喫煙率

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上は男性、下は女性の喫煙率(WHO,2008年)[1]

喫煙率(きつえんりつ、Prevalence of tobacco consumption)とは、調査対象のうちタバコ喫煙を行う人の割合である。「喫煙者率」も同義である。

国別にみると、全人口および男性の喫煙率は、東アジア諸国で極端に高く欧米諸国先進国では低い。逆に、女性の喫煙率は東アジア諸国の方が極端に低い傾向があり、欧米諸国の先進国ではやや高い。World Lung Foundationの資料(2013年)によると、中国 28.2(男52.9、女2.4)%に対し、スウェーデン 24.0(男25.0、女23.0)%、米国 27.1(男31.2、女23.0)%、オーストラリア 16.6(男18.0、女15.2)%であった[2]

日本の喫煙率は、男性ではOECD平均を上回る18.2%であるが、女性では平均を下回る7.9%となっている(2015)[3][4]日本での成人男性の喫煙率は1966年の83.7%をピークにほぼ一貫して減少を続け、2015年では30.1%となっているが、依然として世代による幅が大きく30代~50代では40%前後と比較的高い水準となっている[5]。一方、女性の喫煙率は10%台前半で推移している(2012年は10.4%)。こうした数字について、JTは、すでに先進国並みの喫煙率になっていると評価している[6]

先進国の喫煙率[編集]

自己申告データによる、15歳以上の喫煙率を示す。

OECD各国の日常的喫煙者(15歳以上、2015年)[4]
男女(%) 男性(%) 女性(%) 男女(%) 男性(%) 女性(%)
ギリシャ 38.9 43.7 34.0 インドネシア 39.9 71.8 3.6
ラトビア 34.3 52.0 17.6 チリ 29.8 33.7 26.0
ハンガリー 26.5 31.9 21.7 エストニア 26.0 36.2 18.3
中国 24.7 47.6 1.8 ロシア 24.2 45.1 10.5
フランス 24.1 28.7 20.2 スペイン 23.9 27.9 20.2
ポーランド 23.8 30.9 17.9 トルコ 23.8 37.3 10.7
オーストリー 23.2 27.3 19.4 チェコ 18.2 21.8 14.8
リトアニア 22.2 33.0 13.0 イタリア 19.8 24.9 15.8
ドイツ 20.9 25.1 17.1 スロベニア 20.5 22.6 18.4
スイス 20.4 23.1 17.8 英国 20.0 22.0 19.0
韓国 17.3 31.4 3.4 南アフリカ 19.0 31.4 6.5
OECD平均 19.7 24.2 15.5
スロバキア 19.5 27.1 12.5 日本 19.3 30.1 7.9
アイルランド 19.0 20.0 17.0 ベルギー 18.9 21.6 16.4
ポルトガル 18.6 27.2 11.0 オランダ 19.0 21.2 16.3
デンマーク 17.0 16.0 15.5 イスラエル 16.2 21.9 10.8
フィンランド 15.0 18.7 14.5 ルクセンブルク 15.0 16.0 13.9
ニュージーランド 15.5 16.1 13.9 ノルウェー 13.0 13.0 13.0
カナダ 14.9 16.9 12.9 コスタリカ 13.4 19.8 8.3
米国 11.4 12.2 10.7 豪州 12.8 14.5 11.2
インド 11.2 22.8 1.9 コロンビア 11.1 17.2 6.2
メキシコ 7.6 11.9 3.6 アイスランド 10.9 10.7 10.0
ブラジル 7.2 14.4 5.4 スウェーデン 11.2 11.7 10.7

日本の喫煙率[編集]

日本では厚生労働省日本たばこ産業(以下JT)、禁煙運動団体、医療機関、各種民間企業などにより調査が行われている[7][8][9][10]

JTの調査(2015年)によると、喫煙者率は19.9%であり[11]、習慣的に喫煙している者[12]の割合は、厚生労働省の調査(2016)では28.3%[13][14]、減少傾向にある(未成年喫煙経験者率については厚生労働省のサイトを参照)。

