こうや

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こうや
りんかん
南海30000系「こうや」 (2017年7月 帝塚山駅 - 岸里玉出駅間)
南海30000系「こうや」
(2017年7月 帝塚山駅 - 岸里玉出駅間)
概要
日本の旗 日本
種類 特別急行列車
現況 運行中
地域 大阪府和歌山県
運行開始 1951年7月7日(こうや)
1992年11月10日(りんかん)[1]
運営者 南海電気鉄道
路線
起点 難波駅
終点 極楽橋駅(こうや)
橋本駅(りんかん)
営業距離 63.8 km (39.6 mi)(こうや)
44.0 km (27.3 mi)(りんかん)
平均所要時間 1時間22分(こうや)
44分(りんかん)
列車番号 800+号数(こうや)
600+号数(りんかん)
使用路線 南海本線高野線
車内サービス
クラス 普通車
座席 普通車指定席
技術
車両 30000系31000系(共通)
11000系(りんかん)
小原田検車区
軌間 1,067 mm
電化 直流1,500 V
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こうやは、南海電気鉄道南海高野線で運行する特急列車である。本項では同じく高野線の特急列車であるりんかんについても記述する。

「こうや」は難波駅 - 極楽橋駅間、「りんかん」は難波駅 - 橋本駅間の特急列車に付せられる名称である。

運行概況

こうや

難波駅 - 極楽橋駅間で日中時間帯に平日4往復、土休日下り6本・上り7本が、全車座席指定の4連で運行される。下り列車の橋本駅 - 極楽橋駅間の無停車運転中には、高野山の観光案内放送を常に流している(ケーブルカーとは少し内容が違う)。

英語表記は「Ltd. Exp. KŌYA」だが、以前は「SUPER EXPRESS KŌYA」であった(「SUPER EXPRESS」は超特急の対訳であり、新幹線の種別呼称などに用いられている)。

冬季に車両定期検査を行うため、その期間の土曜日・休日には「りんかん」となる列車および運休となる列車がある。これは、極楽橋駅まで乗り入れられる特急用車両が30000系31000系の計3本であり、土曜日・休日は通常その3本全てが車庫に残ることなく営業運転を行うことから、車両不足が生じるためである。11000系が検査を行う場合でも「りんかん」となる列車は「こうや」にはならない。同期間の運行時は駅掲出のポスターなどで予告される。

りんかん

朝および夕夜間に、難波駅 - 橋本駅間で運行される。「こうや」と同様、全車座席指定で4連の列車と8連の列車がある。8連の列車は平日のみ朝に1往復運行されている。2000年12月22日までは全列車が4連であった。英語表記は「Ltd. Exp. RINKAN」。

大半の列車が橋本駅で極楽橋駅・高野下駅発着の列車との接続に考慮されている。そのため下り列車は急行と同様、列車名の前に「高野山・極楽橋連絡」や「高野下連絡」を冠して案内されることが多い。これにより運行区間内輸送のみならず、「こうや」・快速急行・急行を補完しつつ、橋本駅での接続により高野山へのアクセスも担っている。

前述「こうや」の項にもあるように、特に橋本駅で各駅停車との接続が良好な便においては難波駅 - 極楽橋駅間を「こうや」並みの1時間25 - 30分前後で利用できる便も多い。また河内長野駅で、朝ラッシュ時の上り列車は難波駅行きの急行、夕方ラッシュ時以降の下り列車(一部列車を除く)は林間田園都市駅行きとの接続が考慮されている。

前述の通り、車両定期検査を行う期間の土曜日・休日には「こうや」に代わって運行する列車がある。また、人身事故など列車の運行障害が発生した場合、泉北線直通の一般列車および泉北ライナー同様、真っ先に運休となる。

こうや・りんかん

2000年12月23日から2015年12月4日まで運行されていた「こうや」と「りんかん」の併結列車。難波駅 - 橋本駅間は8連(極楽橋側4両が「こうや」、難波側4両が「りんかん」)、橋本駅 - 極楽橋駅間は「こうや」単独の4連となる。橋本駅で増解結を行う。列車案内等では「こうや・りんかん」(英語表記は「Ltd. Exp. KŌYA & RINKAN」)と表記されるものの、運用上はあくまでも「こうや」と「りんかん」の併結列車という扱いであった。そのため号数も別になっており、当編成の「りんかん」には「こうや」の号数に80を加えた番号が付与されていた。ただし、列車番号は共通であった。

当初は平日1往復のみであったが2005年10月16日より土休日の下りにも1本運行されるようになった。しかし、2013年10月26日より平日・土休日共に下りのみ1本となり、さらに2015年12月5日のダイヤ変更で廃止された。17m車4両と20m車4両の車両長の異なる編成を併結していた(なおほかにE3系「つばさ」と併結するE2系、E6系「こまち」と併結するE5系などがある)。

