ナース・プラクティショナー

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ナース・プラクティショナー
Nurse practitioner
US Navy 031027-N-0000W-001 Family Nurse Practitioner Lt. Cmdr. Michael Service cares for a young girl at the U.S. Naval Hospital (USNH) Yokosuka.jpg
米国海軍横須賀基地のNP
基本情報
職種 医療従事者
業種 医療
詳細情報
必須試験 修士号または博士号
関連職業 助産師

ナース・プラクティショナー(Nurse Practitioner, NP)とは、主にアメリカ合衆国においてみられる、上級の看護職である[1]。一定レベルの診断治療などを行うことが許されており、臨床医と看護師の中間職と位置づけられる[1]

アメリカ合衆国[編集]

米国NPの専門分野[1]
急性期ケア 6.5%
成人 22.5%
家庭 61.7%
消化器 2.6%
新生児 0.2%
腫瘍 1.0%
小児 1.8%
精神・精神保健 1.4%
女性の健康 2.1%

アメリカ合衆国においては、全50州が、NPによる医療行為を認めている。 看護師基本資格は登録看護師(Registered Nurse, RN)として区別される[1]。現在ではRN全体の8%にあたる15万人が、NP資格を持っている[1]

NPは、看護師として一定以上の職務経験を積んだものが専門職大学院において必要な学位を取得し試験に合格することにより、この資格を得ることができる[1]。同職は州単位の規制によって規定されており、NP自らによる診療所の開設は、自己の責任においてこれが可能である州、提携関係にある医師の監督下において可能となる州などがある。

NPの可能な行為は、医師の補助のほか、医師のいない過疎地等においては自らプライマリケアの主体となっている場合もある[1]。初期症状の診断、処方、投薬などを行うことが出来るが外科手術などは行うことが出来ない。NPの専門領域は、全ての州で認められているウィメンズヘルス(女性の健康)、小児、高齢者、精神、急性期の5つの領域のほか、救急、家族、新生児などの領域がある[1]

米国で導入されたのは1960年代[1]1965年にはコロラド大学でNPの養成が開始された。1988年には全50州で、NPの診療行為に対して診療報酬が認められるようになった。米国では医療費や医師の給与が高額なため、NPの導入には医療コストの削減という側面もある[1]

日本[編集]

日本の医師法は、医師歯科医師以外が診断薬剤の処方などを行うことを認めておらず、現状ではナース・プラクティショナーに相当する職種は存在し得ない。
但し一定範囲の助産行為に限定されるが、独立した助産所を設け自己の責任にて業務を行える助産師はナース・プラクティショナーに近似した職種といえる。

日本看護協会はナース・プラクティショナーまたはそれに類似する資格を創設し医療ニーズに応えることが必要であると考えている[2]

これに対して日本医師会2009年の時点で、問題の本質は医師不足であり、医療の安全・質の点から、ナース・プラクティショナーの導入に反対している[3][4]

両方を所管する厚生労働省2010年の時点で、今後の医療ニーズに鑑み、看護師の役割拡大の検討を始め[5]2015年10月1日より「特定行為に係る看護師の研修制度」を開始した[6]。ただしこの研修によって看護師は独自に診療を行えるようになるわけではなく、あくまで医師の指示のもと、手順書によって定められた特定行為(診療の補助)を行えるようになるに留まっている点でナース・プラクティショナーとは異なる。

沖縄の介輔制度[編集]

1972年(昭和47年)以前のアメリカ占領下の沖縄では、正規の医師ではないが医療行為を行える資格として介輔という制度が設けられた。しかしながらこれは、いわゆる代用医師としての意味合いが強く、初めから専門職として位置付けられているナース・プラクティショナーとは、経緯・意味合いが大きく異なるものである。

また、当時の沖縄においては、一般に対する予防医療行為を行った高度看護師として公衆衛生看護婦(公看)という資格が存在していたが、この職種は、沖縄が日本に返還された後に保健師に統合された。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j 早川 佐知子「アメリカの病院における医療専門職種の役割分担に関する組織的要因 : 医師・看護師・Non-Physician Clinicianを中心に (特集 医師・看護師の養成と役割分担に関する国際比較)」『海外社会保障研究』第174巻、国立社会保障・人口問題研究所、2011年、 4-15頁、 NAID 40018787215
  2. ^ ナース・プラクティショナー(仮称)制度の構築”. 2018年5月26日閲覧。
  3. ^ ナースプラクティショナー(NP)の導入に対する日本医師会の見解 (PDF)”. 日本医師会 (2009年6月3日). 2018年5月26日閲覧。
  4. ^ 日医白クマ通信 No.1145”. 日本医師会 (2009年6月5日). 2018年5月26日閲覧。
  5. ^ 論点②:看護師の役割の拡大について(素案) (PDF)”. 厚生労働省 (2010年). 2018年5月26日閲覧。
  6. ^ 特定行為に係る看護師の研修制度の概要”. 厚生労働省. 2018年5月26日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]