ゼオライト

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沸石
沸石

ゼオライト(zeolite)とは、結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩の総称である。日本名は沸石(ふっせき)[1]。 もとは天然に産出する鉱物であり、内部にが含まれているため加熱すると沸騰しているように見えることから、ギリシャ語のzeo(沸騰する)とlithos(石)を合わせてzeoliteと名付けられた。

分子ふるいイオン交換材触媒吸着材として利用されている。現在ではさまざまな性質を持つゼオライトが人工的に合成されており、工業的にも重要な物質となっている。

目次

[編集] 種類

天然に産する沸石は溶岩と水の相互作用により生じ、主に温泉地帯から産出する。枕状溶岩や深海中、そして火山灰の地層と地下水との接触によっても生じる。

1997年、国際鉱物学連合(IMA)の小委員会により、以下のように整理された。

amicite
K4Na4[Al8Si8O32]・10H2O、単斜晶系。
アンモニウム白榴石(ammonioleucite)
(NH4)[AlSi2O6]、正方晶系。
方沸石(analcime)
Na[AlSi2O6]・H2O、等軸晶系・正方晶系・斜方晶系・単斜晶系・三斜晶系。
バレル沸石(barrerite)
Na2[Al2Si7O18]・6H2O、斜方晶系。
bellbergite
(K,Ba,Sr)2Sr2Ca2(Ca,Na)4[Al18Si18O72]・30H2O、六方晶系。
bikitaite
Li[AlSi2O6]・H2O、単斜晶系・三斜晶系。
boggsite
Ca8Na3[Al19Si77O192]・70H2O、斜方晶系。

brewsterite(系列名)

(Sr,Ba)2[Al4Si12O32]・10H2O、単斜晶系・三斜晶系。
brewsterite-Sr
brewsterite-Ba

菱沸石(chabazite)(系列名)

(Ca0.5,Na,K)4[Al4Si8O24]・12H2O、三方晶系・三斜晶系。
灰菱沸石(chabazite-Ca)
ソーダ菱沸石(chabazite-Na)
カリ菱沸石(chabazite-K)
chiavennite
CaMn[Be2Si5O13(OH)2]・2H2O、斜方晶系。

斜プチロル沸石(clinoptilolite)(系列名)

(Na,K,Ca0.5,Sr0.5,Ba0.5,Mg0.5)6[Al6Si30O72]・~20H2O、単斜晶系。
カリ斜プチロル沸石(clinoptilolite-K)
ソーダ斜プチロル沸石(clinoptilolite-Na)
灰斜プチロル沸石(clinoptilolite-Ca)
コウルス沸石(cowlesite)
Ca[Al2Si3O10]・5.3H2O、斜方晶系。

ダキアルディ沸石(dachiardite)(系列名)

(Ca0.5,Na,K)4-5[Al4-5Si20-19O48]・13H2O、単斜晶系。
灰ダキアルディ沸石(dachiardite-Ca)
ソーダダキアルディ沸石(dachiardite-Na)
エディントン沸石(edingtonite)
Ba[Al2Si3O10]・4H2O、斜方晶系・正方晶系。
剥沸石(epistilbite)
(Ca,Na2)[Al2Si4O12]・4H2O、単斜晶系・三斜晶系。

エリオン沸石(erionite)(系列名)

K2(Na,Ca0.5)8[Al10Si26O72]・30H2O、六方晶系。
ソーダエリオン沸石(erionite-Na)
カリエリオン沸石(erionite-K)
灰エリオン沸石(erionite-Ca)

faujasite(系列名)

(Na,Ca0.5,Mg0.5,K)x[AlxSi12-xO24]・16H2O、等軸晶系。
faujasite-Na
faujasite-Ca
faujasite-Mg

フェリエ沸石(ferrierite)(系列名)

