アグリガット (ロケット)

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各型の比較

アグリガット(独 Aggregat)は、ナチス・ドイツが開発・運用していたロケットシリーズ。Aggregatは集合体など意味する語で、開発名称のコードネームである。A4が転用されたV2ロケットは、特に知られる。

各型[編集]

A1[編集]

A1(Aggregat 1)は一連の開発の最初のものである。1933年ヴェルナー・フォン・ブラウンがドイツ国防軍の支援の下、クンメンスドルフの研究所で開発した。全長1.4m、胴体直径30.5cm、重量150kg程度の小型のものである。エンジンはアルトゥール・ルドルフが設計したものであり、アルコール液体酸素を燃料に用いていた。燃焼時間は16秒で2.9kNの推力を有した。安定翼などは有さず、頭部にジャイロスコープを内蔵し安定装置としていたが、性能に不安があり、打上げは行なわれなかった。

A2[編集]

A2ロケット

A2(Aggregat 2)は、A1の発展型であり1934年に開発された。全長1.6m、胴体直径30.5cm、離陸重量は107kg。燃料は同じくアルコールと液体酸素を用いていた。ジャイロスコープはロケット中心部に配置され、安定度が増している。1934年12月19日20日北海沿岸で打上げ試験が行われ、高度2.2kmと3.5kmに達した。

A3[編集]

A3(Aggregat 3)は、A2に続いて開発されたロケットで、大型ロケットA4のスケールモデルとして作られた。全長6.2m、胴体直径0.68m、幅0.93m、離陸重量748kg。流線形の本体に加え、尾部に安定翼を有する。燃料はアルコールと液体酸素、燃焼時間は最大45秒。1936年12月に行なわれた打上げ試験は、誘導装置に起因する燃焼制御の不調で、4回とも失敗した。これにより改良型のA5の開発が開始されることとなった。

A4[編集]

A4(Aggregat 4)は、A3の失敗を踏まえ、その改良型のA5をベースに大型化したものである。実用兵器のV2ロケットに転用された。

A3の失敗により改良型A5が1938年から開発されていた。A5は安定した性能を見せ、1941年までに70回以上の燃焼試験が行なわれた。A4の初打上げは1942年3月のことである。A4の開発は進み、1943年からはV2ロケットとして量産が開始された。V2は全長14.0m、胴体直径1.65m、全幅3.56m、重量12.5t。燃料にはエタノールと液体酸素を用い、1tの高性能爆薬の弾頭を搭載、射程320kmを有していた。ドイツだけで5,200基が生産された。

A4(潜水艦発射式)[編集]

A4には、潜水艦発射弾道ミサイルとして運用する構想もあった。アメリカ合衆国本土攻撃用に構想されたもので、耐圧カプセルにA4を搭載し、Uボートアメリカ合衆国沿岸まで水中を曳航、アメリカ近海でロケットを発射するというものである。この構想は実用化にまで至らなかった。

A4b[編集]

A4(Aggregat 4b)は、A4の発展型でA4に固定翼を追加したものである。1939年には、ロケットへ大型固定翼を追加することにより、弾道飛行終末段階は滑空し、射程などが向上することが提唱されていた。このA4改良型開発の名目の予算は、実際には長距離大型ロケットであるA9/A10の基礎開発にもあてられた。A9/A10の開発は1942年に予算の割り当てが中止されていたものであった。A9においても固定翼を追加し、射程延伸が考慮されていた。A4改良型のA4b試作機完成は1944年12月のことである。A4bには胴体中ほどに後退翼が取り付けられていた。初の試射成功は1945年1月のことであり、終戦までに実用化へは至らなかった。

A5[編集]

A5(Aggregat 5)は、A3の失敗を踏まえ、開発されたA4のスケールモデル・ロケットである。機体外形は洗練され、流線形の胴体に4枚の安定翼が付けられている。このデザインはA4にも受け継がれた。外形のみならず、誘導装置に改良が加えられた。全長5.82m、胴体直径0.82m。燃料はアルコールと液体酸素である。1938年から打上げ試験が開始され、A4開発のためのデータが収集された。A5は1942年まで試験に利用された。

A6[編集]

A6(Aggregat 6)は、1940年頃構想されたもので、燃料にケロシンとニトロ系を使用するものであった。A4bと同様に、胴体中ほどに固定翼を有する。これは構想のみに終わっている。

A7[編集]

A7(Aggregat 7)は、A9のスケールモデルで、A5ほどの大きさの機体に固定翼を加えたものである。1940年から1943年にかけて開発され、無動力モデルが製作されたが、動力付きモデルは製造されなかった。

A8[編集]

A8(Aggregat 8)は、A4のストレッチ型モデル。大型化したほか、燃料には軽油とニトロ系を用い、推力増強を意図していた。構想のみで実用化には至らなかった。

A9/A10[編集]

A9/A10

A9/A10(Aggregat 9/Aggregat 10)は、1940年から開発が開始された大型ロケット。二段式ロケットであり、上段がA9、下段がA10である。ヨーロッパからアメリカ合衆国本土まで届く長距離ロケット「アメーリカ・ラケーテ」Amerikaraketeとして開発されていた。1942年には開発予算が打ち切られたが、A4b開発の名目で、開発継続された。燃料はアルコールと液体酸素で、エンジンは共に1機ずつ。終戦までに試作機の製造にも至らなかった。最大射程は約5,000kmで、中距離弾道ミサイルとなる。

A9は全長14.18m、胴体直径1.67m、総重量16,259kg、A10は全長20.0m、胴体直径4.12m、総重量69,043kg。A9には固定翼が付けられ射程の延伸を狙っていた。A10も尾部に大型の安定翼を有する。誘導には無線誘導のほか、機体に乗員を乗せ有人誘導とする構想もあった。

A11[編集]

A11は、A9/A10の発展型、構想のみで実用化していない。A10の下段に加えるロケットであり、A9/A10/A11の三段式ロケットを構成する。A10用ロケットモーター6基を搭載し、全長25m、胴体直径は8.1mとなる。人工衛星打ち上げ能力を有するロケットとなるものであった。

A12[編集]

A12は、A9/A10/A11の発展型、構想のみで実用化していない。A11の下段に加えるロケットであり、A9/A10/A11/A12の四段式ロケットを構成する。A10用ロケットモーター50基を搭載し、全長33m、胴体直径は11mとなる。宇宙船打ち上げ能力を有するロケットとなるものであった。

アグリガットが登場する作品[編集]

フォッケウルフ Ta152のサポートアタック(ボム)「A9A10ロケット」として登場。画面下から突入し、敵弾をかき消しながら接触した敵にダメージを与える。自機としては選択不可能。

外部リンク[編集]