新田八朗

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新田 八朗
にった はちろう
内閣府地方創生推進室より公表された肖像
生年月日 (1958-08-27) 1958年8月27日(65歳)
出生地 日本の旗 日本 富山県富山市
出身校 一橋大学経済学部卒業
前職 第一勧業銀行従業員
日本海ガス社長
所属政党 無所属
配偶者
親族 祖父・高辻武邦(公選第2・3代富山県知事
姉・高橋はるみ参議院議員・公選第15-18代北海道知事
公式サイト 新田はちろう公式サイト

富山県の旗 第21代 富山県知事(公選)
当選回数 1回
在任期間 2020年11月9日 - 現職
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新田 八朗(にった はちろう、1958年昭和33年〉8月27日 - )は、日本政治家実業家富山県知事(公選第21代)。

日本海ガス代表取締役社長、日本海ガス絆ホールディングス代表取締役社長、富山経済同友会代表幹事、富山青年会議所理事長、国際青年会議所副会頭、日本青年会議所会頭を歴任した。

経歴[編集]

富山県富山市生まれ。祖父は元富山県知事である高辻武邦。父は元日本海ガス社長の新田嗣治朗。女性初の北海道知事を務めた高橋はるみ参議院議員は姉[1]米州開発銀行理事等を務めた高橋毅は義兄[2]

富山大学教育学部附属小学校富山大学教育学部附属中学校富山県立富山高等学校を経て、1981年一橋大学経済学部卒業、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。麦野英順北陸銀行会長は中学・大学の2年先輩、齊藤栄吉富山銀行頭取は大学の3年先輩。1983年、父が病に倒れたため富山に帰郷し日本海ガス入社。同年から2年間愛知県豊橋市中部ガスで父の知人だった神野信郎社長の下修行を積んだ[3][4]

1985年日本海ガス取締役。富山青年会議所理事長、国際青年会議所副会頭、第47代日本青年会議所会頭を歴任した。2000年日本海ガスの代表取締役社長に就任[3][5]。2002年富山銀行監査役。2003年サプラ代表取締役会長[6]。2010年森雅志富山市長(当時)後援会「雅友会」会長[7]。2013年太閤山観光代表取締役社長[6]。2016年、国際石油開発帝石富山ラインからのガス受け入れを開始[8]。2017年富山経済同友会代表幹事に就任[9]。2018年日本海ガス絆ホールディングス設立[10]、同代表取締役社長[11]

この間、第67代富山ロータリークラブ会長[12]富山サンダーバーズ後援会会長[13]、富山日豪ニュージーランド協会会長、富山県奉迎委員会会長[14]、富山パイロットクラブ会長[15]広貫堂取締役[16]、富山県善意銀行副理事長[17]、富山大学附属中学校同窓会長[18]、富山県防災会議地震対策部会委員[19]インテックホールディングス取締役[20]富山市民プラザ取締役[21]北陸経済連合会理事[22]、富山インド協会理事[23]、とやま起業未来塾起業アドバイザー[24]日本ガス協会理事[25]、富山県経営者協会幹事[26]等も歴任。

2019年12月、翌年秋の富山県知事選挙に立候補する意向を表明[27]。自民党富山県連からの推薦を目指したが、五選を目指して出馬を表明した現職の石井隆一に選考で敗れる。県連から出馬自粛を要請されるが、無所属での出馬を決意。当時富山市長の森雅志、富山県議の中川忠昭らの応援をバックに、2020年10月25日の投開票の結果、石井に6万票以上の大差で[28]、また新人でNGO代表の川渕映子を破り初当選した[29]

公選による富山県知事としては、吉田実以来2人目となる帝国大学時代を含む東京大学卒業者以外の知事であり、行政・政治経験がない初の知事でもある。

選挙では、富山県で初めて選挙コンサルタント(松田馨)を採用し、容姿の改善[30][31]を図るとともに前職の高齢多選を批判、「ワクワクする県政」をキャッチフレーズにイメージ戦略を用いた。具体的には大会場でのロックコンサート風の集会[32]、「新田」と大きく書いた厚紙の小型の「チラシ」を通行人に見せる、投票日直前に新聞に折り込みチラシを入れるなど公職選挙法の限界を極める戦法を使った。

姿勢[編集]

統一教会との関係[編集]

2022年8月、一昨年の富山県知事選挙において、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から組織的な選挙支援を受けていたことを明らかにした[33]。地元テレビの報道によると統一教会が集めためた支援者名簿は6万人分(ちょうど次点の候補者の得票数との差と一致)であっ

新田によると、2020年6月、旧統一教会の関連団体「世界平和連合富山県本部」の事務局長である鴨野守(旧統一教会の元広報局長)から支援の申し出を受け[34]、同年8月、当時の会長だった徳野英治富山市内の後援会事務所で面談し、立候補の決意や政策について説明した[35]。選挙においては、「世界平和連合富山県本部」から後援会入会者の紹介や、支持を呼びかける「電話作戦」で支援を受けたほか、友好団体の集会で演説をする機会を3回提供されていた[36]。当選後の2021年7月には、旧統一教会の関連団体が主催する自転車イベント「ピースロード」に公務として出席し[37]開会式で挨拶をしていた[34]

