すま (海洋観測艦)

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すま
JS Enshū and JS Suma berthed at Y5-wharf, Yokosuka, -4 Aug. 2012 a.jpg
基本情報
建造所 日立造船 舞鶴工場
運用者  海上自衛隊
艦種 海洋観測艦
愛称 Green Ocean
艦歴
計画 昭和54年度計画
発注 1979年
起工 1980年9月24日
進水 1981年9月1日
竣工 1982年3月30日
除籍 2015年6月26日
その後 2016年8月24日、解体処分のため八代港に向け横須賀基地を出港する。
要目
基準排水量 1,180 t
満載排水量 1,700 t
全長 72.0 m
最大幅 12.8 m
深さ 5.6 m
吃水 3.4 m
機関 富士ディーゼル6L27.5XF
ディーゼルエンジン × 2基
推進 可変ピッチ・プロペラ × 2軸
アジマススラスター × 1基
出力 3,000馬力
速力 15ノット
乗員 64名+観測員5名
兵装 なし
搭載艇 11メートル作業艇、改7.9メートル内火艇
レーダー OPS-9 対水上捜索用
電子戦
対抗手段
NOLR-6 電波探知装置
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すまローマ字JS Suma, AGS-5103)は、海上自衛隊が運用していた海洋観測艦[1][2]

艦名の「すま」は兵庫県須磨区の名勝地「須磨」に由来し、旧海軍防護巡洋艦須磨」、砲艦須磨」、米海軍から供与された特務艇「すま」(ASR-431)に続き本艦で4代目。

来歴[編集]

対潜戦のパッシブ戦化に伴って、海上作戦の効率的な遂行には海洋環境資料の収集が求められるようになり、海底地形底質潮流海流地磁気水質水温塩分など)や海上気象などを相互に関連付けて、精密に測定する必要が生じた。このことから、海上自衛隊では昭和42年度計画で「あかし」を建造、1969年にはその運用部隊として海洋業務隊を新編して、海洋環境情報活動に着手した[3]

しかし同艦1隻では十分な情報収集体制の構築は困難であったことから、1974年よりかさど型掃海艇(30MSC)5隻を順次に海洋観測艇に改造し、海洋観測任務に充当した。これらの艇は建造から20年近く年数が経ち、艇体も過小であるため観測器材の大型化に対応できないため、より大型化した代替艦が求められた。これにより中期業務見積もりに基づく昭和54年度計画で建造されたのが本艦である。当初は複数艦の建造が計画されたが、これは実現しなかった[1]

設計[編集]

左舷後方からの艦影。作業甲板は右舷側より短くなっている。

設計面では、「あかし」(42AGS)と同様の商船構造・長船首楼型とされている。また右舷側が観測甲板とされていることから、こちら側の船首楼は短くなっており、艦尾甲板と面一の作業甲板が遊歩甲板様に煙突直下まで続いているのも同様である。一方、本務の海洋観測の他、音響観測の音源艦としての機能も備えているため、音響観測の能力は強化されている[4]。また計画年度にして3年先行する2,050トン型海洋観測艦「ふたみ」(51AGS)と同様に、減揺タンクを備えている。装備器材が多い割には船型が小型すぎて、余裕が少ない艦ともされている。なお任務の性格上、長期の航海が要求されるので、居住性向上のため内装を充実しており、自衛艦としては例の少ない舷窓が設けられた[1]

主機関としては、当時の補助艦艇で一般的に用いられていた直列6気筒の富士ディーゼル6L27.5XFディーゼルエンジン(単機出力1,500馬力)が2基搭載された[5]。また観測時の艦位保持および静粛性が求められる低速航行時に使用する補助推進器として、艦首部に隠顕式のアジマススラスターを備えている[1]

艦歴[編集]

「すま」は、中期業務見積もりに基づく昭和54年度計画海洋観測艦5103号艦として、日立造船舞鶴工場で1980年(昭和55年)9月24日に起工され、翌1981年(昭和56年)9月1日に進水、1982年(昭和57年)1月18日に公試開始、同年3月30日に就役し、海洋業務群に編入され横須賀に配備された。

2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に対する災害派遣に従事した。

2015年(平成27年)6月26日に除籍された[6]。就役から退役まで一貫して海洋業務群(横須賀)の直轄艦として運用され、33年間の艦歴において海洋観測124回、防衛省技術研究本部協力8回、試験協力19回、教務協力11回、災害派遣2回、総航海時間数72,659時間、総航程は地球約32周分にあたる692,940海里(1,283,324.9キロ)に及んだ。

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d 「海上自衛隊全艦艇史」、『世界の艦船』第630号、海人社、2004年8月、 171頁、 NAID 40006330308
  2. ^ 『自衛隊装備年鑑 2006-2007』 朝雲新聞2006年、281頁。ISBN 4-7509-1027-9
  3. ^ 長田博「これからの自衛艦に求められるもの (海上自衛隊の新型艦船)」、『世界の艦船』第550号、海人社、1999年4月、 69-73頁。
  4. ^ 森恒英 「10. 海洋観測艦と敷設艦」『続 艦船メカニズム図鑑』 グランプリ出版1991年、270-283頁。ISBN 978-4876871131
  5. ^ 阿部安雄「機関 (自衛艦の技術的特徴)」、『世界の艦船』第630号、海人社、2004年8月、 238-245頁、 NAID 40006330308
  6. ^ 「海上自衛隊ニュース 海洋観測艦「すま」が除籍」『世界の艦船』第821集(2015年9月号) 海人社
  • 石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』(並木書房、2002年)