ファーリー・ファンダム

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着ぐるみを着るファーリー・ファン
アンスロコン英語版 2007において案内係のふりをしている女性のラッキー・コヨーテさん
この擬人化されたメスの狐を描いた美術作品は、欧米のファーリー・ファンダムのファン達による作品の典型である。

ファーリー・ファンダム英語: furry fandom)とは、カートゥーンの文化の影響を受けて、擬人化された動物のキャラクターを好むことで特徴づけられるファンダムである[1]

概要[編集]

英語圏における「ファーリー・ファンダム」[編集]

歴史[編集]

ファンダムの研究者のフレッド・パッテン英語版によると、この言葉が最初に登場したのは、1980年に開催されたサイエンス・フィクションの催し[2]である。その催しにおいて、スティーブ・ギャラッチ英語版の手によるSF成人向け漫画雑誌アルベド・アンスロポモーフィクス英語版』に描かれた擬人化された動物のキャラクターが話にあがり、それがサイエンス・フィクションの小説に登場する擬人化された動物のキャラクターの話に変わった。その出来事は、後にサイエンス・フィクションと漫画の大会において、擬人化された動物のキャラクターについて話し合うグループが結成されることのひきがねになった。フレッド・パッテンは、ファーリー・ファンダムという言葉を「擬人化された動物のキャラクターに興味を持つ多くの人々が集まってグループを組織し、擬人化された動物のキャラクターの絵を描いたり文章を書いたりすること」と定義した。

英語圏においてファーリー・ファンダムという言葉は、欧米の同人誌に1983年にはすでに登場し、その後定着していった[3]。ファーリー・ファン達は、ファーリー・ファンダムという言葉が同人誌に登場するよりも以前から、擬人化された動物のキャラクターのファンは多かったと主張する。アニメ作品『ジャングル大帝』が発表されたのは1965年であったし、リチャード・アダムスの小説『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』が出版されたのは1972年であり、それをもとに制作された映画『ウォーターシップダウンのうさぎたち』が公開されたのは1978年だった。動物キャラクターによるディズニー映画『ロビン・フッド』は初期のファーリー・ファンダムで人気だったと言われることが多い作品である[2]

関連する言葉[編集]

欧米ではファーリー・ファンダムに属するファン達は、ファーリー・ファン(furry fans)、ファーリーズ(furries)と呼ばれ[4]、1980年代からファーリーズ(furries)が擬人化された動物のキャラクターを指す言葉として使われ始めた[5][6][7]

欧米のファーリー・ファンダムにおいては哺乳類の動物を擬人化することが多いが、爬虫類・鳥類・魚類もファーリーズと呼ばれることがある。

  • 英語圏では擬人化された爬虫類はスラングでscalies (スケイリーズ)と呼ばれることがある[8]
  • 英語圏では擬人化された鳥類はスラングでavians (エイビアンズ)と呼ばれることがある[9]

擬人化された動物のキャラクターの着ぐるみを作って着るファーリー・ファン達がいる。そのような着ぐるみは英語圏ではファースーツと呼ばれる。人間の頭部をすっぽり覆う部品や、猫や犬のような尻尾の部品が特徴である。ときにはペット用の首輪を着ぐるみを着た人間の首につけることもある。英語のkigurumiという言葉は、日本文化の着ぐるみを意味する言葉である。kigurumiという語は、その語が使われる文脈によって、ファースーツを意味する場合もそうでない場合もある。

英語圏では、カートゥーンに登場する擬人化された動物のキャラクターを、『名犬ラッシー』や『黄色い老犬英語版』のように本物の動物に忠実に描かれたキャラクターと区別するために、カートゥーンに登場するキャラクターのほうをファニー・アニマルと呼ぶことがある[10]

日本語圏における「ケモナー」[編集]

日本においては、動物を人間化、あるいは人間を動物化したかのようなキャラクターは「ケモノ」と呼ばれ[11]、そのようなキャラクターに性的な要素を含めて魅力を感じる人たちを「ケモナー」と呼ぶ[12][13][11]。「ケモナー」という言葉の出所については諸説あるが、「ケモノ」に関するゲーム作品を多数リリースしているゲーム会社「サイバーコネクトツー」は自社のスタッフが掲示板に書いたものが出所としている[12][14]。また、東京大学の研究員である猪口智広は、「ケモナー」という単語が生まれたのは1990年代半ば頃ではないかとしている[15]

