ウルリクムミ

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ウルリクムミ(Ullikummi)は、ヒッタイト神話に登場する巨人である。

天候神テシュブ英語版によって神々の王位の座を追われたクマルビ英語版が、復讐のために、泉のほとりにあった長さ3ダンナ(1ダンナ=約10.7km)の岩[1]との間にもうけた子供である。

成長するまでの間神々から守るため、クマルビの命によりイルシラ(クマルビの侍女に相当する女神達[2])の手で、ウベルリの肩に突き立てて海中に隠された[3]

1日に1アムマトゥ(40cm)、1月に1イクー(8400平方m)[1]成長するとされ、成長中の知恵もなく、目も耳も効かない状態ですら、イシュタルの誘惑やテシュブの攻撃を受け付けず、ついには天界のテシュブの住居にまで達するほどに成長し、神々の援護を受けたテシュブの攻撃すら退けた。

進退窮まった神々はエアに相談、エアは遥か昔に天地を切り分けた刃物(”Kuruzzi":鋸とも)[4]を用いて弱点であるウルリクムミの足を切断するように助言、それを受けたテシュブにより足を切り落とされたウルリクムミは、テシュブたちに憎悪の言葉を語りながら消えていった。

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 筑摩世界文学大系1 (1978), 古代オリエント集, 岩波書店, ISBN 4-480-20601-9