(K,Na,Mg0.5,Ca0.5)6[Al6Si30O72]・18H2O、斜方晶系・単斜晶系。
苦土フェリエ沸石(ferrierite-Mg)
カリフェリエ沸石(ferrierite-K)
ソーダフェリエ沸石(ferrierite-Na)
ガロン沸石(garronite)
NaCa2.5[Al6Si10O32]・14H2O、正方晶系・斜方晶系。
gaultite
Na4[Zn2Si7O18]・5H2O、斜方晶系。
ギスモンド沸石(gismondine)
Ca[Al2Si2O8]・4.5H2O、単斜晶系。

グメリン沸石(gmelinite)(系列名)

(Na2,Ca,K2)4[Al8Si16O48]・22H2O、六方晶系。
ソーダグメリン沸石(gmelinite-Na)
灰グメリン沸石(gmelinite-Ca)
カリグメリン沸石(gmelinite-K)
ゴビンス沸石(gobbinsite)
Na5[Al5Si11O32]・12H2O、斜方晶系。
ゴナルド沸石(gonnardite)
(Na,Ca)6-8[(Al,Si)20O40]・12H2O、正方晶系。
goosecreekite
Ca[Al2Si6O16]・5H2O、単斜晶系。
gottardiite
Na3Mg3Ca5[Al19Si117O272]・93H2O、斜方晶系。
重土十字沸石(harmotome)
(Ba0.5,Ca0.5,K,Na)5[Al5Si11O32]・12H2O、単斜晶系。

輝沸石(heulandite)(系列名)

(Ca0.5,Sr0.5,Ba0.5,Mg0.5,Na,K)9[Al9Si27O72]・~24H2O、単斜晶系。
灰輝沸石(heulandite-Ca)
ストロンチウム輝沸石(heulandite-Sr)
ソーダ輝沸石(heulandite-Na)
カリ輝沸石(heulandite-K)
hsianghualite
Li2Ca3[Be3Si3O12]F2、等軸晶系。
kalborsite
K6[Al4Si6O20]B(OH)4Cl、正方晶系。
濁沸石(laumontite)
Ca4[Al8Si16O48]・18H2O、単斜晶系。
白榴石(leucite)
K[AlSi2O6]、正方晶系。

レビ沸石(levyne)(系列名)

(Ca0.5,Na,K)6[Al6Si12O36]・~17H2O、三方晶系。
灰レビ沸石(levyne-Ca)
ソーダレビ沸石(levyne-Na)
lovdarite
K4Na12[Be8Si28O72]・18H2O、斜方晶系。
maricopaite
(Pb7Ca2)[Al12Si36(O,OH)100]・n(H2O,OH), n~32、斜方晶系。
mazzite
(Mg2.5K2Ca1.5)[Al10Si26O72]・30H2O、六方晶系。
merlinoite
K5Ca2[Al9Si23O64]・22H2O、斜方晶系。
中沸石(mesolite)
Na16Ca16[Al48Si72O240]・64H2O、斜方晶系。
montesommaite
K9[Al9Si23O64]・10H2O、斜方晶系。
mordenite
(Na2,Ca,K2)4[Al8Si40O96]・28H2O、斜方晶系。
mutinaite
Na3Ca4[Al11Si85O192]・60H2O、斜方晶系。
ソーダ沸石(natrolite)
Na2[Al2Si3O10]・2H2O、斜方晶系。
offrétite
CaKMg[Al5Si13O36]・16H2O、六方晶系。
pahasapaite
(Ca5.5Li3.6K1.2Na0.213.5)Li8[Be24P24O96]・38H2O、等軸晶系。
parthéite
Ca2[Al4Si4O15(OH)2]・4H2O、単斜晶系。

paulingite(系列名)

(K,Ca0.5,Na,Ba0.5)10[Al10Si32O84]・27-44H2O、等軸晶系。
paulingite-K
paulingite-Ca
perlialite
K9Na(Ca,Sr)[Al12Si24O72]・15H2O、六方晶系。

十字沸石(phillipsite)(系列名)

