アルバート・ウェスカー

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アルバート・ウェスカー (Albert Wesker) は、カプコンのゲーム『バイオハザード』シリーズに登場する架空の人物。

ゲーム版をはじめ各媒体では名字の「ウェスカー」が通称や表記に用いられているが、本項では名前の「アルバート」で表記する(理由は#キャラクター設定を参照)。

登場作品
バイオハザード0 (以降、『0』)
バイオハザード (以降、『1』)
バイオハザード CODE:Veronica (以降、『CV』)
バイオハザード4 (以降、『4』)
バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ (以降、『UC』)
バイオハザード5 (以降、『5』)
バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ (以降、『DC』)
バイオハザードIII (以降、『III』)
バイオハザードIV アフターライフ (以降、『IV』)
バイオハザードV リトリビューション (以降、『V』)

公式プロフィール

  • 年齢:38歳(1998年当時『1』『CV』)→42歳(2002年当時『DC』)→43歳(2003年当時『UC』)→44歳(2004年当時『4』)→46歳(2006年当時『5』)→48歳(2009年当時『5』)
  • 血液型:O型
  • 身長:183cm→190cm(『5』)
  • 体重:84.5kg→90kg(『5』)
  • 趣味:フットボール、戦史研究

キャラクター設定

ラクーンシティ警察署特殊部門S.T.A.R.S.(スターズ)総隊長にして、同隊アルファチームのリーダー。生物工学に精通する知識を陸軍に買われて技術将校となり、アンブレラの要職を経てS.T.A.R.S.の中心人物として抜擢されたという、異色の経歴を持つ。

『CV』『4』『UC』『5』では、一部でプレイヤーキャラクターとして操作可能。また、後述するが自身に投与したウィルスに適応後には超人的な能力を得ている。『4』『5』や実写映画では強力な体術や弾丸避けも駆使しており、その強さは『マーセナリーズ』でも反映されている。さらに小説版『UC』では、リサ・トレヴァー以外のB.O.W.と同調し、意のままに操れた。『0』のウェスカーモードにおいてはピアノが弾けるという一面も明らかにされた。

性格としては、極めて冷静沈着で鋭い観察力と洞察力から感情よりも論理的な考え方を優先し、自らの野望の邪魔になるクリス・レッドフィールドを憎みながらも彼の能力の高さから陽動として動かす等、自らの目的や利益になるように利用したり、物事を別視点から観察して疑問を抱く様子等も見せており、そのことをうかがえる記述が『ウェスカーズ・リポートI & II』の中にある。有能な人間は一通り目を通す一面があり、『2』のファイルではレベッカを「期待のニューフェイス」と一目を置いていた。また、『5』では目的のためなら手段を選ばない一面も見せており、自分以外の人間を利用するだけ利用して用済みとなれば平然と切り捨てる等、きわめて冷酷非情な性格となっている。

目は元々青目だったが、死亡を経て蘇生を果たした『CV』では赤く発光する黄色目となった。しかし、蘇生した経緯が描かれている『UC』では赤く発光するも目は青目だった。また、『CV』以降の『DC』でも青目のままになっている。それ以降の『5』では黄色目。

生い立ちに関しては、『5』でオズウェル・E・スペンサーの口から「ウェスカー計画」という、アルバート自身も知らなかった事実が語られる。スペンサーはウィルスを使った強制進化で自らが新人類の創造主となる野望を成就するため、完璧な肉体と頭脳を持つ従順な被験者を育成することを計画し、世界各地から才のある子供を集めてその全員に「ウェスカー」の名を与え、アンブレラによる庇護や極秘裏の監視下で英才教育を施した後、全員に様々な手段で謎のウィルスを投与させ、生き残った者を次の段階へ移行させようと目論んだ(同期でライバルのウィリアム・バーキンからアルバートが受け取ったウィルスも、実は自身に投与させるための策略であった)。しかし、この実験はアルバートを除くほとんどのウェスカーが死亡するという結果に終わり、アークレイ研究所で発生した生物災害事件(「洋館事件」)のトラブルも重なって計画は頓挫してしまう。唯一のウェスカーとなったアルバートの資質と成長にスペンサーは満足していたが、真実を知ったアルバートは自らがスペンサーの野望に取って代わることを決意し、彼を殺害した(アルバートいわく「貴様はその器ではない」)。

