アンガラ・ロケット

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アンガラ・ロケット
Angara.svg
アンガラロケットのバージョン
基本データ
運用国 ロシア
開発者 クルニチェフ国家研究生産宇宙センター
使用期間 2014年 - 現役
射場 プレセツク宇宙基地
ボストチヌイ宇宙基地(予定)
打ち上げ数 1回(成功1回)
姉妹型 羅老
物理的特徴
段数 2-3段
ブースター 0-6基
総質量 171-790 トン
全長 42.7-64 m
直径 2.9-8.86 m
軌道投入能力
低軌道 3,800-24,500 kg
プレセツクからの打ち上げの場合
静止移行軌道 5,400 - 7,500 kg
プレセツクからの打ち上げの場合
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MAKS 2009で展示されたアンガラの模型

アンガラ・ロケット (Angara rocket) はロシアで開発・運用されている人工衛星打ち上げ用ロケットである。名称はロシアのアンガラ川に由来する。

概要[編集]

アメリカのEELVと同様に規格化された設計が為され、必要に応じて構成を変えることで2,000から40,500kgの貨物を低軌道に投入できる。これによりコスモス-3Mツィクロンロコットゼニットプロトンなどの打ち上げロケットを置き換える事を目的としている。将来は補助ブースターとして回収可能性が特徴であるバイカル・ブースターを用い、大幅なコスト削減が可能としている。

最初の打ち上げは、プレセツク宇宙基地からアンガラ1.2バージョンで行われた。財政難の影響で射点の建設が遅れたため、初の打上げは2014年7月まで遅れた。ただ、打ち上げ実験自体は、1段目にアンガラロケットと同様のものが使われている韓国の羅老打ち上げと同時に始まっており、2009年に初の打ち上げが行われた[1][2]

設計[編集]

アンガラロケットはユニバーサル・ロケット・モジュール(URM)という共通モジュールを各バージョンで使用する。EELVとは異なりアンガラは固体燃料ロケットブースター(SRB)は使用しない。

一段目はURM-1と呼ばれ、液化酸素RP-1を燃料とするエンジンであるRD-191を備える。必要に応じてURM-1を1, 3, 5または7本を束ねて使用される。

二段目は1.2バージョンでのみソユーズロケットでも使用されるBlock Iを使用し、それ以外のバージョンではURM-2と呼ばれる液化酸素とRP-1を燃料とするRD-0124Aエンジンを備えたモジュールを使用する。

大半のバージョンは無人の打ち上げを対象とするが、アンガラA5PとアンガラA7Pは有人打ち上げ能力を有するように設計される。すべてのアンガラロケットは同一の射場設備を使用する[3]

打ち上げ施設[編集]

ロケットはロシアのプレセツク宇宙基地と現在建設中のボストチヌイ宇宙基地から打ち上げられる予定である。ロシアは現在使用中のカザフスタンバイコヌール宇宙基地の使用を減らしたいと願っている[3]。カザフスタンとのBaiterek計画ではアンガラA5の打ち上げがバイコヌールから行われる可能性もある[4]。2009年には、プレセツク射場の建設予算が減額されたことがアンガラの開発の主な障害であると報告された[5]

生産と販売[編集]

ユニバーサルロケットモジュールとブリーズ-M上段ロケットの生産はオムスクのクルニチェフの子会社であるPolyot生産会社で行われる。2009年にPolyotは771.4 RUB (約$25百万ドル)をアンガラの製造ラインに投資した[4]。RD-191エンジンの設計と試験はNPOエネゴマシュが行い生産はペルミプロトン-PMが行う[4] 。 すべてのアンガラシリーズは商業打ち上げに販売される予定で値段はアンガラ1.1が約$20百万ドルである[6]

仕様[編集]

