南海12000系電車

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南海12000系電車
南海電気鉄道12000系 今宮戎駅にて
南海電気鉄道12000系 今宮戎駅にて
編成 4両編成
営業最高速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度 3.7 km/h/s(常用最大)
4.0 km/h/s(非常)
全幅 2,820 mm
全高 先頭車4,140mm
中間車4,050 mm
車体材質 ステンレス
軌間 1,067(狭軌) mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
主電動機 かご形三相誘導電動機
主電動機出力 180kW
歯車比 98:15 (6.53)
駆動装置 WNドライブ
制御装置 VVVFインバータ制御
IGBT素子
台車 モノリンク式ボルスタレス台車
SS-177M・SS-177T
制動方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ全電気ブレーキ
保安装置 南海型ATS
製造メーカー 東急車輛製造[1]

南海12000系電車(なんかい12000けいでんしゃ)は、南海電気鉄道特急形電車である。2011年9月1日より営業運転開始[2]

概要[編集]

本系列は10000系特急型電車を置き換えるために製造された。10000系は南海の看板特急「サザン」で用いられており、その後継となる本系列にはグレードアップした設備などから「サザン・プレミアム」[3]の愛称が付けられている[4]

最初の編成は2011年(平成23年)2月に横浜市東急車輛製造で落成し、和歌山市駅までJR線を輸送されて南海の路線に入った[5]。その後南海の車籍を得て、3月末から南海本線高野線[6]試運転が行われた[7][8]

同年7月4日には女性と子供を対象にした試乗会が[9]、8月20日には大手私鉄の車両では同系列が初採用となるプラズマクラスター技術の広報を目的とした親子向けイベント(試乗会)がシャープと共同で開催された[10]

車体外観[編集]

南海12000系の側面ステッカー。イラストは南海線南海空港線を表現している。
南海12000系の愛称ロゴ

車体は20m級軽量ステンレス無塗装車体で、先に登場した8000系通勤型車両をベースに設計されており、車体断面形状は同系列と同一である。

前面部分だけは造形・加工の容易なFRP製である。前面中央部には貫通扉が設置され、他の編成連結した際にも車内を移動できるように配慮されている。連結した際に通路を覆うについては難波方向の先頭車にのみ設置している。また、連結器についても作業の容易な電気連結器併設密着式連結器であり、両方向の先頭車に装備されている。

灯火類も8000系と共通する配置だが、前面下部に設置されている列車識別灯は同系列のものよりも大きく、端が吊り上がった形状となっており、目を引くものとなっている。この識別灯は尾灯と一体のもので、光源にはLEDを使用する。

側面部分は各車両ともに片側1つの客用扉を持つ。この扉は整備性を考えた1枚引き戸で、従来折り戸やプラグドアを採用してきた南海の特急型車両では初の試みであり、有効開口幅は約900mmとなっている。なお、中間車では将来的に扉を増設することも踏まえて準備工事が施されている。

屋根上には列車無線アンテナクーラーが設置されている。動力車はこれに加えてシングルアーム式パンタグラフを搭載する[11]

10000系には愛称ロゴは無かったが、本形式では先頭車両のちょうど中間の腰部に貼付されている。

また、1号車の化粧室部にはNANKAIの文字と南海線空港線を表現したイラストを組み合わせたステッカーが貼付されている。

内装[編集]

南海12000系の車内
南海12000系のプラズマクラスター発生器
仕切り扉には、「プラズマクラスターで空気を除菌中」と書かれている。

客室はデッキを介して外部と仕切られており、特急形車両としての居住性を満たしている。デッキ部分にはゴミ箱のほか、難波方向の先頭車には飲料自動販売機と多目的室(後述)が設置されている。また防犯を目的に防犯カメラが設置されており、映像が逐一SDメモリーカードに記録されるようになっている。SDメモリーカードは専用のカギがないと取り出せず、専用のソフトがないと再生できない仕様となっており、個人情報の保護に配慮されている。

デッキと客室の仕切り部分には木目調の扉が設置されており、センサーで反応する自動扉となっている。扉中央には窓が付いており、窓の両側には換気のためにルーバーが設置されている。扉上部にはLEDスクロールによる案内表示器があり、停車駅などの情報を流す。また、本系列には特急サザン用車両としては初めて自動放送装置が装備され、日本語と英語による放送が流される。

座席は2+2列の回転式リクライニングシートで、表皮は青地で細かい柄が描かれており、これは南海線沿線の大阪湾)のをイメージしたものだという。座席幅は従来のものより広い460mm、背面にはテーブルを備えており、また、座席の前面ないし側面の壁部分にAC電源コンセントを1名あたり1箇所持つなど、ノートパソコンなどを使うビジネスユーザーを意識したものとなっている。 また、各座席の背面には私鉄の特急形車両には珍しくフットレストが設置されている。