喫煙率の減少傾向の背景は、公共の場での完全禁煙エリアおよび完全禁煙車の拡大、タバコの大幅増税、禁煙グッズの売上増加、長年に及ぶ不況の影響などが挙げられ、JTは、高齢化の進展、喫煙と健康に関する意識の高まり、喫煙をめぐる規制の強化や、増税・定価改定などが要因だと考えている[11]

2011年の健康日本21最終評価書によると、成人男性喫煙率は減少傾向が認められているが、 国民の健康の増進の観点から、国民全体の喫煙率の低下を目指す目標設定が必要であるとしている[15]

日本政府(厚生労働省)の見解[編集]

厚生労働省「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会報告書」では、今後の課題として「今たばこ価格・たばこ税の引上げによって喫煙率の低下を図ることは重要であり、その実現に向けて引き続き努力する必要がある。」としている[16]

喫煙率削減の数値目標[編集]

喫煙率を低減させるには、2010年10月1日付によるたばこ税の大幅増税[17][18]禁煙教育や啓蒙とともに未成年者に喫煙動機を起こさせないための勧誘乃至そそのかし行為への厳罰化・広告の制限・喫煙場所の制限・タバコパッケージへの健康警告の貼付などがあげられる。日本は欧米諸国の先進国に比べ規制が遅れている。

厚生労働省は2010年まで日本の喫煙率を20%以下(男32.0%、女8.0%以下)とする目標を掲げ、2010年にこの目標が達成された[13]。そのため今後は12.2%という目標値を設定した[19]

喫煙率削減の数値目標については、健康日本21や「がん対策推進基本計画」の閣議決定に際し、政府においても度々検討が行われたものの見送りとなっていることから、2008年3月4日には日本学術会議より発表された「脱タバコ社会の実現に向けて」において「喫煙率削減の数値目標を設定する」との提言が行われている[20] 。また、政府は数値目標を見送っているものの、都道府県においては、21県が喫煙率削減の数値目標を「がん計画」に盛り込んでいる[21]

日本における統計[編集]

 : 一番高い喫煙率
 : 一番低い喫煙率

JTの調査[編集]

 : 00-10%
 : 10-15%
 : 15-20%

 : 20-25%
 : 25-30%
 : 30-40%

 : 40-50%
 : 50-75%
 : 75%以上


日本の喫煙率の推移(男性)
20代 30代 40代 50代 60以上 平均
1965年 80.5% 84.7% 86.7% 81.4% 74.6% 82.3%
1980年 77.1% 73.4% 69.1% 70.0% 60.0% 70.2%
1990年 66.3% 68.7% 62.7% 57.0% 49.4% 60.5%
2000年 60.7% 63.4% 60.0% 54.1% 37.7% 53.5%
2005年 51.6% 54.6% 53.9% 48.7% 31.4% 45.8%
2010年 38.3% 43.4% 43.3% 42.9% 26.2% 36.6%
2011年 35.2% 40.6% 39.2% 40.9% 23.9% 33.7%
2012年 31.5% 40.4% 39.0% 39.0% 23.5% 32.7%
2013年 29.9% 39.0% 41.0% 36.4% 23.8% 32.2%
2014年 29.4% 36.6% 38.5% 36.6% 21.1% 30.3%
2015年 28.3% 37.1% 37.4% 39.0% 22.9% 31.0%
2016年 27.2% 35.1% 38.2% 34.9% 22.0% 29.7%
日本の喫煙率の推移(女性)
20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上 平均
1965年 6.6% 13.5% 19.0% 23.0% 23.0% 15.7%
1980年 16.2% 14.2% 14.4% 12.8% 14.6% 14.4%
1990年 19.5% 17.2% 14.0% 12.2% 9.4% 14.3%
2000年 21.9% 17.7% 16.8% 12.0% 6.7% 13.7%
2005年 20.9% 20.9% 17.9% 14.4% 5.5% 13.8%
2010年 15.1% 16.0% 16.8% 14.0% 7.0% 12.1%
2011年 13.5% 14.7% 13.7% 11.9% 6.4% 10.6%
2012年 11.4% 15.4% 15.9% 12.2% 5.5% 10.4%
2013年 11.1% 14.5% 13.9% 13.9% 6.3% 10.5%
2014年 10.0% 13.0% 14.8% 13.1% 5.6% 9.8%
2015年 10.1% 12.2% 13.8% 13.8% 5.6% 9.6%
2016年 8.9% 12.3% 14.8% 14.2% 5.7% 9.7%

