カルメル派修道女の対話

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

カルメル派修道女の対話』(カルメルはしゅうどうじょのたいわ、Dialogues des carmélites)は、フランシス・プーランク作曲のオペラフランス革命前後のコンピエーニュのカルメル会修道女の処刑を題材とする。全3幕。

概要[編集]

ドイツの作家ゲルトルート・フォン・ル・フォール1931年に発表した小説「断頭台下の最後の女」を、ジョルジュ・ベルナノスが台本化した。1957年1月26日に、ミラノスカラ座にて初演された。ニーノ・サンツォーニョが指揮を担当。この時はイタリア語で歌われた。フランス語版初演は同年6月21日に、パリ・オペラ座にて行われた(ピエール・デルヴォー指揮)。

登場人物[編集]

  • ブランシュ・ド・ラ・フォルス(ソプラノ):主人公。架空の侯爵家フォルス家の令嬢だが、コンピエーニュのカルメル会修道院に入る。
  • ド・ラ・フォルス侯爵(バリトン):ブランシュの父。妻が民衆の暴動に巻き込まれ命を落とした。
  • 騎士フォルス(テノール):ブランシュの兄。ブランシュの身を案じている。
  • コンスタンス(ソプラノ):明るい性格の修道女。ブランシュの友人となる。
  • クロワシー夫人(アルト):修道院長。ブランシュに修道院の何たるかを教える。
  • マリー(メゾソプラノ):修道女長。
  • リドワーヌ夫人(ソプラノ):クロワシー夫人の次の修道院長。

楽器編成[編集]

フルート2、ピッコロオーボエ2、コーラングレクラリネット2、バス・クラリネットファゴット2、コントラファゴットホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバティンパニ(4個)、打楽器(小太鼓ムチウッドブロッククロテイルトライアングルシンバルタムタム大太鼓シロフォンチェレスタグロッケンシュピール)、ハープ2、ピアノ、弦5部

演奏時間[編集]

約2時間45分(70分、50分、45分)。

あらすじ[編集]

第1幕[編集]

第1場

ド・ラ・フォルス侯爵の書斎。 書斎でうたた寝していたド・ラ・フォルス侯爵は、騎士ド・ラ・フォルスから、ブランシュの乗る馬車が群衆に取り囲まれて身動きできないとの知らせを聞き、ブランシュの身を案じていた。程なくしてブランシュは戻り侯爵は安堵するが、ブランシュはコンピエーニュの修道院へ入りたいと言い出す。

第2場

カルメル会修道院の応接間。 数週間後、ブランシュは、修道院長のクロワシー夫人に修道院へ入れて欲しいと頼む。修道院長は、修道院は世俗の危険から逃れるために入るものではないと咎めるが、ついにはブランシュを受け入れることにした。

第3場

修道院内。 ブランシュは、いつも明るい修道女コンスタンスに対し、修道院長が病身なのに不謹慎だと責める。コンスタンスは、修道院長のためならこの身を捧げても良いと返し、さらに、自分とブランシュが若くして同じ日に死ぬ夢を見たと語った。

第4場

修道院の病室。 死に瀕した修道院長は修道女長マリーを呼び、ブランシュを支えるよう頼んだ。入ってきたブランシュにも直接諭すが、ブランシュが退出した直後、修道院長は病の苦痛に耐えきれず錯乱する。ブランシュが再び入ってきたとき、修道院長は正気を取り戻し、そのまま亡くなっていった。

第2幕[編集]

第1場

礼拝堂。 ブランシュとコンスタンスは修道院長の棺の守番をしていた。時間が来て、コンスタンスは交代を呼びに礼拝堂を離れる。ブランシュは怖くなって扉へ向かうが、出くわしたマリーに棺から離れないよう咎められた。

