令和元年台風第10号
台風第10号 (クローサ、Krosa) | |
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カテゴリー3の タイフーン (SSHWS) | |
台風第10号(8月8日) | |
発生期間 |
2019年8月6日15:00 - 8月16日21:00 (JST) |
寿命 | 10日6時間 |
最低気圧 | 965hPa |
最大風速 (日気象庁解析) | 40m/s (75kt) |
最大風速 (米海軍解析) | 100kt |
平均速度 |
14.2 km/時 341km/日 |
移動距離 | 3503 km |
上陸地点 | 広島県呉市付近 |
死傷者数 | 死者2名 負傷者57名 |
被害地域 | マリアナ諸島、日本、朝鮮半島、極東ロシア |
プロジェクト : 気象と気候/災害 |
令和元年台風第10号(れいわがんねんたいふうだい10ごう、アジア名: クローサ/Krosa、命名: カンボジア、意味: ツル)は、2019年8月6日に発生した台風。マリアナ諸島で発生し、北西に進み小笠原諸島近海でほとんど停滞しながら発達し一時は「非常に強い」勢力となったものの、その後は勢力を弱めながら日本に接近、広島県に上陸した。
進路・状態等の経過
[編集]8月4日頃に形成した熱帯擾乱に、合同台風警報センター(JTWC)は5日22時30分(協定世界時5日13時30分)に熱帯低気圧形成警報(TCFA)を発した。熱帯擾乱は5日9時にマリアナ諸島で熱帯低気圧に発達し、JTWCは6日6時(協定世界時5日21時)に熱帯低気圧番号11Wを付番した。11Wは6日15時にマリアナ諸島の北緯18度30分、東経142度50分で台風となり[1][2]、アジア名クローサ(Krosa)と命名された。発生時点で「大型」の台風であった。
台風ははじめマリアナ諸島近海を北西に進んでいたが、8日頃から11日頃にかけて小笠原諸島近海でほとんど停滞し、8日15時には勢力のピークを迎えた。その後は徐々に勢力を落とし、11日の昼頃から台風は再び北西に進み始めたものの衰弱した。暴風域が消滅した12日15時には平成29年台風第21号以来の「超大型」の台風となったが[3]、14日03時には強風域が縮小して「大型」の台風に戻りつつ再発達[4]。
勢力は弱まったものの太平洋沿岸においては風が強まり、高知県の室戸岬では8月15日8時に最大瞬間風速41.1メートルを観測した[5]。中国地方を暴風域に巻き込みながら豊後水道を北上した10号は8月15日11時過ぎ、愛媛県佐田岬半島を通過した[6][7]。その後も北上した10号は同日15時頃、広島県呉市付近に上陸した[8][9][10]。その後台風は日本海に抜け、日本海を北上、16日21時に北海道の西の北緯43度、東経138度で温帯低気圧に変わった[11][12]。
台風が広島県に上陸したのは、1990年の台風14号以来29年ぶりであった[13]。
被害・影響
[編集]2019年8月20日17時30分現在の総務省消防庁による集計[14]。
- 人的被害59人(死者2人、重傷7人、軽傷50人)
- 住家被害20棟(全壊1棟、一部破損13棟、床上浸水1棟、床下浸水5棟)
- 非住家被害2棟
交通機関
[編集]8月15日、山陽新幹線は新大阪駅 - 小倉駅間で終日運休[15]、東海道新幹線は山陽新幹線との乗り入れを中止し上下55本を運休にした[16]。九州新幹線は始発から運転本数を減らし、山陽新幹線との直通運転を取りやめた[16]。
在来線では、15日に京阪神地区を発着する特急列車約190本が運休となった[16]。中国地方では岡山県、広島県、山口県で終日運休、JR四国管内では瀬戸大橋線を含む全線で終日運休となったほか[15][16]、北陸・京阪神を含む近畿・四国・九州の多くの路線で終日運休となった[15]。翌16日はJR北海道管内の一部の線区で終日運休となった[15]。
イベントなどへの影響
[編集]- 開催中の第101回全国高等学校野球選手権大会は8月15日の全試合を中止、予定されていた試合は翌16日に順延となった[17]。この為、終戦の日である同日正午の黙祷は行われなかった。
- 徳島市の夏の風物詩として知られる「徳島市阿波おどり」は8月14日・15日の開催が中止され、2019年は8月12日・13日の2日間しか開催されず閉幕した[18]。
