IQOS

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IQOS。充電器、ホルダー、ヒートスティック

IQOS(アイコス)は、フィリップ・モリス製の喫煙具。同社のたばこ製品「マールボロ・ヒートスティック」(Marlboro Heat Sticks)・「ヒーツ (たばこ)(HEETS)」を加熱して喫煙する器具[注釈 1]加熱式たばこ

開発[編集]

フィリップ・モリスは、1997年頃から電子たばこ機器の開発を開始した。当初は煙草を外側から加熱する方法で進めていたが、この方法では葉巻やパイプのような煙草本来の味を実現することができなかった。そのため、2010年以降、内部からの加熱方式に開発方向を変更し、現行の形に至るまでに2500億円以上費やしたと言われている[1][2]

日本では2014年11月に名古屋限定で発売開始された[3][4][5]。2015年9月には公式のアイコスショップ(全国8店舗)での販売が開始され[3]、年末には東京など一部地域で発売。2016年4月から全国のたばこ取扱店へと販路が拡大された[3]

2016年4月の全国発売後3年間はヒートスティックは「マールボロ」シリーズのみであったが、2019年1月28日からマールボロシリーズよりやや価格を抑えた「ヒーツ(HEETS)」シリーズが投入され、現在ヒートスティックは「マールボロ」と「ヒーツ」の2種類のシリーズが販売されている[6]

特徴[編集]

ヒートスティックは一般的な使い捨ての紙巻きたばこ(cigarette)と異なり、タバコ葉がペースト状に加工されている。IQOSを用いて加熱することで蒸気を発生させ、ニコチンやその他の成分を吸引する。既に日本では2013年に日本たばこ産業(JT)がPloom(プルーム)を発売していた(なお、JTは2016年より後継のPloom TECH(プルームテック)に移行した)。

ヒートスティックは、日本で流通している電子たばこ(ニコチンなし)と異なり、タバコ葉を用いてニコチンが摂取でき、たばこ税の課税対象となる。また、受動喫煙対策を強化する法改正をめぐり、厚生労働省は、2017年3月2日時点では規制対象とする案を示している[7]

たばこに分類されるので、他の方式のたばこと同様に未成年は喫煙することはできない。 ニコチンが含まれるので、妊婦は喫煙することが望ましくないとされている。副流煙が発生しないため臭いは少ないが、特有の強い臭いがある。 ただし、国際基準に基づいたエアクオリティテストの結果によると、IQOSを吸った空間の臭いは、温かい緑茶や温かい紅茶を煎れた空間の匂いと同程度の臭いレベルであることが判明した。(ISO16814:2008、EN15251:2007)

アイコススポット[編集]

禁煙エリアでも「IQOSのみ喫煙可」とする飲食店がある。フィリップモリス公式の案内では「アイコススポット」であり、店舗やWebサイトで案内されている。これと関係なく独自に可能とする店舗もある。

歴代モデル[編集]

  • アイコス2.4:2016年4月、日本全国発売。初期型。
  • アイコス2.4plus:2017年3月3日、日本全国発売。吸い始め・吸い終わりにお知らせするバイブレーション機能追加[8]。バッテリー増量。一本分充電時間4分10秒。
  • アイコス3:2019年1月28日、日本全国発売。サイドオープニングシステムの採用[9]。充電ケーブルにUSB Type-Cを採用[10]。一本分充電時間3分30秒。カラーバリエーションが従来の2色(ホワイト、ネイビー)から4色(ステラーブルー、ベルベットグレー、ブリリアントゴールド、ウォームホワイト)に増加。
  • アイコス3マルチ[11]:2019年1月28日、日本全国発売。10本の連続喫煙が可能[12]。充電ケーブルにUSB Type-Cを採用[10]
  • アイコス3DUO[13]:2019年11月05日、日本全国発売。2本連続喫煙可能[14]。一本分充電時間1分50秒[14]。ウォームカッパーが追加され、カラーバリエーションが5色に増加[14]。2020年3月17日にレギュラー色に「ルーシッドティール」が追加されレギュラー色のカラーバリエーションは6色となった[15][16]

各国の規制[編集]

