虚構推理
虚構推理 | |||
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ジャンル | ミステリ | ||
小説 | |||
著者 | 城平京 | ||
イラスト | 清原紘 片瀬茶柴 | ||
出版社 | 講談社 | ||
レーベル | 講談社ノベルス 講談社タイガ | ||
刊行期間 | 2011年5月11日 - | ||
巻数 | 既刊2巻(2018年12月20日現在) | ||
漫画 | |||
原作・原案など | 城平京 | ||
作画 | 片瀬茶柴 | ||
出版社 | 講談社 | ||
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掲載誌 | 少年マガジンR | ||
レーベル | 講談社コミックス | ||
発表号 | 2015年1号 - | ||
発表期間 | 2015年4月20日[1] - | ||
巻数 | 既刊10巻(2019年4月17日現在) | ||
アニメ | |||
原作 | 城平京、片瀬茶柴 | ||
監督 | 後藤圭二 | ||
シリーズ構成 | 高木登 | ||
キャラクターデザイン | 本多孝敏 | ||
アニメーション制作 | ブレインズ・ベース | ||
放送局 | 未定 | ||
放送期間 | 未定 - | ||
テンプレート - ノート | |||
プロジェクト | 漫画・アニメ | ||
ポータル | 文学・漫画・アニメ |
『虚構推理』(きょこうすいり)は、城平京による日本の小説シリーズ。怪異たちの知恵を司る神となった少女と、不死身の男性の2人を中心に繰り広げられるミステリである[2]。2011年より、講談社から刊行されている。
また、2015年以降からは、講談社の漫画雑誌『少年マガジンR』でのコミカライズやブレインズ・ベース制作によるアニメ化などのメディアミックスが行われている。
概要
本シリーズの第1作は、『虚構推理 鋼人七瀬』(きょこうすいり こうじんななせ)である。この小説は、2011年に講談社ノベルスから刊行された。その後、2015年に講談社が『少年マガジンR』を創刊するにあたり、同誌でコミカライズが掲載されることが発表され[3]、創刊号から連載がスタートした[4]。コミカライズは片瀬茶柴が担当しており、片瀬は本作で漫画家デビューを果たした[5]。
2017年、『虚構推理 鋼人七瀬』のコミカライズが完結する[6]。しかし、その後も「城平が続編小説を執筆し、それを片瀬がコミカライズする」という形で連載が続けられており、加えて、城平が執筆した続編小説も講談社タイガから書籍化されている。
なお、『虚構推理 鋼人七瀬』では清原紘がカバーイラストを手掛けているが[5]、講談社タイガから刊行された書籍では片瀬がイラストを担当している。
あらすじ
本シリーズの主人公・岩永琴子は、怪異絡みのトラブルを解決する日々を送っていた。ある日、琴子のもとに、怪異から相談が持ち込まれる。それは、真倉坂市という地方都市で「鋼人七瀬」と呼ばれる怪異が暴れているので対処してほしい、というものだった。琴子は真倉坂市に赴き、現地で出会った弓原紗季という警官に協力を要請する。
同じころ、琴子の恋人・桜川九郎は、突如消息を絶った従姉の六花を探す途中、真倉坂市に立ち寄り、そこで鋼人七瀬と遭遇する。九郎は鋼人七瀬と戦うが、鋼人七瀬を退治することはできなかった。その現場を目撃した琴子は九郎と合流し、紗季を加えた3人で、鋼人七瀬を退治する策を練り始める。
一方、鋼人七瀬は力を増していき、紗季の同僚を殺害するに至る。インターネット上には鋼人七瀬のまとめサイトがあり、殺人事件を受けて書き込みが多数寄せられていた。琴子は、六花がこのサイトを管理しており、サイトの閲覧者の想像力を膨らませることで鋼人七瀬を実体化させたのだと気づく。そして、4つの「虚構の推理」をまとめサイトで披露し、「鋼人七瀬は実在しない」と閲覧者に思わせることで鋼人七瀬を消滅に導く。
登場人物
声の項はテレビアニメ版における声優。
- 岩永 琴子(いわなが ことこ)
- 声 - 鬼頭明里[7]
- 本シリーズの主人公。作中世界の名家・岩永家の令嬢で、大学生。人間だが、11歳のとき、怪異たちの知恵の神になるという契約を交わしており、それ以来、社会の秩序を守るため、怪異に関するトラブルの解決に尽力している。
