NVIDIA Tegra

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NVIDIA Tegra T20 (Tegra 2) and T30 (Tegra 3) chips.

NVIDIA Tegra(エヌビディア テグラ)は、NVIDIAによるARM系の省電力統合型プロセッサのシリーズ。スマートフォンタブレット型コンピュータ、自動車のインフォテインメントシステムなどに使用されている。

構成[編集]

Tegraには、1チップ内に独立したプロセッサコアが機能別に搭載されている(ARMプロセッサ、GPU、2Dエンジン、HD動画エンコーダデコーダ、オーディオ処理、画像処理)。使っていない機能のプロセッサは電源が遮断され、消費電力を下げる(100~500mW程度)[1]

特徴[編集]

  • 省電力でありながらグラフィック性能が高い
  • コンピュータに必要な機能が1枚のチップに収まっているので、チップセットの面積が小さい
  • 世界初のデュアルコアARM Cortex A9 CPUを搭載 (Tegra 2)
  • 世界初のクアッドコアARM Cortex A9 CPUを搭載 (Tegra 3)
  • 低周波数で低消費電力動作を実現する第5のコンパニオンCPUコアを搭載 (Tegra 3)

仕様[編集]

仕様は次の通り[2]

Tegra APX 2500
Tegra APX 2600
Tegra 600 Tegra 650 Tegra 230 Tegra 250 Tegra 3 Tegra 4i Tegra 4 Tegra K1
アーキテクチャ ARM11 Cortex-A9 Cortex-A9 R4 Cortex-A15 r2 Cortex-A15 r3
CPUクロック(GHz) 0.6 0.7 0.8 1.0 1.3~1.7 〜2.3 1.2〜1.9 〜2.3
CPUコア数 1 2 4 + 1 (バッテリーセーバーコア)
L2キャッシュ 1 MB[3] 2 MB + 0.5 MB[3]
GFLOPS
(CPU, 倍精度)
10.2 GFLOPS[4] 13.8 GFLOPS[5] 15.2 GFLOPS[6] 18.4 GFLOPS[7]
GFLOPS
(CPU, 単精度)
27.2 GFLOPS[8] 36.8 GFLOPS[9] 60.8 GFLOPS[10] 73.6 GFLOPS[11]
GPUコア数
(ALU数)
8
Vertex Shader: 4
Pixel Shader: 4[12]
12
Vertex Shader: 4
Pixel Shader: 8[13]
60
Vertex Shader: 20
Pixel Shader: 40[3]
72[14]
Vertex Shader: 24
Pixel Shader: 48[13]
192 CUDA Core
Unified Shader
GFLOPS
(GPU, 単精度)
5.6 GFLOPS
(333MHz)[15]
12.48 GFLOPS
(520MHz[16])[15]
79.2 GFLOPS
(660MHz[3])
96.768 GFLOPS
(672MHz[16])
364.8 GFLOPS
(950MHz[17])
画面解像度 854x480 (LCD)
1280x1024 (CRT)
1280x720 (HDMI)
1280x1024 1680x1050 1024x600 (LCD)
1280x1024 (CRT)
1920x1080 (HDMI)
1680x1050 (LCD)
1600x1200 (CRT)
1920x1080 (HDMI)
2048x1536 (LCD)
1920x1200 (CRT)
1920x1080 (HDMI)
1920x1200 (LCD)
1920x1080 (HDMI)
3200x2000 (LCD)
3840x2160 (HDMI)
3840x2160 (LCD)
4096x2160 (HDMI)
動画エンコード 720p@30fps 1080p@24fps 1080p 1440p 2160p
プロセスルール 40nm[13] 28nm[13]
メモリ LPDDR-333 LPDDR-400 シングルチャネル
LPDDR2-600
シングルチャネル
LPDDR2-600
DDR2-667
32bit シングルチャネル
DDR3-L 1600
LPDDR2-1066
32bit シングルチャネル
LPDDR3-2133
32bit デュアルチャンネル
DDR3-L
LPDDR3-1866
64bit デュアルチャンネル
DDR3-L
LPDDR3
浮動小数点 VFPv3-D16対応
(通常のVFPv3に対してレジスタ数が半分)
VFPv3 VFPv4
SIMD 対応
NEON
(Advanced SIMD)
非対応 対応
モデム なし LTE Cat4
HSPA+
TD-HSPA
GSM/GPRS/EDGE
なし

グラフィック性能[編集]

Tegra 650のグラフィック性能は「GeForce 6」シリーズ相当で、『Quake III Arena』を46fpsで実行できる[18]。Tegra 250は1024x600の解像度を60fpsで実行できる[19]

Tegra 3は12コアのGeForce GPUを搭載しており、Tegra 2と比べ約3倍のグラフィックス性能を持つ[20]。また、最新のビデオ・エンジンを実装することで、1080p、40Mbpsのビデオを再生することが可能[20]。このほか、ステレオスコピック3Dにも対応する。

Tegra 4は72コアのGeForce GPUを搭載しており、Tegra 3の約6倍、Tegra 2の約20倍のグラフィック性能を持つ[14]

メモリ帯域[編集]

ARMアーキテクチャのデュアルコアCPUで LPDDR2 SDRAM を利用している場合はデュアルチャネル(32ビット×2)を採用しているものが多い中、Tegra 2 と Tegra 3 はシングルチャネル(32ビット×1)を採用している。

Tegra 3の省電力技術[編集]

