しょうなん (海洋観測艦)
しょうなん | |
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基本情報 | |
建造所 | 三井造船 玉野事業所 |
運用者 | 海上自衛隊 |
艦種 | 海洋観測艦 |
級名 | しょうなん型海洋観測艦 |
前級 | にちなん型海洋観測艦 |
次級 | 3,500トン型海洋観測艦 |
建造費 | 188億円 |
母港 | 横須賀 |
所属 | 海洋業務・対潜支援群第1海洋観測隊 |
艦歴 | |
計画 | 平成19年度計画 |
発注 | 2007年 |
起工 | 2008年12月16日 |
進水 | 2009年6月29日 |
就役 | 2010年3月17日 |
要目 | |
基準排水量 | 2,950 t |
満載排水量 | 4,150 t |
全長 | 103.0 m |
最大幅 | 16.4 m |
深さ | 9.0 m |
吃水 | 4.5 m |
機関 | 統合電気推進方式 |
主機 | ディーゼル発電機×3基 |
出力 | 4,895馬力 |
推進器 | |
速力 | 16ノット |
乗員 | 80名 |
レーダー | 航海用 |
ソナー | マルチビーム式測深儀 |
しょうなん(ローマ字:JS Syonan, AGS-5106)は、海上自衛隊の海洋観測艦[1]。艦名は湘南(景勝地)に由来する。建造費は約188億円[2]。
設計
[編集]本艦は、2000年代末の除籍が予定されていた「ふたみ」(51AGS)の代替艦として建造された。設計面では、先行する「にちなん」(08AGS)の改型とされ、船型も同じ長船首楼型であるが、建造コストの低減が重視された結果として、あらゆる面で大幅な再検討が行われた。この結果、船体設計は商船構造とされている[3]。
外見上の最大の変化としては、艦首のバウ・シーブの廃止がある。これは、水中音響機器やケーブルの敷設・保守を目的として、ふたみ型で採用されて以後、「にちなん」でも踏襲されてきたものであるが、ケーブル・エンジンやケーブル庫、艦首側クレーンなどもあわせて廃止されたことで、かなりの構造・艤装の簡略化につながった。バウ・シーブの廃止に伴って艦橋高さの要求が緩和され、上部構造物は「にちなん」よりも1層低い2層とされている。また上部構造物後部両舷には、「にちなん」と同様に大型の減揺タンクが設置されている。一方、艦尾甲板は「にちなん」と同様に観測甲板とされており、左舷中部には中折式クレーンを、艦尾にはAフレーム・クレーンを備えている[3]。
主機関は「にちなん」と同様にディーゼル・エレクトリック方式、また艦内サービス用発電機とも共用化した統合電気推進とされている。一方、推進器は360度旋回可能なポッド式のアジマススラスターに変更された[1]が、これは海上自衛隊の艦船の主推進器としては初の採用であった。これとバウスラスターをあわせて、優れた艦位保持能力を備えている[4]。
装備
[編集]海洋観測装置
[編集]一般海洋観測のため、自記表層水温塩分計、海底設置型超音波多層流向流速計、水温記録装置、CTD観測装置、係留式自記流向流速計などを装備している。また海中音響観測のため、音響環境測定システム、曳航式音源装置、観測用測位装置などを装備している[1]。
海洋測量装置としては、艦橋下方の艦底に設置されたマルチビーム式測深儀をはじめとして、採泥器等を装備している[1]。
これらの観測データおよび採取標本の処理・分析のため、03甲板レベルの艦橋後方に第1観測室を、また第1甲板後部に第2観測室を設けている。このうち、第2観測室は海中・海底から採取したサンプルを扱う、いわゆるウエット・ラボラトリーとされている[1]。
搭載艇
[編集]煙突両脇の船楼甲板上に搭載艇用のダビットを備えており、左舷側に11メートル作業艇を、右舷側に複合型作業艇を搭載している[1]。
艦歴
[編集]「しょうなん」は、中期防衛力整備計画に基づく平成19年度計画3,200トン型海洋観測艦5106号艦として、三井造船玉野事業所で2008年12月16日に起工され、2009年6月29日に三井造船玉野事業所艦船工場5号船台にて挙行された命名・進水式において防衛大臣政務官岸信夫により「しょうなん」と命名され[5]進水した[6]。同年12月2日、公試開始。2010年3月17日に就役し[7]、海洋業務群に直轄艦として編入された。定係港は横須賀。