- 可愛らしい容姿の美少女だが[8]、小柄で、作中ではしばしば中学生に間違われる。また、怪異たちの知恵の神になることと引き換えに片目と片足を失っており、右目には義眼、左足には義足をはめている。風貌はお嬢様然としているが、しばしばその風貌にそぐわない言動を見せる[注釈 1]。
- 桜川 九郎(さくらがわ くろう)
- 声 - 宮野真守[7]
- 琴子と同じ大学に通う大学院生で、琴子の彼氏。人間だが、幼いころに人魚とくだんの肉を食べた影響で、不死身の身体と「未来を自分の望むものに決定できる能力」を有している[注釈 2]。
- 好きな女性のタイプは従姉の六花であり、六花と似ている紗季とも長期にわたって交際していたが、婚前旅行先で発生したトラブルが遠因となり別れる。その後、琴子から告白され、現在に至る。琴子のことをぞんざいに扱うが、彼なりに琴子の身を案じており、特に六花の魔の手が琴子に及ばないよう苦心している。
- 弓原 紗季(ゆみはら さき)
- 真倉坂市の警察署に勤める女性警官。琴子が通う大学のOGであり、九郎の元彼女。九郎とは結婚も視野に入れていたが、婚前旅行先で発生したトラブルが原因で九郎の体質を知り、恐怖から彼との別れを選ぶ。
- 真倉坂市で鋼人七瀬と遭遇したところを琴子に救われ、琴子や九郎と協力して鋼人七瀬への対処に当たる。九郎と別れた後も彼のことを引きずっており、琴子とはいがみ合うこともあったが、鋼人七瀬消滅後、九郎のことを吹っ切る。
- 桜川 六花(さくらがわ りっか)
- 九郎の従姉。人間だが、従弟の九郎と同じく不死身の身体と「未来を自分の望むものに決定できる能力」を有している[注釈 2]。
- 人間の想像力が怪異を生み出す力を持つことに注目しており、そのことを利用して、自身の身体を普通に戻せる怪異を生み出そうと企んでいる。
登場用語
- 鋼人七瀬(こうじんななせ)
- 『虚構推理 鋼人七瀬』に登場した怪異。真倉坂市で事故死したアイドル・七瀬かりんの姿をしているが、顔は黒く塗り潰されている。夜間、真倉坂市に出没し、所持している鉄骨で人間を襲う。
- その正体は、かりんのことを知った六花が、まとめサイトを駆使することで生み出した怪物である。作中では殺人を犯すまでに凶暴化するが、琴子の策により消滅させられる。
作風
本シリーズは「虚構」をテーマとしており[10]、事件の真実よりも「どうやって人々を納得させるか」に重きが置かれている[11]。城平は、『雨月物語』の「蛇性の婬」を読んで「価値観や理屈がねじれて歪んでいても、なぜか全てがおさまるべき所におさまって世界がうまく成立していると見える、けれど何かおかしい」と感じたといい、そこから本シリーズの着想を得たと述べている[12]。
しかし、シリーズ第1作の『虚構推理 鋼人七瀬』は、「妖怪や幽霊が当たり前に実在し、まごうことなき事件の真相をすっかり明らかにした後で、四種類の『嘘の解決』をあらかじめ嘘とことわった上で並べる」という内容から[10]、果たしてミステリと呼べるのかという議論を巻き起こすことになった[13]。
既刊一覧
小説
城平京(著)、講談社、既刊2冊(2018年12月20日現在)
- 『虚構推理 鋼人七瀬』、〈講談社ノベルス〉、2011年5月11日発売[講B 1]、ISBN 978-4-06-182768-4
- 講談社文庫版[注釈 3]、2015年12月15日第1刷発行(同日発売[講B 2])、ISBN 978-4-06-293240-0
- 講談社タイガ版[注釈 4][注釈 5]、2019年1月23日発売[講B 3]、ISBN 978-4-06-514530-2
- 『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』、〈講談社タイガ〉、2018年12月20日第1刷発行(同日発売[講B 4])、ISBN 978-4-06-513928-8
漫画
2015年から、『少年マガジンR』で片瀬茶柴によるコミカライズが連載されている。物語の流れは原作と基本的には同じだが、アレンジも加えられている[14]。特に、漫画版では読者が琴子を好いてくれるよう、彼女の魅力を可能な限り引き上げるようなキャラクターメイキングが行われている[8]。
なお、第8巻から通常版に加えて限定版・特装版がリリースされている。第8巻の特装版にはカラー画集[15]、第9巻の限定版には2019年のカレンダーがそれぞれ同梱されている[16]。
- 城平京(原作)・片瀬茶柴(漫画) 『虚構推理』 講談社〈講談社コミックス〉、既刊10巻(2019年4月17日現在)
