タイラント (バイオハザードシリーズ)

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タイラント:Tyrant)は、カプコンのゲーム『バイオハザードシリーズ』に登場するクリーチャーの一種である。

なお、本項ではシリーズ作品のタイトル名を、バイオハザードシリーズの登場人物に倣う形で略記している。

概要[編集]

ゾンビと同じく、アンブレラによる狂気の研究を象徴するクリーチャー。人間の成人男性をベースにウィルスを投与し、様々な肉体強化を施して製造された究極のB.O.W.である。英語やギリシャ語で「暴君」を意味するその名にちなむ圧倒的な戦闘能力と生命力に加え、任務を遂行する兵士としての行動が可能な知能をも有する。『バイオハザード5』によると、タイラントの開発は1988年にウィリアム・バーキン主導による「T-ウィルス計画」によって始まったとのこと。

シリーズのほとんどにタイラント、またはそれに準ずる亜種が登場するが、本編内での登場回数は作品によって差異がある。なぜか心臓は左ではなく右に存在する。どの個体にも共通して言えることは、生命の危機に瀕すると暴走することや、それによって身体そのものをも変化するということである。大抵の場合、特殊な手段を用いなければ止めを刺せない。

多大なダメージを受けることにより、リミッターを解除して「スーパータイラント」に変化する個体も存在する。この際、耐久力、攻撃力、俊敏性、凶暴性などが大幅に向上し、外見にも変化が現れる。

ちなみに、ゾンビから突然変異的に生まれたリッカーを野生のタイラントとして捉える向きもある[1][2]が、以降は亜種も含めて記述しない。

また、『UC』(小説版を含む)でタイラントの素体となった成人男性は、タナトスを除く全てがアンブレラ社幹部のセルゲイ・ウラジミール大佐のクローンであることが判明した。これは、セルゲイが1000万人に1人の確率で存在するウィルス完全適合者だったことにより、タイラントの素体として最適な身体であったためである。

余談ながら、t-ウィルスの特性として、別種のウィルスの性質を組み込むことが容易という点があり、T+G、t-Abyssなどの亜種が開発されている。これら新種ウィルスによる特に強力なB.O.W.の中にも、均整が取れた大理石の彫像のような、タイラントに通ずる意匠の直立二足歩行型クリーチャーが多く見られる。

種類[編集]

プロトタイラント[編集]

初登場作品:『0』

タイラントの試作品。コードNo.「T-001」型。被験者の体内に注入されたT-ウィルスが極度に作用した結果、アンブレラ社の求める基準に達するほどの知能を獲得できてはおらず、皮膚の腐敗もかなり進行しているため、完成目前であったものの、データ収集後に廃棄処分されていた。しかし、廃棄後もその驚異的な生命力で生命活動を継続し、不安定な状況で活動していたため、遭遇時には暴走状態にある。敵と認識した者を発見すると素早く接近し、異常発達した右手の馬上槍のような鋭い爪で攻撃を仕掛ける。完成版であるT-002型(後述)と同じく心臓が外部に露出している上、皮膚の腐敗が進んでいることから、脊椎までもが露出している。知性も外見も失敗作ではあるが、身体能力自体は完成版と差異はなく、試験段階で当初の目標をクリアしていた。

タイラントT-002型[編集]

初登場作品:『1』

アンブレラの開発目標であった「究極の生命体」を体現したB.O.W.で、コードNo.「T-002」型。プロトタイラントから収集したデータを基に研究を続け、T-ウィルスを効果的に作用させることで完成した、アークレイ山地の研究所製タイラントの完成第1号である。戦闘能力重視の設計により、人間ベースのB.O.W.としては究極の完成品であり、兵器としての戦略価値は絶大なものであった。そのため、誕生時にはT-ウィルスの象徴的な頭文字「T」を加えた「タイラント(Tyrant/暴君)」という正式名称を与えられた[3]