「4-PLUS-1」
メインである4つのコアに加え、低性能・低消費電力のコンパニオンコアを状況に応じて活用する技術。端末のパフォーマンスが必要なときは4つのコアから必要な数のコアを使い、不要なときは低消費電力のコンパニオンコアだけで動作して全体の消費電力を削減する。ビデオ再生時では最大61%、Web閲覧では最大30%の消費電力の削減が可能[21]
PRISM Display Technology(プリズム・ディスプレイ・テクノロジ)
液晶の消費電力を低減するための技術。液晶に表示される画像・動画のピクセル1つ1つを分析して、明るい色に置き換えることで、バックライトを暗くしても同じ明るさを維持する。バックライトの消費電力を最大40%削減できる[22]
DirectTouch(ダイレクト・タッチ)
タッチパネルの消費電力を削減する技術。タッチパネルの制御を専用チップではなくTegra 3で行うことで、消費電力およびチップ面積を低減する。また、タッチパネルの制御にTegra 3のパフォーマンスを活用できるため、タッチレスポンスが向上する[22]

用途[編集]

Tegra APX 2500は携帯電話などの搭載に適しており、Tegra 600/650はUMPCなどの搭載に適している。また、Tegra 3はスマートフォンタブレット端末への搭載に適している。同チップを搭載する端末では、テレビに繋いで大画面に出力できるほか、対応するPS3WiiXboxなどのゲームコントローラーをつなげて、家庭用ゲーム機レベルの3Dゲームが楽しめる[22]

なお、Tegraシリーズは、クアルコム社のモバイル向けプロセッサSnapdragonや、TI社のモバイル向けプロセッサOMAPなどと競合する。

サポートするOS[編集]

Tegraを搭載した製品[編集]

Tegra 2以降のプロセッサを搭載したスマートフォン・タブレットを、NVIDIAでは「Tegraスーパー・フォン」「Tegraスーパー・タブレット」と呼ぶ。

  • Tegra 4
    • タブレット
      • 東芝 REGZA Tablet AT703/58J
      • マイクロソフト Microsoft Surface 2
      • BungBungame KALOS
      • ZOTAC Tegra Note 7
      • HP Slate 7 extreme
    • 着脱式ノートパソコン
      • HP Slatebook10 x2
      • ASUS Pad TF701T
    • デスクトップ
      • HP Slate21
    • ゲーム機
    • スマートフォン
      • Xiaomi Mi3

競合製品[編集]

引用・参照[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 【PC Watch】 【COMPUTEX 2009レポート】NVIDIA、Tegraベースのネットブックなど多数のデザインウインを明らかに ~国内キャリアからも登場か
  2. ^ NVIDIA Tegra FAQ
  3. ^ a b c d 【レポート】NVIDIA、Tegra 4の詳細をついに公開 - CPUだけでなくGPUも大規模アーキテクチャ変更と明らかに (3) より高性能な製造プロセスを利用するTegra 4i - パソコン - マイナビニュース
  4. ^ 1.5 FLOPS/cycle * 1.7 GHz * 4 コア
  5. ^ 1.5 FLOPS/cycle * 2.3 GHz * 4 コア
  6. ^ 2 FLOPS/cycle * 1.9 GHz * 4 コア
  7. ^ 2 FLOPS/cycle * 2.3 GHz * 4 コア
  8. ^ 4 FLOPS/cycle * 1.7 GHz * 4 コア
  9. ^ 4 FLOPS/cycle * 2.3 GHz * 4 コア
  10. ^ 8 FLOPS/cycle * 1.9 GHz * 4 コア
  11. ^ 8 FLOPS/cycle * 2.3 GHz * 4 コア
  12. ^ The Tegra 4 GPU, NVIDIA Claims Better Performance Than iPad 4
  13. ^ a b c d NVIDIAのゲームマシン「SHIELD」の心臓部となる「Tegra 4」の正体
  14. ^ a b NVIDIA Tegra 4 processor details leaked
  15. ^ a b AnandTech - Qualcomm Snapdragon S4 (Krait) Performance Preview - 1.5 GHz MSM8960 MDP and Adreno 225 Benchmarks
  16. ^ a b 【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】NVIDIAがMWCに合わせて「Tegra 4/4i」の詳細を明らかに
  17. ^ 【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】NVIDIAの最強モバイルSoC「Tegra K1」の省電力技術の秘密 - PC Watch
  18. ^ 4Gamer.net ― NVIDIAのMichael Rayfieldゼネラルマネージャーに聞く,Tegraの現在と今後(Tegra)
  19. ^ NVIDIA Tegra Multi-processor Architecture
  20. ^ a b ITmedia ― NVIDIA、「Tegra3」を正式に発表
  21. ^ NVIDIA - 低消費電力と高性能を両立させるマルチコアCPUアーキテクチャー
  22. ^ a b c マイナビニュース - 最小消費電力で最大パフォーマンスを目指す「Tegra3」 - NVIDIAが説明会を解説
  23. ^ NVIDIA Tegra
  24. ^ Downloads | Tegra Developer Zone
  25. ^ Microsoft,「次期Windows」におけるARMサポートを公表 - 4Gamer
  26. ^ “[/uploads/pdf/tamonten_tegra_processor-COM_EN.pdf Avionic Design Tegra 2 (T290) Tamonten Processor Module - Product Brief]”. Avionic Design. 2012年5月30日閲覧。
  27. ^ [/docs/news/20120517_533498.html “ASUSTeK、「Eee Pad」を「ASUS Pad」に改名~第1弾はTegra 3搭載の「TF300T」”]. Impress PC Watch. (2012年5月17日). /docs/news/20120517_533498.html 2012年5月17日閲覧。 

外部リンク[編集]