オンボードグラフィック

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オンボードグラフィックとは、パーソナルコンピュータマザーボード上に搭載されているグラフィックコントローラ (GPU) のことである。内蔵グラフィック、オンボードビデオ、内蔵ビデオなどとも呼ばれる。マザーボード上直接搭載グラフィックコントローラ (GPU)ではなく、PCIバス接続ビデオカード(グラフィックボードと呼称される場合も多い)上搭載グラフィックコントローラ (GPU)については、ビデオカードを参照の事。

インテル製G45チップセット

目次

[編集] 概要

パーソナルコンピュータから映像を出力するためには、一つにマザーボードの拡張スロット(PCIバスなど)にビデオカードを接続し、そのビデオカードの映像出力端子とディスプレイを接続する形態がある。これとは異なり、マザーボード自体にグラフィックコントローラと映像出力端子が実装されていて、マザーボードとディスプレイを直接接続する形態もあり、このマザーボード上に実装されているグラフィックコントローラのことをオンボードグラフィックと呼んでいる。

実装形態は、単体のグラフィックチップをシステム基板に直接実装してグラフィック機能を実現しているものと、グラフィック以外の機能と統合されたチップ(統合チップセット)を搭載しているものに大別される。

オンボードグラフィックは、ビデオカードと比較して省スペースかつ低コストに生産することができるという特徴をもつが、グラフィック性能については単体のビデオカードの方が優れている場合がほとんどで、特に3次元コンピュータグラフィックスの描画能力では、ハイエンドクラスのグラフィックボードに匹敵するオンボードグラフィックは存在しない(2010年現在)。

ただし、文書作成や数表作成などのビジネス資料作りや年賀状ソフトや電子メールを読み書きする等の一般家庭用途では強力な描画性能を必ずしも必要とせずオンボードグラフィックで不都合を感じないことが大半であり、省電力性が重視されるノートパソコン、小型化が求められる省スペースパソコン、あるいはコスト最優先の普及価格帯以下のデスクトップパソコンを中心に、統合チップセットによるオンボードグラフィックが広く採用されている。

[編集] グラフィック統合チップセットによるオンボードグラフィック

グラフィック統合チップセットの例(AMD 690G)

システムに不可欠のグラフィック機能を他チップに統合する試みは古くから存在し、CPUに統合したCyrix MediaGXノースブリッジに統合したSiS 520なども存在した。しかし、これら製品はグラフィック機能の貧弱さに加え、低価格市場を目的にしていた為に利用できるCPU性能にも制限があり、広く採用されるには至らなかった。

状況を大きく変えたのがインテル1999年に発表したIntel 810チップセットである。i810はハブアーキテクチャと呼ばれる設計を採用した当時としては最新のチップセットであり、GMCHと呼称されるノースブリッジに同社製3Dグラフィックチップi752をベースとしたIntel Graphics Technologyコア(以下IGTコア)を統合していた。ベースとなったi752自体、描画機能・性能ともにグラフィックチップとしては当時すでに貧弱な存在であったが、IGTコアは大多数のユーザーが主に行うオフィス処理やウェブブラウジングなどには十分な性能を有していた。

またi810は当時としては高速な100MHzシステムバスもサポートしていた為に同設計でハイエンドからローエンドまでのCPUを採用した製品ラインナップを作りやすく、さらにグラフィックカードを搭載しないで済む為に省スペースデザインなども可能であった。この為、メーカー製PCを中心に広く採用され爆発的な成功を収めた。

ただi810も外部AGPをサポートしていなかった(つまり、後から必要になっても高性能なグラフィックボードを追加する事ができない)為、特に自作機ユーザに敬遠される傾向にあった。この事からシステムバスが133MHzに向上すると同時にIntelが投入した次代のi815では、外部AGPがサポートされた。このi815を搭載したAGPスロットとオンボードグラフィックの両方を持つマザーボードが発売されると、今度は自作機用のマザーボードでもヒット商品が続々登場した。

このi810・i815の大成功以降、各チップセットメーカーも競ってグラフィック統合チップセットを投入し、普及価格帯以下のPCでは表示機能にチップセット統合グラフィック機能を用いる製品が一般的になった。初のAladdin TNT2搭載Socket 370対応マザーボード「CUA」登場オンボードグラフィックの呼称である「内蔵ビデオ」「内蔵グラフィック」などはこの形態に由来する。