- 8月15日に開催が予定されていた乃木坂46真夏の全国ツアー大阪公演の2日目は、本台風の接近を理由に中止された。乃木坂46の公演が中止されたのは初めてであった。
- 8月16日に開催予定だった「SUMMER SONIC 2019」初日公演のうち、大阪会場の一部アーティストが出演予定の時間までにステージ設営が間に合わないことにより出演中止となったほか、東京会場でも強風によりBEACH STAGEエリアでのライブが中止となった。
- 8月16日に開催予定だった「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO」初日公演が台風接近により開催を中止した。
脚注
[編集]- ^ “令和元年 台風第10号に関する情報”. 気象庁 (2019年8月6日). 2019年8月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月6日閲覧。
- ^ “大型の台風10号「クローサ」発生”. 日本気象協会 (2019年8月6日). 2019年8月6日閲覧。
- ^ “台風10号 超大型の台風に”. 日本気象協会 (2019年8月12日). 2019年8月13日閲覧。
- ^ “台風10号、超大型から大型に。午後にも九州が暴風域に入る見込み”. huffingtonpost (2019年8月14日). 2019年8月14日閲覧。
- ^ “室戸岬で最大瞬間風速40メートル超え”. 日本気象協会 (2019年8月15日). 2019年8月16日閲覧。
- ^ “令和元年 台風第10号に関する情報 第116号”. 気象庁 (2019年8月15日). 2019年8月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月16日閲覧。
- ^ “台風10号は中国地方にまもなく上陸 進路東側は特に風雨に警戒”. ウェザーニュース (2019年8月15日). 2019年8月16日閲覧。
- ^ “令和元年 台風第10号に関する情報 第122号”. 気象庁 (2019年8月15日). 2019年8月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月15日閲覧。
- ^ “台風10号 広島県呉市付近に上陸しました(日直予報士)”. 日本気象協会 (2019年8月15日). 2019年8月16日閲覧。
- ^ 九州・四国に上陸せず、広島県内に直接台風が上陸したのは、広島市に上陸した1990年の台風14号以来、1951年の現行の観測法になって以降3度目。
- ^ “令和元年 台風第10号に関する情報 第141号(位置)”. 気象庁 (2019年8月16日). 2019年8月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月16日閲覧。
- ^ “台風10号 温帯低気圧に変わりました”. 日本気象協会 (2019年8月16日). 2019年8月16日閲覧。
- ^ “台風10号 広島県呉市付近に上陸 今年3つめ”. ウェザーニュース. 2020年7月17日閲覧。
- ^ “令和元年台風第10号による被害及び 消防機関等の対応状況(第9報)” (PDF). 総務省消防庁 (2019年8月20日). 2019年8月23日閲覧。
- ^ a b c d “令和元年台風第10号による被害状況等について(第7報)”. 国土交通省 (2019年8月19日). 2019年8月30日閲覧。
- ^ a b c d “山陽新幹線、終日運休 空の便も欠航相次ぐ”. 産経新聞. (2019年8月15日) 2019年8月15日閲覧。
- ^ “高校野球、台風接近で日程変更 15日4試合は16日に”. 朝日新聞デジタル. (2019年8月14日) 2019年8月16日閲覧。
- ^ “徳島市の阿波踊り、16年ぶりに中止 台風10号接近で”. 朝日新聞デジタル. (2019年8月14日) 2019年8月17日閲覧。
関連項目
[編集]- 令和元年台風第9号 - 台風10号と同時に存在し、太平洋を北上した台風。
外部リンク
[編集]- デジタル台風:台風201910号(KROSA)- 総合情報(気圧・経路図) - 国立情報学研究所(北本朝展)
- ウィキメディア・コモンズには、令和元年台風第10号に関するカテゴリがあります。