プロトタイラントでは失敗してしまった複雑な任務を遂行する知性の維持に成功しており、優れた思考能力を有する。戦闘能力や耐久力、俊敏性も圧倒的であり、その戦闘能力は暴走時には完全武装したU.B.C.S.(アンブレラ・バイオハザード対策部隊)の一個小隊(30人編制)を全滅させるほどである[4][5]。また、自身が危機に瀕した場合はリミッターを解除することで「スーパータイラント」へと変化する機能を有するが、これは当初想定されていなかった[3]

外見的にはプロトタイラントと繋がる部分が多く、剥き出しになった心臓や、異常に発達して長く伸びた左手の爪などが特徴。しかし、プロトタイラントと違って皮膚の腐敗は進んでおらず、高い耐久力を実現している。

これらの優れた能力を発揮するには、膨大な戦闘データを必要とする。そのため、研究チームの間では実戦テストが急がれていた。そういった所以から、ラクーンシティ警察署「R.P.D.」の特殊部隊「S.T.A.R.S.」隊員との実戦テストが考案された[3]。相手が精鋭であったためにT-002型は撃破されたものの、予想以上の有力データをアンブレラは得ることとなり、それは後のタイラント発展型や亜種開発へ活かされた。体色はグレー。SS版のクリス編では黄色い体色の別個体も存在する。

スーパータイラントT-002型[編集]

肉体にダメージが蓄積し、生命の危機に瀕したためにリミッターが解除され、暴走状態となったタイラントT-002型。通常と比べて体色は赤みを帯び、爪が非常に長く大きくなっている。一切の制御を受け付けなくなったが、戦闘能力や耐久力はそれ以前と比較にならないほど、向上している。グレネード弾をものともせず高速で相手に急接近しては、肥大した爪で薙ぎ払うという戦法を取る。また、リメイク版『1』では一度だけロケットランチャーの弾を弾き返す。

タイラントT-103型[編集]

初登場作品:『2』

T-002型のデータを元に、より人型に近付けたタイラント。初期型タイラントの特徴である爪が無い。タイラントT-002型の新陳代謝機能を増大させることで、高い回復能力を有している。身長は普通の人間を遥かに上回り、肌は彫像の如き灰色であるが、その2点を除けばスキンヘッドの人間そのものである。着用しているモスグリーンのトレンチコートは防弾対爆仕様で、暴走を抑えるリミッターでもあるが、その最大の役割は人間への擬態。

『GS』によると、量産のために「βヘテロ・ノンセロトニン」という物質が使用されているが、その抽出方法は第2次性徴期後期の若者の頭蓋骨を麻酔せずに切り開き、脳の下垂体を切り取るというものである。この物質は活性化細胞の中にしか存在しないために脳死状態の人体からは抽出できず、それに加えて脳が強烈な苦痛やストレスを感じた時に過剰分泌されるノルアドレナリンに反応する性質があるため、必然的に前述の非人道的な抽出方法に至っている。これは現場で抽出措置を行うスタッフにとっては多大に精神的苦痛を受けるものであり、彼らからは上司のビンセントに対して手術前に麻酔を掛けるよう要請があったが、却下されている。また、脳に何らかの疾患がある者は分泌自体が正常に行われないのか、抽出措置の対象からは外されている。ラクーンシティでも製造されていたようだが、本来の量産はシーナ島で行われており、目的地へは主にヘリコプターで空輸される。ラクーンシティには5体ないし6体が投入されており、1体はG-ウィルスを回収するためにR.P.D.へ、残りは米軍のG-ウィルス回収部隊を迎撃するために送り込まれた。

動きは遅いものの腕力は優れており、起動時にコンピュータを使うことで、ある程度は敵味方の識別と能力の調整も可能であることから、『OB2』では短期間だけプレイヤーの護衛役となる。強靭な生命力を有しており、一定のダメージを受けると気絶する(『DC』では片膝を突いて動かなくなる)が、短時間で回復・復帰して敵を追い詰めるため、どこまでも執拗に追跡する。しかし、知能はさほど高くなく、基本的な攻撃方法は怪力に任せて殴るだけに留まる。また、ドアの開閉を理解できないため、壁を破壊したりドアを力任せにこじ開けるといった方法で現れることも多い。ただし、作品によってはこちらの攻撃への防御行動も見せており、一概に知能が低いとは言い難い面もある。

