コンプライアンス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

コンプライアンス (Compliance) とは、


目次

[編集] 企業におけるコンプライアンス

  • この節で、会社法は条数のみ記載する。

コンプライアンスとは、コーポレートガバナンスの基本原理の一つで、法律や規則などに従って活動を行うこと。企業におけるコンプライアンスについては、ビジネスコンプライアンスという場合もある。今日ではCSR(企業の社会的責任)と共に非常に重視されている。

近年、法令違反による信頼の失墜が事業存続に大きな影響を与えた事例が続発したため、特に企業活動における法令違反を防ぐという観点からよく使われるようになった。こういった経緯からか、日本語ではしばしば法令遵守と訳されるが、法律や規則といった法令を守ることだけを指すという論もあれば、社会的規範や企業倫理(モラル)を守ることも「コンプライアンス」に含まれるとする論もある(後述の「コンプライアンスとモラル」参照)。

株式会社においては、商法会社法)上取締役ないし執行役の義務(法定責任)として規定されている。理論的には善管注意義務330条)ないし忠実義務355条)の発現とされ監査役等も同様の義務を負っている(330条)。

企業も社会の構成員の一人として商法会社法)だけでなく民法刑法労働法といった各種一般法、その他各種業法をすべて遵守し、従業員一同にもそれを徹底させなければならないとされ(348条3項4号、362条4項6号)、特に大会社については、内部統制システム構築義務が課されている(348条4項、362条5項)。

[編集] コンプライアンス違反

このコンプライアンスに違反する事をコンプライアンス違反と呼び、コンプライアンス違反をした企業は、損害賠償訴訟(取締役の責任については株主代表訴訟)などによる法的責任や、信用失墜により売上低下等の社会的責任を負わなければならない。

企業の犯す企業犯罪の1つでもあり、発覚した場合は不祥事として報道される事が多い。またその不祥事の原因となる比率も高い要素でもある。

[編集] コンプライアンスとモラル

一部でモラルと混同される向きがあるが、コンプライアンスはあくまで「法令遵守」であるため、モラルとは別物だとする考え方がある。[要出典]

それによれば、たとえ法令そのものがモラルに反していたとしても、法令を遵守していればコンプライアンスは成立し、また法令に定められていないモラル違反(いわゆる「の抜け穴」を突くような行為など)を行っていたとしても、法令を遵守してさえいればコンプライアンスは成立する。逆の言い方をすれば、法令に則っていない行動の場合、その行動がいかにモラル的に合致した行動でもコンプライアンス違反となる、という考え方である。

しかし、たとえその意味でのコンプライアンス違反に問われなくとも、モラルに反する行動をした事により、社会からの信用を失い、結果的に自滅する企業も少なくない。

[編集] フルセット・コンプライアンス論

フルセット・コンプライアンス論とは、桐蔭横浜大学郷原信郎教授等が提唱する、「コンプライアンスとは法令遵守とイコールではなく、法令の遵守を含めた『社会的要請への適応』である」という考え方。

企業の存在には、利潤の追求だけでなく、食品メーカーであれば「安全な食品を供給してほしい」、放送局であれば「歪曲されていない、良質な番組を流して欲しい」など、社会からの潜在的な要請があり、各種法令にも、制定に至るまでには社会からの要請がある。法令は常に最新の社会の実情を反映できているわけでなく、司法もまた万能ではない。故に、単に法令のみの遵守に終始することなく、社会からの要請に応えることこそがコンプライアンスの本旨であるというのがフルセット・コンプライアンス論の趣旨である。

フルセット・コンプライアンス論では、法令を単純に条文通りに解釈し、「法の抜け穴」を突いたり、過剰に法律を振りかざしたりすることはコンプライアンスに背くこととしており、上記「コンプライアンスとモラル」の項とは矛盾する部分もある。

[編集] 日本企業においてコンプライアンス違反が生じた事例

2000年以降の主なもの)

一旦コンプライアンス違反を引き起こすこととなれば、企業イメージの低下に繋がることは避けられず、不買運動など今後の企業活動に大きなダメージを与える現象が起こりうる。

[編集] コンプライアンス違反が起きやすい環境および体質

これらは必ずしもコンプライアンス違反を起こす要因となるとは限らないが、その要因となる可能性が高いとされているものである。

  • 拝金主義(金儲け主義)(消費者軽視で利益最優先)
  • 秘密主義(隠蔽体質、閉鎖的な体質)
  • 一族(同族)経営独裁的な体質。しかし全ての一族経営企業がそうとは限らない。経営者の性格によっては逆に違反が起きにくい事もある。)
  • 上層部が絶対的な権力を持っている。
  • 自己中心的な幹部、社員、職員が多い。
  • 善悪の区別が付かない幹部、社員、職員が多い。
  • 殿様商売ブランド力に奢り高ぶっている)
  • コネ採用または天下り幹部が多い。
  • 不祥事を起こした該当者に対する処分が甘い(信賞必罰精神がない)。
  • 精神論に終始したり、当該個人にのみ責任を追及し、組織的・構造的な問題の解決に取り組まない。
  • 不祥事を告発した該当者に対して隠蔽のために処分を行う(懲戒解雇など、重大処分になるケースが多い。またはトナミ運輸のように告発した社員を30年近く閑職に追いやる、など)。
  • 未上場企業(しかし最近は上場企業のコンプライアンス違反も多い。)
  • 人材派遣(最近の都道府県労働局では偽装請負撲滅キャンペーンを行っている。)
  • 体育会系企業

など。

[編集] 服薬コンプライアンス

医療業界における(服薬)コンプライアンスとは、上記の法令遵守から派生した言葉で、医薬品の服用を規則正しく守ることを「コンプライアンスが良好である」といい、医薬品の服用を規則正しく守らないことを「ノンコンプライアンス」という。

ノンコンプライアンスの一番の原因は飲み忘れであり、特に外来の小児で多い。逆に入院患者ではその傾向が減少する。また、飲んで爽快感などが得られない(すぐに快方に向かわない)抗うつ薬や、苦味の強いマクロライド系抗生物質、自覚症状がほとんどない糖尿病に対する経口薬などもコンプライアンスが悪くなる。

医薬品のコンプライアンスの確認には、薬物治療モニタリング (TDM:Therapeutic Drug Monitoring) を利用して、医薬品の血中濃度を調べる方法がある。また、コンプライアンスを良好に保つためには、薬剤師看護師などの指導が重要である。

[編集] 機械・工学

機械・工学では、固定方法が剛結ではなく、入力に対し、ある程度の変形・変位を許す構造をさす。自動車のサスペンションアームはゴム製のコンプライアンス ブッシュの支持による典型例であり、この変位を利用した後輪の操舵作用をコンプライアンスステアと呼び、横力に対しての姿勢安定に利用されている。

[編集] 誤記

日本語上の表記において、「コンプライアンス」と書かれている事例も多い。同一文書内でもコンプライアンスと一緒くたにして使用されている場合や、企業がインターネットで公表しているコンプライアンス条項などでも混同して記載されていることがある。(とりあえず、英語ではComplianceであり、Compalianceではない)

同一視して差し支えない事が多いが、「アライアンス」には同盟・提携等の意味があるため、「企業提携」などの全く違った意味に取られる可能性もある。

[編集] 関連項目

ウィクショナリー