インド軍

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インド軍
インドの国章
派生組織 インド陸軍
インド海軍
インド空軍
戦略核コマンド・Integrated Space Cell
総人員
徴兵制度 なし
現総人員
財政
予算 461億2500万ドル(公称,2012年)
119億ドル(PPP,2012年)
軍費/GDP 2.5%(2012年)
関連項目
歴史
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インド軍(インドぐん、英語:Indian Armed Forces, デーヴァナーガリー:भारतीय सशस्‍त्र सेनाएं, Bhāratīya Saśas‍tra Sēnāēṃ)は、インド陸軍、インド海軍、インド空軍および、その他の準軍事組織を含むインド共和国軍隊である。インド軍の法律上の最高司令官は大統領だが、事実上の指揮権はインド政府のトップである首相が有している。インド軍の管理・運営は国防省 (Ministry of Defence) が担当する。

インド軍の正規兵力は陸海空軍と戦略核戦力部隊の約132万5000人と、予備役は合わせて約110万人である。世界で6番目の核保有国・原子力潜水艦保有国でもある。インドの準軍事部隊は、沿岸警備隊、アッサムライフル(5万人)、特別フロンティアフォース (1万人)で、以前は、準軍事部隊とされた政府武装警察部隊と、国境警備部隊、中央予備警察等を含む中央武装警察部隊(約77万人)や、民兵組織のホームガード(約135万人)は 2011年から準軍事部隊に含めないとのインド政府の公式見解である。

グローバル・ファイヤーパワー社発表の世界の軍事力ランキング2014年版によると、インドは世界第4位の軍事力となっている。 志願制を採用しており、徴兵制が行われたことは一度も無い。

近年は近代化を加速させており、軍事目的での宇宙開発、核の3本柱(Nuclear triad、ICBMSLBM戦略爆撃機(後述のように狭義のそれはインドは保有しない))の整備、ミサイル防衛システムの開発等々多岐にわたり、国防費は2012年度で461億2500万ドルで、年々増加傾向にある。

歴史

人員

組織 現役 予備役
インド陸軍 1,100,000[1] 1,800,000
インド海軍 55,000[1]
インド空軍 120,000[1]
準軍事組織

正規軍

インド陸軍

アージュン戦車

インド陸軍は現役113万人、予備役96万人の兵力を保有する世界第2位の規模の陸軍である。陸軍の主な任務は国の防衛だが、東北部やカシミール地方など国内の治安活動にも投入されている。

第一次印パ戦争、ポロ作戦(ハイデラバード侵攻)、中印国境紛争第二次印パ戦争第三次印パ戦争、スリランカ内戦、およびカルギル戦争に参加しており、さまざまな地形での豊富な戦闘経験を持っている。国連平和維持活動への参加も非常に積極的で、これまでにキプロスレバノンコンゴアンゴラカンボジアベトナムナミビアエルサルバドルリベリアモザンビークおよびソマリアで活動を行っている。朝鮮戦争では国連軍側で医療支援を行った。

近年は、T-90S戦車約1000両の購入およびライセンス生産を開始するなど、近代化が進んでいる。

インド海軍

建造中のシヴァリク級フリゲート

インド海軍は5000人の航空要員と2000人の海兵隊員を含む5万8千人と予備役5万5千人の兵力を保有している。現在、インド海軍は空母ヴィラートを含む155隻の艦艇を保有している。

近年は多くの艦艇の建造を進めており、その中には空母のヴィクラントヴィクラマーディティヤ(後者はロシアでの改装)や、弾道ミサイル原子力潜水艦アリハントが含まれている。

インドの海洋ドクトリンでは、災害時の近隣諸国への支援活動は海軍の重要な任務と位置づけられており、スマトラ島沖地震の救援活動では35隻の艦船を派遣している。

インドは災害援助のほかに、合同演習、各国訪問および人道支援のためにも海軍を活用している。これはインド海軍のブルーウォーター・ネイビー英語版として能力を高めるのにも役立っている。

2008年11月から、インド海軍は海賊対策のためにソマリア沖に艦艇を派遣して民間船の護衛を行っている。活動中に海賊との交戦が何度も発生しており、15隻の海賊母船を撃沈しているが、海賊に占拠された船を海賊船と誤認して撃沈した事例もある。

インド空軍

Su-30MKI戦闘機

インド空軍は約13万人の現役と予備役14万人、1500機の航空機を保有する世界第4位の規模の空軍である。装備する航空機は国産以外ではロシアアメリカイスラエルフランスイギリスなどさまざまな国から購入している。

保有する機材の多くが旧式機であることから、近年は陸軍や海軍と同様に近代化に力を入れており、Su-30MKI戦闘機280機をはじめ、MRCAプログラムで選定されたラファール等の外国製戦闘機126~200機や、準国産のテジャス戦闘機約200機など、非常に多くの戦闘機の導入を計画している。さらには旧式のジャギュア攻撃機・高等練習機のエンジン換装や各種電子機器搭載などといった、既存兵器の延命・近代化改修も積極的に行われている。

また、世界最先端を目指す第5世代戦闘機として、ロシアとの共同開発のFGFA(250機の購入を予定)や、独自開発のMCAの取得を進めている。

準軍事組織

インド沿岸警備隊

インド沿岸警備隊は、インド共和国の広大な海岸線を警備するために創設された海上の準軍事組織である。1978年8月18日に沿岸警備隊法により編成された。通常、指揮官は海軍中将が担当する。インド沿岸警備隊は、ホバークラフト水中翼船を含む多くの艦艇を保有しており、それらにより海と河川のパトロールを行っている。活動の際は海軍や税関と緊密に連携する。

戦略核戦力部隊

アグニ-Ⅱ弾道ミサイル

インド軍は核兵器を保有しているが、「核による先制攻撃と非核保有国に対する使用は行わない[1]」との方針を定めており、核兵器の保有はあくまで「核保有国に対する抑止目的」であるとしている。

現在のところインド軍の核兵器は、プリットヴィー、アグニ、シャウルヤ、ダヌシュなどの弾道ミサイルと、Tu-22M3(議論があるがSALT2では戦略爆撃機に分類されていない)、Tu-142(戦略爆撃機をベースにした対潜哨戒機)、Su-30MKI、ミラージュ2000MIG-29テジャスなどの航空機に搭載して運用されているが、2010年には原子力潜水艦アリハントが完成し、潜水艦発射型の弾道ミサイルの運用も開始される。また、2012年には、陸軍が中華人民共和国日本の全土を射程に収める地上発射型の弾道ミサイル「アグニV」の発射実験に成功した。これにより、インド軍はICBMSLBM戦略爆撃機からなる「核の三本柱」を完成させることになる。

インドは軍の戦略上先制核攻撃を行わない事を旨としているため、敵国の先制核攻撃に対抗するためのミサイル防衛システムの開発も進めている。

脚注

  1. ^ a b c d 外務省:インド”. 日本外務省. 2010年1月5日閲覧。

参考文献

関連項目