ケルビン
ケルビン kelvin | |
---|---|
記号 | K |
系 | 国際単位系 (SI) |
種類 | 基本単位 |
量 | 熱力学温度 |
定義 | 水の三重点の熱力学温度の 273.16 分の 1 |
由来 | 標準大気圧下での水の沸点と氷点の温度差の 100 分の 1 |
語源 | ケルヴィン卿 |
ケルビン(英語: kelvin, 記号: K)は、熱力学温度(絶対温度)の単位である。国際単位系において基本単位の一つとして位置づけられている。1948年の国際度量衡局 (BIPM) の調査の結果、1954年の第10回国際度量衡総会 (CGPM) で熱力学温度の基本単位として承認された[1]。
ケルビンの名はイギリスの物理学者であるケルビン卿ウィリアム・トムソンにちなんで付けられた。なお、ケルビン卿の通称は彼が研究生活を送ったグラスゴーにあるケルビン川から取られている。
ケルビンは国際単位系の単位であり、単位記号は大文字の K で書き出すのが正しい(その他、人名に由来する単位には大文字が用いられる)[2]。「度」や「°」を付けることは無い。「度」は測定の尺度であり、「ケルビン」は測定の単位であることを表している。ただし、1967年の第13回国際度量衡総会まではケルビン度(記号: °K)が使用されていた[3]。
定義
上記の補足は、2005年の国際度量衡委員会 (CIPM) の会議において追加されたものである[5]。その理由は、水の物理的性質は、厳密には、その同位体組成の違いによって異なるため、三重点を測定するための水について特定の同位体組成を指定する必要があるからである。ここで指定された水#物理的性質は、ウィーン標準平均海水(en:Vienna Standard Mean Ocean Water)en:VSMOWと呼ばれるものであり、厳密な水の物理的性質を計測する場合の国際標準物質となっている水である。
ケルビンが熱力学温度の単位であることから、絶対零度は0ケルビンと定まる。さらに、1ケルビンを水の三重点の熱力学温度の273.16分の1としている。 これは、元々はセルシウス温度の数値から 273.15 を足した(絶対零度を 0 とした)温度目盛りとして定義されたものであったが、現在では逆にセルシウス度がケルビンを元に定義されている[注 1]。水の三重点の値は厳密に273.16ケルビンである。
なお、セルシウス度の歴史的な定義であった標準大気圧の下での水の氷点と沸点は、現在の定義ではそれぞれ 0 °C および 100 °C と厳密には一致せず、それぞれ0.002519 °C(273.152519 K)、99.9743 °C(373.1243 K) である(水#物理的性質を参照)。
単位の換算
- セルシウス温度 t とそれに等しい絶対温度 T の関係
なお、量記号を単位記号で割ったものは、その量をその単位で計ったときの数値を表す。
- ファーレンハイト温度 θ とそれに等しい絶対温度 T の関係
- 熱力学温度のエネルギーによる表現
- プラズマ物理学の分野では温度を慣例的にエネルギーの単位である電子ボルト(記号: eV)で示すことがある。
- その温度における分子の平均運動エネルギーに相当し、ボルツマン定数 k=8.617×10−5 eV/K により換算される。
- 1 eV/k=11,604 K
- 1 K =8.617×10−5 eV/k
符号位置
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
K | U+212A |
- |
K K |
ケルビン |
脚注
注釈
引用
- ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006) p. 20, 24。
- ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006) p. 42。
- ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006) p. 59, 61。
- ^ “技術情報”. スガツネ工業. 2015年10月29日閲覧。
- ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006) p. 24
ケルビン | セルシウス度 | ファーレンハイト度 | ランキン度 | ドリール度 | ニュートン度 | レオミュール度 | レーマー度 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
絶対零度 | 0 | −273.15 | −459.67 | 0 | 559.725 | −90.14 | −218.52 | −135.90 |
地球表面の最低気温(※1) | 183.95 | −89.2 | −128.56 | 331.11 | 283.8 | −29.436 | −71.36 | −39.33 |
ファーレンハイトの寒剤 | 255.37 | −17.78 | 0 | 459.67 | 176.67 | −5.87 | −14.22 | −1.83 |
水の融点(標準状態下) | 273.15 | 0 | 32 | 491.67 | 150 | 0 | 0 | 7.5 |
地球表面の平均気温 | 288 | 15 | 59 | 518.67 | 127.5 | 4.95 | 12 | 15.375 |
人間の平均体温 | 309.95 | 36.8 | 98.24 | 557.91 | 94.8 | 12.144 | 29.44 | 26.82 |
地球表面の最高気温(※2) | 329.85 | 56.7 | 134.06 | 593.73 | 64.95 | 18.711 | 45.36 | 37.268 |
水の沸点(標準状態下) | 373.15 | 100 | 212 | 671.67 | 0 | 33 | 80 | 60 |
チタンの融点 | 1941 | 1668 | 3034 | 3494 | −2352 | 550 | 1334 | 883 |
太陽の表面温度 | 5800 | 5526 | 9980 | 10440 | −8140 | 1823 | 4421 | 2909 |
参考文献
- 独立行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター『国際文書 国際単位系 (SI)』(第 8 版日本語版)、2006年 。