美しく青きドナウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

美しく青きドナウ』(うつくしくあおきドナウ、: An der schönen blauen Donau)作品314は、ヨハン・シュトラウス2世によって1867年に作曲されたワルツ。非常に有名で且つ人気が高く、作曲者の、またワルツの代名詞的な作品として広く親しまれている。『美しき青きドナウ』と日本語表記されることもある。

概要[編集]

1866年の普墺戦争で大敗し、失望の底に沈んだウィーン市民を慰めるために作曲される。当初は男声合唱曲として書かれたが、「くよくよするなよ!」「悲しいのかい?」などと言った歌詞が図星を指したためか、反響は好ましいものではなかった。そのため、管弦楽用に書き直したところ、人気が上昇した。シュトラウス自身はこの曲をさほど評価していなかった節があるが、1867年のパリ万博の会場に於ける演奏で高い評価を受けたこと等から再評価され、「第二の国歌」「シュトラウスの最高傑作」としての名誉を博するようになった。

シュトラウスと親交の深かったヨハネス・ブラームスは、後年シュトラウスの娘から彼女の扇子へサインを頼まれた際、この曲の一節を五線譜で書き「残念ながら、ヨハネス・ブラームスの作品にあらず」と脇に書き添えた。

なお、本作品の23年後の1890年に同じく自身が作曲したワルツ『市庁舎舞踏会』(Rathausball-Tänze, 作品438)の冒頭部分[1]などに於いて、本作品で登場するメロディが幾つか引用されている。

作品について[編集]

編成[編集]

フルート2(2はピッコロ持ち替え)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、バストロンボーンチューバティンパニバスドラムトライアングルスネアドラムハープ弦五部

構成[編集]

曲は弦楽器トレモロに乗ってホルンが静かに主題旋律を奏し、ドナウ川の源流(ドナウエッシンゲンにある「ドナウの泉」)と黒い森の情景が描かれる。次第にワルツに発展し、ニ長調の有名な主部となる。その後、明るい5つのワルツが連結された後、主部が再現され、華やかなコーダとなり、終わる。演奏時間約10分。

編曲[編集]

合唱版[編集]

「美しく青きドナウ」は最初は全く別の歌詞を伴う男声合唱曲として書かれたが、後に歌詞を改めて現在のヴァージョンになった。ウィーン少年合唱団による歌唱で有名である。

なお、この合唱版と管弦楽版の一番の違いは、歌唱が終わると直ちにイ長調の短いコーダで曲が終わってしまうことである。現在広く親しまれている管弦楽版は、合唱版のあとに長いコーダをつけて主題再現部を伴い、ニ長調で終止する。

Donau so blau, so schön und blau,
durch Tal und Au wogst ruhig du hin,
dich grüßt unser Wien, dein silbernes Band.
knupft Land an Land und frohliche Herzen
schlagen an deinem schonen Strand.

Weit vom Schwarzwald her eilst
du hin zum Meer,
spendest Segen allerwegen,
Ostwärts geht dein Lauf,
nimmst viel Bruder auf:
Bild der Einigkeit für alle Zeit!
Alte Burgen Seh'n nieder von den Höh'n,
grüssen gerne dich von ferne
und der Berge Kranz,
hell vom Morgen glanz,
spiegelt sich in deiner Wellen Tanz.

Die Nixen duf dem Grund,
die geben's flusternd kund,
was alles du erschaut,
seit dem über dir der Himmel blaut.
Drum schon in alter Zeit
ward dir manch Lied geweiht;
und mit dem hellsten Klang preist
immer auf's Neu dich unser Sang.

Halt'an deine Fluten bei Wien,
es liebt dich ja so sehr!
Du findest, wohin du magst zieh'n,
ein zweites Wien nicht mehr!
Hier quillt aus voller Brust
der Zauber heit'rer Lust,
und Treuer, deutscher Sinn streut
aus seine Saat von hier weithin.

室内楽版[編集]

アルノルト・シェーンベルクが編曲した室内楽版がある。これはシェーンベルクら新ウィーン楽派が、前衛的な自作を理解のある限定された聴衆にのみ公開する予約演奏会形式を好んで室内楽編成の曲を多く書いたが、同時に収入目的のお楽しみコンサートとして、同じ室内楽編成用に親しみやすい演目を編曲して演奏したことによる。

特記事項[編集]

  • 毎年1月1日に行われる、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ニューイヤーコンサートのアンコールの定番曲でもあり、この曲の序奏部を少し奏した後、拍手によって一旦打ち切り、指揮者や団員の新年の挨拶が続くという習慣となっている。
  • 1915年から1920年まで現在の千葉県習志野市内に設置されていた習志野俘虜収容所に収容されていたドイツ軍捕虜たちによる文化活動の一環として、彼らにより結成された「習志野捕虜オーケストラ」が収容所内に於いて度々コンサートを開いており、その中で本作品も演奏されている《残存している1919年6月22日開催のコンサートプログラムの中に本作品の曲名が記載されているのが見える[2]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ ウィーン・フィルのニューイヤーコンサート2012曲目解説 - 「日本ヨハン・シュトラウス協会」公式サイトより
  2. ^ 第一次世界大戦と習志野―大正8年の青きドナウ― - 習志野市ホームページより

関連項目[編集]

  • KOTOKO - 彼女の楽曲「DuDiDuWa*lalala」は当曲をアレンジした部分が収録されている。

外部リンク[編集]