作品によっては主人公を務めることもある、ダークヒーロー的な存在とされている。また、『UC』ではプレイヤーキャラクターだけでなくナレーションも務める。

人物関係

G-ウィルス開発者のウィリアム・バーキンとは、アンブレラ所属当時に幹部養成所で知り合って以来、ライバルにして友人である。共にアークレイ研究所で主任研究員を勤めてから約10数年間はt-ウィルスの研究に勤しむ一方、アルバートが情報部へ転属した後も関係は続いていたようであり、その後もアンブレラ事件が発生するまで20年間続いている。アルバートが情報部へ転属した後にアンブレラからの離反を考えていた際、ウィリアムはそのことを知っていたが、「バカな裏切り」と評しながらも本社へ報告しなかったことから、彼なりにアルバートへの友情は持っていた模様。なお、逆にアルバートがウィリアムに対して本当の友情を持っていたかは不明である。

クリス・レッドフィールドとは、1998年に発生した洋館事件以来、自分の計画を邪魔されるだけに終わらず離反先の組織から無能の汚名を着せられる羽目になったため、逆恨みする形で彼を憎んでおり、この因縁は2009年のアフリカでクリスに打倒されるまで続いている。その一方、クリスの技量や戦闘力に関しては誰よりも高く評価しており、自らの目的のために陽動に利用したこともある(詳細は#バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ/「アンブレラ終焉」を参照)。

エイダ・ウォンとは、ラクーンシティ事件でのG-ウィルスの回収のために協力して以来、長らく接触し合うことが多かったが、本当の意味での信頼関係や仲間意識などは皆無だったようで、各自の目的のために上辺だけで手を組んだに過ぎない。2004年に南欧で発生した事件以降はエイダが離反したため、関わりが途絶している。

RV2』の黒幕であるアレックス・ウェスカーは、ウェスカー計画のもう1人の生き残りである。血縁こそないものの、アレックスはアルバートを兄のような存在と捉えていたが、アルバートがアレックスをどう思っていたかは明かされていない。

レオン・S・ケネディに関しては、直接の面識はないが、先述の南欧におけるエイダの報告を通して一目置いており、ジャック・クラウザーを撃破したことで実力と強運を認め、「それなら、サドラーにもダメージを与えることが出来る」と高く評価していた。

ジェイク・ミューラーは、アルバートの実の息子である。ジェイクの年齢から計算すると、アルバートがアンブレラに籍を置いていた頃にジェイクは生まれているため、それ以前にアルバートはとある女性と関係を持っていた時期があったことになるが、ジェイクが生まれた時点でアルバートはその女性との縁が途絶えていたため、ジェイクとは明確な親子関係も面識も存在していない。また、ジェイクのことを認知していたかも不明である。

作中における行動

洋館事件前の経歴

元々、アルバートは生物工学を専門とした科学者であったが、1970年代にはアンブレラの幹部養成所に幹部候補社員として所属する。しかし、アンブレラ現総帥であるスペンサーの指揮下で黙々とt-ウィルスの研究を続けていくうち、アルバートは次第に「アンブレラをも超え、世界の頂点に立つ」という野望を秘めるようになっていった。

アルバートはウィリアムと共謀し、当時自らが所属していた養成所の所長であると同時にアンブレラ内でスペンサーと権力闘争を繰り広げていたジェームズ・マーカス博士を殺害すると、スペンサーの下でその地位を確固たるものとした。

ウィリアムがマーカスの研究を引き継ぎ、研究を続けていたt-ウィルスが完成の域に達した頃、科学者としての限界を感じ始めたアルバートは、諜報部に転属すると同時にライバル企業へ転身する機会を伺うようになる。

