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山本山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
株式会社山本山
Yamamotoyama Co., Ltd.
山本山(本社が入る日本橋高島屋ビル)
山本山(本社が入る日本橋高島屋ビル)
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
103-6111
東京都中央区日本橋2丁目5番1号
日本橋髙島屋三井ビルディング11階
設立 1941年昭和16年)5月7日
(創業:1690年元禄3年))
業種 食料品
法人番号 7010001059334 ウィキデータを編集
事業内容 日本茶・ティーバッグの製造加工、販売
食料品の販売および緑茶、海苔の輸出入業務
代表者 山本嘉一郎代表取締役社長
資本金 3400万円
純利益 △3億4,668万1,000円
(2024年2月期)[1]
純資産 117億3,340万5,000円
(2024年2月期)[1]
総資産 120億6,596万9,000円
(2024年2月期)[1]
従業員数 350名(男子 90名・女子 260名)
主要子会社 ヤマモトヤマ USA
ヤマモトヤマ ブラジル
関係する人物 山本嘉兵衛(初代)
外部リンク https://www.yamamotoyama.co.jp
特記事項:1690年創業
レッド・ドット・デザイン賞受賞
ジャーマン・デザイン・アワード賞受賞
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株式会社山本山(やまもとやま)は、海苔お茶を製造している食品メーカー。『日本最古の煎茶商玉露を発明』したことで知られている。本社所在地は東京都中央区日本橋二丁目。「上から読んでも山本山。下から読んでも山本山」というキャッチフレーズで広く知られる。

江戸期以来、茶を取り扱っていたが、戦後に海苔も取り扱い始めた。所在がともに日本橋であることもあってか、山本海苔店とよく混同される[要出典]が、まったくの別会社。

概要

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創業者の嘉兵衛は、山城国京都府南部、概ね京都市以南)にある宇治山本村(現在の同府宇治市山本)というところでお茶を作っていた。日々お茶を作る中で「宇治のおいしいお茶を、もっと多くの人に味わってもらいたい」という思いを抱き江戸に行く。1690年元禄3年)に日本橋和紙お茶茶器類等を扱う「鍵屋」を開業[2]

4代目の嘉兵衛の時に大きなチャンスが訪れる。永谷宗円永谷園の創業者・永谷嘉男の先祖。嘉男は宗円の10代後の子孫である)が宇治茶煎茶を開発、山本山は江戸で委託販売して莫大な財を成すことになった[3][2]。当時の煎茶は日干しで乾かした茶色い黒茶で味も良くなく、宗円が発明した煎茶は美しい黄緑色と、適度の渋み、苦みに、旨味、甘味を実現した画期的なものだった。さらに4代目の山本嘉兵衛は商品名に「天下一」と名付けて売り出すことで、江戸そして、全国で圧倒的な人気を博した。以降、山本家は永谷家に対して1875年明治8年)まで毎年小判25両をお礼として贈り続けた[2]

当時の江戸は1657年明暦3年)の「明暦の大火」で大被害に見舞われており、全国各地から腕利きの職人が上京し、江戸の町を復興させようという動きだった。以前は「1日2食」の質素な食事が基本だった庶民の食を蕎麦寿司天ぷらといった屋台がどんどんでき始め、山本山は「煎茶」を推進、飲料文化を急速に加速させた[3]

5代目、6代目も日本茶史に残る大きな業績を残す。「古今稀な知恵の持ち主」と宇治の生産者達からも評された5代目の嘉兵衛徳潤は当時マイナーな存在だった「狭山茶」を発掘して「霜の花」「雪の梅」と名付けて積極的に販売、狭山茶は「静岡茶」「宇治茶」と並んで「日本三大茶」と称される存在となった。6代目の嘉兵衛徳翁は、1835年天保6年)宇治小倉郷の木下吉左衛門宅にて製茶中の茶葉を露のように丸く焙ることを思いついて、やってみたところ甘露の味わいの絶品に仕上がることを発見。これこそが今日にも至る高級茶葉「玉露」の発明だった[3][2]

1947年昭和22年)9代目の邦一郎は料亭で有明海産の高級海苔を食べて感動したことと、お茶と海苔の旬が違うこともあり、もう一つの看板商品となる海苔の取り扱いを開始。1963年(昭和38年)の頃から「上から読んでも山本山。下から呼んでも山本山」で積極的なブランディングを展開。名コピーは9代目が考案したもの[4]。老舗とは思えないほど、時代の流れに合わせて積極的に事業展開を続け、1970年(昭和45年)にはブラジルサンパウロで初の海外出店。ブラジルで東京ドーム45個分もの面積の茶園を作ってお茶を生産する一方で、1975年にはアメリカロサンゼルスに現地法人「ヤマモトヤマ・オブ・アメリカ」を設立、日本茶や海苔の他、ハーブティーを販売し始める。アメリカ・ヨーロッパアジアの各国で健康飲料として注目される日本茶をはじめ、中国茶紅茶ハーブティーの製造、世界中でブームとなる寿司に使用される海苔の加工を行なうなど、垂直方向(生産)から水平方向(販路)の事業展開を繰り返す[2]