- 2015年10月16日第1刷発行(同日発売[講C 1])、ISBN 978-4-06-371491-3
- 2015年11月17日第1刷発行(同日発売[講C 2])、ISBN 978-4-06-371496-8
- 2016年4月15日第1刷発行(同日発売[講C 3])、ISBN 978-4-06-392518-0
- 2016年8月17日第1刷発行(同日発売[講C 4])、ISBN 978-4-06-392537-1
- 2016年12月16日第1刷発行(同日発売[講C 5])、ISBN 978-4-06-392559-3
- 2017年6月16日第1刷発行(同日発売[講C 6])、ISBN 978-4-06-392590-6
- 2017年12月15日第1刷発行(同日発売[講C 7])、ISBN 978-4-06-510597-9
- 2018年4月17日第1刷発行(同日発売[講C 8])、ISBN 978-4-06-511186-4
- 2018年10月17日第1刷発行(同日発売[講C 9])、ISBN 978-4-06-513317-0
- 2019年4月17日第1刷発行(同日発売[講C 10])、ISBN 978-4-06-515177-8
テレビアニメ
この節には放送または配信開始前の番組に関する記述があります。 |
2019年1月に漫画版のテレビアニメ化が発表された[17][18]。放送時期は未定。
スタッフ
- 原作 - 城平京[17]
- 漫画 - 片瀬茶柴[17]
- 監督 - 後藤圭二[17]
- シリーズ構成 - 高木登[17]
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 本多孝敏[17]
- アニメーション制作 - ブレインズ・ベース[17]
- 制作 - NAS[17]
賞歴・ノミネート歴
発表年 | 賞 | 部門 | 対象 | 結果 |
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2012 | 第12回本格ミステリ大賞 | 小説部門 | 『虚構推理 鋼人七瀬』 | 受賞[19] |
本格ミステリ・ベスト10 2012年版 | 国内 | 4位[20] | ||
2016 | 第6回 NEXTブレイク漫画RANKING BEST50 | 漫画『虚構推理』 | 7位[21] | |
2018 | 第42回講談社漫画賞 | 少年部門 | ノミネート[22] |
脚注
注釈
出典
- ^ “新雑誌・少年マガジンR、本日誕生! ノラガミ大判ポスター&絵馬も”. コミックナタリー. ナターシャ (2015年4月20日). 2018年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ “「虚構推理」7巻、初版限定で七瀬かりんのデビューCD販促用ミニポスター付属”. コミックナタリー. ナターシャ (2017年12月15日). 2018年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ “城平京氏のミステリー作品『虚構推理』漫画化 『マガジンR』で掲載へ”. ORICON NEWS. oricon ME (2015年2月13日). 2018年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ “城平京「虚構推理」マンガ版など3作、4月創刊のマガジンR作品が単行本化”. コミックナタリー. ナターシャ (2015年10月16日). 2017年9月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ a b 廣澤吉泰 (2015年12月18日). “『虚構推理』第2巻 城平京(作) 片瀬茶柴(画) 【日刊マンガガイド】”. このマンガがすごい!WEB. 宝島社. 2018年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ “マガジンRで「虚構推理」が完結&続編も決定! 新連載2本スタート”. コミックナタリー. ナターシャ (2017年4月20日). 2018年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ a b “TVアニメ『虚構推理』メイン声優&原作CMが解禁! 主人公・岩永琴子役を鬼頭明里さん、桜川九郎役を宮野真守さんが担当”. アニメイトタイムズ (2019年4月9日). 2019年4月9日閲覧。
