無痛分娩

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無痛分娩(むつうぶんべん、: labor analgesia)とは、麻酔を用いて痛みを緩和しながら分娩(経膣分娩)を行うことである。麻酔は一般的に硬膜外麻酔が行われる。

メリット[編集]

分娩時に母親が感じる痛みは非常に強いとされ、さらに分娩の進行に伴い強くなっていくため母親にとって大きな負担となるが、無痛分娩ではこの負担を軽減できる。特に母親が妊娠高血圧症候群である場合、分娩の痛みにより血圧が過度に上昇してしまう恐れや、ストレスホルモンによって血管が収縮し胎児への血流が非常に少なくなってしまう恐れがあるため、無痛分娩が有用とされる[1]。また、分娩中に緊急に帝王切開が必要になった場合、通常であれば脊髄くも膜下麻酔又は全身麻酔を行う必要があるが、麻酔のための管を留置している無痛分娩であれば硬膜外麻酔で管理することができる。

デメリット[編集]

硬膜外麻酔による無痛分娩では、母親の足の感覚が鈍くなり、力が入りにくくなることがあるほか、低血圧、かゆみ、発熱などの副作用が生じる可能性がある。まれに起こる重大な合併症としては、硬膜外麻酔の管がくも膜下腔に入り、脊髄くも膜下麻酔になってしまうことや局所麻酔薬中毒などがある。無痛分娩を行う際には、これらの合併症に対応できるよう専門的な知識や技術が必要である。

麻酔の種類[編集]

硬膜外麻酔
無痛分娩において最も一般的に用いられる麻酔法。脊髄の近く(硬膜外腔)に麻酔薬(ロピバカインフェンタニル)を注射して鎮痛を行う。麻酔薬が胎児にほとんど影響せず、また、母親の意識もはっきりしたまま分娩を行えるといったメリットがある。分娩がすでに進行している場合、素早く鎮痛を行うために脊髄くも膜下麻酔を併用する場合もある。
静脈麻酔
硬膜外麻酔が行えない場合に使用する。点滴により静脈から静脈麻酔薬を投与して鎮痛を行う。手技が容易であり重大な事故のリスクが低いが、硬膜外麻酔と比較して鎮痛効果が弱い。麻酔薬は胎盤を通過して胎児の体にも入るため、母子ともに一時的に眠くなることや呼吸が弱くなることがある。

麻酔以外による産痛の緩和[2][編集]

麻酔以外にも、以下のような手段が産痛を緩和するという報告がある。

医療者やパートナーなど他者が行うタッチングやマッサージは母親自身が行うマッサージに比べ痛みの軽減が顕著であるという報告がある。

硬膜外麻酔はこれらの麻酔以外の手段よりも産痛緩和効果が高いとされるが、上記のリスクもある。母親がメリット、デメリットを理解したうえで産痛緩和法を選択できることが望ましい。

脚注[編集]

  1. ^ 妊娠高血圧症候群の診療指針 2015 - Best Practice Guide -
  2. ^ 母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査-科学的根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラインの改訂- (2013)

参考文献[編集]