令和元年台風第29号

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台風第29号(Phanfone)
カテゴリー3の タイフーンSSHWS
衛星画像(12月25日)
衛星画像(12月25日)
発生期間 2019年12月22日12時 - 12月28日0時(UTC
寿命 5日12時間
最低気圧 970 hPa
最大風速
(日気象庁解析)
80 knot
最大風速
米海軍解析)
105 knot
被害総額 6720万ドル(2019 USD
死傷者数 死者50人 行方不明者55人
被害地域 フィリピンの旗 フィリピン
プロジェクト : 気象と気候災害
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令和元年台風第29号(れいわがんねんたいふうだい29ごう、アジア名:Phanfone[1])は、2019年12月にフィリピンに上陸した台風である。

概要[編集]

進路図

2019年12月19日頃にトラック諸島近海で形成が始まった低圧部が、20日3時に熱帯低気圧に発達。合同台風警報センター(JTWC)は21日15時(協定世界時21日6時)に熱帯低気圧形成警報英語版(TCFA)を発表し、22日6時(協定世界時21日21時)に熱帯低気圧番号30Wを付番した。30Wは同日9時にはカロリン諸島(北緯8度10分・東経138度10分)で台風29号となり[2]、アジア名「ファンフォン(Phanfone)」と命名された。命名国はラオスで、「動物」を意味する[3]。また、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)は23日6時(フィリピン標準時23日5時)に、台風が監視エリア内に進入したとしてフィリピン名「ウルスラ(Ursula)」と命名した。台風は24日6時には「強い」勢力となり、同日夕方には、強い勢力を保ったままフィリピンの東サマル州サルセド付近に上陸した[4]。その後は南シナ海へ抜け、28日15時に北緯15度・東経114度で熱帯低気圧に変わった後[5]、29日15時には消滅した。

被害[編集]

この台風はクリスマスのフィリピンを直撃し[6][7][8][9][10]、東サマル州に大雨や強風による大規模な洪水土砂崩れ、道路の寸断などをもたらした。国民の8割以上をキリスト教徒が占めているフィリピンでは、クリスマスは重要なイベントの1つであるが、その最中の台風襲来となった。災害対策当局者によると東ビサヤ地方では4,000人以上が避難し[4]、避難者の数は合計でおよそ58,400人に達した[11]。クリスマスの25日、港では157隻の船が出航できずに、2万人以上が足止めされている。また、少なくとも60便の航空機が欠航となった[4]。地元のメディアは、台風の影響で24日から25日にかけて100戸の住宅が損壊したと報道した[4]。人気リゾート地として知られているボラカイ島など、多数の自治体で停電も発生[12]タクロバン市では、風の影響で大規模な火災が起きたものの、最悪の事態には至らなかった[13]

フィリピンは同年12月上旬にも台風28号に襲われており、死者や被災者などが出ている。

なお、クリスマスに台風がフィリピンを直撃するのは、2016年台風26号以来3年ぶりのことであった[14]。日本とは違い、12月になっても台風がフィリピンを襲うことは珍しくなく、平均すると2年に1個程度は通過しているが、クリスマスに限定するとさほど多くはなく、比較的珍しいことになる[15]。1951年の統計開始以降で調べてみると、この台風以外では、1954年台風23号1981年台風29号2012年台風25号や2016年の台風26号(前述)などが当てはまるが、このうちクリスマスイブからクリスマス当日にかけて通過したのは、1954年の23号のみとなる[15]

その他[編集]

この台風のアジア名「ファンフォン」はこの台風限りで使用中止となった[16]。更に、この台風のフィリピン名「ウルスラ(Ursula)」も同様に、この台風限りで使用中止となり、次順からは「ウゴン(Ugong)」というフィリピン名が使用されることになった。これにより、Uから始まる台風のフィリピン名は3年連続で引退扱いとなった(2017年のUrduja、2018年のUsman、2019年のUrsula)。

外部リンク[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ デジタル台風:台風201929号 (PHANFONE) - 総合情報(気圧・経路図)”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年6月29日閲覧。
  2. ^ 台風29号ファンフォン発生”. 日本気象協会 (2019年12月22日). 2020年1月7日閲覧。
  3. ^ デジタル大辞泉プラス. “ファンフォンとは” (日本語). コトバンク. 2020年6月1日閲覧。
  4. ^ a b c d フィリピン中部に台風29号上陸、住宅損壊 旅行者足止め” (日本語). Newsweek日本版 (2019年12月26日). 2020年6月29日閲覧。
  5. ^ 台風29号ファンフォン 熱帯低気圧に変わりました”. 日本気象協会 (2019年12月28日). 2020年1月7日閲覧。
  6. ^ クリスマス直撃の台風29号、死者41人に フィリピン” (日本語). www.afpbb.com. 2020年6月29日閲覧。
  7. ^ 台風29号、クリスマスのフィリピンに大きな被害 少なくとも16人死亡” (日本語). www.afpbb.com. 2020年6月29日閲覧。
  8. ^ クリスマスに台風がフィリピン直撃、少なくとも13人死亡 - ロイターニュース - 国際:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. 2020年7月20日閲覧。
  9. ^ クリスマスに台風29号直撃、16人死亡 フィリピン” (日本語). CNN.co.jp. 2020年7月20日閲覧。
  10. ^ クリスマスに台風がフィリピン直撃、少なくとも13人死亡” (日本語). 大紀元時報. 2020年7月20日閲覧。
  11. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “比、台風29号で13人死亡 5万人超が避難” (日本語). 産経フォト. 2020年6月29日閲覧。
  12. ^ japhi (2019年12月27日). “クリスマスにフィリピンを襲った台風29号「ファンフォン」” (日本語). フィリピンで頑張る日本人. 2020年6月29日閲覧。
  13. ^ クリスマスに台風直撃、10人以上死亡 フィリピン” (jp). オピニオンサイト「iRONNA(いろんな)」. 2020年6月29日閲覧。
  14. ^ 台風29号 クリスマスにフィリピン直撃(日直予報士)” (日本語). tenki.jp. 2020年6月29日閲覧。
  15. ^ a b ”クリスマス台風29号”比を直撃へ。日本にも1個だけあったクリスマス台風とは?(杉江勇次) - Yahoo!ニュース” (日本語). Yahoo!ニュース 個人. 2020年6月29日閲覧。
  16. ^ 2nd VIDEO CONFERENCE”. Typhoon Committee. 2020年10月20日閲覧。