停車駅

各列車とも共通(前述の通り、「りんかん」は難波駅 - 橋本駅間の運行)

特急料金

各列車とも共通。大人料金(小児半額・10円未満切り上げ)。

  • (難波・新今宮・天下茶屋・堺東)- 極楽橋間:790円
  • それ以外の区間(難波 - 橋本、金剛 - 極楽橋の区間内): 520円

なお、

車両・設備

  • 30000系
  • 31000系
    高野線山岳区間の運転が可能なズームカーであり、いずれも「こうや」・「りんかん」と共通運用。車両数が非常に少なく(30000系は2本、31000系は1本のみ)、予備車は存在しないため、検査時には11000系が使用され「りんかん」の運用を補っている。過去には多客時のみ一般車両の2000系も使用されていた(故障や検査などの緊急時に代走することもある[2])。この場合、列車愛称を設定せず、特急料金は不要である。
  • 11000系
    ズームカーではないため「りんかん」専用となっている。泉北高速鉄道線の特急「泉北ライナー」の運用が開始された2015年以降は、前述のズームカーが検査の際に「りんかん」の運用に使用される。その場合「泉北ライナー」は南海本線の12000系が代走する。

歴代専用車両

沿革

  • 1951年7月7日:「こうや号」運転開始。当初は夏季臨時列車として運転し、列車種別は設けられなかった。また、ノンストップで運行していた[3][4]
  • 1952年4月1日:「こうや号」が「特急」として運行される[3][4]
  • 1952年7月19日座席指定制とし、座席指定料金制定[5]
    この時に「貴賓車」と称された「クハ1900形車両」を連結した専用列車となる。
  • 1955年:停車駅に堺東駅橋本駅が追加される[4]
  • 1961年7月5日:「デラックスズームカー」と称された20000系電車に使用車両を変更。
    しかし1本のみしかなかったため、多客期であっても2往復の運用にとどまり、臨時列車については21000系電車(扉間クロスシート車)により運行された。また、閑散期にあたる冬季には運休し、車両定期検査を行っていた。
  • 1966年12月1日:新今宮駅の開業に伴い、同駅への停車を開始。
  • 1983年6月26日30000系電車に交代。河内長野駅への停車を開始。
    この車両は2本製作されたことから、通年毎日運行が可能となる。これにより、閑散期2往復、多客期4往復に増発される。また、特急券を購入すれば定期券でも乗車が可能になる。
  • 1985年6月16日難波駅 - 橋本駅間に座席指定特急の運行が開始される。
    この列車は「H特急」の通称が付いていた。なお、前面方向幕表示は「特急 難波 - 橋本」と上下2段表示で記されていた。
  • 1990年7月1日:「H特急」のみ、林間田園都市駅への停車を開始。
  • 1992年11月10日:「りんかん」用車両として11000系電車を使用開始[1]
    これにより難波駅 - 橋本駅運転の特急(H特急)を「りんかん」と命名し、金剛駅への停車を開始[1]。同時に「こうや号」は「こうや」に名称を変更し、林間田園都市駅、金剛駅への停車を開始。
  • 1999年3月1日:「こうや」・「りんかん」増発用車両として31000系電車の使用を開始。車内販売を廃止。
  • 2000年12月23日:「こうや」・「りんかん」天下茶屋駅への停車を開始。平日ラッシュ時のみ「りんかん」の8連運行および難波駅 - 橋本駅間において「こうや」と「りんかん」の併結列車の運行開始。平日の6時台上りと23時台下りに「りんかん」増発[6]
  • 2001年7月7日:「こうや」運転開始50周年記念イベントを開催。
  • 2003年5月31日:「こうや」・「りんかん」の禁煙車を従来より増設。
  • 2005年10月16日:「こうや」の発車時刻および編成両数が一部変更に。土休日朝の一部列車が8連となる。土休日の昼間時間帯と夕方に「りんかん」増発。
  • 2008年11月1日:「こうや」・「りんかん」を増発。
    これにより平日には7時台に下り「りんかん」、3月 - 10月の月・火・金曜日限定で運行する列車をそれぞれ増発。土休日には増発のほかに、「りんかん」の一部を「こうや」に変更。
  • 2011年9月1日:「こうや」・「りんかん」全列車・全席禁煙を実施[7]
  • 2011年9月5日 - 10月3日台風12号による大雨の影響で橋本駅 - 紀伊清水駅間の紀ノ川橋梁において、線路に異常が認められたため、この期間「こうや」は橋本駅止まりになる。(列車の愛称は「こうや」のままである)
  • 2013年10月26日:平日夜間に「りんかん」増発。8連の列車の一部が4連となる[8]。併結列車「こうや・りんかん」が下りのみの運行となる。
  • 2013年12月18日 - 12月25日:平日22-23時台下りの「りんかん」が三日市町駅臨時停車[9]
  • 2015年3月1日 - 2016年2月:「高野山開創1200年記念大法会」が執り行われるのに伴い、概ね以下の施策を行う[10]
    • 3月1日から30000系30001編成を「赤こうや」、3月4日から31000系を「黒こうや」、3月23日から30000系30003編成を「紫こうや」としてそれぞれ運行開始(編成ごとに運行期間が異なる)。
    • これを記念して3月1日から、上記の「赤こうや」をデザインした「特急こうや 高野山開創1200年特別仕様 マフラータオル」を難波駅サービスセンター(2階中央改札口)ほかで発売開始。
    • 3月1日から12月23日まで、南海電鉄の列車(一部を除く)に「高野山開創1200年ステッカー」を掲出。
  • 2015年12月5日:「りんかん」用車両11000系電車を同日新設の「泉北ライナー」との共通運用を開始。「りんかん」は朝の1往復以外は4連となる。併結列車「こうや・りんかん」を廃止。
  • 2017年8月26日:11000系電車が「泉北ライナー」専用となり、「りんかん」の運用から外れる。
  • 2017年10月22日:台風21号の影響により上古沢駅構内で道床流出が発生したため、「こうや」は橋本駅 - 極楽橋駅間で運転を見合わせ、全列車を「りんかん」として運行。
  • 2018年3月31日:高野線全線復旧により「こうや」の運転を再開。
  • 2018年11月26日:高野山ケーブルの新製車両導入ならびに諸設備の更新工事のため、「こうや」は橋本駅 - 極楽橋間で運転を休止し、全列車を「りんかん」として運行[11]
  • 2019年3月1日:高野山ケーブルの新製車両運行開始と諸設備更新工事完了に伴い、「こうや」の運転を再開。
  • 2022年5月27日:未明に小原田車庫内にて入換中の30000系30001編成が脱線事故を起こしたため[12]、同日より30日まで「こうや」「りんかん」は全列車を運休し、自由席特急を同ダイヤにて運行[2]。特急券は払い戻し措置となった[13]。なお、31日より一部の「こうや」「りんかん」の運転を再開したが、両数を減らして運転したり、一部の列車は引き続き自由席特急で運転することとなった[14][15][16][17]