幕前劇

修道院の庭。 ブランシュとコンスタンスは、修道院長の墓を花で飾り付けながら、次の修道院長に誰がなるか話をしていた。続けて、コンスタンスは、修道院長がなぜあんなに苦しんで亡くなったのか思案し、おそらく修道院長は他人の苦しみを身代わりに引き受けたのだろうと結論した。

第2場

参事会室。 リドワーヌ夫人が新しい修道院長に選ばれた。新修道院長は就任の挨拶をし、今後も神に祈りを捧げ続けるよう修道女らに語った。

幕前劇

修道院の廊下。 騎士ド・ラ・フォルスが、ブランシュを連れて国外へ逃げるために修道院を訪れた。修道院長はマリーの立ち会いの下、面会を許可した。

第3場

面会室。 騎士ド・ラ・フォルスは、父も心配していると告げてブランシュを連れ出そうと説得するが、ブランシュは、修道院に留まることを選んだ。騎士ド・ラ・フォルスが去った後、ブランシュは弱音を口にし、マリーの励ましを受けた。

第4場

聖具室。 政府によって聖務は禁じられた。修道院でミサを取り仕切った司祭は、修道院から離れ身を隠すことにした。修道女らは不遇を嘆き、マリーは殉教こそが国に進行を取り戻す道と語るが、修道女長は殉教すべきでないと説く。 司祭が群衆に追われて修道院に戻ってきた。群衆は、修道院の門を開けるよう叫び声を上げる。修道女たちはこれを防ごうとするが、結局門を開けることとなった。群衆とともに修道院へ入ってきた役人は、修道院を解散させ建物を接収するとの命令を告げた。

第3幕[編集]

第1場

廃墟となった礼拝堂。 修道院長がパリへ行っている間、マリーの提案で殉教すべきか否かが無記名投票に欠けられることとなった。反対票が1票だけあり、修道女たちはブランシュが投じたものと推測するが、意外なことに、反対票を投じたのはコンスタンスだった。しかし、コンスタンスは反対票を撤回すると宣言し、修道女たちは殉教することとなった。この間に、ブランシュは怖くなって修道院から逃げ出した。

幕前劇

修道院の外の通り。 戻ってきた修道院長以下、修道女たちは平服に着替える。役人からは、市民は常に見張っているとの警告を受けた。

第2場

旧ド・ラ・フォルス侯邸の書斎。 ブランシュは、群衆に占拠されたかつての自宅で、メイドとして働いていた。ある日マリーがやってきて、もっと安全な場所があると教え、ブランシュに住所を伝えるが、ブランシュは、ここが一番安全だと主張して、動こうとしなかった。

幕前劇

バスティーユ近くの路上。 ブランシュは、コンピエーニュのカルメル会修道院の修道女たちが逮捕されたという噂を耳にした。

第3場

コンシェルジュリ監獄。 修道女たちは、牢獄で過ごす初めての夜を迎えていた。修道院長は、何者も信仰を奪うことはできないと説き、また、自分も殉教の誓いに加わると宣言する。コンスタンスは、ブランシュが牢獄にいないことに気づくが、最後には必ずやってくると確信していた。 役人が牢獄に入ってきて、修道女たちが革命を転覆する企てをしたとして、その全員を死刑にすると宣告した。

幕前劇

バスティーユ近くの路上。 マリーは、修道女たちが死刑になると司祭から聞き、自分も殉教すべく刑場へ向かおうとするが、司祭から、あなたは命を長らえることが神の思し召しに従う道だと説かれる。

第4場

革命広場。 修道女たちは、「サルヴェ・レジーナ」を歌いながら処刑台へ向かい、一人ずつギロチンにかけられる。コンスタンスが最後の一人として処刑台に立ったとき、ブランシュが刑場に現れた。ブランシュは、コンスタンスがギロチンにかけられて途絶えた歌を引き継ぎ、「来たり給え、創造主なる聖霊よ」を歌いながら、コンスタンスと同じ日に命を喪った。

音楽[編集]

劇中で用いられる聖歌

外部リンク[編集]