生命の危機に陥らずとも暴走することがあるが、全てのT-103型のリミッターが解除されるわけでもない模様。

『2』では裏シナリオのみに登場する。溶鉱炉へ落ちて生命の危機に瀕したため、スーパータイラント化する。

『CV』でロックフォート島に配備されていた個体は量産型であり、U.S.S.訓練用に島に運び込まれていた[3]。しかし、既にスーパータイラント状態であった。

『OR』では『2』の裏シナリオでスーパータイラント化したT-103と戦う。

『DM』では『2』に登場した個体と酷似したタイラントが登場する。製作者であるスベトラーナが切り札として大統領邸地下に保管していた個体であり、本作では数体が使用される。従来の個体以上に大型となり重量も増しているが、走行も可能である。攻撃力も健在であり、数体のリッカーを容易く殺害する。いずれもスベトラーナの命令通りに行動しており、先述の走行力で対象を執拗に追跡する。スーパータイラント化後はさらに強化されており、リッカーを一撃で薙ぎ払ったり、進行する戦車を正面から怪力で押さえ込むほか、レオンの射出したロケット砲弾を片手で掴み取りその推進力を利用して彼へ撃ち返す、戦車砲の仕組みを即座に理解して発射前の時点で回避するなど、従来の個体には見られない知能向上も見られる。

海外版での通称はMr.X(ミスター・エックス)。

スーパータイラントT-103型[編集]

リミッターであるトレンチコートを解除し、肉体を変化させたタイラントT-103型。その姿はもはや人間からかけ離れて一回りも巨大化したものとなり、T-002型では左腕のみだった巨大な爪が本型では両腕(片手に4本、合計8本)に出現し、その形状はより鋭くなっている。また、右胸に露出した心臓は装甲のような皮膚に覆われている。ただし、腕力は今までの半分程度に落ちているため、総合的な攻撃力は肉体変化前と変わらない。

『3』では終盤の研究所地下において米軍との戦闘で相討ちとなった死骸が登場するが、天井を突き破って出現した追跡者/ネメシス-T型の第3形態がジルの攻撃で大ダメージを負った後、回復しようとする際の食料として貪り食われてしまう。ただし、キャラクターではなく背景なので、貪り食われる際も見た目の変化はない。

『DC』では「滅びし町の記憶」の最終チャプターにて登場する。『2』と同様の攻撃に加え、ロケットランチャーの弾を弾き飛ばしたり、列車を腕力で動かして強制発車させる。

タイラントR[編集]

初登場作品:『OB2』

正式名称は「タイラントリボーン」。量産型タイラントの別系統パワーアップ形態。肥大化した肉体や両手に形成された巨大な爪など、容姿はスーパータイラントと共通する部分が多いが、爪の本数が多い(片手に5本、合計10本)などの差異が見られる。身体能力は格段に向上しており、攻撃力の低下も見られない。近距離では爪を真横に何度も振り回す即死技の「メガスラッシュ」を、少し離れればタックルを繰り出してくる。体色は上半身が灰色で、下半身が緑。また、急激な変異ゆえにタイラント自身の肉体にも多大な負荷がかかるようで、変異の際には激しく吐血するなど苦しむ様子が見られる。

『UC』では、隠しシナリオ「瀕死」にて登場する。ラクーンシティ脱出を目指すエイダ・ウォンとの激闘を繰り広げた。

タイラントC[編集]

初登場作品:『OB2』

正式名称は「タイラントカスタム」。量産型タイラントの中でも最強の力を誇る。赤いコートを着ており、頭には角が生えているなど、外見も他の量産タイプとは異なる。攻撃方法はタイラントRに準ずる。その動作速度は尋常ではなく、近距離でメガスラッシュを放たれれば即死は必至である。

タイラント091[編集]