当初こそチップセット統合グラフィックは貧弱さを揶揄される存在だったが、需要の拡大とともに進化し続けている。

機能面ではプログラマシェーダによる3Dグラフィックおよびビデオアクセラレーションへの対応、HDCPに対応したHDコンテンツ出力、マルチディスプレイなどを実現しており、ほぼ単体GPUと遜色の無い水準に達している。

反面、性能面ではi810以降のオフィス用途を主眼とした統合グラフィック製品に対して、主にゲームユーザーなどからの不満も多い。2001年NVIDIAが発表したnForceチップセットは統合グラフィック性能の高さをアピールしており、これ以降は性能を重視した統合グラフィック製品も多く登場。しかし、大半の統合グラフィックは依然として単体GPUには遠く及ばず、用途により住み分けがされている状況である。(これは特定機能で差別化できる製品を除き、性能で統合グラフィック機能に及ばない単体GPUが市場で競争力を持てないためでもある)

グラフィック機能を統合したチップセットでは、AGPまたはPCI Expressなどのバスを用いて内部的にチップセットとグラフィックコアを接続している。この為、AGPのように1本しか存在しないバスを用いたチップセットの場合、そのバスを用いた外部スロットを使用するとチップセット統合のグラフィックコアは無効になる場合もある。またPC/AT互換システムで必要となるビデオBIOSもマザーボードのBIOSに統合されている。

[編集] 統合チップセットで利用される技術/拡張機能

[編集] Unified Memory Archtechture

チップセット統合グラフィックコアの場合、フレームバッファに用いるビデオメモリメインメモリと共有するものが一般的である。これをUnified Memory Architecture(以下UMA)又はShared Memory Architecture(SMA)と呼称する。UMAでは専用のビデオメモリを必要としない為にコストが削減でき、かつ実装面積の節約にも繋がる。これらのメリットにより、チップセット統合グラフィック機能を用いている製品ではほとんど全てがUMAを採用している。

反面、UMAによりビデオメモリ用として確保された領域はシステムからは使用できなくなり、実効メモリ容量が減少する。さらにビデオメモリとしては低速なメインメモリを使うためにグラフィック性能の低下に繋がり、さらにメモリ帯域を侵食されるプロセッサの性能も低下するため、システム全体の性能低下に繋がる場合もある。

UMAによりビデオメモリ領域として確保される容量は、システムのBIOSでユーザーが設定するものとデバイスドライバにより自動的に設定されるものとがある。

[編集] Display Cache

UMAによる性能低下の問題は早くから認識されており、i810には4MBのDisplay Cacheをサポートするi810DCと呼ばれる上位モデルが存在した。このDisplay Cacheはチップセットのグラフィックコアに直接接続されるZバッファ専用のキャッシュメモリであり、グラフィックコアとメインメモリ間のトラフィックを軽減し、グラフィック性能の向上を図るものである。i810のバリエーションであるi815でもAGP経由で接続されるGraphics Performance Acceleratorを用いたDisplay Cacheをサポートしている。

なおいずれの場合でも、Display CacheはあくまでZバッファ専用であるため2D性能の向上には全く寄与しない。

[編集] Local Frame Buffer (Side Port Memory)

Local Frame Buffer(以下LFB)は上述のDisplay Cache同様にチップセットのグラフィックコアに直接接続されるビデオメモリである。AMDではこれをSide Port Memoryと呼称する。

Zバッファ専用のDisplay Cacheと異なり一般的なビデオメモリとして利用可能であり、3D性能向上のみならず2D性能の向上にも繋がる。オンボードグラフィックの性能を高めたい場合などマザーボードベンダーに採用されている。性能設定によりUMAを使用せずLFBのみでの運用も可能である。AMD(旧ATi含む)やSiSの一部製品でLFBがサポートされている。

