福池型補給艦

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福池型補給艦
People's Liberation Army (Navy) ship PLA(N) Qiandaohu (AO 886) (foreground) and Republic of Korea Navy ship ROKS Wang Geon (DDH 978) steam in close formation during Rim o.jpg
基本情報
種別 補給艦
運用者  中国人民解放軍海軍
就役期間 2004年 - 就役中
前級 福清型補給艦英語版
要目
満載排水量 23,000 t
全長 178.5 m
全幅 24.8 m
吃水 8.7 m
主機関 SEMT ピルスティク16PC2-6 V400
ディーゼルエンジン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 24,000馬力
速力 20ノット
航続距離 10,000海里 (15kt巡航時)
乗員 130名
兵装 H/PJ-76F 37mm連装機銃×4基
搭載機 Z-8ヘリコプター×1機
レーダー 354型 対空対水上捜索用×1基
・航法用×1基
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福池型補給艦(フーチーきゅうほきゅうかん、英語: Fuchi class replenishment oilers)は中国人民解放軍海軍補給艦の艦級に対して付与されたNATOコードネーム。人民解放軍海軍での名称は903型総合補給艦903型综合补给舰[1]

来歴[編集]

人民解放軍海軍では、1970年代末に福清型補給艦英語版2隻を建造し、本格的な洋上補給艦の運用に着手した。このうち2隻は、1980年に行われた大陸間弾道ミサイル発射実験の一環として、観測艦隊に参加してフィジー沖の南太平洋に派遣されて、本格的な外洋作戦行動を行っており、もともとこの任務のために建造されたとする見方もある。その後、1980年代にさらに2隻が追加建造されたものの、これらはまもなく退役し、4番艦は1987年パキスタン海軍に売却され、3番艦も1989年に商船(タンカー)として転用された[2]。その後、1996年には、ウクライナ製のタンカーを購入し、改装のうえで「南倉英語版」として就役させたが、16ノットと鈍足で、本格的な艦隊随伴用としては不十分であった[3]

一方、上海市滬東造船廠では、1994年よりタイ王国海軍向けの補給艦として「シミラン」(HTMS Similan)を建造していた。これは、元々は人民解放軍海軍用の新型補給艦として設計されていた試案をもとに、タイ海軍の要求に応じて改正したものであり、北大西洋条約機構(NATO)の基準に基づいて建造されていた[4]

本型は、この「シミラン」をもとにして、人民解放軍海軍向けとして再設計したものである。計画は1999年より着手されたが、「シミラン」の実績があったことから順調に進展し[4]、1番艦は2002年に起工された[3]

設計[編集]

上記の経緯より、本型の船体設計はおおむね「シミラン」と同様のものとなっており、前方の艦橋構造物と後方の煙突を含む上部構造物に二分された上部構造物の配置や、長船首楼型という船型も同様である。ただし船楼後部は延長されて艦内容積を増しているほか、ヘリコプター甲板下の艤装の差異のため、艦尾の形状も異なっている。このほか、舷窓を設けているのも相違点である[3]

主機関は「シミラン」と同構成で、V型16気筒SEMT ピルスティク16PC2-6 V400ディーゼルエンジンを2基搭載している。また推進器はKaMeWa社製の可変ピッチ・プロペラである[1]

なお、船体設計については、撫仙湖級輸送艦920型病院船英語版にも流用されているとみられている[2]

能力[編集]

補給機能[編集]

洋上移送
中部甲板に門型ポスト2基を備えており、前方が燃料用、後方がドライカーゴ用とされている。このうち前方のポストは「南倉」のものと同様の形状で、両側に2ヶ所ずつの補給ステーションが設定されていることから、片舷につき、燃料用の補給ステーションが2ヶ所、ドライカーゴ用の補給ステーションが1ヶ所あることになる。またこのほか、艦尾からの縦曳き給油も可能である[1][2][3]
補給指揮所は各ポストごとに設けられており、艦橋構造物後部、中央部、後部上部構造物前部の各両舷側に位置している[2][3]
また、艦尾甲板はヘリコプター甲板とされており、後部上部構造物に設けられたハンガーには中型ヘリコプター1機を搭載して、VERTREPに用いることができる[1][2][3]
物資格納
合計で11,400トンの物資を搭載できる。アメリカ海軍協会(USNI)では、標準的な搭載内容は下記であると推測している[1]。ただし中国語圏を中心に、航空燃料の搭載量はより少ないとの推測もある。
  • 貨油(艦艇燃料)7,900トン
  • 航空燃料2,500トン
  • 真水250トン
  • 潤滑油70トン
  • ドライカーゴ680トン(弾薬、糧食を含む)

自衛機能[編集]

兵装として艦橋前及びヘリコプター格納庫上にH/PJ-76F 37mm連装機銃[5]各2基、合計4基を装備している。タイプシップの「シミラン」と同様の設置位置だが、同艦では設置スペースのみで装備されないままとなっているのに対し、本型では新造時より搭載されている[3]。また、ソマリア沖海賊対策部隊に参加した艦では、新しい遠隔操作式のH/PJ-15 30mm単装機銃を搭載している[6]

レーダーとしては、航法用のほか、対空対水上捜索用の354型レーダーを装備している可能性がある[1]

配備[編集]

まず2000年代前半に2隻が建造されたのち、2010年代に入って、更に追加建造が開始された。追加建造分については発展型の903A型ともされている。

2008年末より開始したソマリア沖海賊対策に福池型が交代で派遣されており、派遣艦の補給任務に従事している。

同型艦
# 艦名 進水 就役 配属
886 千島湖
Qiandaohu
2003年
3月22日
2005年
4月30日
東海艦隊
887 微山湖
Weishanhu
2003年
6月
2005年
4月30日
南海艦隊
889 太湖
Taihu
2012年
3月22日
2013年
6月18日
北海艦隊
890 巢湖
Chaohu
2012年
5月7日
2013年
9月12日
東海艦隊
    2014年
5月30日
 

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e f Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 133. ISBN 978-1591149545. 
  2. ^ a b c d e 「特務艦 (特集・中国海軍の新型艦艇) -- (注目の中国新型艦艇)」、『世界の艦船』第686号、海人社、2008年2月、 100-103頁、 NAID 40015771007
  3. ^ a b c d e f g 「福池型補給艦 (注目の中国新型艦艇)」、『世界の艦船』第647号、海人社、2005年9月、 88-89頁、 NAID 40006794994
  4. ^ a b 軍武狂人夢. “福池級油彈補給艦/904型定點補給艦” (中国語). 2015年5月28日閲覧。
  5. ^ SinoDefence.com (2009年2月24日). “Qiandaohu (Fuchi) Class Auxiliary Oiler Replenishment Ship” (英語). 2013年9月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月28日閲覧。
  6. ^ 「世界の艦載兵器」、『世界の艦船』第811号、海人社、2015年1月、 132頁、 NAID 40020297435

関連項目[編集]

外部リンク[編集]