ゼンテイカ

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ゼンテイカ
Pcs34560 nikkokisuge.JPG
霧ヶ峰の車山高原肩のゼンテイカ(2009.07.11撮影)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
亜綱 : ユリ亜綱 Liliidae
: ユリ目 Liliales
: ユリ科 Liliaceae
: ワスレグサ属 Hemerocallis
: ゼンテイカ H. dumortieri var. esculenta
学名
Hemerocallis dumortieri C.Morren var. esculenta (Koidz.) Kitam. ex M.Matsuoka et M.Hotta
シノニム

H. esculenta (小泉, 1925)
H. sendaica (大井, 1949)
H. middendorffii var. esculenta (大井, 1949)

和名
ゼンテイカ、セッテイカ、ニッコウキスゲ、エゾカンゾウ、エゾゼンテイカ、センダイカンゾウ、トビシマカンゾウ(島嶼型)、ムサシノキスゲ(低地型)
英名
Daylily

ゼンテイカ(禅庭花)は、ユリ科(APG分類体系ではキスゲ科(ワスレグサ科))の一連の多年草。一般には、「ニッコウキスゲ」の名前で呼ばれることも多い。また、各地で別々に同定されたため、和名、学名ともに混乱が見られる[1]

概要[編集]

日本本州などでは高原に普通に見られるが、東北地方北海道では海岸近くでも見られる。関東では低地型のムサシノキスゲや、奥多摩、埼玉、茨城県でも低地型の自生のニッコウキスゲが見られる。花期は5月上旬から8月上旬。草原・湿原を代表する花で、群生すると山吹色の絨毯のようで美しい。 高さは50cm〜80cm。花茎の先端に数個つぼみをつける。花はラッパ状で、大きさは10cmぐらい。花びらは6枚。朝方に開花すると夕方にはしぼんでしまう一日花。ムサシノキスゲは開花の翌日まで開花する。

日光霧降高原尾瀬ヶ原霧ヶ峰などの群落が有名である。 花が黄色で葉がカサスゲ(笠萓)に似ているため、地名を付けてニッコウキスゲと呼ばれだし、全国に広まった。 ただし、栃木県日光地方の固有種というわけではなく、ゼンテイカは日本各地に普通に分布している。

日光地方では、霧降高原を中心に「日光キスゲまつり」が毎年開催されている。府中市 (東京都)では、ゴールデンウィークの頃に「キスゲフェスティバル」が開催される。

分類[編集]

本種は、分類の紆余曲折のため和名・学名ともに混乱が見られる。 本種の分類は、1925年に小泉らによりH. esculentaとされた[2]1949年大井により、当時はmiddendorffiiと分類されていたエゾカンゾウの変種middendorffii var. esculentaとされた[3] 。次に1964年北村らによりヒメカンゾウの変種とされ、H. dumortieri var. esculentaとされた[4]。また、ゼンテイカ群の分子系統学的解析を行っている野口[5]は、大井の見解を受けてH. middendorffiiとしている。[6]

保護上の位置づけ[編集]

本種自体は普通種であり、個体や群落自体が保護されているものではないが、天然記念物指定地域に多く群生している。

参考: 国指定植物天然記念物

ゼンテイカ群とその近縁種[編集]

ゼンテイカ群とその近縁種の植物
画像 名称(学名) 概説 保護上の位置付け
Hemerocallis dumortieri var dumortieri.jpg ヒメカンゾウ
(H. dumortieri C.Morren var. dumortieri
ニツコウキスゲよりやや小型。花茎は25cm-40cm程度となり、花期は5月頃。
Gthumb.svg トビシマカンゾウ
(H. dumortieri C.Morren var. exaltata (Stout) Kitam. ex M.Matsuoka et M.Hotta / シノニム Hemerocallis exaltata Stout)
ニッコウキスゲの島嶼型であり、山形県飛島で発見されたことから和名がある。佐渡島には群落があり、佐渡市の花となっている。ニツコウキスゲと比べてやや大型であり、花茎は1mに達する。 山形県レッドデータブック準絶滅危惧(NT)に指定されている。
Middendorfii var. esculenta f. musashiensis-01.jpg ムサシノキスゲ
(H. middendorfii var. esculenta f. musashiensis)
ニッコウキスゲの変種。浅間山 (東京都)に自生している。5月初旬から中旬にかけて開花し、開花した翌日に閉花する。かすかな芳香があると言われる。植物園などで見られるムサシノキスゲは府中浅間山から移植したものであが、花期が5月との理由でゼンテイカをムサシノキスゲと称する植物園(向島百花園)もある。 東京都レッドデータブック絶滅危惧I類(CR+EN)に指定されている。
Gthumb.svg エゾキスゲ
(H. lilioasphodelus L. var. yezoensis (H.Hara) M.Hotta / シノニム H. thunbergii auct. non Baker
日本では北海道に分布する。ゼンテイカ群の近縁種。花茎は40cm-80cm程度で、花期は5月-7月。花は夕方に開き始め、翌日の午後にしおれる。花は鮮やかなレモンイエローとなる。
Hemerocallis citrina Yuusuge in Ibukiyama 2010-7-10.jpg ユウスゲ
(H. citrina Baroni var. vespertina (H.Hara) M.Hotta / シノニム H. vespertina H.Hara
ゼンテイカ群には含まれない。別名にキスゲ、ユウスゲ、アサマキスゲ等がある。日本では本州から九州の山地に分布し、花期は7月-9月。花茎は1m-1.5m程度となる。花は鮮やかなレモンイエロー。夕方から開花が始まり、翌朝にはしおれる。花には芳香がある。

他に野カンゾウ群として、朝方から開花するノカンゾウ、ハナカンゾウ、ヤブカンゾウ、アキノワスレグサなどもある。 || 各都道府県レッドデータブックでは、千葉県野生絶滅(EX)三重県,和歌山県,福井県,愛媛県絶滅危惧I類(CR+EN)山口県,長崎県絶滅危惧II類(VU)兵庫県,香川県,大分県,宮崎県,鹿児島県準絶滅危惧(NT)に指定されている。

利用[編集]

園芸植物として植栽される。また、台湾では金針または黃花菜の名で食用とされる。

食材として乾燥した花

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Plant of forgetfulness Onomastics(人文研究, 90: 27-67)
  2. ^ The Botanical Magazine (Tokyo), Vol.39, 1925, S.1-30
  3. ^ 日本植物誌
  4. ^ A. P. G. 22(1-2): 41 (Jan. 1966); Kitam. & Murata in A. P. G. 22(3): 69 (Jul. 1966).
  5. ^ 異質染色質の変異よりみた日本列島におけるゼンテイカ群の変遷史と分化 日本植物分類学会 ISSN:00016799 Vol.39, No.1-3(19880625) pp. 25-36
  6. ^ 埼玉県内に自生するゼンテイカ(ニッコウキスゲ)について 埼玉県立自然史博物館,自然史だより 第53号 2004.3
  7. ^ ビーナスライン沿線の保護と利用のあり方研究会提言 ビーナスライン沿線の保護と利用のあり方研究会・長野県