笑の大学

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笑の大学』(わらいのだいがく)は、三谷幸喜原作・脚本による日本演劇作品。ラジオドラマ版・舞台版・映画版の3バージョンが存在する。ストーリーは各バージョンとも共通だが、脚本は役者に合わせて各々で書き直されている。

ストーリー[編集]

昭和15年日本戦争への道を歩み始めていた。国民の娯楽である演劇は規制され、警察で台本検閲を受けなければ上演できない。そんな時代に、生まれて一度も心の底から笑ったことがない検閲官・向坂睦男と、劇団『笑の大学』座付作家・椿一が警視庁の取調室で出会う。

「笑い」に理解のない向坂は「このご時世に、低俗な喜劇など不謹慎であり上演する必要はない」と考えているため、『笑の大学』を上演中止に持ち込むべく、椿の台本に対して「笑い」を排除するような無理難題を課していく。椿は何としても上演許可を貰うため、向坂の要求を飲みながらもさらに「笑い」を増やす抜け道を必死に考え、一晩かけて書き直していく。向坂の検閲、椿の書き直し。そんな毎日が続くうち、いつしか向坂も「台本直し」に夢中になる。

ようやく台本は完成するが、その際に椿が告白したある一言で一転、向坂は権力の末端である自身の職責を忘れていたことに気付く。向坂は改めて椿の台本に対し、最大の無理難題を課す。時を同じくしてその晩、椿に召集令状が届く。もう『笑の大学』の幕が開くことはないと悟った椿は、一睡もせず無心で最後の書き直しを行うのだった。

主な登場人物[編集]

  • 向坂睦男(さきさか むつお) - 警視庁保安課検閲係。
  • 椿一(つばき はじめ) - 劇団『笑の大学』座付作家。喜劇作家・菊谷栄がモデル。

ラジオドラマ[編集]

1994年NHK-FM『特集 オーディオドラマ』で放送初演された。第32回ギャラクシー賞・ラジオ部門優秀賞受賞作品[1]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

舞台[編集]

1996年青山円形劇場で初演、1998年PARCO劇場で再演された。1996年度読売演劇大賞・最優秀作品賞を受賞している。キャストは2人で場面も取調室のみという、完全な密室劇・二人芝居となっている。

テレビでは1997年1月3日、NHK総合で初演版の模様が初放映された。2005年6月に、再演版を収録したDVDパルコより発売されている。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

日本国外での上演[編集]

映画[編集]

笑の大学
監督 星護
脚本 三谷幸喜
製作 亀山千広
島谷能成
伊藤勇
出演者 役所広司
稲垣吾郎
音楽 本間勇輔
撮影 高瀬比呂史
編集 山本正明
製作会社 フジテレビ東宝パルコ
配給 東宝
公開 日本の旗 2004年10月30日
上映時間 120分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 7億2千万円
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2004年10月30日公開。監督は星護。1996年の初演舞台版を観て強い衝撃を受けたプロデューサーが、三谷幸喜に映画化を申し入れたことが誕生のきっかけとなった。三谷は「星護が監督を担当するなら」と条件付きで了解を出すが、星は「これほど完成された作品を映像化などできない」と拒否した。しかし、その後の説得により8年越しで映画化にこぎ着けた。

舞台との差別化を図るため、キャストを大幅に増やした(舞台版で名前だけ出てきた人物も登場させた)。ストーリーは舞台版と同じだが、場面やキャストを増やしたことで映画的な奥行が広がった。セットにもこだわり、取調室は縮尺模型を使って何度も検証した。警視庁の建物は旧神奈川県庁舎、事務所は横浜市開港記念会館、長い廊下は国の登録有形文化財でもある名古屋市役所の全長100メートルの廊下を使用し、昭和初期の雰囲気を再現した。浅草の街並はオープンセットを使い、多数のエキストラや色とりどりの幟旗を使って賑わいを表現している。この街並のシーンでは、木梨憲武演じる劇場支配人や、加藤あい演じるカフェの女給といった隠しキャストが確認できる。

冒頭で、役所広司が次々にハンコを捺していくシーンは、すべて実際に役所の手によるものである。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

製作・配給[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 第32回ギャラクシー賞受賞作品”. 放送批評懇談会. 2014年11月14日閲覧。
  2. ^ (日本語) チュメニドラマ劇場で三谷幸喜さんの戯曲”. ロシアの声 (2013年12月16日). 2014年1月13日閲覧。

関連項目[編集]

  • 日本における検閲
  • 90ミニッツ - 本作舞台版と同じ三谷幸喜脚本、西村雅彦・近藤芳正出演による二人芝居。2011年12月、PARCO劇場で初演。
  • 柳家さん生 - 『落語版・笑の大学』を演目に持ち、大学の後輩である三谷公認のもと、たびたび高座で披露している。

外部リンク[編集]

舞台
映画