特徴[編集]

欧米のファーリー・ファンダムにおける動物の擬人化は、哺乳類をはじめとする動物の姿形に似せて描いているが、本物の動物を忠実に再現して描かれるのではなく、部分的に省略したり特徴的な部分を誇張して描かれることが多い。また、人間のような知性を持ち会話が可能であること、顔の表情による感情表現をすることなどによって擬人化される。本物では四足歩行をする動物を擬人化して直立二足歩行のキャラクターが描かれることも多い。[要出典]

ファーリー・ファンダムに強く影響を与えたのは、欧米のカートゥーンに登場する擬人化された動物と、成人向け漫画雑誌『アルベド・アンスロポモーフィクス』である。カートゥーンに登場する擬人化された動物の例として、ディズニー作品に登場するディズニーキャラクター、映画『ロジャー・ラビット』に登場するキャラクターなどがあげられる。そのような文化は、日本のアニメ漫画の文化とは異質な文化である。そのため、アニメのファンのグループとファーリー・ファンダムのファンのグループは別々に組織されることが多い。また欧米では、ファーリー・ファンダムの大会は、日本のアニメを扱う大会とは別に開催される。ファーリー・ファンダムのファン達が描くキャラクターの姿や彼らが着る着ぐるみの姿は、欧米のカートゥーン等の文化の影響を受けたデザインが多く、日本のアニメや漫画の文化のものとは違うデザインである。[要出典]

英語において、furryは形容詞であり、複数形はfurriesである。一般的に、英語の形容詞を複数形にすることにより集合的な意味を持つ名詞になるというルールが英文法にある。形容詞のfurryが複数形になってfurriesとなるとファーリー・ファンダムに属する人達を指したり、擬人化された動物のキャラクターを集合的に指す言葉に変化するのもそのルールにあてはまる。[要出典]

欧米では擬人化された動物のキャラクターはサイエンス・フィクションとファンタジーの作品で登場する事が多い。[要出典]

ファンダムの活動[編集]

ファンによる作品[編集]

ファーザー・コンフュージョン英語版 2007という催しで発表された、Wicked Sairahによる作品

ファーリー・ファン達は、擬人化された動物のキャラクターの絵を描いたり、物語を書いたり、漫画を描いたりして、ファーリー・ファン達の間や大会でそれらを発表する。英語のスラングの"fanzine"は、日本の同人誌に近い意味の言葉である。ファーリー・ファン達は、Fanzineを紙媒体で発行したり、個人的にWorld Wide Webで発表することもあるが、大手の出版社やマスコミを通して発表することは極めて稀である。ファーリー・ファン達の中には、ぬいぐるみを作る人もいる。一般的には、日本語の「ぬいぐるみ」の英語訳は"Stuffed animal"だが、ファーリー・ファンダムで作られる擬人化した動物のぬいぐるみを"plush toy"または"plushie"と呼ぶことがある。造形物としてのフィギュアを作ったり、着ぐるみを作るファーリー・ファン達がいる。[要出典]

ロールプレイング[編集]

ファーリー・ファン達は、英語でfursonas(ファーソナ、"furry"と"persona"(ペルソナ)を合わせたかばん語)と呼ばれる擬人化された動物のキャラクターをインターネット上で操作してロールプレイングをする。そのようなインターネットの場所には、ファーリーマック英語版Second Life内のファーリー・ファン達のコミュニティ、そしてHTMLやスクリプト等の通常のウェブの機能のみを使ったフォーラム等がある[16]

コンベンション[編集]

ミッドウエスト・ファーフェスト英語版 2006において、レースの準備をするファーリー・ファン達

アメリカ合衆国のピッツバーグにおいて、毎年7月に「アンスロコン英語版(またはアンソロコン)」というファーリー・コンベンション英語版が開催される[17]。 アメリカ合衆国のサンノゼ (カリフォルニア州) では毎年1月に「ファーザー・コンフュージョン英語版」というコンベンションが開催される。

日本では、2005年に「日本初の獣化イベント」をうたった「とらんすふぁ」が開催され、2007年に事実上の後継イベント「Kemocon」に引き継がれて現在まで続いている[15]。2012年からはオンリーイベント「けもケット」、2013年からは総合イベント「JMoF」が開催されている[15]