バイオハザード0/バイオハザード

1996年にアンブレラの計らいでS.T.A.R.S.隊長に就任したアルバートは、その2年後の1998年に洋館事件を利用してライバル企業への手土産とするt-ウィルスや、それによって生み出されたB.O.W.(バイオ・オーガニック・ウェポン)とS.T.A.R.S.を戦わせた実戦データを回収しようと画策する。先遣隊として洋館へ派遣させたブラヴォーチームを乗せたヘリコプターが墜落するように仕向け、クリス(もしくはジル・バレンタイン)の活動も虚しく隊員が次々と命を落とす裏で暗躍しながら、B.O.W.の実戦データを回収していく。計画に気付いたエンリコについては自らの手で射殺し、その上で計画をより完璧なものとすべく、アルファチーム隊員のバリー・バートンに家族を拉致したという旨を告げて脅迫し、自らの手駒とした(実際には拉致していない。家族を愛するバリーの心に付け入ることは容易であろうというアルバートの独断による)。最終的には研究所で自分の正体を突き止めたクリスやジルらの面前で、t-ウィルスが生み出した究極兵器「タイラント」(T-002型)による死を偽装するも[1]、クリスやジルによってタイラントを倒されたために失敗する。アルバートは力尽きる直前、予めウィリアムから貰っていた詳細不明のウィルスを注入しており(『5』にて、スペンサーの差し金による試作段階のウィルスと判明する)、それによって得た超人的能力で死の淵から復活すると、ゾンビやリサ・トレヴァーを退けて洋館から脱出した。

なお、『1』ではジル編のバリー生存ルートでのみタイラントに殺害されず、バリーに気絶させられた後はタイラントとの戦闘終了後に起爆装置を作動させている。その後、通常の攻略(寄り道をせず、クリスを救出するか無視して非常脱出口へ向かう)を進める場合にはアルバートは登場しないため、ルートによっては彼の安否は不明とも取れる描写だった。しかし、実はこのルートの場合でもアルバートは起爆装置の前で死亡したとされ、『1』の発表時点では明確に死亡している人物であった。このため、「アルバートは安否不明」と誤解したプレイヤーもおり、平野耕太は漫画『進め!!聖学電脳研究部』にてアルバートを安否不明とした上で『2』でバリーとレベッカ・チェンバースが生存していることを受け、「安否不明のキャラは生存となるのであれば、明確な死が描かれていない彼も生存し再登場するのではないか」と考察していた。

ゲームキューブによるリメイク版のジル編(バリー生存ルートの場合)は、バリーに撃たれたあと、「二人そろって地獄へ行け」と言ってタイラントを起動させるものの、アルバートはタイラントによりはじき飛ばされてしまう。タイラントとの戦闘後、アルバートを調べると「哀れな死に様だ…。」と表示されるが、ジルがバリーのもとへ駆け寄って彼が目を覚ますと、アルバートは忽然と姿を消しているという展開になる。

バイオハザード2

作品自体には登場しない(ファイルや登場人物たちの会話の中で、名前や写真が登場するのみ)。

アルバートは一度死亡したことによって、アンブレラのライバル組織「H.C.F.」のメンバーとなったが、アンブレラ幹部のセルゲイ・ウラジミールの根回しから制御コンピュータ「レッド・クイーン」に妨害され、洋館事件の際にタイラントを始めとする十分なサンプルを持ち帰れなかったため、「H.C.F.」の人間からは無能という彼にとっては不名誉なレッテルを貼られる羽目になってしまう。その後は名誉を挽回すべく、ウィリアムの手によって完成していたG-ウィルスの奪取を目論む(この様子は、『UC』で描かれている)。さらに同組織のエイダ・ウォンと平行してウィリアムも自分の組織側に引き入れようと暗躍するも、先にアンブレラのハンク率いる特殊工作部隊U.S.S.がウィリアムを襲撃に踏み入れてしまい、その影響でウィリアムがG-生物となってしまったため、頓挫してしまい、そこへレオン・S・ケネディクレア・レッドフィールドによって更なる妨害を受け、自身でのサンプル奪取にはまたしても失敗する。しかしその後、レオンやクレアの去った後に残っていたG-生物の死骸からエイダに採取させた組織片から抽出されたG-ウィルスを入手したことで、ようやく無能の汚名を返上する。

