28
1981/4/20  瀬古利彦 (JPN) 2:09:26  アリソン・ロー (NZL) 2:26:46
1982/4/19  アルベルト・サラザール (USA)(MA) 2:08:52  シャルロッテ・テスケ (FRG) 2:29:33
1983/4/18  グレッグ・メイヤー (USA)(MA) 2:09:00  ジョーン・ベノイト (USA) -2- 2:22:43WR
1984/4/16  ジェフ・スミス (GBR) 2:10:34  ローレン・モラー (NZL) 2:29.28
1985/4/15  ジェフ・スミス (GBR) -2- 2:14:05  リサ・ワイデンバック (USA)(MI) 2:34.06
1986/4/21  ロバート・ド・キャステラ (AUS) 2:07:51  イングリッド・クリスチャンセン (NOR) 2:24:55
1987/4/20  瀬古利彦 (JPN) -2- 2:11:50  ロザ・モタ (PRT) 2:25:21
1988/4/18  イブラヒム・フセイン (KEN) 2:08:43  ロザ・モタ (PRT) -2- 2:24:30
1989/4/17  アベベ・メコネン (ETH) 2:09:06  イングリッド・クリスチャンセン (NOR) -2- 2:24:33
1990/4/16  ジェリンド・ボルディン (ITA) 2:08:19  ロザ・モタ (PRT) -3- 2:25:24
1991/4/15  イブラヒム・フセイン (KEN) -2- 2:11:06  ワンダ・パンフィル (POL) 2:24:18
1992/4/20  イブラヒム・フセイン (KEN) -3- 2:08:14  オルガ・マルコワ (RUS) 2:23:43
1993/4/19  コスマス・デティ (KEN) 2:09:33  オルガ・マルコワ (RUS) -2- 2:25:27
1994/4/18  コスマス・デティ (KEN) -2- 2:07:15  ウタ・ピッピヒ (GER) 2:21:45
1995/4/17  コスマス・デティ (KEN) -3- 2:09:22  ウタ・ピッピヒ (GER) -2- 2:25:11
1996/4/15  モーゼス・タヌイ (KEN) 2:09:15  ウタ・ピッピヒ (GER) -3- 2:27:12
1997/4/21  Lameck Aguta (KEN) 2:10:34  ファツマ・ロバ (ETH) 2:26:23
1998/4/20  モーゼス・タヌイ (KEN) -2- 2:07:34  ファツマ・ロバ (ETH) -2- 2:23:21
1999/4/19  J・チェベト (KEN) 2:09:52  ファツマ・ロバ (ETH) -3- 2:23:25
2000/4/17  イライジャ・ラガト (KEN) 2:09:47  キャサリン・ヌデレバ (KEN) 2:26:11
2001/4/16  李鳳柱 (KOR) 2:09:43  キャサリン・ヌデレバ (KEN) -2- 2:23:53
2002/4/15  ロジャース・ロプ (KEN) 2:09:02  マーガレット・オカヨ (KEN) 2:20:43
2003/4/21  ロバート・キプコエチ・チェルイヨット (KEN) 2:10:11  スベトラーナ・ザハロワ (RUS) 2:25:20
2004/4/19  ティモシー・チェリガド (KEN) 2:10:37  キャサリン・ヌデレバ (KEN) -3- 2:24:27
2005/4/18  ハイル・ネグシェ (ETH) 2:11:45  キャサリン・ヌデレバ (KEN) -4- 2:25:13
2006/4/17  ロバート・キプコエチ・チェルイヨット (KEN) -2- 2:07:14  リタ・ジェプトゥー (KEN) 2:23:38
2007/4/16  ロバート・キプコエチ・チェルイヨット (KEN) -3- 2:14:13  リディア・グリゴリエワ (RUS) 2:29:18
2008/4/21  ロバート・キプコエチ・チェルイヨット (KEN) -4- 2:07:45  ディレ・ツネ (ETH) 2:25:21
2009/4/20  デリバ・メルガ (ETH) 2:08:42  サリナ・コスゲイ (KEN) 2:32:16
2010/4/19  ロバート・キプロノ・チェルイヨット (KEN) 2:05:52  テイバ・エルケッソ (ETH) 2:26:11
2011/4/18  ジョフリー・ムタイ (KEN) 2:03:02  キャロライン・キレル (KEN) 2:22:36
2012/4/16  ウェズリー・コリール英語版 (KEN) 2:12:40  シャロン・チェロップ英語版 (KEN) 2:31:50
2013/4/15  レリサ・デシサ (ETH) 2:10:23  リタ・ジェプトゥー (KEN) -2- 2:26:25
2014/4/21  メブ・ケフレジギ (USA) 2:08:37  リタ・ジェプトゥー (KEN) -3- 2:18:57
2015/4/20  レリサ・デシサ (ETH) 2:09:17  キャロライン・ロティチ (KEN) 2:24:55