新田は、旧統一教会から選挙支援を受けたのは適切ではなかったとし[36]、付き合い方を考え直すと述べたが、関係を断つとは明言しなかった[38][39]。また、自身と旧統一教会との関わりについて、チューリップテレビが「偏った報道」をしているとして、同社の報道姿勢に対して不快感を示したが、どの報道部分が偏っていたかは具体的に言及しなかった[40][39]

2022年9月6日、全国霊感商法対策弁護士連絡会は新田のこうした態度や、教団の選挙支援について「ありがたいことだった」と述べたことを批判し、旧統一教会と関係を持たないよう求める申入書を提出した[41][42]。同年9月12日、新田は県議会の代表質問で、旧統一教会はコンプライアンス上の問題がある団体だと認めた上で、今後は関連団体を含めて関係を持たないと述べた[43]。しかし、弁護士連絡会による申入書に対しては、「未来永劫お付き合いをしないと宣言することは、政教分離原則の観点から問題がある」と回答し、従来の主張を繰り返すに留めた[44][45]

県民に自粛要請中の会食 [編集]

2021年4月19日の記者会見で、4月16日夜に森雅志富山市長(当時)や実姉の高橋はるみ参議院議員ら最多6人で飲酒を伴う会食をしていたことを認めた。4月14日に新田が県独自の新型コロナウイルス感染拡大警報「富山アラート」を発令し、5人以上での飲食を自粛するよう県民に求めた2日後のことだった。記者の質問に対して事実を認め、「軽率な行動だったと反省している」と述べた[46][47]

県政[編集]

  • 既存の支援制度「地域企業再起支援事業補助金」を廃止し、ほぼ同じ内容の「中小企業リバイバル補助金」を新たに開設。
  • 選挙の公約に挙げていた起業の支援については,既存の起業支援制度「とやま起業未来塾」(修了生 250人が創業や新規事業進出[48])を廃止[49]。今後の起業家育成事業は民間に委託することに決める[50]
  • 選挙の公約に挙げていた「こども病院」は新設が困難というWGの結論により実現していない[51]
  • 選挙の公約では副知事を3人にするとしていたが,就任後,議会の反対に対応して副知事を2人とし、農林水産省から女性を副知事に採用[52][53]
  • 前富山県知事の石井が中心になって活動してきた「北陸新幹線建設促進同盟」の会長職を継続して務めないことを決める。「これからの延伸工事に向け最もふさわしい人に」と表明[54]
  • 富山空港に関しては「富山きときと空港運営あり方検討会議」を立ち上げた[55]

家族・親族[編集]

