ダゴン

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ダゴンDagon)は、古代パレスチナにおいてペリシテ人が信奉していた神。名前の由来はヘブライ語のダーグ(魚)とアオン(偶像)ともダーガーン(穀物)ともいわれる。父親はエル。伝承によってはバアルの父とされる。魚の頭をもつ海神と考えられてきたが、近年の研究では農耕神であった可能性も強い[誰?]ガザアシトドに大きな神殿があった。

概説[編集]

旧約聖書によれば、ペリシテ人はイスラエルと戦い、勝利して契約の箱を奪ったとき、アシトドのダゴンの神殿にこれを奉納した。翌朝、ダゴンの神像は破壊され、ペリシテ人は疫病に悩まされたため、ペリシテ人は賠償をつけて契約の箱をイスラエルに返したとされる。破壊された神像は頭と両手が切り離されて魚のような体の部分だけが残っていたという。 近世ではミルトンの『失楽園』において「海の怪物」とされ、悪魔の一人に数えられている。ここではすでにダゴンは上半身が魚の半魚半人の姿をもつものとされる。

コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』においては地獄のパンの製造と管理を司るパン管理長の座に就いているとされる。

旧約聖書の中ではイスラエル人と敵対したペリシテ人の崇拝した神と悪神扱いされたが、これは何もダゴンに限らず。多くの神が悪魔に落とされている。古い神が次第に悪魔や怪物と貶められる事は、神話の世界では常にあることであり、もともとダゴンは邪悪な神ではなかったはずだが、ユダヤ教で悪神とされ、ユダヤ教から発生したキリスト教でも同様に扱いを受けたことから悪神として定着し、さらにクトゥルフ神話に取り入れられることになった。

クトゥルフ神話でのダゴン[編集]

クトゥルフ神話のダゴン

クトゥルフ神話でダゴンが取り入れられたのはハワード・フィリップス・ラヴクラフトが著作の小説「インスマウスの影」で半魚人である「深きものども」あるいは「インスマウス人」によって組織された邪悪な教団をダゴン秘密教団と呼び、ダゴンを神としていたところからである。

「深きものども」は、先住民カナカイ族と海の底に住む怪物であるダゴンの間に生まれた混血や、その末裔であり、インスマウスの住人はその血筋を色濃く残していると「インスマウスの影」では言及されていた。

「インスマウスの影」にもクトゥルフとの関係が言及されていたことから、ラヴクラフトも「深きものども」と共にクトゥルフに仕える存在としてダゴンを位置づけていたようである。

クトゥルフ神話では、ダゴンは何万年も生き、その姿は巨大で下半身は退化して魚のような鰭があると描かれる事が多い。

そして旧支配者クトゥルフに仕える従者(小神、従属神)として位置づけられ、クトゥルフ神話での知名度がもっとも高い邪神の1つに数えられ、しばしば妻とされるハイドラと共に登場する。

登場する作品[編集]