ミスト (映画)

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ミスト
The Mist
監督 フランク・ダラボン
脚本 フランク・ダラボン
原作 スティーヴン・キング
製作 フランク・ダラボン
リズ・グロッツァー
製作総指揮 リチャード・サパースタイン
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
出演者 トーマス・ジェーン
マーシャ・ゲイ・ハーデン
ローリー・ホールデン
音楽 マーク・アイシャム
撮影 ロン・シュミット
編集 ハンター・M・ヴィア
製作会社 ディメンション・フィルムズ
ダークウッド・プロダクションズ
配給 アメリカ合衆国の旗 MGM/ワインスタイン・カンパニー
日本の旗 ブロードメディア・スタジオ
公開 アメリカ合衆国の旗 2007年11月21日
日本の旗 2008年5月10日
上映時間 125分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $18,000,000[1]
興行収入 $57,293,715[1] 世界の旗
$25,594,957[1] アメリカ合衆国の旗カナダの旗
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ミスト』(The Mist)は、スティーヴン・キングの1980年の中編小説』を原作とした、2007年アメリカ合衆国SFホラー映画である。監督・脚本はフランク・ダラボンであり、過去にキング原作の『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』も手がけている。

深い霧に包まれた街で巻き起こる怪異と、徐々に秩序を失う人々が描かれる。

あらすじ[編集]

激しい嵐が町を襲った翌朝、湖のほとりに住むデヴィッド・ドレイトン(トーマス・ジェーン)とその妻のステファニー(ケリー・コリンズ・リンツ)は自宅の窓やボート小屋が壊れているのを見つける。デヴィッドは買い出しのため、8歳の息子のビリー(ネイサン・ギャンブル)と隣人のブレント・ノートン(アンドレ・ブラウアー)と共に車で地元のスーパーマーケットへ向かった。店は客たちで賑わっていたが、冷蔵庫以外は停電していた。デヴィッドたちが買い物をしていると、店外ではパトカーや救急車が走り回り、サイレンが鳴り始めた。その直後、鼻血を流したダン・ミラー(ジェフリー・デマン)が店内へ逃げ込み、「霧の中に何かがいる」と叫ぶ。店内の一同が戸惑うなか、店外の辺り一面は白い霧に包まれていく。不安に駆られた客たちは、店内へ閉じこもった。

狂信者のミセス・カーモディ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)は、「これはハルマゲドンの始まりだ」と考える。自宅に2人の子供を残してきた女性(メリッサ・マクブライド)は、誰か一緒に付いて来てくれるように懇願したが、皆に拒否されたために1人で出ていった。それからまもなく、デヴィッドとビリーは教師のアマンダ・ダンフリー(ローリー・ホールデン)と仲良くなる。デヴィッドはメカニックのマイロン(デヴィッド・ジェンセン)、ジム(ウィリアム・サドラー)、ノーム(クリス・オーウェン)、そして副店長のオリー・ウィークス(トビー・ジョーンズ)と共に倉庫を調べ、店外の排気口の様子を見るためにシャッターを開けるが、そこから謎の触手が侵入してきてノームは連れ去られてしまう。デヴィッドたちは店外に謎の生物がいることを皆に伝えたが、ノートンをはじめとする懐疑的な者たちは救助を要請しようと外出を主張する。そこで、デヴィッドはどこまで行けるのかを調べるため、外出する1人の男にロープを結びつけた。だが、その男が霧の中に消えてまもなくロープが引っ張られた直後、反応が無くなる。たぐり寄せると、男の上半身は無くなっていた。

夜になると、光に寄せられて巨大な羽虫や翼竜のような生物が窓を破り、店内に侵入してくる。その混乱を受け、ミセス・カーモディの狂信的発言を信じる者が現れ始めるなか、デヴィッドたちは負傷者を助けるため、隣の薬局へ医療物資を取りに行った。薬局内は蜘蛛の糸に覆われており、デヴィッドたちは柱にくくりつけられたMPを発見する。謝り続けるMPの体から無数に出てくる蜘蛛のような生物の襲撃を受けたデヴィッドたちは、犠牲者を出しつつ店へ逃げ戻る。

店に戻ると、3人の兵士のうち2人が自殺した。残り1人のジェサップ2等兵(サム・ウィットワー)は、軍が異次元を観察する「アローヘッド計画」を実行しているという噂について問い詰められたうえ、そのことをミセス・カーモディの信者となったジムに聞かれてしまう。ミセス・カーモディは「ジェサップに責任がある」と演説し、彼はナイフで何度も刺されたうえ、生贄として店外に放り出された。

