俺の嫁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

俺の嫁(おれのよめ)とは、主に男性が理想的な女性(架空のキャラクターを含む)に対して発する言葉[1]アニメ漫画テレビゲームなどのファンの間で、また商業の場においても用いられるようになっている[2]

概要[編集]

源氏物語』の一場面を描いた絵の中の美人に一目惚れする尊良親王後醍醐天皇第一皇子)。軍記物語太平記』(1370年ごろ完成)を元にした絵本『新曲』(江戸時代前期)より。明星大学所蔵。

『知ってるだけで恥ずかしい 現代オタク用語の基礎知識』によると「主に架空のキャラクタに対する愛情表現」と定義される。ただし女性が男性キャラクター(または好きな女性キャラクター)に対して発することもある。さらには二次元キャラクター同士、芸能人などの実在の人物、自動車などの非生物でも成立するようになった。「俺の妹」「俺の娘」など、発展系は無数に存在する。なお、既婚の男性が自身のを指して、二次元的な「俺の嫁」と区別して「リアル嫁」と呼ぶ場合もある[3]

みかづき紅月美少女文庫で「**は俺の嫁!?」というシリーズを出している。『らき☆すた』と関連した町おこしを進めていた鷲宮町の商工会が「“萌(も)え川柳☆狂歌”コンテスト」を開催したところ、最優秀作品(最萌賞)に輝いた狂歌は「俺の嫁」を揶揄した内容であった[4]

「俺の嫁」という語そのものは現代に登場したものである。しかし、概念そのものは、遅くとも南北朝時代軍記物語太平記』(1370年ごろ)にまで遡ることができる。『太平記』の伝説によれば、後醍醐天皇第一皇子の尊良親王は、『源氏物語』の一場面を描いた絵の中の美女に一目惚れして虜になってしまい、のちにその美女と瓜二つの御匣殿という姫君に出会うまで、ずっと独身であったという[5]。尊良が御匣殿と結婚したのは史実であるが、この馴れ初めそのものが実話かどうかは不明である。なお、尊良が見たのは『源氏物語』「橋姫」の段の画像であるので[5]、日本最初の「俺の嫁」は宇治の大君宇治の中君かのどちらかになるが、どちらかは不明。大君の方が重大なヒロイン格であるので、そちらとも考えられる。伝説の詳細は御匣殿 (西園寺公顕女)を参照。

日本国外では、同様の概念を指すものとして「waifu」または「mai waifu」というスラングが用いられている。これは、英語で「(俺の)嫁」を意味する「(my) wife」を日本語的に発音・表記したものである。言葉が広まったのは、あずまきよひこの漫画作品『あずまんが大王』のアニメ版において、登場人物の教師・木村が自分の妻の写真を指して「マイワイフ」と発言した場面がきっかけと言われている[6]。なお、対象が男性キャラクターの場合は、英語で「夫」を意味する「husband」をもとにした「husbando」というスラングも用いられる[6]

出典[編集]

  1. ^ “【今週のネット語】俺の嫁” (日本語). 産経新聞 (産業経済新聞社). (2009年9月10日). オリジナルの2009年9月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090913101434/http://sankei.jp.msn.com/entertainments/game/090910/gam0909100741000-n1.htm 2016年1月30日閲覧。 
  2. ^ 野安ゆきお (2009年10月16日). “ポケットの中の恋人、いや「俺の嫁」!? 〜「ラブプラス」が指し示すゲームの未来(デジタルエンタメ天気予報)” (日本語). 日経ビジネスオンライン. 日経BP. 2014年11月3日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2019年4月22日閲覧。
  3. ^ 使用例:Google Adwordsで彼女ゲットの男性、ブログで幸せの報告 「入籍いたしました」” (日本語). ねとらぼ. ITmedia (2014年1月27日). 2016年1月30日閲覧。 “昨年は室内で1人パソコンに向かっていたのに、1年後にはリアル嫁がいることについて...”
  4. ^ “「生きた嫁 連れてこいよと 母が言う」オタク川柳、募集に766点” (日本語). 読売新聞(東京朝刊、埼玉2面) (読売新聞東京本社): p. 30. (2009年1月8日) 
  5. ^ a b 長谷川 1996, pp. 450–454.
  6. ^ a b waifu ワイフ” (英語). Japanese with Anime (2018年1月25日). 2020年11月22日閲覧。

参考文献[編集]

  • 長谷川端編 『太平記 2』 小学館〈新編日本古典文学全集 55〉、1996年3月20日。ISBN 978-4096580554 
  • 藤原実著 『知ってるだけで恥ずかしい 現代オタク用語の基礎知識』 ディスカヴァー・トゥエンティワン2008年、36頁。 ISBN 978-4-88759-713-6

関連項目[編集]