バイオハザード3

ゲーム本編では登場しないが、小説版『UC』では、アルバートがネメシスを裏でコントロールしていたことが判明し、レオン達が遭遇したタイラントもコントロール可能だと描写されている。なお、B.O.Wと同調する際にはその感覚を共有でき、B.O.Wが受けた痛みはアルバートにも伝わる。

バイオハザード CODE:Veronica

ラクーンシティでのG-ウィルス入手から数ヶ月後。「H.C.F」で活動を続けているアルバートはG-ウィルス入手だけで満足せず、次なる2つのターゲットを決める。

1つ目はラクーンシティ壊滅後にアメリカ合衆国当局に保護されていた、シェリー・バーキンである。G-ウィルス以外にもウィリアムによって生み出された何かが彼の娘であるシェリーに隠されていると考え、当局の警戒を潜り抜けて身柄を抑えることに成功する。

2つ目はかつてウィリアムを大いに苛立たせたほどの天才、アレクシア・アシュフォードが生み出した、t-Veronicaウィルスである。t-Veronicaを奪取すべくロックフォート島や南極基地へ侵入するが、アレクシアをサンプルとする予定だったところを、t-Veronicaと適合した彼女の戦闘能力が想像以上の高さだったことや、遭遇したクリスとクレアによる妨害のために失敗してしまう。しかし、その後にt-Veronicaを投与されたスティーブ・バーンサイドの遺体をサンプルと決め、t-Veronicaの入手に成功する。脱出間際にはクリスと1対1での決闘を行うが、倒壊に巻き込まれて顔を負傷して撤退したため、この場で決着は付かなかった。

バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ/「オペレーション・ハヴィエ」

南極研究所での任務から4年後の2002年。

作中への登場はわずかだが、作中で読み取れる文書ファイルによると、本作開始1年前の2001年頃に南米の麻薬王、ハヴィエ・ヒダルゴに接触している。ハヴィエへはt-ウィルスやt-Veronica等のウィルスだけでなく、イビーやプレイグクローラー等数種類のB.O.W.も売り渡しており、それによってクリーチャー化したハヴィエを相手に戦うレオンとジャック・クラウザーの姿を、終始遠くから観察していた。

また、本編の終了後には軍を除隊したクラウザーがアルバートに接触し、彼の所属するH.C.F.に加わったことが判明する。

バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ/「アンブレラ終焉」

南米での事件から1年後の2003年。

アンブレラ倒産直前のロシア支部にアンブレラの機密データが集中していることを知る。クリスのことは相変わらず憎んでいるが、その一方で彼の能力を誰よりも高く評価していたため、ロシア政府にあえてアンブレラの新型B.O.W.開発の情報を流してクリス達を誘き寄せ、陽動に利用して機密データの奪取計画を立てると、内通していたロシア支部の研究員にt-ウィルスを漏洩させ、施設内にバイオハザードを引き起こした。その後t-ウィルスに汚染されたロシア支部コーカサス研究所に単身で乗り込み、怪物化したセルゲイを倒す。その後、レッド・クイーンからアンブレラのデータを奪取してレッド・クイーンそのものを消去し、クリス達と遭遇する前に立ち去った。

また、クリス達が到着する前に予め下準備を整えておいたなど不審な点も目立つが、小説版『UC』ではロシア政府が彼らに仕掛けていた盗聴器を傍受していたことが判明している。

最後には、ラクーンシティ事件以来から国を相手どったアンブレラ裁判にコーカサス研究所で得たB.O.W.などのデータを提出したことでアンブレラの全面敗訴が決定し、同社を完全崩壊に追い込んだ。

バイオハザード4

アンブレラ倒産後から1年後2004年。

活動を続けていたアルバートは、H.C.Fに在籍しながらアンブレラの復活に向けて動き始めると、スペインを根拠地として活動を続けるロス・イルミナドス教団の持つ寄生体「プラーガ」を狙い、エイダやジャック・クラウザーを派遣する。その頃、誘拐されたアシュリー・グラハムを捜索すべく訪れたレオンによってまたも計画を妨害されかけるが、最終的にエイダはサンプル回収に成功している。