初登場作品:『GS4』

新型のウイルスであるt+Gの実験体として生み出されたタイラントで、T-ウイルスとG-ウイルスの合作ともいうべきB.O.W.である。他のタイラントと異なる触手のような指を持ち、これが特徴的な武器となっている。t+G特有の電気的特性の発達が見られず、肉体も崩れかけているために失敗作として廃棄されたが、後に活動を再開する。ダッシュからの突き攻撃やジャンプ攻撃などを使用する。心臓が背中に露出しており、そこが弱点。

バンダースナッチ[編集]

初登場作品:『CV』

汎用性を高めたタイラントというコンセプトで開発された、人間ベースの試作B.O.W.。低コスト性重視のために人間への偽装は施されず、外見は人間や量産型タイラントとは大きくかけ離れているなど、兵器としての実用面を重視して設計されている。

特徴としてまず挙げられるのが、退化した左手と下半身を補うように発達した伸縮自在の右腕である。これには瞬発移動を可能とする、従来のB.O.W.にはなかった能力を有しており、目標追跡が効率的に行えるほどの移動速度を生み出す。また、右腕の筋組織増強により、凄まじい腕力を発揮することができるようになった。そのため、腕を鞭のようにして敵を叩き潰したり、持ち上げて頭部を握り潰すことが可能である。しかし、試作段階であるため、所々に失敗が色濃く出ており、下半身は退化している上に歩行機能は低下していて即応能力は低く、左手が欠落している点も、タイラントと比較して大きな問題とされている[3]。ただし、『鏡の国のアリス』に登場する猛獣の名を持つだけにその戦闘能力は驚異的で、敵に与える恐怖感は相当なものである[3]

タイラントT-078型[編集]

初登場作品:『CV』

ロックフォート島で保管されていたタイラント。ロックフォート島における戦闘時の切り札として、ハンクら特殊部隊U.S.S.の手によって持ち込まれた。ベースとなったのは量産型タイラントで、既にリミッターが解除された仕様。右手が変化して指が無くなり、鋭いスパイクの付いた棍棒状になっている。さらに完全覚醒すると、巨大なブレード状の爪が生える。プレイヤーとは、覚醒直後と完全覚醒後の2回戦うことになる。

ネメシス-T型[編集]

初登場作品:『3』

通称「追跡者」。量産型タイラントに寄生生物「ネメシス」を宿らせている。これが本体の退化した脳の代わりに脊髄付近に新しい脳を形成し、馬を操る騎手のような関係になることで知能を向上させたB.O.W.。

ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』でもプレイヤーキャラクターとして登場する。

第1形態[編集]

洋館事件でのタイラント暴走を受け、アンブレラ社生物兵器研究チームは改良の必要性を認識し、改良のため新型開発計画を模索し始める。複数の研究チームのうち、本社直属のヨーロッパ支部第6研究所では独自の開発計画が立案され、アンブレラ第6研究所でその計画を基に、既成概念を根本から覆すほどの研究を開始する。それが「ネメシス計画」と呼ばれるもので、新たに開発した寄生生命体を既存のタイラントに投与し、知能向上を図るものであった。この計画で開発された寄生生物「NE-α型」は、研究者の間では計画名からそのまま「ネメシス」と呼ばれている。ネメシスとは“復讐の女神”の名であり、S.T.A.R.S.が今までアンブレラに与えたダメージに対する復讐という意味合いがある。

ネメシスは脊髄に細胞レベルで移植されると、T-ウィルスを取り込んで増殖を開始し、宿主の延髄付近に新たな脳を形成後、中枢神経回路の改変を行うと同時に脳機能を支配する。この結果、宿主の思考はネメシスに委ねられ、ネメシスを介して外部からの完全制御を可能とする。これにより支配されたタイラントが「ネメシス-T型」である。