ウェブサイトとオンラインコミュニティ[編集]

『T.H.E. Fox』は、ファーリー・ファン達の手による漫画であり、1986年にCompuServeで発表されたのを最初として、その後インターネット上でも発表されている[18]

性的な側面[編集]

擬人化された動物のキャラクターの着ぐるみを着て性行為を行うファーリー・ファン達がいる。英語のスラングのyiff(名詞・動詞)とyiffy(形容詞)は、ファーリー・ファン達の間で使われる言葉で、性行為や猥褻な事柄に関係する言葉である[19][20][21]カンザスシティ都市圏英語版のエンターテイメント紙であるザ・ピッチ英語版という新聞によると、英語のスラングの"yiffy"という形容詞は、擬人化された動物のキャラクターの着ぐるみを着たファーリー・ファンが性的に興奮しているか、または性行為をしたがっていることを意味する。英語のスラングの"yiffy artwork"とは、擬人化された動物のキャラクターが行うさまざまな性行為を露骨に描いた絵である。英語のスラングの動詞としての"yiff"は、ファーリー・ファン達が擬人化された動物のキャラクターの着ぐるみを着て性行為を行うことを意味し、"yiffing"はそのような性行為を意味する名詞である[22]

英語のスラングのファーバートは、furvertと綴り、"furry"と、性的倒錯を意味する"pervert"をくっつけたかばん語である。ファーバートは、擬人化された動物のキャラクターの着ぐるみを着て性行為を行うことを楽しむ一部のファーリー・ファン達を変質者とみなして呼ぶ言葉である[23]

成人向け漫画雑誌『アルベド・アンスロポモーフィクス』には、擬人化された動物のキャラクターが性行為をする様子を露骨に描いた猥褻な絵が多く登場する。

日本では、「ケモナー」向けのラブドールが発売されている[13]

メディアへの露出[編集]

雑誌『ローデッド英語版』、『ヴァニティ・フェア[24]、そしてサベージ・ラブ英語版というセックスに関するコラムに、ファーリー・ファンダムのファン達の性行為に関する記事が掲載された。

2001年には、テレビドラマ『ER緊急救命室』の「強制収容を逃れて」という話の中で、ファーリー・ファンダムに関する表現が登場した[25]

他にも、以下のテレビ番組でファーリー・ファンダムに関する表現が登場している。

社会学的なアンケート調査[編集]

2007年にカリフォルニア大学デービス校の心理学部が600人以上のファーリー・ファンを対象にアンケート調査を行った。ただし、その全ての人が全ての質問に回答したわけではなかった[29]。 そのアンケート調査の結果の一部は次の通りである。

  • 回答者の89%が白人である。
  • 回答者の83%がアメリカ人である。
  • 回答者の81%が男性である。
  • 回答者の38%が学生である。
  • 回答者の90%が、年収は50,000米ドル未満であると答えた。
  • 回答者の37.3%は両性愛者であり、32.7%が異性愛者であり、25.5%が同性愛者であり、8%はわからないと答えた。
  • 回答者の約半分は交際相手がいる。交際相手がいると答えたうちの76%が、交際相手はファーリー・ファンだと答えた。
  • 回答者の82%が、擬人化された動物のキャラクターの着ぐるみを所持していない。
  • 回答者の約半分はインターネット上でファーリー・ファンダムに関係する情報交換をしたり、友人関係を持っている。
  • 回答者の42%が大会に参加したことがある。
  • 回答者の約3分の1がパーティーに参加したことがある。
  • 回答者の約6分の1がファーリー・ファンダムに関係する美術作品のオークションに参加したことがある。
  • 政治思想に関する質問では、回答者の40%が(アメリカの)自由主義だと答えた。回答者の7%が(アメリカの)保守主義だと答えた。回答者の35%が政治思想を持っていないと答えた。回答者の16%が政治的に中立だと答えた。

脚注[編集]