しかし、『エイダズレポート』に「組織の命令によりアルバートには別の物をプレゼントした」という旨の記述があることから、実際にはエイダの裏切りに遭ったために従属種プラーガのサンプル入手にとどまったことがうかがえる。『4』終了時点で支配種プラーガはアルバートの手元には渡っていなかったが、その後にはとある入手経路によって「死んだ支配種プラーガ」の獲得に成功する。『5』の時点でサンプルを用いた応用実験の数々を成功させた経緯は不明のまま、このレポートの内容にも謎が多い。立場上エイダよりも上であるが、H.C.F上層部からの信頼はエイダよりも薄い。

アンブレラ終焉後及び『バイオハザード5』の3年前『Lost in Nightmares』

南欧での事件から2年後の2006年。

アンブレラ崩壊以来、行方をくらまして隠遁生活を送っていたスペンサーの居場所を突き止めると、スペンサーから彼の野望とアルバートの出生の秘密を聞かされた後に、野望を引き継ぐことを宣言し、殺害する。その直後、同じくスペンサーの捜索に訪れたクリスとジルの襲撃に遭うも、超人的な身体能力(発射された弾丸を視認してから回避、ほぼ瞬間移動のような高速移動、クリスやジルを遥かに凌駕する筋力など)で2人を圧倒してクリスに止めを刺そうとしたが、ジルの決死の突進により失敗し、彼女と共に屋敷の窓から谷へ落下して行方不明となる。しかし、実際は死亡してはおらず、普通なら落ちれば助からない高さを超人的な能力で崖を滑り、落下速度を抑えながらジルを殺さずに回収していた。そのままジルをトライセル社へ運び、ウロボロス・ウィルスの研究に利用していく。

バイオハザード5

スペンサー邸でのクリス達との交戦から3年後の2009年。

トライセル社アフリカ支社長のエクセラ・ギオネと共に、アフリカで起きたバイオテロの裏で暗躍していたが、今作では超人的な身体能力を引き起こす源となっている体内のウィルスは不安定であり、専用の安定剤「PG67 A/W」で抑制していることが判明する。

トライセル、エクセラ、ジルを利用し、t-ウィルス、G-ウィルス、t-Veronicaウィルス等に見られる過度の変異、精神汚染に伴う自我と理性の喪失、制御面での問題を克服させた上、各ウィルスを上回る脅威であるウロボロス・ウィルスを完成させて世界中へ拡散させることで、自身と同じくウィルスに選ばれて生き残った人間のみによる秩序が築かれた新世界を作り出そうと画策する。やがて、エクセラを裏切ってウロボロス・ウィルス搭載ミサイルを積載した爆撃機を離陸させることには成功するが、クリスと彼の新たなパートナーであるシェバ・アローマに阻止されて火山へ墜落し、計画は失敗する。上空から地上へ激突しても死なずに済むなど人外の耐久性は健在のようであり、計画を妨害されたことへの憤怒と憎悪からウロボロス・ウィルスを自身に取り込むと、暴走状態を発生させてクリスとシェバへ襲い掛かるが、2人からの攻撃を受けて多大なダメージを負ったところで突如、足場が崩れて溶岩流の中へ沈む。脱出しようとするヘリコプターを、熱さにもがき苦しみながら溶岩流へ沈めようとあがくが、最後は機内のクリスとシェバからRPG-7の攻撃を受けて完全に倒された(カプコンの川田将央プロデューサーは「アルバートは死亡した」と公言している)。

バイオハザード リベレーションズ2

『5』で死亡したため、登場こそしないが、オズウェル・E・スペンサーが推奨したウェスカー計画での選別を生き残ったもう一人のウェスカーである女性、アレックスと深い交流があったことを伺わせる文章がいくつか登場しており、さらに彼女と共に並んで描かれた肖像画が登場している。作中ではアレックスが兄のように扱っているが、実際に血の繋がりがある訳ではない。