ネメシスに支配されたことで通常の量産型タイラント以上の知能を誇っており、より明確な標的の選定が可能で、なおかつ学習することで指示された目標のみならず、ターゲットと一緒にいる人間も敵と認識するようになる。開発チームには教育担当も存在し、その担当官がS.T.A.R.S.隊員の映像資料や写真を覚え込ませ、彼らを見極められるようにした(しかし、『OR』においてはUSSを認識できないほど暴走しており、一旦弱らせてからNE‐α型を新たに注入する任務がある)。また、思考能力の向上で自己判断力も優れたものとなり、銃火器などの複雑な操作を必要とする器具も使用可能となった。それに加え、他のタイラントシリーズと違って単純な言語ならある程度理解したり操ることも可能であり、S.T.A.R.S.隊員を発見すると、低い声で「スターズ…」と発する。なお、ネメシスは培養過程で自我が芽生え始めており、複数の実験体がアンブレラの施設から脱走を企てていた模様[6]

身体能力はタイラント以上であり、グレネードランチャーなどの弾速の遅い武器なら簡単に回避できる。特に自己再生能力は並外れたものがあり、大きな損傷を受けても短時間で回復し、目標追跡を続行する。これはネメシスの分泌液の影響が大きく、これには身体の損傷回復を大幅に促す効果がある。しかし、無理な回復や急激な再生は肉体の異形化を起こす要因となる。

外見的な特徴として、タイラントT-103型同様に防弾対爆仕様でリミッターの役割を果たすロングコートを着用しているが、こちらは黒色で形状も異なる。寄生生物の影響から外見は人間には見えず、肉体は所々筋肉組織が剥き出しとなり、触手が体中を取り巻いている。また、顔は歯茎が剥き出しであり、右目は大きな手術痕で潰れている。

攻撃手段として、ロケットランチャー(形状はFIM-92 スティンガー)と、タイラント定番の武器である爪の代わりになる鋭く柔軟な触手が武器となっている。ロケットランチャーの操作は非常に優れており、高速で飛行するヘリを1発で撃墜できるほど。触手は鞭のように攻撃したり、敵の体内へT-ウィルスを送り込む時などに使用される(これによってブラッドはゾンビ化し、ジルも窮地に立たされた)。

映画版『II』に登場するネメシスは、アリスの味方だった男性マット・アディソンが素体となっている。外見こそ第1形態に準じており、ロケットランチャーとガトリングガンを装備しているが、非武装の市民など「危険度ゼロ」と判断した相手には攻撃しない。また原作とは違い、体内に寄生生物は存在しない。終盤でアンブレラ幹部の計らいによってアリスと対決させられる(その際、ロケットランチャーなどの重火器は外し、肉弾戦で戦っている)が、対決の最中にアリスの呼びかけによって、元の人格と記憶を取り戻す。その後はアリスの側に立って戦うものの、最期はヘリの墜落に巻き込まれて死亡する。

第2形態[編集]

ネメシスの分泌物の影響で凄まじい回復力を得ることとなったが、元々2つの生物が共存しているがゆえに遺伝情報は不安定であった。そのため、肉体の急速な再生に付いていけず、身体が異形化してしまった形態。外的要因による大ダメージで特に異形化の進んだ上半身は、着用していたリミッター兼用のコートを失ったことにより、急速に変異を遂げている。この上半身の開放により触手が異常発達した上、第1形態と比べるとその攻撃性は増しており、右腕は触手に覆われている。このため、以前のように武器を使える状態ではなくなっている。また、タイラントの身体だけでなく、延髄から中枢神経が伸びて脳幹を侵食していたネメシス自体も、危機的状況の適応化を図って大型化している[6]

第3形態[編集]