その他の出来事

女子の参加をめぐって

2014年 女子先頭集団

ボストンマラソンは、世界の大きなマラソンで初めて女子の参加を認めた大会であるが、決して簡単に実現したものではなかった。1960年代まで、女性がマラソンを走ることは生理的に困難であるという見解が陸上競技の関係者の間でもごく当たり前に語られていた。そうした中、女性の権利拡張運動とも相まって、ボストンマラソンへの参加を求める女性が出現したが、主催者側はこれを拒否した。1966年、ロベルタ・ギブという選手が初めてレース当日にコースを完走したが、主催者側はギブは「同時刻に同じコースを走った通行人」として記録を認めなかった[14]。翌1967年にはキャサリン・シュワイツァーという女性ランナーが、"K. V. Switzer”というイニシャルを使って登録し、出場。主催者側は出場を認めていないとして彼女を排除しようとしたが、他の男性ランナーに守られてゴールにたどり着いた[14]1968年からは主催者側も女性が走ることを黙認するようになり、1969年には女子トップでゴールしたサラ・バーマンを「女子優勝者」と認定した[14]。そして、アメリカで公式に女性のマラソン記録が認められるようになった1972年の大会から、正式に女子の参加が認められるようになった。下記の歴代優勝者のリストにおいて、1966年から1971年までの欄に「(非公式)」という但し書きがあるのはこのためである。

1980年の女子優勝者

1980年の大会では女子の先頭を切ってゴールしたのは、ロージー・ルイーズという選手であった(タイムは2時間31分56秒)。しかし、レース途中で彼女を見ていないという複数の証言や、ゴールしたときに彼女のウェアにほとんど汗がついていなかったこと、またゴール800m手前の地点で、群衆の中から彼女が飛び出してきたという目撃証言などから、主催者側は彼女が途中で何らかの方法で近道をしたと判断し、失格とした[15](なお、彼女は前年のニューヨークシティマラソンにも参加しているが、その際にも彼女が地下鉄に乗っていたという証言があった)。代わってカナダジャクリーヌ・ガローが優勝者となった。こうしたマラソンの「キセル」は、1904年セントルイスオリンピックでも起きているが(アメリカのフレッド・ローツによるもの)、草創期ならともかく現代のマラソンでこうした事件が起きたことは多くの人を驚かせた。

宇宙からの参加者

2007年に行われた大会では、国際宇宙ステーションに滞在中の女性宇宙飛行士スニータ・ウィリアムズが参加した。NASAを通じて電子メールで送られた14000番のゼッケンをつけてトレッドミルで42.195kmを4時間24分で完走。宇宙からのマラソン大会への正式参加は史上初めて。

スポンサー

1984年から1991年まで8年間、リコーがスポンサーを務めていたが、スポンサー料が高くなりすぎたため、スポンサーをやめ、シットゴーがスポンサーとなったが、優勝賞金は5万5000ドルから3万ドルに減額された[16]

車いすの部

2011年副島正純
ファイル:1982 Vetter Wheelchair.jpg
1982年ボストンマラソン

1975年、当時24才のボブホールという車いす使用の青年の参加を許可し、2時間58分の記録を公式に認めた。メジャー大会で初となったこのニュースは、多くの障害者が車いすマラソンに挑戦するきっかけとなった。

なお、1970年には非公式であるが、ベトナム退役軍人のユージン・ロバーツ(Eugene Roberts)が病院の車椅子を使って7時間掛けて完走している。[17]