シンガポールタイ王国中華民国では、法律によって電子たばこの所持が禁止されており、IQOSも電子たばこの一種とみなされるため、違法として処罰対象となる。

また、多くの国ではたばこに課税しているが、IQOSが販売されていない国の一部では法整備が追いついておらず、ヒートスティックが課税対象なのか不明確な場合、もしくは免税範囲が不明確な場合があり、不用意に持ち込んだり使用したりすると脱税とみなされ処罰される恐れがある。

2019年4月、フィリップモリスは、米国食品医薬品局(FDA)からアメリカ合衆国において、健康リスク低減をうたっての販売が許可されたと発表した[17]

健康への影響[編集]

  • フィリップモリス社は、IQOSは火をつけて使う一般的なたばこと比べて、燃焼により発生するホルムアルデヒド一酸化炭素アンモニア化合物といったWHO世界保健機関)が定める「9つの有害性成分(有害物質)」について約95%の低減に成功し、発がん物質の吸入、歯や壁の着色汚れなどが低減されている、と主張する[18]。しかしWHOによれば、かかる主張を裏付ける研究はフィリップモリス社の金銭的支援を受けた1件のみであり、IQOSが健康リスクを低減することを示した独立の信頼できるデータは2017年7月時点で存在しない[19]。なお、タールについては、燃焼させていないため発生していないとしている。
  • 米食品医薬品局(FDA)のたばこ製品科学的諮問委員会は、加熱式たばこが従来の紙巻きたばこに比べ、たばこ関連の疾病リスクを低減できる十分な証拠は得られなかったと指摘し、IQOSが紙巻きたばこに比べて健康リスクを引き下げるというフィリップモリス社の主張を退けた[20]
  • 2018年に、アメリカ食品医薬品局 (FDA)の審議会は、科学的根拠の不足を理由に同社の申請を却下。暫定的な報告を出し、フィリップ・モリス・インターナショナルのIQOSが、「アイコスが生み出すエアロゾルは細胞を破壊し、人体組織にも悪影響を及ぼす恐れがあるが、従来の紙巻たばこに比べ、人体に有害もしくは有害の恐れがある物質の含有量が少ない」とした臨床試験報告を公表した[21]
  • WHOの見解によれば、IQOSをはじめとする加熱式タバコはニコチン依存があり、紙巻きたばこと「同等に危険」である[19]
  • スイス、ベルン大学の科学者たちが実施した調査によれば、IQOSタバコは一酸化炭素、多環式芳香族炭化水素、揮発性有機化合物といったガンを引き起こすことで知られる有害物質を含む。また一部の科学者たちは「これらの有害物質に安全基準は存在しない」と警告している[22]
  • IQOSタバコは、伝統的な紙巻きタバコのおよそ84%のニコチン量を含む[23]
  • IQOSタバコは、いくつかの有害物質を紙巻きたばこより高濃度で含むという研究結果がある[22]
  • 医学博士のミッチェル・カッツは、加熱式タバコの使用によって吐き出される呼気も粒子の細かい「発がん性物質」が周囲に流出するため、公共の場での利用は非喫煙者の健康も害する恐れがあると主張している[22]
  • 世界保健機関は、電子たばこや加熱式たばこは健康上のリスクを減らすわけではなく有害であるとする報告書を発表し、紙巻きたばこと同様に規制を行うべきとの見解を示している[24]

著名な愛煙者[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ヒートスティックのパッケージに「Designed for use with IQOS」(アイコスのためにデザインされました)との表記(2019年中頃より「MADE FOR IQOS」(アイコス用に製造)に簡略化)があるため、IQOSは喫煙具を示す名称であり、ヒートスティックはアイコスの一部ではなく、「アイコスに対応したたばこ」という位置づけである。

出典[編集]