連動していたタイラントの脳が破壊されてその防衛本能が特出し、より異形化を起こすと共に、暴走状態に突入した形態。寄生生物とタイラントの2つの生物はお互いに拒絶反応を起こし始め、命令を上回った生存本能からネメシスとタイラントの細胞同士が複雑に絡み合って巨大化し、肉体を醜悪な怪物へと激変させた。ゲーム中では分かりにくいが、身体が反転し仰向け状態になり、4足歩行化している[6]。頭部は捕食を最優先し、大型の消化器官に変貌を遂げる。手足は欠落しているが、異常発達した触手がそれを補っている。胸郭から牙状に突き出ているものは肋骨であり、そこには肋骨で包み込むようにネメシス本体の物と思われる脳も露出している(版権絵では確認できないが、ゲーム中で確認可能)。その近くの背中には強酸性のが多数吹き出ており、第1形態の面影は全く残っていない。知能の低下は著しいものの、S.T.A.R.S.抹殺を果たそうと追跡を継続している。また、有害な廃液の影響で取り込んだ毒素を周囲に撒き散らしている。肉体的には激変を遂げたが、耐久力は衰えておらず、ゲーム中で戦闘を終わらせるには「パラケルススの魔剣」と呼ばれるレールキャノンが必要となる。しかし、パラケルススの魔剣を撃ち込まれ、変異によって巨大化した肉体の半分以上を吹き飛ばされても残った触手で活動を続け、その後のイベントでマグナム弾を数発撃ち込まれてようやく息絶える[7]

ヒュプノス-T型[編集]

初登場作品:『GS』

眠りの神「ヒュプノス」の名を冠する、タイラントの小型化成功試作体で、姿はT-002型に近く、巨大な爪を持つ(主人公のアークによれば、「均整の取れたその姿には知性さえ感じられる」とのこと)体色は青色。シーナ島司令官のヴィンセントによって競い合わされた、何億という遺伝子を持つ何億もの細胞のうち、生き残った最強の細胞を元に作られており、生命の危機に瀕すると、パワーアップを遂げる。最初の姿は、片腕の巨大な爪を除けば人間そのものであったが、撃退する毎に醜悪な姿へと変化していき、アークに敗れた後も更に追跡しようと試みるが、アークの乗るヘリコプターに装備されたミサイルの攻撃を受けて死亡する。

タナトス[編集]

初登場作品:『OB』

死の神「タナトス」の名を冠する、タイラントの亜種。元アンブレラ研究局員のグレッグ・ミューラーが、ラクーン大学で独自に制作した。素体は黒人で、T-002型同様に心臓が剥き出しとなっている。手足には形状変化の傾向が見られ、露出し過ぎている心臓は器具で補強されている。コートではなく、黒いアンダーパンツを着用している。パンチやキック、タックルといった多彩な攻撃手段を持つ。ちなみに、グレッグはアンブレラから量産を要請されていたが、「量産など馬鹿げたこと、傑作は1つでいい」として量産するつもりはなかった模様。

タナトスR[編集]

初登場作品:『OB』

正式名称は「タナトスリボーン」。タナトスがラクーン大学の爆発に巻き込まれた際、生命の危機に瀕して暴走し、異形化した姿。皮膚はあちこちが焼け爛れいる。筋力が大幅に発達しており、左手が異常に巨大化しているが、右手は大学崩壊の際に欠落している。腕部の変化によってパンチなどが使用できなくなったため、巨大な左腕の振り回し・振り下ろし、変異前にも使用していたタックル、高く跳躍した上での踏み潰しを攻撃手段とする。肥大化した肉体は重火器による攻撃をも軽く受け流すが、右胸の巨大心臓が唯一の急所となっている。

イワン[編集]

初登場作品:『UC』

アンブレラ社幹部のセルゲイ・ウラジミール大佐の護衛・側近として、特別に知能の改良が施されたタイラントT-103型。2体が確認されている。身長を除いて人間に酷似した外見を持ち、防弾・耐爆用の衝撃吸収コート(白色)とヘッドマウントディスプレイ内蔵のサングラス(レンズの色はオレンジと青)を着用。ウェスカーと空中戦を繰り広げるほどの、異常な跳躍力を持つ。改良されているが、暴走状態を発生できるようになっており、緊急時にはスーパータイラント化できる(ゲーム中は変化しない小説版では変化する)。力任せに突進、殴る、放り投げる、踏みつける、振り払うといった攻撃を行う。命令には忠実で、固定砲台を使用可能な知能を有す。

テイロスT-ALOS[編集]

