カシワ
カシワ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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カシワの葉と樹皮(東京都・2006年5月)
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Quercus dentata Thunb.[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
カシワ(柏) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Daimyo Oak |
カシワ(柏[5]、槲、檞、学名: Quercus dentata)は、ブナ目ブナ科の落葉中高木。日本・朝鮮半島・中国の東アジア地域に分布しており、痩せ地でも生育し、海岸で群落になっているところもある。葉は、かつて料理を盛るために使われ、端午の節句の柏餅を包む葉としても知られる。冬でも葉が落葉せずに枝に残ることから、日本では神が宿る縁起木とされている。
名称
和名カシワの語源は、炊事に使う葉という意味で、食べ物を盛り付けたり、あるいは蒸したりするときに食べ物を包むのに使われた葉のことを炊葉(かしきは)といったことによる[5]。カシワの葉は、食べ物を盛ったり、小豆餡入りの餅を包んで柏餅にして使われる[5]。別名では、ホソバガシワ[1]、タチガシワ[1]、オオガシワ[1]などともよばれる。
英語では Japanese Emperor Oak(ジャパニーズ・エンペラー・オーク)、Kashiwa Oak(カシワオーク)、Daimyo oak(デミオーク)、フランス語で chêne de Daimyo(シェン・ド・デミオ)などと称する。
日本では漢字で「柏」と書くことが多いが、漢字の語源から言うと、柏の字の旁の「白」は色の「しろ」ではなく、球果(松かさ状の果実)をかたどった象形文字で[要出典]、中国で「柏」は、ヒノキの仲間の針葉樹を意味し、コノテガシワ、シダレイトスギ、イブキ、サワラ、アスナロなどの針葉樹の総称である[5]。戦前の植物学では、イチイ科からヒノキ科までの針葉樹は「松柏綱」と呼んでおり、「松柏類」は針葉樹のマツ類と広葉樹のカシワ類という意味ではない[5]。現代中国語ではヒノキ科を柏科という。漢詩などでは、「柏」が常緑樹であることから、変わらないことの比喩に使われる。
分布・生育地
日本の北海道、本州、四国、九州および、南千島、朝鮮半島、中国に分布する[5]。痩せた土地や乾燥地でも生育することから[5]、火山地帯や海岸などに群落が見られることが多い。
形態・生態
落葉広葉樹の高木で、樹高は10 - 15メートル (m) ほどになる[5]。雌雄同株[6]。
葉は大きく、枝先に集まって互生し[5]、葉縁に沿って丸く大きな鋸歯があるのが特徴。新葉には軟らかい毛が密生する[5]。
花期は5 - 6月[5]。果期は10 - 11月で[5]、ドングリはクヌギに似て丸く、殻斗は先がとがって反り返る包が密生する。秋に枯れた葉は、春までついたまま、新芽が出るまで落葉しない[5]。
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新芽
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若葉
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雄花
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雌花
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カシワの実
利用
日本の海岸線の防風林には一般的にクロマツが用いられるが、北海道の道北や道東など寒冷でクロマツが育たない地域では、防風林を構成する樹種としてカラマツとともにカシワが海岸林に採用されるところが多い[5]。カシワは落葉樹であるが、秋に葉が枯れても翌年の春に新芽が芽吹くまで葉が落ちることがなく残っており、塩害で枝枯れを起こしても、木は枯れずにむしろ枝が混み合うようになるため、防風効果は高くなる[5]。
北海道の銭函大浜から厚田にかけての石狩砂丘には、世界的な規模のカシワによる天然の海岸林がある[7]。
カシワの葉は、端午の節句に欠かせない柏餅を包むために使われる[5][8]。カシワの葉の抗菌物質としてオイゲノールが知られている[8]。
文化
冬でも葉が落葉せずに枝に残っているため、そこに神が宿る木と考えられ、神聖な木とされている[5]。 葉には芳香があり、さらに翌年に新芽が出るまで古い葉が落ちない特性から「代が途切れない」縁起物とされ[5]、柏餅を包むのに用いられたり、家紋や神紋をはじめとして多用されている。
カシワにまつわる言葉
名古屋市以西では鶏肉のことを「カシワ」と呼ぶ事があるが、これは地鶏の羽色が柏の葉の紅葉の色に似ていることからこう呼ばれる。
ドイツの勲章の意匠を「柏葉」というときは「ヨーロッパナラ(欧州楢)」を指す。
自治体指定の木
日本では、市町村で自治体の木の指定を受けている。千葉県柏市では、シイと共に市の木に指定されている。
種内変異
- 品種
- 交雑種
脚注
- ^ a b c d 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Quercus dentata Thunb. カシワ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年1月30日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Quercus dentata Thunb. f. angustifolia (T.Ito) Hayashi カシワ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年1月30日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Quercus dentata Thunb. f. grandifolia (Koidz.) Kitag. カシワ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年1月30日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Quercus dentata Thunb. f. erectisquamosa (Nakai) Hayashi カシワ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年1月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 田中潔 2011, p. 93.
- ^ “庄内海岸の国有林”. 林野庁東北森林管理局庄内森林管理署. p. 51. 2022年4月25日閲覧。
- ^ “モバイル道庁 道内観光情報・花・赤れんが庁舎前庭の植物・カシワ”. 北海道庁. 2016年11月25日閲覧。
- ^ a b “アサマNEWSパートナーNo.199 (38)餅菓子の文化と微生物”. アサマ化成. 2022年11月30日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Quercus dentata Thunb. f. pinnatiloba (Makino) Kitam. et T.Horik. ホウオウガシワ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年1月30日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Quercus x angustilepidota Nakai カシワコナラ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年1月30日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Quercus x nipponica Koidz. ホソバガシワ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年1月30日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Quercus x takatorensis Makino コガシワ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年1月30日閲覧。
参考文献
- 田中潔『知っておきたい100の木:日本の暮らしを支える樹木たち』主婦の友社〈主婦の友ベストBOOKS〉、2011年7月31日、93頁。ISBN 978-4-07-278497-6。