鉄道車両では初となるプラズマクラスター発生器を全車両の全ての仕切り扉付近に左右に1台ずつ設置されている。仕切り扉には、プラズマクラスター発生器が作動していることを示すステッカーが貼付されている。

一部の車両にはトイレが設置されている。トイレは車椅子対応の大型のもののほかに、男性用小便器、女性専用トイレが設置されている。男性用小便器は近年、南海の駅でも導入が進んでいる無水タイプで、尿より比重の軽い液体が蓋の役目をするので、臭いの軽減が期待される。トイレの汚物処理装置も従来の循環式から清水空圧式に変更された。またトイレの隣には洗面所を併設している。

多目的室は難波方向の先頭車両デッキ部分に設置されており、内部には座席の他、非常通報装置や鏡などが置かれている。普段は施錠されているが、授乳やおむつ交換等、他の乗客のいる場面でははばかられる時は乗務員に申し出ることによって使用することができる。

運転・走行機器[編集]

主電動機(走行用モーター)の制御にはVVVFインバーター制御を採用、動力車に搭載された1台の主制御器[12]が1両分4台の主電動機を制御するという、いわゆる1C4M制御である。主電動機にはかご形三相誘導電動機[13]を採用した。

車内照明空調装置の電源用として静止形インバータ[14]をMc1車、T2車に搭載している。

運用[編集]

南海12000系特急「サザン」の自由席車に用いられる8000系(写真は8005F)。

原則として、南海本線難波駅 - 和歌山港駅間で運行されている特急「サザン」の指定席車両として使用され、10000系と同様に自由席車両となる8000系4両と併結しての運用となっている[15]。運用は1日あたり、2014年7月現在では、平日ダイヤは10000系との共通運用となり、土曜日・日曜日・祝日ダイヤで12便体制で限定運用されているが、列車の上下、車両点検や時期などで変更になる場合もある[16]

編成[編集]

 
← 難波
和歌山港 →
形式 モハ12001
(Mc1)
サハ12801
(T1)
サハ12851
(T2)
モハ12101
(Mc2)
搭載機器 CONT, SIV   SIV CONT
定員
(着席)
97人
(60人)
107人
( 68人)
108人
(64人)
95人
(50人)
設備 多目的室
自販機
    トイレ
車椅子スペース
自重(t) 41.5 30.5 32.0 40.5

脚注[編集]

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  1. ^ 現在は総合車両製作所
  2. ^ 南海12000系が営業運転を開始”. 『鉄道ファン』鉄道ニュース(交友社) (2011年9月1日). 2013年4月2日閲覧。
  3. ^ 「プレミアム」とは名付けられているが、同社の「ラピート」に搭載されている『スーパーシート』等の「プレミアム」に相応しい設備やサービスが提供している訳ではない。
  4. ^ 南海電気鉄道12000系(サザン・プレミアム)”. 製品案内. 総合車両製作所. 2013年4月2日閲覧。
  5. ^ 南海12000系が甲種輸送される”. 『鉄道ファン』鉄道ニュース(交友社) (2011年2月9日). 2013年4月2日閲覧。
  6. ^ 2012年現在では高野線での運転は千代田工場への出入場以外はないが、、性能上は橋本駅以北での走行は可能である。[要出典]
  7. ^ 南海12000系が高野線で試運転”. 『鉄道ファン』鉄道ニュース(交友社) (2011年3月23日). 2013年4月2日閲覧。
  8. ^ 南海12000系が試運転”. 『鉄道ファン』鉄道ニュース(交友社) (2011年4月6日). 2013年4月2日閲覧。
  9. ^ 南海12000系の試乗会 開催”. 『鉄道ファン』鉄道ニュース(交友社) (2011年7月5日). 2013年4月2日閲覧。
  10. ^ プラズマクラスター搭載の特急「サザン」新型車両12000系特別試乗会を実施 (PDF) (2011年7月11日時点のアーカイブ
  11. ^ PT7144B型
  12. ^ VF1-HR1420V型
  13. ^ MB5091A2型。定格出力180KW、定格回転数???rpm、端子電圧???V[要追加記述]
  14. ^ SH75-4045C型2レベルインバーター。入力側が直流1500V、出力側が三相交流220V・60Hz
  15. ^ 『私鉄特急年鑑 2011-2012』 イカロス出版〈イカロスムック〉、2011年5月ISBN 978-4863204522
  16. ^ http://www.nankai.co.jp/library/traffic/exticket/pdf/jikoku.pdf (PDF)

参考文献[編集]

  • 鉄道ジャーナル2011年8月号(通算538号)「南海の新型サザン12000系特急形電車の概要」(山田健太郎 著)

外部リンク[編集]