2017年平成29年)からは商品のリブランディングに着手。ロゴや全商品のパッケージのデザインを刷新した[5][6]10代目の嘉一郎の実娘で米国法人社長の奈未に一任[5][7]

2018年(平成30年)創業の地に建った日本橋高島屋三井ビルディング内に本社を置き、ビル1階に「山本山 ふじヱ茶房」をオープン。店作りは奈未が担当[5]

社名ロゴ

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「山本山」扁額[8]

2018年まで使用されていた社名ロゴの揮毫は岡本一平の父で、書家の岡本可亭(1858年 - 1919年)によるもので[8]、 現在使われているものは書家岡西佑奈の揮毫[5]

エピソード

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東叡山・寛永寺に献上/山本嘉兵衛
  • もともと「山本山」という名前の由来は回文を意図して狙ったものではない。お茶の世界では茶園のことを「山」と呼び、伊藤家の茶園なら「伊藤山」、山本家の茶園なら「山本山」である。創業以来、「山本山」という高級煎茶を売っていたことから1941年昭和16年)社名になった[9]
  • 山本家の業績の中で特筆される事項は『元文3年 江戸に青製上煎茶の伝来』『天保6年 玉露の発明』『日本最古の煎茶商(社)』があげられる。代々、流行ものが好きな家系で『明治時代からリプトン様式を取り入れる』『日本で初めてティーバックを作る』『廃れていた狭山茶を再ブレイクさせる』など先見の明を持っていた[10]
  • 代々、宮内庁御三卿 一橋家上野・寛永寺に献上していた[11]
  • 売上の3割がお茶で、7割が海苔。現在の10代目社長・山本嘉一郎は「どちらかを選べ」と究極の選択を迫られたら、お茶を選ぶとインタビューで答えている。理由は「未来は過去の中にある。山本山の歴史である茶をつないでいくことが、未来に続いていくのではないかと思っているから」と話す[12]
  • 11代目次期社長は実娘・奈未である。奈未はアメリカの大学を卒業し、ロサンゼルスの「ヤマモトヤマ・オブ・アメリカ」で働く。10代目社長・山本嘉一郎は「いつの日かアメリカで国際結婚をしてアメリカ生まれ・アメリカ育ちの孫ができ、その孫が茶を楽しみ、茶を考えていく時がグローバル化の始まりと思っている」と話す。[12]
  • 海苔に合わせて「みんなが大好きなおにぎりの具は何ランキング」を定期的にアンケート、マスコミ発表している。最新順位は1位が(21.6%)、2位が明太子(13.3%)、3位が梅干し(12.7%)、4位が昆布昆布佃煮(8.9%)、5位がたらこ・焼きたらこ(8.6%)、6位がツナマヨ(7.4%)、7位がすじこ(5.4%)、8位がおかか(鰹節)(3.5%)、9位がのみ(3.4%)、10位がおかか(3.3%)[13]
  • 乃木坂46中田花奈回文っぽい名前を理由に「山本山」というあだ名がつけられる[14]昔から日本人は上から呼んでも下から呼んでも同じ名前の人を「山本山」というあだ名につけがちである[独自研究?]
  • アド街ック天国」(2018年10月6日放送)日本橋 BEST30の回で「山本山」が第3位に選出。本社ビル1階の店舗には毎朝、社長自らが見茶(けんちゃ)をして日本茶の味や風味を確認、老舗の味を日々守り、進化を続けていると紹介された[15]

沿革

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山本山(江戸時代)/茶問屋山本(現:株式会社山本山)の店頭
歌川広重東海道五十三次 日本橋朝之景」にて
山本山(明治時代)
山本山(昭和時代)
山本山 旧本社ビル

事業内容

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  • 茶及び茶を原料とした加工品の企画・販売[17]
  • 海苔及び海苔を原料とした加工品の企画・販売[17]
  • 食料品の販売[17]
  • 茶及び海苔の輸出入業務[17]
  • 飲食店事業[17]
  • 貸ビル及び貸室の業務[17]
  • 上記に付帯する一切の業務[17]

事業所

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その他、事業所在地を参照。

店舗

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山本山 ふじヱ茶房(店内)

直営店

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山本山 ふじヱ茶房

お茶と海苔の魅力を直感で感じられる茶房をコンセプトにした日本茶専門の茶房[18]

山本山 フジヱラボ

お茶専門店と合わせて抹茶、煎茶、ほうじ茶を使ったドリンクやスイーツを提供する[19]

委託販売店

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現在38都道府県・93店舗。山本山販売員のいるお店も含む。その他、店舗所在地を参照。

受賞

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山本山のコミュニケーション・アイテムが国際的なデザイン賞「レッド・ドット・アワード2019」受賞

主な商品

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お茶

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海苔

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  • ご家庭用海苔
  • 焼海苔
  • 味付海苔
  • もみのり
  • バラエティー海苔
  • 食膳用海苔

