数表

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数表(すうひょう)とは、特定の計算に関して引数を様々に変化させた場合の結果を示したである。計算機が安価で手の届くものになる以前は、計算を簡略化し迅速に結果を求めるために用いられていた。

最も一般的なものは整数乗算に関する表(たとえば九九)であり、これは初等数学の授業でほとんどの人が知ることになる。

× 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24
3 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 33 36
4 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48
5 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60
6 6 12 18 24 30 36 42 48 54 60 66 72
7 7 14 21 28 35 42 49 56 63 70 77 84
8 8 16 24 32 40 48 56 64 72 80 88 96
9 9 18 27 36 45 54 63 72 81 90 99 108
10 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120
11 11 22 33 44 55 66 77 88 99 110 121 132
12 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120 132 144

7×8の結果を得たい場合、左端の列に書かれた「7」を探し、次いで「7の行」を右へ進んで「8の列」と交差するところで56という結果に至る。9×3の結果も同様の方法で求められるが、人によっては(9と3を入れ替えても結果は同じなので)3×9を探すこともあるだろう。

歴史と利用[編集]

Abramowitz and Stegunに掲載された常用対数表の一部

三角関数の表を最初に作成したのはヒッパルコスであると言われている。常用対数や真数の表は、乗除算やべき乗(たとえばn乗根の開平法など)を高速に求めるために用いられた。特殊関数の数表は、現在でも用いられている。たとえば、正規分布累積分布関数値の数表は学校などを中心に広く存在している。

対数の数表を特に「対数表」と言うが、最初の対数表はネイピアにより1614年に完成し発表された。

19世紀に建造が計画された階差機関は多項式近似で関数値を計算し、機械的に数表の印刷原版を生成する特殊用途の計算機であった。これは、人手で作成されていた対数表の計算ミスや印刷ミスによる誤りの多さが動機であったと言われている。第二次世界大戦中に初期の電子計算機が開発されたのも、(特にENIACは)大砲の弾道に関する特殊な数表(射表)を作成することが目的のひとつであった。

大規模な計算では大型計算機の発達により、さらに一般においても関数電卓の普及後は、ほとんどの数表は使われなくなった。

特殊な数表に、乱数列の並んだ「乱数表」がある。

数表を利用することはよく知られたコード最適化の手法であり、人手による計算だけでなく計算機を用いた場合でも有効に機能する。計算機においては、そのつど計算を行うよりもルックアップテーブルを用いた方が高速である場合(特に計算機がその計算に適したハードウェア実装を有していないような時)に数表が用いられる。基本的にこの問題は、計算時間と(数表を格納するための)メモリ容量とのトレードオフである。ただし近年はメモリアクセスは一般に、高速化したプロセッサに比べてどんどん遅いものとなっているため、高速化を図る際はまず測定し、さらに十分な考察が必要である。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]