エノコログサ

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エノコログサ
Setaria viridis
Setaria viridis
千葉県2008年7月13日
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
階級なし : ツユクサ類 Commelinids
: イネ目 Poales
: イネ科 Poaceae
亜科 : キビ亜科 Panicoideae
: キビ連 Paniceae
: エノコログサ属 Setaria
: エノコログサ S. viridis
学名
Setaria viridis
L.P.Beauv
シノニム

Setaria viridisL.P.Beauv. subsp. minorThunb.T.Koyama
Setaria viridisL.P.Beauv. var. minorThunb.Ohwi
Panicum italicum
Panicum flavum
Chaetochloa italica

和名
エノコログサ(狗尾草)、ネコジャラシ
英名
green bristlegrass
亜種変種品種
  • S. v. subsp. pachystachys
  • S. v. subsp. pycnocoma
  • S. v. subsp. viridis
  • ホソバノエノコログサ S. v. var. angustifolia
  • S. v. var. major
  • ハマエノコロ S. v. var. pachystachys
  • カタバエノコログサ S. v. f. japonica
  • ムラサキエノコロ S. v. f. misera

エノコログサ(狗尾草、学名Setaria viridis[1])は、イネ科エノコログサ属植物で、1年生草本である。ブラシのようにの長い穂の形が独特な雑草である。

夏から秋にかけてつける花穂が、に似ていることから、犬っころ草(いぬっころくさ)が転じてエノコログサという呼称になったとされ、漢字でも「狗(犬)の尾の草」と表記する。ネコジャラシ(猫じゃらし)の俗称は、花穂をの視界で振ると、猫がじゃれつくことから。穀物アワ(粟)の原種とされ、交雑もよくおこる[2]

分布[編集]

全世界の温帯に分布する[3]日本でも全土の日当たりのよい畑地、荒地に分布する[3]縄文時代前半まではなく、日本にはアワ作とともにアワの雑草として伝わったものかと推測される[4]

特徴[編集]

草丈は40-70cmになる。は細く、基部は少し地表を這い、節からを下ろす。夏には茎が立ち上がって伸び、先端に穂をつける。

匍匐茎にも花茎にも多数ついており、最大20cm位、イネ科としてはやや幅広く、細長い楕円形、薄く、緑色でつやがない。茎を包む葉鞘と、葉身の境目につく葉舌は退化して、その部分に毛だけが残る。また、よく葉が裏表逆になっている。葉の付け根でねじれて、裏側が上を向くもので、そのような葉では、上を向いた裏側の方が濃い緑でつやがあり、下を向いた表側の方が、裏のような様子になる。

花序は円柱形で、一面にがつき、多数の毛が突き出すので、外見はブラシ状になる。イヌビエなどの穂から出る毛は、小穂を包む鱗片()の先端から伸びるであるが、エノコログサの場合、この毛は芒ではなく、小穂の柄から生じる長い突起である。

利用[編集]

現在は、一般的に食用としては認識されていないが、アワ(粟)の原種であるので食用に使える。基本的に穀物であるので、粟やほかの穀物同様、種子の部分を脱穀して食用とする[5]。近代以前の農村では、飢饉の際にカラスムギなどと共にこれを食用としたこともあった。オオエノコロは粟の遺伝子が流入しているので食用に供しやすい。

食用とする場合、エノコログサは脱粒しやすいのではたきなどで叩き落としざるで受けるのがよい。脱穀したのちすり鉢ですりつぶし、水選する。食べるときはアワと同様、粒のままでも製粉しても食べられる[6]

また、猫じゃらしの名の通り、これを用いて猫をじゃらすことができる。

変異[編集]

エノコログサはさまざまな所に生え、そのためもあってか種内変異が多い。

ハマエノコロ S. v. var. pachystachys (Fr. et Sav.)
海岸に生える型。違いとしては、背が低く、比較的よく地表を這うこと、茎や葉が短く硬いこと、それに、穂が短くほとんど楕円形で、小穂が密で毛が長く、そのために穂の外見がかなり異なる点が挙げられる。ただし、内陸に入ると次第に普通の型に移行する。
ムラサキエノコロ S. v. f. purpurascens Maxim.
これは特に穂の剛毛が紫に染まるものである。

参考文献[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)”. 2011年8月22日閲覧。
  2. ^ 「新訂 食用作物」p270 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版
  3. ^ a b 『日本の野生植物 草本I単子葉類』(1982)、p.100
  4. ^ 那須浩郎「雑草からみた縄文時代晩期から弥生時代移行期におけるイネと雑穀の栽培形態」、『国立歴史民俗博物館研究報告』第187集、2014年7月、99頁。
  5. ^ 「雑穀の自然史 その起源と文化を求めて」内収録「雑穀の祖先、イネ科雑草の種子を食べる:採集・調整と調理・栄養」河合初子、山口裕文 p31-33 北海道大学図書刊行会 2003年9月10日第1刷
  6. ^ 「雑穀の自然史 その起源と文化を求めて」内収録「雑穀の祖先、イネ科雑草の種子を食べる:採集・調整と調理・栄養」河合初子、山口裕文 p31-33 北海道大学図書刊行会 2003年9月10日第1刷

関連項目[編集]

外部リンク[編集]