ミセス・カーモディとその信者たちを恐れたデヴィッドと一部の生存者たちは、物資をかき集めて店外への脱出を計画する。夜が明けてデヴィッドたちは動き出すが、彼らの前に立ちはだかったミセス・カーモディは「ビリーを生贄に差し出せ」と要求する。信者の男たちとの戦いのなか、オリーがミセス・カーモディを射殺する。店から車へ向かう最中、オリー、マイロン、コーネル(バック・テイラー)が生物の餌食となり、バド・ブラウン(ロバート・トレヴァイラー)は店へ戻ろうとするが、彼もまた生物の餌食となる。結局、デヴィッドの車に乗り込めたのは彼と、アマンダ、ビリー、ダン、アイリーン(フランシス・スターンハーゲン)の計5名であった。信者たちが静観する中、デヴィッドの車は走り去っていく。

霧の中をデヴィッドは自宅へ辿り着くが、妻は屋外で糸に巻かれて死んでいた。悲しみをこらえ、南に向かったデヴィッドは生存者に遭うことも無く、崩壊した街の風景や何百フィートもある巨大な怪物を目撃する。そして、ついにデヴィッドの車はガス欠となり、彼ら4人の大人は眠ってしまったビリーの横で生還を断念する。オリーが生物に喰われる際に落とした銃をデヴィッドは持っていたが、それには弾丸が4発しか残っていなかったため、彼は「自分は何とかする」と述べてビリーら4人を射殺した。

半狂乱となったデヴィッドは車を飛び出し、「自分を殺せ」と叫ぶ。だがその直後、霧の中からは現れたのは自走砲火炎放射器で怪物たちを焼き殺す兵隊たち、そして霧が発生してすぐに店を出ていった女性と彼女の2人の子供を含む生存者らを載せたトラックだった。愕然となったデヴィッドは霧が晴れていくなか、後悔の念にかられて絶叫し続けた。

キャスト[編集]

役名、俳優、日本語吹替。

製作[編集]

企画[編集]

監督のフランク・ダラボンはアンソロジー集『闇の展覧会英語版』に収録されているスティーヴン・キングの1980年の中編小説』を初めて読んだ際[2]、これの映画化で監督デビューをしようと考えていた。結局ダラボンは同じくキングの中編を原作とした『ショーシャンクの空に』でデビューした[3]

1994年10月、『ショーシャンクの空に』が完成した後、ダラボンは改めて『霧』の映画化に興味を示した[4]。だがその後企画が進まず、ダラボンは1999年にキング原作の『グリーンマイル』を映画化した[5]

結局ダラボンは『ミスト』のためにパラマウント映画ファースト・ルック契約英語版を交わし、キングから映画化権を委託された[3]。2004年12月までにダラボンは『ミスト』の脚本執筆作を開始したと述べ[6]、2006年10月までにプロジェクトはパラマウントからディメンション・フィルムズに移り、ダラボンは監督となり、またトーマス・ジェーンへ出演交渉がされた[3]

脚本執筆[編集]

ダラボンは「とてもダイレクトで、マッスラーな映画を作りたかった」ために、『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』のような「ストレートなドラマ」の後に『ミスト』を選んだ。ダラボンは映画化の際に新しい結末を考案した。原作者のキングはダラボンの新しい結末を賞賛し、「この結末は衝撃。恐ろしい。だがホラー映画を見に行く人々は必ずしもポリアンナ・エンディングを望んでいるわけではない」と述べた[7]

原作小説ではデヴィッドはアマンダと性的関係を持つ展開があるが、ダラボンは不倫要素を映画に盛り込もうとは思わなかった。デヴィッドを演じたトーマス・ジェーンは、自分と息子、そしてアマンダで一種の家族が形成されていると説明した。またアマンダ役のローリー・ホールデンは、ハリケーン・カトリーナの際のルイジアナ・スーパードームの避難経験を引き合いに出した[8]

キャスティングと撮影[編集]

2006年12月、ジェーンはスタジオとの出演交渉を完了させた[9]。2007年1月、アンドレ・ブラウアーローリー・ホールデンがキャストに加わった[10]

撮影は翌2月にルイジアナ州のステージワークスとシュリーブポートの映画製作施設で始まった[11]。同月末にマーシャ・ゲイ・ハーデントビー・ジョーンズがキャストに加わった[12]

ダラボンの前作『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』に出演したウィリアム・サドラージェフリー・デマン、ブライアン・リビーが端役として出演した。またサイドラーは1986年のオーディオブック版でデヴィッド・ドレイトンを演じた。

オープニングは、主人公のデヴィッド・ドレイトンがスティーヴン・キングの長編小説シリーズ『ダーク・タワー』のポスターを描く場面であった。

特殊効果[編集]

ダラボンは映画に登場する生物のデザインに協力してもらう為、ジョルジュ・シェル英語版[13]バーニー・ライトソン英語版を雇った[14]

グレゴリー・ニコテロは生物のデザインとメイクアップ、エヴェレット・ブレルは視覚効果スーパーバイザーを務めた。ニコテロは1980年代にダラボンが映画化を構想していた際にデザイン案をスケッチしていた。映画化が決定した際、ニコテロ、ブレル、ダラボンはカフェSFのミーティングで生物のデザインについて話した[8]。視覚効果スタジオは、ダラボンがギレルモ・デル・トロに『パンズ・ラビリンス』の視覚効果を作成したスタジオを聞いて勧められたために選ばれた。登場する生物たちは小説にも書かれているものがあるが、ダラボンは新しいものも作り上げようとした。