出典

厚生労働省の調査[編集]

 : 00-05%
 : 05-10%
 : 10-15%

 : 15-20%
 : 20-25%
 : 25-30%

 : 30-40%
 : 40-50%
 : 50%以上


日本の喫煙率の推移(男性)
20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上 平均
1990年 52.9% 63.3% 56.6% 50.1% 51.8% 38.8% 53.1%
1995年 60.9% 60.8% 58.4% 54.2% 47.0% 31.1% 52.7%
2000年 60.8% 56.6% 55.1% 54.1% 37.0% 29.4% 47.4%
2005年 48.9% 54.4% 44.1% 42.5% 34.0% 20.0% 39.3%
2010年 34.2% 42.1% 42.4% 40.3% 27.4% 15.6% 32.2%
2011年 39.2% 43.9% 40.2% 37.3% 29.3% 16.6% 32.4%
2012年 37.6% 43.2% 43.2% 31.0% 31.9% 16.9% 34.1%
2013年 36.3% 44.0% 39.5% 41.5% 33.2% 14.5% 32.2%
2014年 36.7% 44.3% 44.2% 36.4% 32.5% 15.1% 32.2%
日本の喫煙率の推移(女性)
20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上 平均
1990年 11.9% 11.0% 11.3% 8.0% 8.5% 7.2% 9.7%
1995年 16.9% 13.2% 11.1% 9.1% 7.6% 6.3% 10.6%
2000年 20.9% 18.8% 13.6% 10.4% 6.6% 4.0% 11.5%
2005年 18.9% 19.4% 15.1% 12.4% 7.3% 2.6% 11.3%
2010年 12.8% 14.2% 13.6% 10.4% 4.5% 2.0% 8.4%
2011年 12.8% 16.6% 16.5% 10.2% 6.4% 3.0% 9.7%
2012年 12.3% 11.9% 12.7% 11.9% 8.0% 2.9% 9.0%
2013年 12.7% 12.0% 12.4% 11.8% 6.4% 2.3% 8.2%
2014年 11.7% 14.3% 12.8% 12.3% 6.3% 2.5% 8.5%

出典

都道府県別喫煙率[編集]

2010年 都道府県別喫煙率(上位・下位5都道府県)
←高   低→
1 2 3 4 5 全国 5 4 3 2 1
喫煙率(男) 青森県
38.6%
秋田県
37.4%
福島県
36.2%
栃木県
35.7%
富山県
35.6%
33.1% 鳥取県
30.2
京都府
福井県
29.9%
山口県
29.7%
島根県
29.3%
喫煙率(女) 北海道
16.2%
青森県
12.7%
大阪府
12.3%
神奈川県
11.9%
埼玉県
福岡県
11.8%
10.4% 岐阜県
滋賀県
富山県
7.5%
鹿児島県
6.8%
鳥取県
6.6%
福井県
6.2%
島根県
5.4%
喫煙率(男女) 北海道
24.8%
青森県
24.7%
福島県
23.0%
宮城県
22.9%
群馬県
千葉県
栃木県
22.8%
21.2% 山口県
18.5%
鹿児島県
徳島県
18.4%
奈良県
18.2%
島根県
17.3%

年収別喫煙率[編集]

2010年 年収別喫煙率
性別 200万円未満 200-600万円  600万円以上
男性 37.3% 33.6% 27.0%
女性 11.7% 8.8% 6.4%

日本の未成年の喫煙率[編集]