2015年12月1日、海洋業務群が海洋業務・対潜支援群に改編され、同群隷下に新編された第1海洋観測隊に編入された。定係港は変わらず。
2016年4月23日午前3時頃、仲ノ神島南南西65kmと与那国島南南東74kmを太平洋から東シナ海に向け北に航行する中国海軍の江衛Ⅱ型フリゲート「嘉興」、「連雲港」、福池型補給艦「高郵湖」を発見、監視した。その後午前7時30分頃に与那国島北北東45kmで接続水域外に出た。
代 | 氏名 | 在任期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 | 備考 |
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艤装員長 | ||||||
- | 西嶌 聖 | 2009.6.29 - 2010.3.16 | 防大25期 | しょうなん艦長 | ||
艦長 | ||||||
代 | 氏名 | 在任期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 | 備考 |
1 | 西嶌 聖 | 2010.3.17 - 2011.3.24 | 防大25期 | しょうなん艤装員長 | 舞鶴地方総監部監察官 | |
2 | 阿部朝雄 | 2011.3.25 -2012.6.10 | 防大25期 | 舞鶴地方総監部監察官 | ||
3 | 足立 敏 | 2012.6.11 - 2014.3.23 | 海洋業務群司令部 | にちなん艦長 | ||
4 | 齊家裕一 | 2014.3.24 - 2015.3.22 | 防大34期 | むろと副長 | 海上自衛隊幹部学校勤務 | |
5 | 松尾 巧 | 2015.3.23 - 2017.3.30 | 防大35期 | ゆうぎり艦長 | 海上幕僚監部防衛部 運用支援課気象海洋班長 |
|
6 | 松尾直子 | 2017.3.31 - 2019.8.27 | 長崎大学・ 39期幹候 |
対潜資料隊気象科長 | 呉基地業務隊付 | |
7 | 外園和治 | 2019.8.28 - 2022.12.11 | 防大33期 | 第1音響測定隊第1クルー長 | 横須賀基地業務隊本部補充付 | |
8 | 村田慎一 | 2022.12.12 - | 海洋業務・対潜支援群司令部 |
登場作品
[編集]漫画
[編集]- 『空母いぶき GREAT GAME』
- 宗谷岬沖10海里の宗谷海峡を航行中、ロシア製とみられる自爆型ドローンの攻撃を受け機関に被弾。航行不能となる。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f 「新型海洋観測艦「しょうなん」を見る!」『世界の艦船』第725号、海人社、2010年6月、10-13頁、NAID 40017088918。
- ^ 防衛省防衛政策局防衛計画課 (2006年). “平成18年度 事前の事業評価 - 海洋観測艦(3,200トン型AGS)” (PDF). 2015年4月12日閲覧。
- ^ a b 「注目の新型艦--そのプロフィルと能力 (特集・自衛艦隊)」『世界の艦船』第668号、海人社、2007年1月、140-145頁、NAID 40015140516。
- ^ 佐久間俊 (2011年). “海自初のアジマス推進艦、しょうなん” (PDF). 2015年4月12日閲覧。
- ^ “進水・命名式”. 岡山県議会議員 小田春人. (2009年6月29日). オリジナルの2012年9月5日時点におけるアーカイブ。
- ^ “平成19年度海洋観測艦の命名・進水式について”. 海上自衛隊ニュースリリース. (2009年6月23日). オリジナルの2013年6月18日時点におけるアーカイブ。
- ^ 『海洋観測艦「しょうなん」引き渡し』(プレスリリース)三井造船、2010年3月17日 。