映画史とジャンル史に塾達していたニコテロは、類似したデザインを避けるという過去の生物デザインを見返した[15]。デザインが完成したとき、ニコテロとブレルはキャストたちに人形とそれらの目と口の機能を見せて教えた。人形は撮影中のモーションキャプチャ・ドットとして使われた[8]

公開[編集]

2007年10月18日にショウイースト映画祭でプレミア上映され、フランク・ダラボンには本作と『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』の功績と合わせてコダック賞が贈られた[16]

日本ではブロードメディア・スタジオの配給で公開された。日本語字幕は松浦美奈が担当した。

興行収入[編集]

アメリカ合衆国カナダでは2007年11月21日に封切られた[1]。アメリカ合衆国とカナダでは累計2559万3755ドル、全世界では5728万9103ドルを売り上げている[1]

批評家の反応[編集]

Rotten Tomatoesでは141件のレビューで支持率は73%となっている[17]。またMetacriticでの加重平均値は29件のレビュで58/100となっている[18]

受賞[編集]

  • 映画館大賞「映画館スタッフが選ぶ、2008年に最もスクリーンで輝いた映画」第48位

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e The Mist (2007)” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2010年6月19日閲覧。
  2. ^ Stax (2007年7月28日). “SDCC 07: Chatting in The Mist”. IGN. http://movies.ign.com/articles/808/808923p1.html 2007年11月19日閲覧。 
  3. ^ a b c Michael Fleming (2006年10月18日). “'Mist' envelops Dimension”. Variety. http://www.variety.com/article/VR1117952204.html?categoryid=13&cs=1 2007年5月17日閲覧。 
  4. ^ Patrick Z. McGavin (1994年10月4日). “LONG LIVE THE KING”. Chicago Tribune 
  5. ^ The Green Mile (1999)”. Internet Movie Database. 2007年5月17日閲覧。
  6. ^ “Frank Darabont on Adapting The Mist. ComingSoon.net. (2004年5月15日). http://www.comingsoon.net/news/topnews.php?id=7617 2007年5月17日閲覧。 
  7. ^ Breznican, Anthony (2007年6月20日). “Stephen King adapts to Hollywood”. USA Today. http://www.usatoday.com/life/movies/news/2007-06-20-stephen-king-movies_N.htm 2007年11月19日閲覧。 
  8. ^ a b c Rebecca Murray (2007年8月15日). “Behind the Scenes of The Mist Based on a Stephen King Story”. About.com. http://movies.about.com/od/themist/a/themist081507.htm 2007年11月19日閲覧。 
  9. ^ “The Punisher Enters The Mist”. IGN. (2006年12月6日). http://movies.ign.com/articles/749/749742p1.html 2007年5月17日閲覧。 
  10. ^ Borys Kit (2007年1月26日). “Braugher, Holden float to 'Mist'”. The Hollywood Reporter. オリジナル2007年2月17日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20070217054105/http://www.hollywoodreporter.com/hr/search/article_display.jsp?vnu_content_id=1003538158 2007年5月17日閲覧。 
  11. ^ Alexandyr Kent (2007年1月19日). “'The Mist' creeping into Shreveport”. The Times 
  12. ^ Michael Fleming (2007年2月21日). “Actors will emerge from King's 'Mist'”. Variety. http://www.ev.variety.com/article/VR1117959912.html?categoryid=2431&cs=1 2007年5月17日閲覧。 
  13. ^ “Jordu Schell: Avatar Lead Characters Designer”. Avatar Movie Zone. オリジナル2009年9月2日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20090902135203/http://www.surrealaward.com/avatar/bioschellj.shtml 2010年4月20日閲覧。 
  14. ^ Edward Douglas (2007年7月27日). “Comic-Con '07: Two Clips From The Mist!”. ShockTillYouDrop.com. http://www.shocktillyoudrop.com/news/comicconnews.php?id=903 2007年7月30日閲覧。 
  15. ^ Edward Douglas (2007年11月16日). “An Exclusive Interview with Mr. Frank Darabont!”. ShockTillYouDrop.com. http://www.shocktillyoudrop.com/news/topnews.php?id=3609 2007年11月20日閲覧。 
  16. ^ Carl DiOrio (2007年10月16日). “ShowEast to close high on Darabont”. The Hollywood Reporter. オリジナル2007年10月18日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20071018025813/http://www.hollywoodreporter.com/hr/content_display/film/news/e3i0c86abe9c72f2e6ecf7edcca50e3a30e 2007年11月20日閲覧。 
  17. ^ The Mist”. Rotten Tomatoes. 2010年1月26日閲覧。
  18. ^ Mist, The (2007): Reviews”. Metacritic. 2010年1月26日閲覧。

外部リンク[編集]