日本の中学・高校生の喫煙率(男性)
中1 中2 中3 高1 高2 高3
1996年 7.5% 10.8% 14.4% 24.7% 31.0% 36.9%
2000年 5.9% 8.2% 14.0% 24.3% 29.5% 36.9%
2004年 3.2% 4.8% 7.3% 11.3% 15.4% 21.7%
日本の中学・高校生の喫煙率(女性)
中1 中2 中3 高1 高2 高3
1996年 3.7% 5.4% 5.5% 9.2% 13.3% 15.6%
2000年 4.2% 5.7% 6.9% 10.9% 13.0% 15.8%
2004年 2.4% 3.7% 4.8% 6.5% 8.5% 9.7%
日本の中学・高校生の喫煙経験者率(男性)
中1 中2 中3 高1 高2 高3
1996年 29.9% 35.1% 38.7% 47.7% 52.6% 55.6%
2000年 22.5% 28.0% 35.4% 45.0% 51.3% 55.7%
2004年 13.3% 18.1% 23.1% 30.9% 35.9% 42.0%
日本の中学・高校生の喫煙経験者率(女性)
中1 中2 中3 高1 高2 高3
1996年 16.7% 20.4% 22.7% 29.2% 33.6% 38.5%
2000年 16.0% 20.5% 23.5% 30.6% 34.2% 36.7%
2004年 10.4% 14.8% 16.6% 20.5% 24.6% 27.0%

脚注[編集]

  1. ^ WHO Report on the Global Tobacco Epidemic 2008, pp.267–288.
  2. ^ World Lung Foundation. "The Tobacco Atlas 4th Edition". New York, WLF, 2013.”. 2014年2月27日閲覧。
  3. ^ Health risks - Daily smokers - OECD Data
  4. ^ a b Health at a Glance 2015, OECD, (2015-11), doi:10.1787/health_glance-2015-en, ISBN 9789264247666 
  5. ^ 厚生労働省の最新たばこ情報 成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)”. 2011年2月5日閲覧。
  6. ^ 喫煙者率も減少、既に先進国並の水準”. JT. 2011年2月5日閲覧。
  7. ^ 成人喫煙率(厚生労働省国民健康栄養調査)”. 財団法人 健康・体力づくり事業財団. 2011年2月4日閲覧。 厚生労働省の調査
  8. ^ 「2008年日本医師会員喫煙意識調査」結果報告 喫煙防止推進へ良好に変化”. 日本医師会. 2011年2月4日閲覧。 日本医師会の調査
  9. ^ 都道府県ランキング”. 日本禁煙学会. 2011年2月4日閲覧。 (PDF) 日本禁煙学会の調査
  10. ^ 2009年「全国たばこ喫煙者率調査」男女計で24.9%”. JT. 2012年2月4日閲覧。 JTの調査
  11. ^ a b 2013年「全国たばこ喫煙者率調査」、男女計で20.9%”. JT. 2014年2月27日閲覧。
  12. ^ 100本以上か、6ヵ月以上たばこを吸っていた者で、アンケートに1ヵ月のうちに、毎日、またはときどき吸ったと回答した者の割合。
  13. ^ a b 平成23年国民健康・栄養調査結果の概要 第3章 喫煙に関する状況 (11-14ページ)”. 厚生労働省. 2014年2月27日閲覧。 (PDF)
  14. ^ 平成28年国民健康・栄養調査結果の概要28頁
  15. ^ 「健康日本21」最終評価書”. 2014年2月27日閲覧。 (PDF)
  16. ^ 受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会の報告書について”. 厚生労働省. 2012年7月22日閲覧。
  17. ^ メーカー価格1箱20本入りのタバコは¥600未満での販売を禁止する条例を制定する方針。
  18. ^ 日経 「日本、タバコが安すぎで喫煙率高く・WHO報告、先進国で突出」
  19. ^ 喫煙率初の20%割れ、男女とも最低”. 2012年7月22日閲覧。
  20. ^ 脱タバコ社会の実現に向けて2008年3月4日 日本学術会議
  21. ^ がん対策「やる気」に地域格差 7府県で未策定」2008年5月11日付朝日新聞

関連項目[編集]

外部リンク[編集]