熱波
熱波(ねっぱ、heat wave)とはその地域の平均的な気温に比べて著しく高温な気塊が波のように連続して押し寄せてくる現象のことである。大西洋北東部、北太平洋に現れやすい。
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原理 [編集]
夏にブロッキング現象が起こると北半球では卓越風が極端に南寄りに南半球では北寄りに吹き、赤道付近の暖かい風が流れ込むとともにその地域に高気圧帯が出来る[1]。一度ブロッキング現象が起こると同じような天候が長時間継続する(ブロッキング高気圧)ため中緯度地域に暖かい風が次々と入り込み、気温はさらに上がっていく。これらが繰り返し起こることで暑さが増幅され、やがて熱中症などで人間を死に至らしめるほどの暑さとなる。
熱波に特徴的な天候が、長期間安定した晴天である。そのため朝夜の放射冷却では大気を冷ましきれずに気温が底上げされ気温が日に日に上昇し、熱波の収束前に気温のピークを迎えることが多い。また雨が少なくなり、湿度も下がって乾燥傾向になる。風も穏やかとなるため大気汚染物質が浄化されにくくなり大気汚染の被害、特に光化学スモッグによる被害が発生しやすくなる。
ただ熱波がピークを過ぎて大気の安定が崩れ、寒気が近づいたりすると高温の影響のために対流活動が活発化し激しい驟雨や雷雨による荒天(夕立、スコールなど)が顕著になる傾向がある。
影響 [編集]
熱波による影響は高温によるもの、少雨や乾燥によるものに大別できる。
熱波により、気温が体温を超えるような高温となることがある。これほどの高温となると熱中症の諸症状を訴える人が多くなり、死者も発生することがある。多くの建造物や舗装された道路などは、気温よりも大幅に温度が高くなる。
また少雨や乾燥は高温により需要が増える水資源の不足を招き上水道の給水制限や断水、農業用水の不足といった影響が出ることがある。
近年の主な熱波 [編集]
19世紀以前は熱波よりも寒波の影響の方が甚大であったが、近現代では地球温暖化の影響で激しい熱波がしばしば発生するようになった。[要出典]
ここでは、特に被害が甚大であったものを挙げる。文中異常(気候)とは、その地点として、30年に1回程度以下のまれな値となった場合を指す。
- 1980年6-8月 米国中~南部熱波(テキサス州ウィチタフォールズで最高気温47℃、同州ダラスで最高気温38℃以上の日が連続42日、オクラホマ州タルサ、カンザス州ウィチタで7月平均気温平年差(当時)が+5℃以上、ニューヨークで8月平均気温最高記録、全米で死者1,700人以上)
- 1987年7月 ギリシア熱波(最高気温45℃、死者1,000人以上)
- 1993年7月 米国南東部熱波(ジョージア州アトランタ7月平均気温最高記録、ただし中西部は洪水、北西部は異常低温)
- 1995年 シカゴ熱波(死者700人以上)
- 1999年 米国東部熱波(ニューヨーク7月平均気温最高記録)
- 2003年 フランス、イタリア、ポルトガル、ベルギー、スイスなど欧州の熱波(欧州全域で死者52,000人以上[2])
- 2005年 米国全域熱波(気温40℃以上)
- 2006年 米国全域熱波(気温40℃以上、中でもカリフォルニアは最高気温48℃の最高記録をした。)
- 2007年
- 欧州を中心とした熱波。
- パキスタン熱波(最高気温51℃、死者26人)
- 2009年 オーストラリア南部熱波(最高気温45℃)
- 2010年7月 ヨーロッパ~西ロシアで異常高温、ロシア西部では異常少雨、干ばつや森林火災による被害が発生した。偏西風の蛇行に伴い背の高い高気圧が発生した状態が7月を通して継続[3]、高気圧の高温域・晴天域に覆われた事に因る。
脚注 [編集]
- ^ なお、寒気や暖気の強さに差はあるが、ブロッキング現象自体は年間を通して発生する。
- ^ WWJ地球環境メールマガジンEpsilon,2006年5月号
- ^ モスクワ付近の一部で、月平均500hPa高度5820m(平年差+150m)以上の顕著な正偏差。ロシアのモスクワでは7月29日の日最高気温が摂氏38℃(平年値約22℃)に達した。(2010年8月6日 日本国気象庁報道発表資料)