キングス・カレッジ・ロンドン

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King's College London
ファイル:King's College London crest.png
モットー Sancte et sapienter
モットー (英語) "With holiness and with wisdom"
種別 国立
設立年 1829年
総長 アン王女ロンドン大学
プロヴォスト Rick Trainor
職員数
5000人
学生総数 24,550人
学部生 14,435人
大学院生 10,115人
所在地
スクールカラー
                     
公式サイト kcl.ac.uk
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キングス・カレッジ・ロンドン (ロンドン大学キングスカレッジ) (King's College London, KCL) は、英国のロンドン大学を構成するカレッジのひとつであり、ジョージ4世及び初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーによって1829年に設立された、イングランドでは4番目に古い名門大学である。KCLはラッセル・グループのメンバーで、9つの学部と5つのキャンパスを持つ総合大学であり、学生数は21,300名と、ロンドン大学のカレッジの中で最大規模を誇る。2014年QS世界ランキングでは16位[1]、2015年タイムズ誌世界ランキングで27位[2]にランク付けされ、過去に12名のノーベル賞受賞者を輩出している[3]

歴史

KCLは1829年、ジョージ4世の命によって設立された。当時、オックスフォード大学ケンブリッジ大学は男性・イギリス国教徒・貴族出身者のみに入学を許されるなど差別的な入学条件を課していた。これに対し「万人に開かれた大学」を実現すべく、哲学者のジェレミ・ベンサムが1826年に性別・宗教・人種・政治的思想による入学差別を撤廃したロンドン・ユニバーシティ(後のユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)を設立した。

しかしこの動きは、既得権益を失う事を恐れたオックスフォード大学、ケンブリッジ大学や聖公会から激しい反発を受けた。ジョージ・ドイリー英語版主教は非宗教的な大学の在り方を批判し、公開書簡の中でロンドン市内に対抗する宗教的で聖公会の意図を反映した大学機関の設立を提言した。この書簡に刺激を受けた時の首相ウェリントンは、1828年6月21日のジョージ4世が開いた本件に関する会議の中で議長を務め、大学設立は実現に向かっていった。こうして1829年8月14日のジョージ4世の勅許により、KCLの正式な設立となった。

ジョージ4世

なお、このようなウェリントンの聖公会やカトリック救済法案への過剰な肩入れは、カトリック教会に対しほとんど完全な市民権を与えることになるとウィンチルシー伯ジョージ・フィンチ=ハットン英語版による抗議があり、これは1829年3月21日のバターシー・パークにおける決闘へつながった。結果は両者とも意図的に相手を外した射撃によって決着した。KCL内でもこの決闘の日は特別な日として祝われており、様々なイベントが毎年の伝統的に開かれている。

こうして1831年に、オックスフォード大学に似た大学運営のKCLが開校した。しかしこのような設立経緯にもかかわらず、最初の入学案内書では非聖公会信徒の入学が認められている。開校時に提供されたコースは化学英文学商学である。

この時期はまだKCLもロンドン・ユニバーシティも、大学の学位の授与が出来なかった。これは特に、臨床実習を希望する医学専攻の学生にとって問題となった。そこで時の大法官であり、ロンドン・ユニバーシティ運営委員会の会長であったヘンリー・ブロハム英語版が問題解決へ向けて関わることとなった。この経緯により、ブロハムはKCLの学長も兼ねるようになる。

当時イギリスでは、1つの都市で1つの機関のみが学位の発行の権限を持つ制約があった。そのため、政府がロンドン市内の2つの大学に学位発行権限を与えることは非現実的であった。この経緯から、2つの大学は統合の形で話し合いが行われ、1836年に2つの大学がカレッジになる形でロンドン大学が発足した。こうして、ロンドン大学のカレッジとして正式に発足したKCLは、夜間コースという形ではあるが女性・労働者階級に対しても開かれたカレッジとなる。

KCLの180年にわたる歴史の中では多くの重要な研究がなされ、中でもロザリンド・フランクリンモーリス・ウィルキンスによるDNAの螺旋構造の発見は有名である。

キャンパス

ストランドを中心にロンドン市内中心部のテムズ川沿いに4つのキャンパスと、デンマークヒルに1つのキャンパスがある。

  • Strand campus
  • Guy's campus
  • Waterloo campus
  • St Thomas' campus
  • Denmark Hill campus

評価

ここではKCLに関する外部機関の評価について述べる。

ランキング

ガイズキャンパス

The Times Higher Education Supplement(タイムズ誌)と教育情報の専門会社 Quacquarelli Symonds (QS) が2005年から毎年発表している世界大学ランキングでは2007年以降、世界25位以内(英国内5~6位)をキープしている。分野別に見ると医学、社会科学、人文科学、生命科学が強く、2013年版では4分野とも世界トップ50入りしている。特に医学分野では評価が非常に高く、タイムズ紙2015年版(clinical, pre-clinical and health)において、世界8位に選ばれている。[4] 一方イギリスでは、新聞各紙が独自の視点に基づいた大学ランキング(総合ランキングは下記の表を参照)を発表している。この中では毎年10位から20位といった評価を受けている。 詳細なデータが公開されているIndependent紙[5]とTimes紙[6]の2009年度版のランキングを見てみると、 以下のようなKCLの特徴が読み取れる。

  • 卒業後の進路は英国トップクラス(卒業生の平均初任給約24,110ポンドは4位[7]、就職率 約83%は5位[8]
  • 教員一人あたりの学生数は約11人で英国トップクラス
  • 学生の満足度は他のロンドン市内の大学同様に平均的(約75%の満足度)

研究水準

英国大学の研究力を測る指標としてREF(Research Excellence Framework)がある。REFはイギリス政府が同国の研究機関に対して行う研究成果の公的な調査および査定である。イギリスの研究機関で行われている研究を36の分野に分け、その分野の専門家がお互いの研究成果を査定し、イギリス政府はその結果に基づいて国内の研究機関への資金配分を決める。REFは2008年までResearch Assessment Exercise (RAE) と呼ばれていたものを質・規模の観点から再構築したものである。

2014年12月18日発表のREF2014年によると、KCLで行われている研究の平均水準(GPA)はイギリス第7位である[9]。評価方法が変更されているので正確な比較はできないが、これは2008年RAEの22位から大きく飛躍したものである。特に評価の高い分野は法学医学であり、それぞれが1位、3位といった評価を受けている。 

法学教育においては、イギリス国内でもっとも歴史のある大学のひとつであり、Law Schoolは「イギリス国内のトップ5に入るLaw Schoolとして広く認識されている(recognised globally as one of the UK's top five law schools)」との評価を得ている (Guardian University Guide 2011: Law)。

教員

ノーベル賞受賞者

主な出身者

自然科学

政治家・官僚

人文・社会科学・法学

文学・芸術

映画・音楽

その他

日本の大学との関係

交換留学提携校

学術交流協定校

関連項目

脚注

外部リンク