[編集] ADDカード

ADDカードはIntelおよびSiSの製品で採用されたグラフィック拡張機能である。これはAGPスロットに接続するビデオカード状の拡張カードであり、基板上にはSiS 301等のTMDSトランスミッタ/TV出力エンコーダチップと、出力端子としてDVI端子やビデオ出力端子を搭載する。これにより、最低限のコストでシステムにオプションの出力機能やマルチディスプレイ機能を追加することが可能である。

Intel 845Gから865Gにおいて採用された他、915ファミリ以降ではPCI Express世代のADD2カードが採用された。

[編集] チップセット統合グラフィックの主なブランド

統合チップセットによるオンボードグラフィック機能はそれ自体が単体で販売されるものではなく、当初は独自の名称を持たないものが一般的であった。しかしグラフィック機能への需要の高まりとともに、統合グラフィック機能にユニークネームによるブランド名を冠するのが一般的となっている。ベースとなったグラフィックコアが十分なネームバリューを持つ場合は、グラフィックコアの名称がそのままチップセット名となることも多い。

[編集] 単体グラフィックチップによるオンボードグラフィック

マザーボード上にオンボード実装された単体グラフィックチップの例(i740)。左上はi440BXチップセット。右下にVRAMとPCIスロットが映り、外部AGPスロットが存在しないことが分かる。

統合グラフィック機能の普及以前のPCでは単体グラフィックチップを搭載することが一般的であった。これはグラフィックカードの形態で提供される場合もあったが、低価格帯向けの製品ではシステム基板上に単体のグラフィックチップとビデオメモリを搭載し、表示機能を実現するものも多かった。ただしこれらはあくまで必要最小限の機能を安価に提供することをも目的としており、S3Trio64/32Cirrus Logicなどの低価格製品が多く用いられた。

グラフィック統合チップセットが広く普及して以降、低価格を目的に単体グラフィックチップを搭載する例は激減したが、市場需要に対し適切なグラフィック統合チップセットが提供されない時期にはコスト削減を目的に単体グラフィックチップがオンボード搭載される場合もあった。(i850/845SDRAMの時期に一部メーカーが低価格GPUをオンボードで採用している)

ただしAGPPCI Expressなどのバスを使用して単体ビデオチップをオンボード搭載すると、これらのバスを外部バスとして使用することが出来なくなる。

[編集] ノートパソコン・サーバシステムなど

ノートパソコン拡張カードが搭載できない関係で、当初からオンボードで単体グラフィックチップを搭載するのが一般的であった。 初期にはNeoMagicのMagicGraph 128およびMagicMedia 256、TridentのCyberBladeなどの製品が大きなシェアを占めていた。これら製品はビデオメモリをグラフィックチップに内蔵するエンベデッド構造を採用することで、ノートパソコン部品として重視される省スペース性を実現していたが、描画性能は極めて貧弱な水準であった。このため、デスクトップPC同様にi810チップセットの普及以後はグラフィック機能を重視しない普及価格帯以下の製品では統合グラフィック機能が主流となった。しかしグラフィック機能をアピールする一部のハイエンド製品では、オンボード実装の単体GPUを搭載するものが販売されることも多い。

また表示能力を重視せずシステム性能を重視するサーバにおいても、オンボード実装のグラフィックチップを搭載するものが多い。サーバ市場では価格・製品実績・安定性などが重視される為、AMDのRageXLやXGIVolari Z7などが採用されている。

[編集] Macintoshでのオンボードグラフィック

1999年以降、アップルコンピュータはPowerPC搭載Macintosh向けチップセットを自社で開発していたが、グラフィック性能を搭載したシステムコントローラがなかったために、PowerMacシリーズ以外の全ての機種で、ATIやNVIDIA製の単体グラフィックチップがオンボードで搭載されていた。

IntelのCPUを採用してからは、Intel製のグラフィック統合チップセットも搭載されるようになった。現在、単体グラフィックチップをオンボードで搭載するのは、MacBook ProシリーズとiMacシリーズである。

[編集] GPU統合CPUによるオンボードグラフィック

インテルではIntel Atomで初採用された。汎用CPUではIntel Core i5(Clarkdale)で採用され、統合GPUIntel HD Graphicsとなる。 2011年10月現在ではIntel Core i(Sandy Bridge)、AMD Aシリーズ、EシリーズもCPU統合GPUとなっている。

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[編集] 関連項目

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