脚注

  1. ^ a b c “南海高野線11月10日ダイヤ改正 橋本まで大型車乗り入れ”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1992年10月13日) 
  2. ^ a b “特急“こうや”・“りんかん”を2000系が代走”. 鉄道ニュース. 鉄道ファン. (2022年5月28日). https://railf.jp/news/2022/05/28/130000.html 
  3. ^ a b 南海電気鉄道『南海電気鉄道百年史』1985年、678頁。 
  4. ^ a b c 「南海個性派列車列伝」『鉄道ピクトリアル』2008年8月臨時増刊号、電気車研究会、2008年、142-143頁。 
  5. ^ 南海電気鉄道『南海電気鉄道百年史』1985年、679頁。 
  6. ^ 『関西の鉄道』第41号、関西鉄道研究会、2001年6月、94-95頁。 
  7. ^ 南海電鉄の特急列車を9月1日から全面禁煙とします (PDF) - 南海電鉄 2011年5月30日
  8. ^ 10月26日から「高野線」のダイヤを変更します (PDF)
  9. ^ 特急りんかんの「三日市町駅」臨時停車について”. 南海電気鉄道. 2013年12月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月1日閲覧。
  10. ^ 「特急こうや 高野山開創1200年特別仕様」3編成(赤こうや・黒こうや・紫こうや)を運行します! (PDF)  - 南海電気鉄道 2015年1月28日
  11. ^ 特急「こうや」の運転区間変更及び「天空」の運転休止について”. 南海電気鉄道. 2018年11月24日閲覧。
  12. ^ 小原田車庫内での車庫内支障について(ご報告)” (PDF). 南海電気鉄道 (2022年5月27日). 2022年5月27日閲覧。
  13. ^ 特急こうや・りんかんの運休について” (PDF). 南海電気鉄道 (2022年5月27日). 2022年5月28日閲覧。
  14. ^ 特急こうや・りんかんの運休と両数変更について”. 南海電気鉄道. 2022年5月28日閲覧。
  15. ^ [1] (PDF)
  16. ^ [2] (PDF)
  17. ^ [3] (PDF)

関連項目