グンロズ

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グンロズ(アンデシュ・ソーン画)。
写本『AM 738 4to』に描かれたグンロズ。

北欧神話において、グンロズもしくはグンレッド古ノルド語: Gunnlöð英語: Gunnlod)は、巨人スットゥングの娘である。彼女は、父が詩の蜜酒を保管した山、フニットビョルグの中の穴に見張りとして居させられた。スノッリ・ストゥルルソンが『詩語法』において伝えるところによると、彼女のもとにオーディンが来て、彼女を口説き、3夜を共にした。彼によってすっかり魅惑させられたグンロズは、とうとう蜜酒の3口分をオーディンが飲むことを許した。ところがオーディンは彼女を騙し、蜜酒全てを飲み込むとその場を逃げ去った[1]

しかし『古エッダ』の『高き者の言葉』第105 - 108節は、少し異なる物語を語っている[2]

グンロズは黄金の椅子に儂を座らせ、
儂に貴重な蜜酒をついだ。
それに対し儂からの悪い報いを彼女は得た。
彼女の素晴らしくて情熱的な愛情に対し、
彼女の思い悩むような不吉な気持ちに対し。
(略)
儂が彼女から獲得したものを、儂は上手く活用した。
戻って来て以来、儂は知恵に優れた、
オーズレリルen)をアースガルズに運んできた、
神聖な1飲みによって。
決して儂は生きて帰って来られなかった、
残忍なトロールの庭から。
善良な女性、グンロズの助けがなければ、
その腕で儂を包んだ女性の。

物語のこの改作から、グンロズが進んでオーディンを助け、そのためオーディンがお返しに彼女の幸福を考えていたようである。

脚注[編集]

  1. ^ 『「詩語法」訳注』6頁。
  2. ^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』35頁。

関連項目[編集]

参考文献[編集]