バージョン アンガラ 1.1
(キャンセル)
アンガラ 1.2 アンガラ A3
(構想中)
アンガラ A5
(建造中)
アンガラ A5P
(構想中)
アンガラ A7P
(構想中)
アンガラ A7V
(構想中)
一段目 1xURM-1, RD-191 1xURM-1, RD-191 3xURM-1, RD-191 5xURM-1, RD-191 5xURM-1, RD-191 7xURM-1, RD-191 7xURM-1, RD-191
二段目 ブリーズ-KM Block I, RD-0124A URM-2, RD-0124A URM-2, RD-0124A -- -- --
三段目 (LEOには使用しない) -- –- ブリーズ-M/KVSK[7] ブリーズ-M/KVTK[7] -- KVTK-A7[7] KVTK-A7[7]
推力 (地上) 196 Mgf (1.92 MN) 196 Mgf (1.92 MN) 588 Mgf (5.77 MN) 980 Mgf (9.61 MN) 980 Mgf (9.61 MN) 1,372 Mgf (13.44 MN) 1,372 Mgf (13.44 MN)
打ち上げ重量 149 t 171.5 t 478 t 759 t 713 t 1,125 t 1,184 t
全高 (最大) 34.9 m 41.5 m 45.8 m 55.4 m  ?  ?  ?
ペイロード (LEO 200 km) 2.0 t 3.7 t 14.6 t 24.5 t 18.0 t 36.0 t 40.5 t
ペイロード (GTO) -- -- 2.4/3.7 t 5.4/7.3 t --  ? --
ペイロード (GEO) –- –- 1.0/2.0 t 2.9/4.5 t -- 7.5 t 9 t

開発の歴史[編集]

1995年8月26日ロシア政府はアンガラロケットの開発を承認した[8]

2007年12月12日クルニチェフはNPOエネゴマシュの技術者が飛行状態に近い状態で第一段の油圧系と操舵アクチュエータの試験に成功したと発表した[8]

サリュート設計局とクルニチェフの協力でによりアンガラロケットの第一段の再使用可能なブースターロケットが設計された[9]

2008年4月14日Rian newsはクルニチェフのディレクターが月曜日に新世代のロシアのロケットの飛行試験が2010年に開始されると発表されたと報告。

2008年9月5日にNPOエネゴマシュのRD-191の開発者がエンジン完全燃焼試験が完了し、生産の準備が整ったと報告[10]

2009年1月10日最初に完成したURMが地上試験に運ばれる。低温試験と燃焼試験が2009年の前半に予定される[11]

2009年1月18日両方の推進剤の部材の試験が行われた。

2009年4月29日に最初の低温試験が行われURMに100t近い液体酸素が注入され油圧と空圧ポンプシステムの機能が調べられた。

2009年7月30日RD-191エンジンを搭載したURMの最初の燃焼試験が行われた[12]

2009年8月25日韓国の羅老ロケットは第一段にURM/RD-151が使用されており[13]、全高30 mで重量140 トンの羅老はアンガラ1.1と似ている。1回目となる打ち上げはURMの試験を兼ねており高度196 kmに達して第一段の打ち上げとしては成功したが韓国で製造された2段目のフェアリングの分離に失敗したために衛星(STSAT-A)の軌道投入はできなかった[14][15]。この一連の韓国での打ち上げでロシアは2億1000万ドルの資金を得た。

2009年12月5日、ロシア連邦宇宙局はエンジンの試験が完了したが資金不足のためにアンガラの最初の飛行試験は2011年から2012年に延期すると発表[16]。クルニチェフロケットの開発の完了までに次の3年間で10億ルーブル(約$290百万ドル)の追加の割り当てが必要だと政府に打診した。

2010年6月10日、韓国の羅老ロケット二号機は発射137秒後、通信が途絶し、爆発、墜落した。失敗の原因は韓国側が製造した二段目が予定時間前に点火した事による。

2013年1月30日、韓国の羅老ロケット3号機はロシアの全面的な技術支援の下で、衛星STSAT-2Cを軌道投入する事に成功した。RD-151エンジンを搭載した1段目はロシアが単独で開発・製造・運用し、韓国は1段目に全く関わっていない。

2014年6月4日、ロシア連邦宇宙局は、6月25日にアンガラ1.2の1号機をプレセツク宇宙基地から打ち上げることを発表した。1号機は特別に「初打ち上げ」を意味する первый пуск の頭文字を取って「アンガラ1.2PP」と名付けられている。この打ち上げでは人工衛星は搭載されず、弾道飛行が予定されている[17]。6月25日の打上げは説明なく27日に延期、27日もまた延期となった。28日には再々度延期され、一旦発射台から組立棟に戻された[18]。延期の理由は1段目の酸化剤タンクのドレンバルブが凍結し、閉じなかったことであり、7月9日打ち上げ予定と報じられた[19]