歴代社長

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玉露を発明した6代目山本嘉兵衛徳翁(肖像画)
※カッコは在任期間
  • 初代:山本嘉兵衛/1744年6月17日死去[16]
  • 第2代:山本嘉兵衛(2代目)/1776年10月17日死去[16]
  • 第3代:山本嘉兵衛(3代目)/1793年10月5日死去[16]
  • 第4代:山本嘉兵衛喜道/1799年2月26日死去[16]
  • 第5代:山本嘉兵衛徳潤/1819年6月18日死去[16]
  • 第6代:山本嘉兵衛徳翁/1874年7月6日死去[16]
  • 第7代:山本嘉兵衛徳治/1930年1月24日死去[16]
  • 第8代:山本嘉兵衛謙太郎(1941年 - 1962年)[16]
  • 第9代:山本嘉兵衛邦一郎(1962年 - 2008年)[16]
  • 第10代:山本嘉一郎(2008年 - 現職)

CM

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「上から読んでも山本山、下から読んでも山本山」のキャッチコピーでお馴染み[2]

1970年代の弥次さん・喜多さんのアニメーションCMが有名だが、2014年東京スカイツリーが登場するリメイク版が新たに制作された。

過去の主な出演者

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長年、フジテレビの夕方全国ニュース枠(『FNNニュース6:30』→『FNNニュースレポート6:00』→『FNNスーパータイム』、現在の『Live News イット!』)の複数社提供のうちの一社だったことでも知られる。1996年3月にスポンサーから降板。

過去の主な番組

関連書籍

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  • 『嚢物教科書 上巻』(山本嘉兵衛, 赤沼八重子・著/元々堂/1912年4月)
  • 『嚢物教科書 下巻』(山本嘉兵衛, 赤沼八重子・著/元々堂/1914年8月)
  • 『東京を知るために…のれん』(山本嘉次郎・著/はとバス興行/1971年9月) - 玉露と煎茶の生みの親として紹介される
  • 『江戸日本橋のれん物語』(島武史・著/暁印書館/1975年) - 天上天下一の茶の老舗『山本山』を特集
  • 『山本山の歴史』(横田幸哉・著/山本山蔵版/1976年3月16日) - 山本山のルーツを辿る文献書

関連項目

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  • 回文 - 読みや文字を逆の順番にしても同じになる言葉。日本語の回文は読みを逆にするものについて言うことが一般的であるため、「山本山は逆に読んだら『まやともまや』で回文ではない」などとネタにされることがある(連載初期のキン肉マンなど)。
  • 東都のれん会
  • 芥川隆行 - 逝去するまで長年に渡り、CMナレーションを務めた。
  • 春風亭昇太 - 2014年リメイク版のCMナレーションを務めた。
  • エノキアン協会 ‐ 2018年6月入会[21]

脚注

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  1. ^ a b c 株式会社山本山 第82期決算公告
  2. ^ a b c d e f 「山本山」と「永谷園」の古い縁――江戸時代に遡る運命的出会いが老舗を育てた
  3. ^ a b c 今年で創業330年! お茶と海苔の「山本山」についてあなたはどれぐらい知ってますか?
  4. ^ 「江戸式マーケ」(川上徹也・著/文藝春秋)156頁より
  5. ^ a b c d 【THE21】330年続く老舗が「古くなった」と思われない理由…不易流行の経営術
  6. ^ キーワードは「江戸の美意識」。日本橋の老舗「山本山」リブランディングの舞台裏。
  7. ^ 山本山11代目が語る、“50年先を見据えた”リブランディングにおける「前提条件」
  8. ^ a b 2018年まで使用された墨書のロゴ(東京海苔問屋協同組合HP)
  9. ^ 雑学の鬼[名前の秘話]傑作選
  10. ^ 『山本山の歴史』78頁~98頁
  11. ^ 『山本山の歴史』124頁~136頁
  12. ^ a b 山本山:お茶を売って325年。いま、世界企業へ。Yamamotoyama: Selling Tea for 325 Years—Now Globally
  13. ^ 【YAHOO!ニュース】「好きなおにぎりの具」ランキング、沖縄県の特色ある1位とは?
  14. ^ 乃木坂46 中田花奈、“山本山”があだ名に「なかだかなって回文みたい」
  15. ^ 「アド街ック天国」日本橋の回・2018年
  16. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad 『山本山の歴史』山本山関連年表407頁~415頁
  17. ^ a b c d e f g 『山本山の歴史』398頁・399頁
  18. ^ a b 山本山 ふじヱ茶房、アフタヌーンティー『茶菓講(ちゃかこう)』を10月1日より提供開始
  19. ^ a b 【YAHOO!ニュース】老舗・山本山が提案するお茶の新しい飲み方が旨新しい!
  20. ^ 山本山のコミュニケーション・アイテムが国際的なデザイン賞「レッド・ドット・アワード2019」を受賞
  21. ^ 山本山の歴史”. 山本山公式ホームページ. 2020年7月20日閲覧。

外部リンク

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