ジャパニーズボブテイル

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ジャパニーズボブテイル
丸まった短い尾が特徴的
原産国 日本の旗日本
各団体による猫種のスタンダード
CFA スタンダード
TICA スタンダード
FIFe スタンダード
ACFA スタンダード
CCA スタンダード

ジャパニーズ・ボブテイル: Japanese Bobtail)は、日本猫を起源とするネコの一品種である。ポンポンのように丸まった短いが最大の特徴である。

歴史

丸まった短い尾の猫は、古来より日本に生息していた。アジア大陸から太古の日本列島へと移り住んだ猫の中に、切り株のように切れた尾を持つ個体が混ざっており、それらの切れ尾の劣性遺伝子が、在来の限られた遺伝子プールに拡散していったという説がある[誰?]。ジャパニーズ・ボブテイルの歴史は、このような日本猫の直裔として、20世紀アメリカ合衆国で始まった。

そのきっかけは1960年代、日本に滞在していたジュディ・クロフォードという名のアメリカ人女性であった。日本猫に魅了されたクロフォードは、母国のバージニア州に住むエリザベス・フリーレットという名の友人に、日本猫の雄と雌をそれぞれ一匹ずつ送り届けた。翌年にはそのつがいが仔を出産し、やがて帰国したクロフォードがその繁殖に着手した。[1]

1968年だけで100匹以上の短尾の日本猫が米国へ移送され、本格的な繁殖計画が始動した。基本的には短毛種であるとされていたこの種であったが、それらの中に長毛の個体が混入していたことで、1970年代の初めに長毛の遺伝子の存在が確認された。

やがて1976年に米国の猫種管理団体であるキャット・ファンシアーズ・アソシエーション英語版(CFA)から、ジャパニーズ・ボブテイルは一品種としての認定を獲得した。そして1992年に、その長毛種にあたるジャパニーズ・ボブテイル・ロングヘアが、新たに公認された。

分類

北アメリカの猫種認定機関にて遺伝審査委員を務めるグロリア・スティーブンスはジャパニーズ・ボブテイルについて、「日本の町で普通に見かけることのできる猫」であるとしている。また、スミソニアン博物館の「フリーアー芸術展」に、長毛の猫を描いた15世紀の大きな絵画が掛けられており、その猫をジャパニーズ・ボブテイルであるとしている。

一方で、日本猫の第一人者でもある平岩由伎子は、ジャパニーズ・ボブテイルは日本猫を原型としてはいるものの、この品種に特徴的な短尾と三毛に着目したうえで、いわば人為的に作り出されてきたのがこの品種であって、厳密には日本猫には該当しないものであるとしている。あるいは言い換えるならば、欧米人の思い描く日本猫の姿を目指して作られてきたがゆえに、その様式が本来の日本猫とは微妙に異なるのであるという。また、原産地である日本では交雑によりほとんど絶滅状態になってしまった「純粋な日本猫」と対比させたうえで、純血種として国外で手厚く保護されてきた「日本猫以上に日本的な雰囲気を漂わせた猫」と表現した者もあった。

特徴

ジャパニーズ・ボブテイルの外観については「類似した品種が他に見当たらない」との評がある。身体の各所が全体的に長く、線がはっきりとしている。最も顕著な特徴は、ポンポンを思わせる短く巻いた尾である。

尻尾

この品種に特有であるウサギの尾に似た短尾は、劣性遺伝子によって発現する。したがって、両親が共にこの遺伝子の持ち主でない限り、形質が仔に現れることはない。普段は短く巻いたままにしており、限界にまで伸ばしても7.5センチメートル以下というのが通常であるが、長いものでは10センチメートルにまで達することがある。

同様の短い尾を持つ猫の品種に、千島列島を発祥地とするクリルアイランド・ボブテイル、アメリカで発見されたアメリカンボブテイルおよびマン島に生息してきたマンクスがある。クリルアイランド・ボブテイルはジャパニーズ・ボブテイルと遺伝的に類似する。アメリカン・ボブテイルについては、ジャパニーズ・ボブテイルの短尾の遺伝子を継承したうえで生まれた品種であるとの説が提唱されているものの、定説には至っていない。マンクスの持つ短尾については、ジャパニーズ・ボブテイルの原型である日本猫の短尾とは別の遺伝子によるものであることが確かめられている。

体躯

ジャパニーズ・ボブテイルの胴体はすらりと細長く、筋肉質でありながらも決して大きくはなく、運動に適した体型を持つ。脚も同様にほっそりとしているが、頑丈である。 また前脚に比して後脚のほうがやや長めであり、より筋肉質に見える。

頭部

両側の頬がゆるやかな曲線を描く均整の取れた三角形の輪郭に、鼻の先端から頬までにかけて、2本の平行線がはっきりと目立って通っている。耳は大きく直立しており、先が丸みを帯びている。

眼は楕円形にして大きく、例外もあるが、基本的に毛色に応じた眼色を持っている。愛玩用のものとしては、オッドアイの人気も高い。ジャパニーズ・ボブテイルにおけるオッドアイは、白地の三毛の個体に特に多く見られる。

被毛

自然発生した短毛種と、突然変異である長毛種が存在している。あらゆる毛色の個体が存在するが、愛玩用としては、白と赤黒の三毛・白と赤・白と黒という3種類の毛色に人気が集中している。毛質は滑らかでのように柔らかく、抜けにくい。長毛種ならではの特色として挙げられるのは、化粧用パフのように放射状に広がった尾毛である。

性格

高い順応性をみせる賢さを持ち、人懐っこく、飼い主の言葉にもよく反応するなどペットとして非常に適している。ネコ達のグループ意識も高く、新しいネコを加えるなどしても比較的早く適応し、母ネコが数年たって自立した仔ネコに対しても世話をやくなど、多頭飼いもしやすい[2]。 "喋る"猫とも言われており、ゆっくりと音程を変えながら飼い主に語り掛けることもある。 また水を好む個体が多いと言われるが、これは種的な性質ではない。

遺伝的健康

短尾はこの種の特徴であり、他種で生じうる背骨や尾骨の奇形に由来するものではない。 遺伝的に健康な種で、仔猫時死亡率は低く、病害抵抗性は他種に比して高い。

ギャラリー

脚注

  1. ^ 一方で、ジャパニーズボブテイルの発祥年代を、ブリーダーであったフリーレットが日本国外初の繁殖計画に着手した1968年であるとしている記録もある。
  2. ^ 『日本と世界の猫のカタログ'96』 ISBN 4415040829 頁.54:『ジャパニーズボブテイル』

出典

参考文献

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