(K,Na,Ca0.5,Ba0.5)x[AlxSi16-xO32]・12H2O、単斜晶系。
ソーダ十字沸石(phillipsite-Na)
カリ十字沸石(phillipsite-K)
灰十字沸石(phillipsite-Ca)
ポルクス石(pollucite)
(Cs,Na)[AlSi2O6]・nH2O, where (Cs+n)=1、等軸晶系。
roggianite
Ca2[Be(OH)2Al2Si4O13]・<2.5H2O、正方晶系。
スコレス沸石(scolecite)
Ca[Al2Si3O10]・3H2O、単斜晶系。
ステラ沸石(stellerite)
Ca[Al2Si7O18]・7H2O、斜方晶系。

束沸石(stilbite)(系列名)

(Ca0.5,Na,K)9[Al9Si27O72]・28H2O、単斜晶系。
灰束沸石(stilbite-Ca)
ソーダ束沸石(stilbite-Na)
terranovaite
NaCa[Al3Si17O40]・>7H2O、斜方晶系。
トムソン沸石(thomsonite)
Ca2Na[Al5Si5O20]・6H2O、斜方晶系。
tschernichite
Ca[Al2Si6O16]・~8H2O、正方晶系。
tschörtnerite
Ca4(K2,Ca,Sr,Ba)3Cu3(OH)8[Al12Si12O48]・nH2O, n~20、等軸晶系。
ワイラケ沸石(wairakite)
Ca[Al2Si4O12]・2H2O、単斜晶系・正方晶系。
weinebeneite
Ca[Be3(PO4)2(OH)2]・4H2O、単斜晶系。
willhendersonite
KxCa(1.5-0.5x)[Al3Si3O12]・5H2O, where 0<x<1、三斜晶系。
湯河原沸石(yugawaralite)
Ca[Al2Si6O16]・4H2O、単斜晶系・三斜晶系。神奈川県で発見された新鉱物

[編集] イオン交換能

ゼオライトは二酸化ケイ素からなる骨格を基本とし、一部のケイ素アルミニウムに置き換わることによって結晶格子全体が負に帯電している。そのため微細孔内にナトリウムなどのカチオンを含み、電荷のバランスを取っている。粉末状にしたゼオライトを別の種類のカチオンを含んだ水溶液中にいれると、細孔内と水溶液中でイオン交換が起こる。この交換反応は可逆的であり、時間がたつと平衡状態となる。

この性質のためゼオライトは水質改良剤として用いられる。例えば、水中のカルシウムイオンマグネシウムイオンをゼオライト中のナトリウムイオンと置きかえることで水の硬度を下げることができるので、衣類用の洗剤などに含まれている(「硬水軟水化剤」等と記載されている)。また微細孔内に植物の生育に必要なカチオンを保持するため、陽イオン交換容量を増す土壌改良剤としても用いられる。

[編集] 触媒としての機能

ゼオライトはその細孔内に選択的に分子を取り込み、反応させることができるため、触媒として多方面に利用されている。例えばZSM-5という合成ゼオライトを用いることでメタノールからガソリンを合成することに成功している。また、ディーゼル排気中に含まれるNOxを分解・除去するための触媒としても期待されている。

[編集] 吸着能

ゼオライトは微細孔内に水分子を吸着し、また放出することができるため、有機溶媒脱水湿度調節に用いられる。また水分子のほかにホルムアルデヒドなどの気体分子を吸着するとされるため、消臭や、シックハウス症候群を防止する目的にも期待されている。

[編集] 脚注

  1. ^ 文部省 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、ISBN 4-8181-8401-2。(オンライン学術用語集

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 参考文献

  • D.S. COOMBS et al., "Recommended nomenclature for zeolite minerals: report of the Subcommittee on Zeolites of the International Mineralogical Association, Commission on New Minerals and Mineral Names," The Canadian Mineralogist, Vol. 35, pp. 1571-1606, 1997. PDF

[編集] 外部リンク