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  1. ^ It's a furry weekend - ウェイバックマシン(2006年7月2日アーカイブ分)
  2. ^ a b Patten, Fred (1999年2月2日). “Chronology Of Furry Fandom”. YARF! The Journal of Applied Anthropomorphics. http://www.arclight.net/~yarf/YARF_Chronology.html 2006年7月15日閲覧。 
  3. ^ Patten, Fred. “The Yarf! reviews”. Anthrozine. http://www.anthrozine.com/site/lbry/yarf.reviews.b.html 2007年9月24日閲覧。 
  4. ^ Staeger, Rob (2001年7月26日). “Invasion of the Furries”. The Wayne Suburban. http://www.xydexx.com/anthrofurry/furries.htm 
  5. ^ Thomson, Desson (2006年5月19日). “Critters Offer Consumer Retorts in 'Over the Hedge'”. The Washington Post. http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/05/18/AR2006051802306.html?sub=AR 2006年7月19日閲覧。 
  6. ^ Dagna, Justin (2005). Fera Vita: Pax Draconis. Technicraft. 
  7. ^ Furries funny, humans not in 'Dolittle 2' - ウェイバックマシン(2006年12月12日アーカイブ分)
  8. ^ Finally comfortable in their own fur - ウェイバックマシン(2007年12月23日アーカイブ分)
  9. ^ Avians.net”. 2017年8月10日閲覧。
  10. ^ Sandler, Kevin S. (1998). Reading the Rabbit: Explorations in Warner Bros. Animation. Rutgers University Press. 
  11. ^ a b 小原篤 (2016年7月18日). “細田守監督、ケモナーとショタを語る”. 小原篤のアニマゲ丼. 朝日新聞. 2017年8月10日閲覧。
  12. ^ a b ケモナー必見、独特の世界観が魅力の「Solatorobo(ソラトロボ)」をプレイムービー付きで徹底紹介”. GIGAZINE (2010年9月18日). 2017年8月11日閲覧。
  13. ^ a b 世界初! ケモナー向けラブドール「けものひめ きつの」開発企業を直撃!”. おたぽる (2015年3月10日). 2017年8月11日閲覧。
  14. ^ 日本一のケモナー会社!?サイバーコネクトツー夏の新商品発売記念トーク&サイン会レポ ― 「THE KEMONO BOOK」第2弾や新作の情報もチラリ”. インサイドゲームス (2013年8月14日). 2017年8月10日閲覧。
  15. ^ a b c 『けものフレンズ』大ヒットの理由とは? ガチケモナーな東大研究者が語るケモナーの歴史とその深淵”. 電ファミニコゲーマー (2017年2月17日). 2017年8月11日閲覧。
  16. ^ In Second Life, the World is Your - ウェイバックマシン(2007年10月12日アーカイブ分)
  17. ^ Furries Descend On Pittsburgh - ウェイバックマシン(2006年6月27日アーカイブ分)
  18. ^ The Commodore 64/128 RoundTable (1994年). “Interview with Joe Ekaitis”. 2007年1月12日閲覧。
  19. ^ Meinzer, Melissa (2006年7月29日). “Animal Passions: The furries come to town — and our correspondent tails along”. ピッツバーグ・シティ・ペーパー英語版. http://www.pittsburghcitypaper.ws/gyrobase/Content?oid=oid%3A28606 2017年8月10日閲覧。 
  20. ^ Bardzell, Jeffery, and Shaowen Bardzell. Sex-Interface-Aesthetics: The Docile Avatars and Embodied Pixels of Second Life BDSM. Indiana University, 2005.
  21. ^ I like dressing up as a bear during sex - ウェイバックマシン(2011年6月15日アーカイブ分)
  22. ^ Critter Camp Out: A little raccoon from Kansas City finds friendship in the Furry Fandom - ウェイバックマシン(2007年10月12日アーカイブ分)
  23. ^ Deviant Desires: Furverts - ウェイバックマシン(2006年8月25日アーカイブ分)
  24. ^ Pleasures of the fur - ウェイバックマシン(2007年2月16日アーカイブ分)
  25. ^ "強制収容を逃れて". ER緊急救命室. NBC. 2001年3月5日放送. 20回,シーズン7.
  26. ^ "心優しき獣たち". CSI:科学捜査班. CBS. 2003年10月30日放送. 5回,シーズン4.
  27. ^ "Mama Told Me I Should Come". The Drew Carey Show. ABC. 2002年10月21日放送. 6回,シーズン8.
  28. ^ "The Day Fuckers". アントラージュ★オレたちのハリウッド. HBO. 2007年7月28日放送. 7回,シーズン4.
  29. ^ University of California, Davis Department of Psychology (2007年5月5日). “Furry Survey Results”. 2007年5月5日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]