日本人では、2007年と2011年に副島正純が優勝し、女子では土田和歌子が2007,2008,2009,2010,2011年に5連覇している。

歴代優勝者
開催年 男子選手 タイム 女子選手 タイム
1975  Bob Hall (USA) 2:58 (女子の参加なし)  
1976        
1977  Bob Hall (USA) -2- 2:40:10  Sharon Rahn (USA) 3:48:51
1978  George Murray (USA) 2:26:57  Susan Schapiro (USA) 3:52:53
1979  Ken Archer (USA) 2:38:59  Sheryl Bair (USA) 3:27:56
1980  Curt Brinkman (USA) 1:55:00  Sharon Limpert (USA) 2:49:04
1981  Jim Martinson (USA) 2:00:41  Candace Cable (USA) 2:38:41
1982  Jim Knaub (USA) 1:51:31  Candace Cable (USA) -2- 2:12:43
1983  Jim Knaub (USA) -2- 1:47:10  Sherry Ramsey (USA) 2:27:07
1984  Andre Viger (CAN) 2:05:20  Sherry Ramsey (USA) -2- 2:26:51
1985  George Murray (USA) -2- 1:45:34  Candace Cable (USA) -3- 2:05:26
1986  Andre Viger (CAN) -2- 1:43:25  Candace Cable (USA) -4- 2:09:28
1987  Andre Viger (CAN) -3- 1:55:42  Candace Cable (USA) -5- 2:19:55
1988  Mustapha Badid (FRA) 1:43:19  Candace Cable (USA) -6- 2:10:44
1989  Phillippe Couprie (FRA) 1:36:04  Connie Hansen (DEN) 1:50:06
1990  Mustapha Badid (FRA) -2- 1:29:53  Jean Driscoll (USA) 1:43:17
1991  Jim Knaub (USA) -3- 1:30:44  Jean Driscoll (USA) -2- 1:42:42
1992  Jim Knaub (USA) -4- 1:26:28  Jean Driscoll (USA) -2- 1:36:52
1993  Jim Knaub (USA) -5- 1:22:17  Jean Driscoll (USA) -3- 1:34:50
1994  ハインツ・フライ (SUI) 1:21:23  Jean Driscoll (USA) -4- 1:34:22
1995  Franz Nietlispach (SUI) 1:25:59  Jean Driscoll (USA) -5- 1:40:42
1996  ハインツ・フライ (SUI) -2- 1:30:11  Jean Driscoll (USA) -6- 1:52:54
1997  Franz Nietlispach (SUI) 1:28:14  Louise Sauvage (AUS) 1:54:28
1998  Franz Nietlispach (SUI) -2- 1:21:52  Louise Sauvage (AUS) -2- 1:41:19
1999  Franz Nietlispach (SUI) -3- 1:21:36  Louise Sauvage (AUS) -3- 1:42:22
2000  Franz Nietlispach (SUI) -4- 1:33:32  Jean Driscoll (USA) -7- 2:00:52
2001  エレンスト・ヴァン・ダイク (ZAF) 1:25:12  Louise Sauvage (AUS) -4- 1:53:54
2002  エレンスト・ヴァン・ダイク (ZAF) -2- 1:23:19  Edith Hunkeler (SUI) 1:45:57
2003  エレンスト・ヴァン・ダイク (ZAF) -3- 1:28:32  Christina Ripp (USA) 1:54:47
2004  エレンスト・ヴァン・ダイク (ZAF) -4- 1:18:27  Cheri Blauwet (USA) 1:39:53
2005  エレンスト・ヴァン・ダイク (ZAF) -5- 1:24:11  Cheri Blauwet (USA) -2- 1:47:45
2006  エレンスト・ヴァン・ダイク (ZAF) -6- 1:25:29  Edith Hunkeler (SUI) -2- 1:43:42
2007  副島正純 (JPN) 1:29:16  土田和歌子 (JPN) 1:53:30
2008  エレンスト・ヴァン・ダイク (ZAF) -7- 1:26:49  土田和歌子 (JPN) -2- 1:48:32
2009  エレンスト・ヴァン・ダイク (ZAF) -8- 1:33:29  土田和歌子 (JPN) -3- 1:54:37
2010  エレンスト・ヴァン・ダイク (ZAF) -9- 1:26:53  土田和歌子 (JPN) -4- 1:43:32
2011  副島正純 (JPN) -2- 1:18:50  土田和歌子 (JPN) -5- 1:34:06
2012  ジョシュア・キャシディ (CAN) 1:18:25  シャーリー・レイリー (USA) 1:37:36
2013  山本浩之 (JPN) 1:25:33  タチアナ・マクファーデン (USA) 1:45:25
2014  エレンスト・ヴァン・ダイク (ZAF) -10- 1:20:36  タチアナ・マクファーデン (USA) -2- 1:35:06

関連項目

脚注

外部リンク