バイオハザード6

『5』で死亡したために本作では登場しないが、前作でのアルバートの動向について触れられるシーンが散見される。また、自身へウィルスを投与する以前の時期にとある女性との間にもうけた、息子のジェイク・ミューラーが登場する(時期については不明だが、アンブレラに籍を置いていた1993年前後であることがジェイクの年齢からうかがえる)。しかし、ジェイクとの間に親子らしい出来事は存在せず、彼はシェリーと出会うまでアルバートのことはおろか、顔すら知らずにいた。また、アルバートがジェイクの存在を認識していたかについては不明であり、相手の女性と出会うまでの経緯や、ジェイクらの元を去った時期も明かされていない。作中で閲覧できるファイルによると、その女性はアルバートの悪口を言うジェイクを厳しく叱っていたことから、アルバートに捨てられた後も彼を愛していたことがうかがえる。 また、どの始祖系統のウィルスにも耐えうる抗体の持ち主である事が判明しており、間接的にではあるが新型のC-ウィルス強化に利用されたこともあった一方で、世界をC-ウィルスの脅威から救える鍵となっていたりと、死後も多大な影響力を残していた事が伺える。

実写映画

バイオハザードIII

本作では、坊主頭に近い髪形。作品そのものがゲーム版とはパラレルワールドに当たるため、アルバート自身もアンブレラを抜けてはいない。生き残ったアンブレラ関係者で最高の地位にあるらしく、作中の会議では議長を務めている。北米支部のサミュエル・アイザックスにアリス計画とアンデッド飼い慣らし研究を進めさせていたが、彼の独断専行などは警戒している(事実、アイザックスはアルバートの声を加工し、自分に都合の良い命令を偽造していた)。ラストでは、東京の地下へ拠点を移していたことが発覚する。

バイオハザードIV アフターライフ

東京の地下要塞を拠点にt-ウィルスの研究とアリス計画の指揮を行っていたが、冒頭でクローン達を率いたアリス・アバーナシーの襲撃を受けると、特殊爆弾で要塞ごとクローンアリス達を一掃し、自身だけは飛行機で逃亡する。飛行機内では密かに乗り込んでいたオリジナルのアリスと対決して彼女へt-ウィルスの中和剤を投与し、超人的能力を奪うと同時に中和剤の影響で戦うこともままならない彼女を追い詰めるが、それに気を取られて富士山への墜落を止められず、重傷を負う。しかし、自身の肉体にT-ウィルスを投与したことで、一命は取り留める。その後はアリス達が感染の恐れのない安住の地と信じていた船「アルカディア」を拠点に、各地から無線で呼び寄せた生存者達(台詞によると約2000人)を捕らえて研究の実験台にしていた。T-ウィルスの影響が強すぎて能力的にはゾンビやマジニを遥かに超越する力こそ得たものの、肉体自体は不安定となる。研究の実験台にするはずの生存者を食い殺してはそのDNAを取り込むことでかろうじて安定を保っていたが、それでも完全ではなく瞳孔は爬虫類のような形へ変貌し、赤く発光するようになった。そのため、アルバートを恐れたアルカディアの乗組員達には全員逃亡されてしまう。

東京での戦闘以降、アンブレラの衛星監視システムを用いて監視していたアリスがレッドフィールド兄妹と共にアルカディアへ現れると、先述の乗組員達に代わる新たな部下にしたベネットや、ペットである2匹のアジュレと共に迎え討つ。これまでの実験で唯一T-ウィルスに完全対応したアリスのDNAを取り込むことで自らの肉体を安定させようと、『5』での自らのような弾丸避けや高速移動などの超人的能力で彼女達を窮地へ追い詰めるが、敗れる。しかし、アリス達が去った後には脅威的な生命力によって蘇生を果たすと、ベネットを食い殺して傷を回復させ、再び飛行機で逃亡してアルカディアを特殊爆弾で一掃しようと謀るが、特殊爆弾はアリスによって機体の中へ移されており、飛行機そのものが爆破される。その直後、飛散する飛行機からはパラシュートが降下していく。