初登場作品:『UC』

アンブレラ社の最新商品で、アンブレラ社復活の威信を賭け、世界中の紛争地域に投入される予定で開発されていた。「テイロス」とは、ギリシア神話におけるクレタ島の青銅の巨人であり、「T-ALOS」とはTyrant-Armored Lethal Organic System(タイラント装甲化、致死的制圧、生体システム)の略。タイラントを素体とし、人工臓器を用いて循環器系を強化、脳にはコンピュータチップが埋め込まれており、アンブレラ社のAI「レッドクイーン」の命令に従って行動、装着している超合金の装甲で銃火器からの攻撃を防ぐと共に、T-ウイルスによる暴走を防いでいる。

装備している巨大な4連装ロケットランチャーからも、全タイラントシリーズを遙かに凌ぐ戦闘力を有し、対人及び対兵器用生体兵器という開発コンセプトを達成すると同時に第2形態まで存在、巨大な左腕、短い足、右手に巨大ロケットランチャーと非常にアンバランスだが、機動力は高く、左手で殴りかかったり、ロケットランチャーを撃ったりと攻撃そのものは単調だが、高威力。また、生命の危機に陥ると、脊髄を直接レッドクイーンへ接続し、機械とテイロスの肉体が融合した恐るべき兵器へと変貌、姿は巨大な腕、左右に開く口、身体に付いた3つの目など、第1形態の姿は跡形も無くなっており、主にレーザービームや触手による攻撃を行う。

『UC』の終盤、クリスやジル率いる私設対バイオハザード部隊(後の「B.S.A.A」)のアンブレラ社ロシア支部襲撃の際にセルゲイによって起動させられ、強力な攻撃の数々でクリスとジルを苦しめるが、激闘の末に彼らによって撃退される。

セルゲイモンスター[編集]

初登場作品:『UC』

アンブレラ社幹部のセルゲイ・ウラジミール大佐が、ウイルスの影響で怪物化した姿。両腕を縛る触手が融合し、1本の太い触手となっている。触手の先は凶悪な爪へと変化しており、これを自在に操って攻撃する。なお、戦闘中にも会話は可能であり、知能の低下は見られない。

サミュエルタイラント[編集]

初登場作品:映画版『III』

アンブレラのサミュエル・アイザックス博士が、スーパーアンデッドに噛まれた後に大量投与した抗ウイルス剤の影響で怪物化した姿。絶大な攻撃力や回復力を誇る強靭な肉体に伸縮自在な右手の触手を備え、雄叫びは強大な衝撃波となって相手を襲う。この個体も知能は低下しておらず、交戦したアリスと普通に会話できていた。怪物化した直後に周囲の全隊員を抹殺し、施設に乗り込んだアリスに対しても圧倒的な戦闘能力で追い詰めるが、最期はクローンアリスによってレーザートラップで斬殺される。なお、本来の名称は「タイラント」であるが、本項では他作品の登場個体との区別上、「サミュエルタイラント」と表記している。

出典・脚注[編集]

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  1. ^ 『バイオハザード3ラストエスケープ 公式ガイドブック脱出遂行編』株式会社カプコン ISBN 4757205503
  2. ^ 主な理由は、ゾンビの過程を必要とするが人間を素体とし、爪の形状がリミッター解除後のタイラント系列と類似するなど、共通する点から来ている。
  3. ^ a b c d e f 『biohazard archives』株式会社カプコンISBN 4906582311
  4. ^ この事件により、アンブレラ社兵器開発部門は対B.O.W.用兵器開発を行った。
  5. ^ 『アームズ・マガジン』2004年6月号、26頁 株式会社ホビージャパン
  6. ^ a b c 『バイオハザード3ラストエスケープ 公式ガイドブック完全征服編』株式会社カプコン ISBN 4757206135
  7. ^ 最後のライブセレクションで「止めを刺す」を選択した場合のみ。「逃げる」を選択した場合は相手にされずに脱出され、時間切れになった場合は毒を吐きかけてダメージを与えるも脱出され、どちらの場合でもその後のミサイル爆撃によってラクーンシティごと消滅する。