関連人物[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 「卓話 女性知事の弟のつぶやき 」東京六本木ロータリー・クラブ
  2. ^ 「北海道教育大学附属札幌中学校」文藝春秋[リンク切れ]
  3. ^ a b 「今日の人172.新田八朗さん [2017年12月14日(Thu) 」]「ダイバーシティとやま」な日々
  4. ^ [1]一橋大学[リンク切れ]
  5. ^ 「つながる師弟 新田八朗 」2017/1/26付日本経済新聞 朝刊
  6. ^ a b [2]
  7. ^ 「会長に新田氏 富山市長後援会「雅友会」総会」北日本新聞2010.05.28 01:46[リンク切れ]
  8. ^ 「国際帝石、天然ガス輸送の富山ライン完成 27日供給開始」日本経済新聞2016/10/22
  9. ^ 「富山)代表幹事に新田氏 富山経済同友会」朝日新聞2017年4月8日03時00分[リンク切れ]
  10. ^ [3][リンク切れ]
  11. ^ [4][リンク切れ]
  12. ^ [5][リンク切れ]
  13. ^ 「『プロジェクト5000!実施に向けて』」富山サンダーバーズ後援会[リンク切れ]
  14. ^ [6]
  15. ^ [7]
  16. ^ 「会社情報」広貫堂[リンク切れ]
  17. ^ [8][リンク切れ]
  18. ^ [9][リンク切れ]
  19. ^ 「富山県防災会議 地震対策部会委員名簿」富山県[リンク切れ]
  20. ^ [10][リンク切れ]
  21. ^ [11]
  22. ^ [12]
  23. ^ [13]
  24. ^ [14][リンク切れ]
  25. ^ [15][リンク切れ]
  26. ^ [16]
  27. ^ “富山知事選、前北海道知事の弟・新田氏が出馬表明 日本海ガス社長”. 毎日新聞. (2019年12月11日). https://mainichi.jp/senkyo/articles/20191211/k00/00m/010/286000c 2020年1月14日閲覧。 
  28. ^ 旧統一教会内部で知事選の支援報告 教団側が新田知事のため集めた名簿は6万人分か”. チューリップテレビ. 2023年12月2日閲覧。
  29. ^ 日本放送協会. “富山県知事選 新人の新田八朗氏 現職破り当選確実”. NHKニュース. 2020年10月25日閲覧。[リンク切れ]
  30. ^ 卓話「女性知事の弟のつぶやき」”. 東京六本木ロータリークラブ. 2021年9月26日閲覧。
  31. ^ 富山県庁「知事室へようこそ」”. 富山県庁. 2021年9月26日閲覧。
  32. ^ “斬新な集会で投票喚起”. 北陸中日新聞. (2020年11月8日) 
  33. ^ “富山県知事 旧統一教会関連団体が選挙支援 「適切でなかった」”. NHK. (2022年8月9日). https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220809/k10013762761000.html 2022年8月27日閲覧。 
  34. ^ a b “新田知事「旧統一教会からの支援 適切ではなかった」”. NHK. (2022年8月9日). https://www3.nhk.or.jp/lnews/toyama/20220809/3060011107.html 2022年8月27日閲覧。 
  35. ^ “旧統一教会会長と新田知事 おととしの知事選前に面談 後援会事務所で 富山”. チューリップテレビ. (2022年8月9日). https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tut/119181?display=1 2022年8月27日閲覧。 
  36. ^ a b “旧統一教会友好団体から選挙支援 名簿集めや電話 富山県知事”. 朝日新聞. (2022年8月10日). https://www.asahi.com/articles/ASQ8B36PCQ89PISC00Q.html 2022年8月27日閲覧。 
  37. ^ “「名簿作成した」証言に新田知事は…「それを含め後援会事務局に調査を指示している」旧統一教会関連団体からの選挙応援で 富山”. チューリップテレビ. (2022年7月26日). https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tut/105822?page=2 2022年8月27日閲覧。 
  38. ^ 新田知事「付き合い方を考え直す」と述べるにとどめる…旧統一教会や関連団体との今後の関わり”. 富山テレビ放送. 2022年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月13日閲覧。
  39. ^ a b “「なぜ関係を絶つと言えないのですか?」旧統一教会について新田知事に聞きました【全文】【ノーカット動画】”. チューリップテレビ. (2022年8月25日). https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tut/134661?display=1 2022年9月4日閲覧。 
  40. ^ 一部報道機関「偏った報道」 “統一教会”との関わりで新田知事”. 北日本放送. 2022年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月13日閲覧。
  41. ^ “「旧統一教会と一切の関係を持たないで」新田知事に被害者側弁護士が申し入れ 富山”. チューリップテレビ. (2022年9月6日). https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tut/145349?display=1 2022年9月12日閲覧。 
  42. ^ “【全文】全国霊感商法対策弁護士連絡会による新田知事への申入書(原文ママ) 富山”. チューリップテレビ. (2022年9月6日). https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/145066?display=1 2022年9月12日閲覧。 
  43. ^ 「今後コンプライアンス上問題ある団体とは関係もたない」新田知事”. 日本ニュースネットワーク. 2022年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月13日閲覧。
  44. ^ “「未来永劫付き合わないと宣言するには問題」新田知事が被害者側の弁護士連絡会に回答 富山”. チューリップテレビ. (2022年10月12日). https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tut/177134?display=1 2022年10月13日閲覧。 
  45. ^ “【全文】全国霊感商法対策弁護士連絡会に対する新田知事の回答(原文ママ)”. チューリップテレビ. (2022年10月12日). https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tut/176933?display=1 2022年10月13日閲覧。 
  46. ^ “県民に自粛要請中、姉の高橋はるみ参院議員や富山市長らと5人で会食…富山知事「軽率だった」”. 読売新聞. (2021年4月19日). https://www.yomiuri.co.jp/national/20210419-OYT1T50193/ 2022年9月3日閲覧。 
  47. ^ “新田富山県知事 5人以上で会食 県警報の2日後「軽率だった」”. 中日新聞. (2021年4月20日). https://www.chunichi.co.jp/article/239596 2022年9月3日閲覧。 
  48. ^ 【八策チェック】起業支援/看板施策 カラー鮮明”. 北日本新聞社. 2021年9月16日閲覧。[リンク切れ]
  49. ^ とやま起業未来塾の令和3年度塾生募集の休止について”. 富山県新世紀産業機構. 2021年9月16日閲覧。[リンク切れ]
  50. ^ 令和4年度当初予算 主な事業の見直し・再構築事業一覧”. 富山県. 2022年4月24日閲覧。
  51. ^ こども病院新設困難 検証に医療WG  既存病院で役割分担”. 北日本新聞社. 2021. 9.16閲覧。[リンク切れ]
  52. ^ 新副知事・県教育長が抱負”. 北日本新聞社. 2021年9月16日閲覧。[リンク切れ]
  53. ^ 【八策チェック】副知事3人体制/議会が反対 まずは2人か”. 北日本新聞社. 2021年9月16日閲覧。[リンク切れ]
  54. ^ 会長 福井知事望ましい 北陸新幹線同盟会長職について新田知事”. 北日本新聞. 2021年9月19日閲覧。[リンク切れ]
  55. ^ 第1回富山きときと空港運営あり方検討会議の開催について”. 富山県. 2021年9月19日閲覧。[リンク切れ]

外部リンク[編集]

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