2014年7月9日16時 (モスクワ時間) 、アンガラ1.2PPは初の打上げに成功した。プレセツク宇宙基地から打ち上げられ、22分間の弾道飛行の後に5,700km離れたカムチャツカ半島のクラ射撃場に着弾したと発表された[20]

打ち上げ記録[編集]

回数 日付 時間 (GMT) 仕様 射場 結果 ペイロード 備考
1 2014年7月9日 12:00 アンガラ 1.2PP プレセツク 成功 ダミーペイロード 弾道飛行試験。二段目をBlock IからURM-2に置換えた特別仕様機。

比較にあげられるロケット[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 羅老号:1段目ロケット、ロシア側が負担へ 朝鮮日報. (2011年2月8日). 2011年2月14日閲覧。
  2. ^ 나로호 3차 발사 시동…러, 로켓 제작 시작 KBS. (2011年2月8日). 2011年2月14日閲覧。
  3. ^ a b Angara Launch Vehicles Family”. Khrunichev. 2009年7月25日閲覧。
  4. ^ a b c Vorontsov, Dmitri; Igor Afanasyev (2009-11-10). Russia CIS Observer 3 (26). http://www.ato.ru/content/angara-getting-ready-launch 2010年1月3日閲覧。. 
  5. ^ Clark, Stephen (2009年12月4日). “Russia Delays Angara Rocket Debut as Testing Progresses”. Spaceflight Now. http://www.space.com/news/091204-angara-rocket.html 2010年1月3日閲覧。 
  6. ^ Harvey, Brian (2007). “Launchers and engines”. The Rebirth of the Russian Space Program (1st ed.). Germany: Springer. ISBN 9780387713540. 
  7. ^ a b c d KVTK (in Russian)”. Khrunichev. 2010年1月3日閲覧。
  8. ^ a b Successful Tests of Angara Stage 1 Engine”. Khrunichev (2007年12月12日). 2010年1月3日閲覧。
  9. ^ Baikal booster stage. RussianSpaceWeb.
  10. ^ A new engine is ready for Angara (in Russian)” (2008年9月5日). 2010年1月3日閲覧。
  11. ^ URM-1 is being prepared for the burn tests (in Russian)” (2009年1月29日). 2010年1月3日閲覧。
  12. ^ Fire test of RD-191 engine in stage composition” (2009年8月3日). 2010年1月3日閲覧。
  13. ^ First launch of KSLV-1 is conducted” (2009年8月25日). 2010年1月3日閲覧。
  14. ^ Satellite fails to enter orbit, by Korea Times” (2009年8月25日). 2010年1月3日閲覧。
  15. ^ South Korea launch of KSLV-1 – Russians claim it failed” (2009年8月25日). 2010年1月3日閲覧。
  16. ^ http://www.space-travel.com/reports/Tests_Of_Angara_Rocket_Postponed_To_2012_Over_Lack_Of_Funds_999.html
  17. ^ ロシア最新鋭のアンガラロケット、6月25日に初打ち上げ”. 宇宙(そら)へのポータルサイト sorae.jp (2014年6月5日). 2014年6月5日閲覧。
  18. ^ アンガラ1.2PPロケット、修理のため組立棟に逆戻り 打ち上げは無期延期”. 宇宙(そら)へのポータルサイト sorae.jp (2014年6月28日). 2014年6月28日閲覧。
  19. ^ アンガラ1.2PPロケット、再び発射台へ 7月9日に打ち上げ再挑戦”. 宇宙(そら)へのポータルサイト sorae.jp (2014年7月7日). 2014年7月9日閲覧。
  20. ^ Первый пуск "Ангары" прошел успешно (アンガラの初打ち上げが成功した)”. インテルファクス通信 (2014年7月9日). 2014年7月9日閲覧。

外部リンク[編集]