  1. ^ 最近よく見る筒状の電子たばこ・IQOS、発売直後にたばこ市場塗り替え…煙出ず害激減”. ビジネスジャーナル. 株式会社サイゾー (2016年8月23日). 2020年3月30日閲覧。
  2. ^ 有害物質9割減!?フィリップモリス次世代タバコの勝算”. ダイヤモンド・オンライン. ダイヤモンド社 (2015年8月20日). 2020年3月30日閲覧。
  3. ^ a b c IQOS日本限定販売モデルを発売「IQOS 3 NIPPON 祝賀モデル」「IQOS 3 MULTI NIPPON 祝賀モデル」2019年4月17日(水)発売”. PR TIMES. PR Times (2019年4月17日). 2020年3月30日閲覧。
  4. ^ 好調IQOSの次なる一手 健康増進法改正を契機に限定色・新色デバイスと新フレーバーを投入、デバイスの3000円OFFも | ガジェット通信 GetNews”. ガジェット通信 GetNews. 株式会社東京産業新聞社 (2020年3月20日). 2020年3月30日閲覧。
  5. ^ キーパーソンが語る加熱式たばこ「IQOS 3 DUO」の登場によって加速する煙のない社会の実現|@DIME アットダイム”. @DIME アットダイム. 株式会社小学館 (2019年10月9日). 2020年3月30日閲覧。
  6. ^ アイコス専用たばこ「HEETS」全国展開スタート 安さと“海外仕様”の風味で攻める”. ITmedia ビジネスオンライン. アイティメディア株式会社 (2019年1月28日). 2020年3月30日閲覧。
  7. ^ アイコスなどの電気加熱式たばこを規制対象へ 受動喫煙対策の法改正案で”. livedoor NEWS (2017年3月2日). 2017年3月2日閲覧。
  8. ^ 【新旧比較】新型アイコス「IQOS 2.4 Plus」はどこが変わった? どう変わった?”. 価格.comマガジン. 株式会社カカクコム (2017年3月31日). 2020年3月30日閲覧。
  9. ^ 価格.com - 新型アイコス「IQOS 3」登場、全方位対応ホルダーで出し入れスムーズ”. kakaku.com. 株式会社カカクコム (2018年10月23日). 2020年3月30日閲覧。
  10. ^ a b フィリップモリス、新型「アイコス」2機種発表 充電短縮、連続使用”. ITmedia ビジネスオンライン. アイティメディア株式会社 (2018年10月23日). 2020年3月30日閲覧。
  11. ^ アイコス3マルチ(IQOS 3 MULTI)の最新情報からスペックや値段、色にフレーバーなど、全部まとめてご紹介します!”. tobbaco lifestyle magazine moqlog (2020年6月17日). 2020年6月28日閲覧。
  12. ^ 「10本連続で吸える」新型アイコスでシェア拡大なるか フィリップモリスの挑戦”. ITmedia ビジネスオンライン. アイティメディア株式会社 (2018年10月23日). 2020年3月30日閲覧。
  13. ^ アイコス3デュオ(IQOS 3 DUO)の最新情報からスペックや値段、色にフレーバーなど、全部まとめてご紹介します!”. tobbaco lifestyle magazine moqlog (2020年6月17日). 2020年6月28日閲覧。
  14. ^ a b c 「IQOS 3」が刷新! 2本連続で吸えて充電時間も短い「IQOS 3 DUO」が本日発売”. 価格comマガジン. 株式会社カカクコム (2019年9月25日). 2020年3月30日閲覧。
  15. ^ 「IQOS 3 DUO」に春限定カラーモデルが登場! 新色「ルーシッドティール」も”. マイナビニュース. 株式会社マイナビ (2020年3月16日). 2020年4月1日閲覧。
  16. ^ 改正健康増進法施行を控え、IQOS数量限定モデルを発売「IQOS 3 DUO 春限定カラーモデル」 2020年3月17日(火)から発売開始”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 株式会社 PR TIMES (2020年3月16日). 2020年4月1日閲覧。
  17. ^ 【独占インタビュー】フィリップモリスのCEO、「紙巻きタバコやめる」ってよ”. kakaku.com. 価格.com (2019年5月29日). 2019年6月1日閲覧。
  18. ^ https://www.theguardian.com/business/2016/nov/30/philip-morris-stop-selling-cigarettes-alternative-iqos
  19. ^ a b http://www.who.int/fctc/cop/cop7/FCTC_COP_7_9_EN.pdf?ua=1&ua=1
  20. ^ http://jp.wsj.com/articles/SB12681989539525134277904584005653966524052
  21. ^ 加熱式たばこiQOS、紙巻たばこより有害度低い=米暫定報告、ロイター、2018年1月22日
  22. ^ a b c http://www.reuters.com/article/us-health-tobacco-heatnotburn-idUSKBN18M2JB
  23. ^ http://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2628970
  24. ^ 『「加熱式たばこ」で健康上のリスク減らず、 WHOが報告書』 2019年7月28日付 TBS NEWS

外部リンク[編集]