小説版『V』では、上記の飛行機爆発の際に爆死したアルバートはクローンだと本人に語られている。

バイオハザードV リトリビューション

前作の戦いから生き長らえていたが、自身が離れている間にアンブレラ本社がクローン兵やアンデッドを従えるレッド・クイーンに乗っ取られていた上、更にその最終目的が人類抹殺及び生態系の淘汰であることを知り、エイダ・ウォンをはじめとする部下達と共に逃亡・訣別した。世界中から生存者を集めてワシントンD.C.ホワイトハウスを要塞へと改造し、人類軍の指導者となる。

人類対B.O.W.の最終決戦に備え、切り札としてアンブレラに監禁されたアリスを救助するよう、レオン・S・ケネディら腕利き達と交渉してロシアの地下施設へ突入させる。レオン達に連れられて帰還したアリスと対面すると、「彼女こそが人類最強の兵器」と評してT-ウィルスを再投与して能力を返し、アンブレラ社と人類との最終戦争の幕を上げた。

その他の登場作品

『MVC3』での技一覧

特殊技

サムライエッジ
手持ちのハンドガン(サムライエッジ)を撃つ。方向キーによって上段と下段に撃ち分けることができ、空中でも使用可能。
ヒット・ガードを問わず、高速翻身に派生可能。

必殺技

先崩掌打(せんほうしょうだ/Cobra Strike)
本家のミニゲームである『THE MERCENARIES』でお馴染みの掌打を放つ。
『UMVC3』より、ボタンを追加入力すれば高速翻身に派生可能となった。
『Ⅴ』ではレイン・オカンポのクローン(戦闘員)がこれに酷似した打撃技を使用しており、ルーサー・ウエストを殺害し、アリス・アバーナシーをも一時瀕死状態に追い詰めている。
覇砕双剛掌(はさいそうごうしょう/Ghost Butterfly)
両手で放つ強力な掌打。こちらも高速翻身に派生可能。
高速翻身(こうそくほんしん/Phantom Move)
本家で見せた高速移動によるワープ技。
迅速移動(じんそくいどう/Jaguar Dash)
一瞬構えた後、残像を伴いながら前方にダッシュする突進技。先崩掌打や轟砲膝へ派生可。
轟砲膝(ごうほうしつ/Jaguar Kick)
迅速移動の派生から放つ膝蹴り。
昇甲掌打(しょうこうしょうだ/Tiger Upper Cut)
両手を光らせながら構える当て身技。
猛衝脚(もうしょうきゃく/Mustang Kick)
相手を掴んで攻撃するいわゆるコマンド投げ技。

ハイパーコンボ

鎖巡型(さじゅんけい/Phantom Dance)
サングラスを外し、画面全体を縦横無尽に駆け回る。
使用後は裸眼状態となり、『UMVC3』ではキャラクター性能がアップする。
獄突(ごくとつ/Raino Charge)
当て身技。成功すると、閃光を纏った貫手で貫く。
連環殺(れんかんさつ/Lost in Nightmare)
Lv3専用ハイパーコンボ。その場で打開を繰り出し、ヒット時は高速で無数の打撃を浴びせ、最後に空中からウロボロス・ウィルスを仕込んだミサイルを投げ落とす。
技名の「連環」とは、このウロボロス・ウィルスを指している。

ウェスカーを演じた人物

声優
  • Selgio Jones(『1』)
  • リチャード・ウォー(『CV』『0』『4』)
  • Peter Jessop(『1』(リメイク))
  • D.C.ダグラス(『UC』『5』『DC』『MvC3』『UMvC3』)
  • 立木文彦(実写映画日本語吹き替え版【ソフト版】)
  • 中博史(実写映画日本語吹き替え版【日曜洋画劇場版】)
  • 大塚明夫(実写映画日本語吹き替え版【日曜洋画劇場版】)
  • 中田譲治(『MvC3』『UMvC3』(日本語音声)、『1』『0』HDリマスター日本語吹き替え)
俳優

出典

  1. ^ 一旦死亡したことにしたほうが、アンブレラの目をくぐれるという計算もあった。