- ^ a b “マンガ質問状:「虚構推理」 コンセプトは破天荒キャラ・琴子の「ファンになってもらう」”. MANTANWEB. 毎日新聞社 (2015年12月19日). 2018年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ 赤星秀一 (2016年1月10日). “想像力の怪物が描く、最高の嘘に酔う【本格ミステリ大賞受賞作】”. 講談社BOOK倶楽部. 講談社. 2018年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ a b 城平京. “『虚構推理 鋼人七瀬』 城平京”. webメフィスト. あとがきのあとがき. 講談社. 2018年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ “ミステリ好きが早口で語る! ドラマ「アンナチュラル」の面白さ(1〜4話)”. ねとらぼ. p. 2 (2018年3月2日). 2018年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ 城平京、片瀬茶柴『虚構推理 3』講談社、2016年、170-171頁。ISBN 978-4-06-392518-0。
- ^ 中川凌 (2018年6月9日). “推理マンガのおすすめ10選! 謎解きの快感が病みつきになる、誰もが知る名作から注目のミステリーまで一挙まとめ”. ダ・ヴィンチニュース. 2018年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ 三木美波. “2015年の新創刊マンガ誌が放つ、今が“読みどき”の新作 城平京×片瀬茶柴による本格ミステリ「虚構推理」に迫る”. コミックナタリー. ナターシャ. p. 1. 2018年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ “「虚構推理」8巻発売、描き下ろしイラストも入ったミニカラー画集付き特装版も”. コミックナタリー. ナターシャ (2018年4月17日). 2018年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ “「虚構推理」9巻限定版に2019年カレンダー、10巻限定版には「YES NO枕」が”. コミックナタリー. ナターシャ (2018年10月17日). 2018年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “『虚構推理』TVアニメ化 ティザービジュアル&スタッフ公開”. ORICON NEWS. oricon ME (2019年1月15日). 2019年1月15日閲覧。
- ^ “『虚構推理』TVアニメ化決定”. アニメイトタイムズ (2019年1月15日). 2019年1月15日閲覧。
- ^ “2012年度 第12回本格ミステリ大賞”. 本格ミステリ作家クラブ公式サイト. 2017年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ “本格ミステリ・ベスト10 2012年版(2011年)”. 『本格ミステリ・ベスト10』ランクイン作品一覧. 2019年1月25日閲覧。
- ^ “書店員が選んだNEXTブレイク作品50、1位は咲坂伊緒「ふりふら」”. コミックナタリー. ナターシャ (2016年7月20日). 2017年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月24日閲覧。
- ^ 「第42回講談社漫画賞発表」『週刊少年マガジン』第60巻第28号、講談社、2018年7月18日、117-121頁。
講談社BOOK倶楽部
以下の出典は『講談社BOOK倶楽部』(講談社)内のページ。小説の発売日の出典としている。
講談社コミックプラス
以下の出典は『講談社コミックプラス』(講談社)内のページ。漫画の発売日の出典としている。
外部リンク
- ノベルス「あとがきのあとがき」『虚構推理 鋼人七瀬』 - webメフィスト(講談社BOOK倶楽部)
- 虚構推理 - 少年マガジンR公式サイト
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